umisodachi

デューン 砂の惑星PART2のumisodachiのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
5.0



アトレイデス家唯一の生き残りであるポールは、砂漠の民フレメンたちから救世主と目されるようになる。最初はそのことに反発していたものの、宿敵ハルコネン家と皇帝に反撃するためにその運命を受け入れるポール。しかし、心を通わせていたチャニは……。

映画というものを「映像の芸術」と定義するのであれば、本作は現代技術で実現し得る最高の「映画」だと言えるだろう。圧倒的な世界観。IMAXレーザーで観たからこその没入感を抜きにしても、これほどまでにスクリーンに入り込んでしまったような感覚を覚える映画は他に知らない。

正直言って、1を観ていなければストーリーはよくわからないと思う。1を観た人であっても、固有名詞などは復習してから臨んだ方がいいし、複雑な原作なのに説明を極限まで省いているのでお世辞にもわかりやすくもない。でも、そんなことはどうでもいいのだ。観る者はこの未来の惑星で起きていることをただ目撃しているだけなのだから。

この映画が仮に英語でも日本語でもなく、字幕もついていなかったとしても、私は同じように楽しんだと思う。砂漠の国のダイナミズムが、サンドワームの圧倒的な迫力が、1よりも男性的な肉体になり、迷いが消えて狂信的になっていくティモシー・シャラメが、あまりにも早く事態が動いていくことに戸惑い怒るゼンデイヤが、賢くてクレイジーな青年を生き生きと演じるオースティン・バトラーが、細部から全体へと流れるように捉えていく戦闘シーンのカメラワークが、地響きのように身体を貫く音が、デューンを構成する他のありとあらゆる要素が、私の目と心をガッツリと掴んで最後まで離さなかった。

特にサンドワームの描写はとんでもなく素晴らしくて、永遠に観ていたいほどだった。自分もあの場にいてその地響きを感じているとしか思えない感覚に打ち震えた。とにかく、できるだけ大きい画面とできるだけ良い音響で体感してもらいたい圧倒的な映画体験を与えてくれる作品だった。

ストーリー重視の人にとっては、もしかしたら退屈なのかもしれない。でも、映画ってストーリーだけで評価するものではないと私は思う。こんな風に「もうひとつの世界」を作り出して、スクリーンの中の人々に人生を歩ませた映画を私は知らない。他のどんなSFアクション映画とも違う、抒情的で奥行きのあるあの世界にぜひ浸かってみてほしい。


umisodachi

umisodachi