半兵衛さんの映画レビュー・感想・評価 - 58ページ目

半兵衛

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ザ・シャウト/さまよえる幻響(1978年製作の映画)

2.6

変な映画という前評判を聞いて見たけれど、本当に変な映画だった。しかもこれでカンヌで賞をとれるなんて冗談としか思えない。

話は一言で言えば大声で動物や人を死なせ、雷を巻き起こせる特殊能力を持つ謎の男が
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処刑遊戯(1979年製作の映画)

3.5

最初に見たときは前の二作と違いシリアスな世界観、クールな松田優作の演技に戸惑いを隠せないまま見終わった印象があったが、今見直すと70年代アクションの真っ只中で生きた優作が新たな世界へ飛び出すために挑戦>>続きを読む

越境者(1950年製作の映画)

4.0

ふるさとシチリアの鉱山が閉鎖され、生活が苦しくなった村の人たちはある男からフランスに行けば楽な生活が出来るぞと口説かれ、男の案内のもと違法に国境を越えようとするが…。

詐欺師であった男に大金を巻き上
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デス・レース2000年(1975年製作の映画)

3.2

人を跳ねると得点が加算されるアメリカ横断カーレースを、楽しそうに描く中学生から20歳前半の男の子たちが喜びそうな映画。しかも映画がだれそうになるとパイオツやベットシーン、人体破壊(今見ると滅茶苦茶ショ>>続きを読む

ブラック・シーザー(1973年製作の映画)

4.0

ブラックスプロイテーション映画でも面白いと聞いて拝見したのだが、確かに他の黒人向け映画が娯楽に特化しているのに比べるとニューシネマ風、あるいは『暗黒街の顔役』などのギャングの内実を描いた映画に仕上がっ>>続きを読む

クレイジー・ママ(1975年製作の映画)

3.5

ロジャー・コーマン製作だし『ビッグ・バッド・ママ』みたいな映画かと思っていたら、舞台となった50年代への懐古ぶりといい、主役となる一家の温もりあるやり取りといいどこか『三丁目の夕日』を見ている感じに。>>続きを読む

どろ犬(1964年製作の映画)

4.5

悪を許さない熱血刑事であった大木実がふとしたことから悪事に巻き込まれ、どんどん深みにはまりついには殺人まで…という転落ノワール物語。主人公の刑事を演じる大木実の迫力ある顔立ちと野太い声が前半の正義感に>>続きを読む

ファスタープッシーキャット キル!キル!(1965年製作の映画)

3.7

中古でDVDが売られているのを見て、この機会を逃したら一生見れないかもと思い購入。

見たら前評判通り主役三人の女性はとにかくバストが大きく、しかもおっぱいを強調したショットが全編に出まくりでびっくり
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先生のお気に入り(1958年製作の映画)

4.3

この映画が単なるラブコメになっていないのは、人生にとって仕事とは、生き甲斐とはという切実な問題と向き合っているところ。

仕事をがむしゃらにやってきてそれなりにいい役職に就いたにも関わらず、これまでの
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気まぐれ天使(1947年製作の映画)

4.5

『素晴らしき哉、人生』と並ぶ天使&クリスマス映画の名作。冒頭の雪が降るクリスマスに湧く町並みの映像が素晴らしくて、そこから心が映画の世界に鷲掴みにされていく。

天使が町の人々に幸せを与えるという物語
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くちづけ(1957年製作の映画)

4.0

増村らしく全体的にドライでスピーディーな作風に仕上がっているのに、主役のカップルを見るたびに胸を締め付けられてしまうのはなぜだろうか。

デビュー作にも関わらず増村保造監督の演出力は冴えているが、どこ
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青空娘(1957年製作の映画)

4.5

一歩間違えれば通俗的な継子いじめになる題材を、どんな境遇でも前向きに生きる少女の真っ直ぐ生きていく姿に清新な感動を覚えるドラマに仕立てた増村の並外れた演出力に感動する。

と同時に増村×若尾コンビがテ
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二十日鼠と人間(1992年製作の映画)

