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イニシェリン島の精霊のHARUのレビュー・感想・評価

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)
4.5
オタクの友達に「一言で説明するなら破局したおっさんずラブだよ」って言われて「マジすか面白そ」って映画館入ったのが運の尽きだった。

死ぬほど刺さってしまって一生抜けない棘になりそうなんだけど、知性の壁がさ...........あるんだよ...........人間には............。
知性が自分より下の人間のことを私たちは簡単に「自分以下」と見下すのに、自分より知的な人に対しては「自分と同じレベル」と認知したがるんだよね..........人間の業でありつつ真実で現実じゃん..........泣
平然と「自分以下」を拒絶するくせに、いざ自分が相手にとって「自分以下」として拒絶された時に、それが知性が理由であると理解したがらない。理解したくない。
いやもう自戒とか反省とかそういうレベルじゃなくて、自分の内に潜む自尊心を公衆の前に引きずり出された感覚。

大前提として、人と人はどうせわかり合えず、怒りの理由も巫山戯る理由も涙の理由も無関心の理由も、結局理解させてはもらえない。
それはわかる。
だからといって優しさに縋りついて怒りを表現して涙を見せてはいけない理由はない。
それもわかる。
でも既に壁を築かれていたら、もうそのあらゆる行為は壁を厚くさせるだけなんだよ。
壁が築かれていることに気づければいいんだけど、気づきたくないからこうなっちゃうんだよ。
気づいても無視してすがってしまうんだよ。事態を悪化させるとわかっていても。
もちろんこのおっさんたちみたいな事態になることは滅多にないけど、大枠で見たらこういうことって現実に起きてるじゃん。
うわーーーきつすぎる。

こんなエグ構図見せられると思ってなくて、脚本の力にひれ伏した。
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