半兵衛さんの映画レビュー・感想・評価 - 55ページ目

半兵衛

半兵衛

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アルファヴィル(1965年製作の映画)

4.0

ディストピア風SF映画ではあるけれど、話の骨格はゴダールの好きなハードボイルドやアクション映画のスタイルで作られているため活劇としての醍醐味が感じられ小難しさの無い仕上がりになっているのが嬉しい。>>続きを読む

秘技・十八武芸拳法(1980年製作の映画)

4.0

妖術プラスカンフーという欲張りな組み合わせを見事に実現、映像化した豪勢な香港映画。妖術が大盤振る舞いで登場する漫画のような冒頭からテンションが上がりまくる。そして実在の武器や暗器が矢継ぎ早に次々と出て>>続きを読む

おんな地獄唄 尺八弁天(1970年製作の映画)

3.3

ピンクというセックス主題のジャンルであることを逆手にとり、メジャーの女任侠映画では目を背けてきた主人公への性暴力などを通して女が渡世を張ることの辛さ苦しさを描いた女やくざ映画の佳作。主役の弁天お加代を>>続きを読む

(秘)湯の町 夜のひとで(1970年製作の映画)

4.5

ブルーフィルムを作るスタッフを通して、サイレント映画への愛を描いた傑作。でもそれ以上にこの映画の凄いところは映画が撮影されている裏側でどんな残酷なことが起きているのかを容赦なく描いていることで、これに>>続きを読む

愛の奴隷(1976年製作の映画)

3.3

サイレント時代の映画への愛を謳った映画だけれども、それ以上に溢れるソ連への愛(舞台もロシア帝国の崩壊の時期で、革命軍を正義の人みたいに描いてる)が気恥ずかしくてのめりこめなかった。

それでも叙情的で
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北陸代理戦争(1977年製作の映画)

4.0

実録路線を築き上げた深作欣二監督の集大成的な映画。そしてこの作品以降も実録やくざものはいくつか作られたけれど、時代の変化なのかお客さんの要望なのか本来実録作品にあった生々しさは無くなりスタイリッシュに>>続きを読む

生きていた男(1958年製作の映画)

3.7

死んだと思われた兄が主人公の妹のところに顔を出してくる不穏な序盤に胸を躍らせ、いくら主人公が「この人は兄ではない!」と叫んでも誰も信じず、それどころかその兄が周囲の人たちと仲良くなってく展開もニューロ>>続きを読む

泥棒貴族(1966年製作の映画)

3.8

マイケル・ケインが華麗なる大泥棒として活躍する序盤を見て、「ベタな泥棒ものだな」と思っていたら実はマイケルの空想だったというオチにずっこける。

その後シャーリー・マクレーンと組んで偽の大金持ちに化け
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五毒拳(1978年製作の映画)

3.9

アクションとサスペンス、この二つの要素をバランスよくまとめあげたドラマは実際少ないと思う。東映アクションのようにサスペンスが付け足しになったり、黒幕がキャスティングでバレバレだったりなど。

その点こ
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私刑(リンチ)される女(1953年製作の映画)

4.2

冒頭から馬の大群が画面内を疾走していくシーンが次々と出てくるのでアクション映画かなと思ったが、実際には南北戦争という激動の時代を生きてきた女性たちが様々な悲しみを乗り越えて強く生きていく様を描いた女性>>続きを読む

殺人捜査線(1958年製作の映画)

4.5

麻薬を回収するため雇われた殺し屋コンビの非情な犯行と彼らを徐々に追い詰める警察、二つの視点を交互に描いたサスペンス映画。

一点の無駄もないスピーディーで乾いた語り口が魅力的で、二組とも複雑な人間ドラ
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北京原人の逆襲(1977年製作の映画)

3.0

北京原人と銘打たれているのに肝心の大猿ペキンマンはインドの山奥にいる、そして北京には行かず香港へ連れていかれたりと突っ込みどころ満載の映画。美人でめっちゃセクシーだけれどあまり野性味は感じない知的なお>>続きを読む

