SAKUMATHENERD

哀れなるものたちのSAKUMATHENERDのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

フランケンシュタインの怪物
異常な速さの成長を遂げ、この世の理を会得し遂には城にて覇権を握る!!!
といった感じでしょうか、、

スチームパンク×メルヘンな独特なこの世にはない中世の世界観からして目を奪われました。
デフォーが演じるマッドサイエンティストならぬマッドドクター「ゴッド」(名前からしてゴッドですからね笑)のキャラの異様ながらチャーミングなキャラクターもさることながら、彼が実験の過程で生み出してきた数多のキマイラ達もキモかわいかったです。

Jerskin Fendrixのスコアも印象的で
敢えて不協和音を利かしたベルやストリングスを重ねた奇妙なサウンドは摩訶不思議な世界観にマッチしておりました。現在でも繰り返し聞くぐらいに気に入っております。

ヨルゴス・ランティモス作品となりますとやはり一筋縄で行くわけがなく、今作でも社会風刺が強い監督の作家性は色濃く反映されています。
無くならない格差、それを目の前にただ知識を蓄え問答することがいかに無意味であるか、、、
ベラに船で出会ったハリーがみせつけるシーンは非常に意地悪ながら、皮肉にも我々が生きる現実そのものであります。
現代社会と変わりない男尊女卑が蔓延る社会で娼婦としてサバイブするパリのパートでは、
社会の仕組みを学びながら上手く立ち回りのしあがる所には監督の前作『女王陛下のお気に入り』のアビゲイル(奇しくも同じくエマ・ストーン演じる)を想起させます。
良くも悪くもモラルゼロ(子供だから)で好奇心の塊なベラが
理不尽な世の中をとてもつない成長速度で潜り抜けて行く姿は非常に痛快でした。
ラストも夫かつ親父となるアルフィ将軍と対面し
因縁を払拭するオチは、前作を彷彿とさせる人間の哀れさ・ゲス味を感じさせる胸糞ながら同時にやけにに爽やかなものでした。
立場が逆転するだけで、繰り返される
搾取と支配の構図にこそ人類の哀れさが現れ、
それを面前に叩きつける容赦のなさこそヨルゴス・ランティモスの真骨頂かと、、比較的大作ながら尖り散らかしている切れ味は依然として健在です。
少なからず、ゴッドとベルとの奇妙かつ倫理的には許し難い関係の決着には薄らではありますが人類の希望の余地が見えましたが

役者陣皆さん良かったですが、特にマークラファロが印象に残りました。
有害な男性性の塊みたいな役を演じておりこいつが本当にダサく女性を性の対象として考えない頭空っぽな束縛豚野郎で本当に最悪でした(褒めてます。
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