九月

ウーマン・トーキング 私たちの選択の九月のレビュー・感想・評価

4.9
女性たちが村から去ることを応援する気持ちで見守っていたのに、最後には寂しさも残る。

実話ということにも驚いたが、途中国勢調査のシーンでこの物語の舞台が2010年だということを知りさらにびっくり。もっとずっと大昔の話かと思った。しかしながら2020年代の現在でも通ずる問題を感じたり、話し合いや相手に寄り添うことの重要性さらに難しさはいつの時代も変わらないのではないかと思ったりした。

当時はオーナのお腹の中にいた、娘と思しき人物のモノローグで物語は進んでいくため彼女たちの無事が推測できるものの、話し合いの最中からずっと危うい空気が漂っていて、ヒリヒリしっぱなしだった。
そんな雰囲気に没入し、情報や説明は最小限で、観ている側の気持ちとは裏腹に静かに展開していくところがとても好き。

団結するはずの女性たちも年齢や性格、事情など様々で、そう簡単にはまとまらなくて見応えがあった。
唯一成人男性で女性たちに寄り添ってくれるオーガストの存在に救われるも、彼の存在が却って辛い余韻を残すようだった。
九月

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