春の驟雨(1932年製作の映画)

4.2

死んだ母親が娘の貞操の危機を救うというハンガリーに伝わる寓話を、見事に映像化した名品。

1932年というトーキー映画が製作されはじめたばかりの時期のためか台詞が極端に少なかったり、大群衆がいるところ
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サンタ・ビットリアの秘密(1969年製作の映画)

4.7

ムッソリーニ政権崩壊を聞いた村人たちがなぜか興奮状態に陥り、たまたま目にした人の尻を村人総出で蹴りまくるという爆笑のオープニングで心掴まれたあとは一気呵成に最後まで見てしまった。

ムッソリーニが捕ま
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特別な一日(1977年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

派手さはないけれど、優しさと深みのある大人の滋味溢れる恋愛映画。そしてこの映画の歴史的背景を知ってから見ると、よりこの大人のラブロマンスの隠し味を堪能できるはず。

この映画を見たとき、最初は1930
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行きずりの街(2010年製作の映画)

2.4

うーん、メインである仲村トオル演じる教師の過去をめぐるドラマが見ていくうちにあまりにも陳腐でどんどん興味がなくなっていく。豪華なスタッフが集まってこんなメロドラマを作っていると思うとさらにつまらなく思>>続きを読む

白昼の無頼漢(1961年製作の映画)

3.7

混成外国人による悪党グループの、様々な思惑を持った一癖も二癖もあるメンバーによるスリリングな駆け引きや、緊張感のある演出とフィルムノワールを思わせる作風がたまらない深作欣二の長編デビュー作。胡散臭い英>>続きを読む

ひとりぼっちの青春(1969年製作の映画)

4.2

大恐慌時代のアメリカを舞台に、男女一組でほとんど休憩せずにひたすらダンスして最期に残ったカップルが優勝という過酷なレースを参加した主人公たちを通して描かれる。1960年代末期というニューシネマ時代の作>>続きを読む

イン・ザ・スープ(1992年製作の映画)

3.9

主役を演じるブシェミ目的で鑑賞したのだが、実際見てみると彼よりもブシェミに出資する謎の男・ジョーを演じるカッセルに魅了されてしまった。

本来ならばジョーは映画を撮りたいブシェミ演じる映画青年を資金提
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九月の冗談クラブバンド(1982年製作の映画)

1.8

青春というのは『痛い』ものだということを、この映画は説得力をもって教えてくれる。…面白くはないけれど。

肝心の内容は主人公が「バイク乗ろうかな、いや止めよう。あーどうしようかな」を仲間と二時間近くに
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諜報員(1947年製作の映画)

4.0

敵国ドイツに潜入したソ連のスパイが幾多の危機を乗り越えて情報を掴むまでを描いた映画で、国立映画アーカイブの解説にあった「ヒッチコックやラングを彷彿とさせる」が大げさではないサスペンスと緊張感に満ちたス>>続きを読む

ミュージックボックス(1989年製作の映画)

4.5

久々に心揺さぶられる、重い余韻がいつまでも残る映画に出会えた。そしてもし自分が主人公の立場であったならラストの選択はどうなったかを引きずるように考えてしまう。骨太な戦争ドラマとしても、家族のドラマとし>>続きを読む

アメリカン・ウェイ(1986年製作の映画)

3.8

タイトルはアメリカ映画っぽいのに製作はイギリス、そして内容はニューシネマで活躍したデニス・ホッパーやマイケル・J・ポラードが当時タカ派として活動していたレーガン大統領やその背後にいる福音派などの組織を>>続きを読む

誰かがあなたを愛してる(1987年製作の映画)

4.2

いい年をしてギャンブルで生計を立てているアウトローまがいのチョウ・ユンファと、彼を頼ってニューヨークを訪れた留学生チェリー・チェンの不器用な恋物語。

映画は全体的に優しい造りになっていて主役二人も気
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血ぬられた墓標(1960年製作の映画)

