圧巻の90分、見事な群像劇だった。
クリスマス前日の夜、レストラン。
仕事でも私生活でも疲れきっているオーナーシェフのアンディ。店に行ったら行ったで、衛生管理検査で評価は下げられるし、遅刻のスタッフはいるし、来て欲しくない客まで来るし、っていうもう問題のオンパレード。そのうえ、ただでさえ忙しい日をもっと忙しくさせるように、支配人のエミリーはスタッフのキャパを超える予約を受け付けていて。お酒片手に仕事をするアンディに、それはダメでしょとは思ったけれど、あらゆる問題が持ち込まれ、どんどん追い詰められていく姿には、流石にちょっと同情的になってしまった。
そんな1ミリの余裕もないアンディに八つ当たりされる厨房スタッフたちもまた、ピリピリしていて。うんざりしつつアンディを支える副料理長のカーリーは頼もしかったけれど、料理に難癖つけるお客やルールを守らないエミリーに対するイライラもあり、誰もが不満を膨らませ限界が近付いている、そんな感じだった。
そうして起こってはならない事態が起こり···クリスマスの浮かれた気分なんて微塵も感じられないビターな終わり方に、このレストランの行く末を案じて、私まで沈んだ気持ちになってしまった。
#85_2022
