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カッコーの巣の上でのkaneのレビュー・感想・評価

カッコーの巣の上で(1975年製作の映画)
4.7
「正常」と「異常」の境界線はどこにあるのだろう。もし、あったとしてその線は誰が引いたものなのだろうか。そして、それに従う義務は…。
そんな疑問の1つの解答がこの映画にはあった。そこにあるのは願望なのかもしれない。

試験問題と違って模範解答がない事柄の場合、何が正しいのかを決めるのは、数でしかない。多数が正常になり、少数に属するものは異常の扱いを受ける。しかし本来、人のすることに良いも、悪いもない。神様がいるならば別かもしれないが、ものの善し悪しは人が数量的に判断して、創り出したものでしかない。だが、それも仕方ないことだろう。少数のために、多数が不都合を被るわけにはいかないのだ。

厄介な異常者は、正常に正さないといけない。それが正常者にとっても異常者にとっても幸福なこと。それがまたしても正しい考え方であり、本作の患者もほとんどが自主的に入院している。その中で、マクマーフィーが傍若無人に好き放題。それがとても痛快に感じる。

生かされている状態の彼の息の根を止める行為も納得の展開で、それに続いたように自由が躍動するラストシーンに昂奮する。
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