3.5

話の内容はベタな古典的ホラーだけれど、冒頭の処刑される魔女の顔に刺さる鉄仮面をはじめショッキングな映像を所々に配しており見る人をグイグイと引き込まれていく。しわしわの魔女が女性の生気を吸いどんどん若返>>続きを読む

チート(1915年製作の映画)

3.0

ドラマは稚拙だし、黄色人種に対する偏見丸出しのエンディングには唖然とさせられる。それでもこの映画が光輝いているのは早川雪洲の典雅で冷酷な悪党ぶりに魅力を感じるから。

その根底にはアメリカ人の東洋人に
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おとし穴(1962年製作の映画)

4.0

シュルレアリスムのような世界なのに、社会の不条理感が見る人に圧倒的な説得力で迫ってくる不思議な映画。何らかの理由があって殺されたのに死んでからも真相がわからないまま地上をふわふわと漂う主人公たちの姿は>>続きを読む

ザ・プレイヤー(1992年製作の映画)

3.5

『映画界なんて薄汚くて、性格が悪い奴らばかりで最悪だ!けれど俺はそんな世界が好きでたまらないんだ』という面倒臭い映画愛に満ちた映画。過去の名作へのオマージュシーンの数々が映画を高尚に仕立てている分、そ>>続きを読む

日蓮(1979年製作の映画)

1.8

日蓮の一代記をダイジェストで見せられるが、物語が単調でなおかつ日蓮をひたすら聖人として褒め称えているのでただただ退屈。熱心な日蓮信者だった永田雅一の山師気質を味わう映画。

主役の錦之介をはじめ画面を
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空の大怪獣 ラドン(1956年製作の映画)

3.3

10代の頃初めて見たときには滅茶苦茶興奮したが、今見直すと話の展開が雑だなということに気づかされる。序盤のミステリー的展開や身内が殺人犯扱いされ苦悩するヒロインという流れは悪くないのに、20分もたたぬ>>続きを読む

双頭の殺人鬼(1959年製作の映画)

2.2

全体のチープな作りと華のない役者の演技がマニア心をくすぐる50年代マッドサイエンティストホラー、ただそういった好事家や映画ファン以外の人には退屈な1時間を提供される可能性が大なのに注意。

一方でこの
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アイアン・ホース(1924年製作の映画)

4.2

実際にあった鉄道線路建設の物語をプロジェクトX風ではなく、極上の娯楽映画として作り上げ成立させてしまうジョン・フォードはやはりただ者ではない。

個性的なキャラクター、荒くれ者と彼らより強い女たち…。
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アルタード・ステーツ/未知への挑戦(1979年製作の映画)

3.5

幻覚剤や薬によるトリップを、ここまでのスケールで描いたことに驚嘆。現実の話をモデルにしているはずなのに後半は人間が獣人となって暴れまくり、そして『バスケットケース』になったかと思いきやラストに至っては>>続きを読む

東海道 弥次喜多珍道中(1959年製作の映画)

3.5

『ヨーイ、スタート』の掛け声をやりたくて映画監督になり、現場でのスタッフへの指示やらシーンのつながりやらすべて助監督に任せていたという近江俊郎監督の悪評を先に聞いていたので見るのが不安だったが、見てみ>>続きを読む

最後の切り札(1942年製作の映画)

3.9

警察学校の首席を本当に起きた殺人事件の捜査の成果で選ぶという非現実的で漫画チックな展開を、小粋でテンポの良い演出と多彩な登場人物、巧みなサスペンス描写で魅せていくデビュー作とはとても信じられないジャッ>>続きを読む

ともだち(1974年製作の映画)

3.5

病気の少女と同級生の交流劇という、いかにも教育映画的な題材を鼻につくことなく撮りあげる澤田幸弘監督&日活のスタッフの力量に感服。あと主人公が優等生ではなくジャイアンのようなガキ大将なので教育的な匂いが>>続きを読む