umisodachi

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章のumisodachiのレビュー・感想・評価

4.6


浅野いにおによる同名コミックの映画化。

巨大な宇宙船が突如として地球に襲来し、多数の死者を出してから3年後。今もまだ上空に宇宙船「母艦」を浮かべたままの東京で高校生の門出とおんたんたちは賑やかな毎日を送っていた。しかし、ある事件が起こり……。

『おやすみプンプン』が強烈すぎてちょっと胸焼けしてしまい、浅野いにおから遠ざかっていたため原作は未読。しかーし!とても面白かった!

巨大な宇宙船と共存しているという異様な世界で生きているのに、正常化バイアスの極みのように「普通に」暮らしている人々。とはいえ、未来への不安が払しょくされているわけではないので常に不穏な気配は漂い続けている。そんな、「非日常」と「日常」がものすごいコントラストを保ったまま共存しているという世界観がまずとても良い。

幾田りらとあのちゃんが声を担当した門出とおんたんのキャラクター設定も素晴らしく、とても魅力的。ふたりとも声優としても素晴らしいのだが、特にあのちゃん演じるおんたんが奇跡的な出来。っていうか、あのキャラクター自体があのちゃんを想定してできているの?というくらいのハマりっぷりで目を見張った。

まだ全編ということで謎は謎として提示されたままなのだが、引き付けるパワーは十分。アニメ映画としては2時間超と長めではあるものの、まったく飽きない。全力でおすすめできる作品だ。

ところで、少し前に仕事でアニメ作品をいくつか観たのだが……すごいね。最近のアニメ。なんというか、おそらく日本映画(実写)とは比較にならないレベルで観客を信じているんだと思うんだけど、全然手加減しないで「表現」を全力でぶつけてくるような作品がこんなにたくさんあるんだね。こりゃあ、世界で戦えるのは日本のアニメだってなるわけだよ。やっぱり、観客を舐めていては進化はできないんだと痛感する。
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