このレビューはネタバレを含みます
PART1の話が進まなすぎで「ここで終わるんですか！」ｽﾞｺｰっと腰を折られるラストから2年と少し経ちましたが、
ようやく観たかったものを観れました。
原作からしていわゆる白人英雄譚/貴種流離譚ですが、チャニを中心に置くことでそこに対して批評的な視点を置いているのが印象的でした。
ラストのチャニが取る行動にも顕著に出ています。
"奇跡"を伝播させる母ジェシカの暗躍っぷりは恐らしく、結果ポールが彼女の支配下から逃れられないプロットは奇しくも最近観た『ぼーはおそれている』に共通するポイントで想起してしまいました。(たまたまでしょうが)
にしてもベネ・ゲセリット...
あいつらなんなんですかおそろしや
ここでも救世主論原理主義者スティルガーとの比較で、チャニが常に疑いの目を向けており我々観客もこのチャニ視点で
胡散臭くも偶然が重なり宗教が広がっていく様に立ち尽くしてしまう感覚に擬似的にライドできる構造になっていのも興味深かったです。
それもあり、終盤ポールが命の水を飲んで以降の流れは予言通りの英雄の誕生！！
というよりはポールが一線を超えてしまった....
歴史で何度も繰り返されてきた文明国家の使者が救世主と偽り未開の地を統治する構図を批判的に暗示する怪しいニュアンスすら感じとりました。
前作であまり観られなかった見せ場となるアクションも多く、特に序盤フレメンがハルコネンからの刺客を次々と暗殺していく場面は舞台空間・音の使い方も含めてよく出来ていて、ここでがっつり掴まれました。
ヴィジュアルもハルコネンの家本拠地でのジェティ・プライム周りの日が当たらない故の白黒表現(特に液体花火？みたいなやつ)やフレメン周りの特に序盤に多い砂漠の雄大さを感じられる画面の美しさは言うまでもありません。
何よりここ最近は既視感漂うSF映画が後を経たない中で、リブート作品ではありますが、ミニマルな表現により独自のフレッシュな世界観を作り込んだドゥニ・ヴィルヌーブ監督の技量に脱帽です。
フェイド・ラウサのサイコキラーっぷりも死に様含めて良かったです。「健闘したなアトレイデス」いつか、言ってみたいですねぇ
もう「砂漠の救世主」が今すぐみたくてたまりません。
ドゥニ監督できるだけ早くお願いしやすだ