4.0

中盤まで単なるビッチ女のように描かれたいたカーリーの妻が精神薄弱なレニーに自分の過去を語ったとき、そこには心が通じあった人間同士の暖かさや温もりが確かに感じられて見ているこちらも微笑ましくなった。>>続きを読む

ブルー・イン・ザ・フェイス(1995年製作の映画)

3.3

『スモーク』を久々に見ようと思ったら動画やレンタルショップになかったのでこちらを拝見。

『スモーク』のスピンオフだが、ストーリーや雰囲気など全体的に軽くなっている。でも溢れるニューヨーク愛やニューヨ
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真昼の死闘(1970年製作の映画)

3.2

クリント・イーストウッドとシャーリー・マクレーンの個性は生かされているけど、二人のスター性をメインにして撮っている印象が強いからか話の内容が大枚になっている。おまけにガトリング砲の登場や舞台がメキシコ>>続きを読む

渡世人列伝(1969年製作の映画)

3.4

ヤクザ映画を見に来たお客さんが期待するシチュエーションをすべて叶えたかのような作品。その上鶴田浩二、高倉健、藤純子、若山富三郎など豪華な出演陣にイメージ通りのヤクザ映画のメロディ、情緒なんか知るかと言>>続きを読む

ちょっとフランス風(1949年製作の映画)

5.0

映画を撮影する風景を舞台にして映画にするといった構造はこの世にごまんとあるが、その中でも『アメリカの夜』や『ロケーション』、『沈黙は金』、『最後の命令』と並ぶトップクラスの名作と言って過言ではないと思>>続きを読む

弥次喜多道中記(1938年製作の映画)

3.5

遠山の金さんと鼠小僧治郎吉が、偶然からお互いの正体を知らぬまま偽物の弥次さん喜多さんとなって珍道中を繰り広げる…。こんな変則的な弥次喜多ものを一流の軽妙な娯楽映画に仕上げるマキノ正博監督の演出に感嘆し>>続きを読む

ブラディ・サンデー(2002年製作の映画)

4.4

『血の日曜日事件』は歴史が好きだったくせに不勉強で、「ゴルゴ13」や「マスターキートン」で取り上げられた際に何となく知った程度であった。

しかしこの映画を見て事件の重大さに衝撃を覚え、21世紀になっ
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田舎町の春(1948年製作の映画)

3.3

登場人物たった五人だけだがその分役割が凝縮された、濃厚な内容だが物語が単調かつ質素なため、さほど面白さを感じずひたすら真面目なメロドラマという印象に。ただ夫と彼に愛想が尽きた妻、そして夫の友人で妻が愛>>続きを読む

殺人遊戯(1978年製作の映画)

3.7

前作の『最も危険な遊戯』よりもギャグに傾いているが、その分シリアスとのメリハリが効いていてギャグとドラマの割合がどこか中途半端であった前作よりも面白くなっている。

阿藤海のひたすらノーテン気な弟分を
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処女ゲバゲバ(1969年製作の映画)

4.0

低予算のエロ映画で、叙事詩としての映画を作り上げてしまった奇跡。神話のごとき脚本を書いてしまった大和屋竺もさるごとながら、荒野という何もない世界を豊穣な世界に塗り替えた若松孝二の演出力も凄い。

まと
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最も危険な遊戯(1978年製作の映画)

3.2

松田優作の格好よさを楽しむための映画、と割りきった方が見やすいかも。場当たり的でよくわからない展開、コテコテのハードボイルドを決める優作、魅力の無い芝居の下手なヒロイン、何が映っているかスクリーンでも>>続きを読む

約束(1972年製作の映画)

3.5

三國連太郎と岸恵子、二人とも映画全盛期にあって五社協定を放棄したり自分の気に入った作品を優先したりしてお尋ね者扱いされたアウトローな役者であり、そんな彼らが萩原健一の実質的デビュー作で本作で共演してい>>続きを読む

浮雲(1955年製作の映画)

3.5

白黒映像の美しさ、戦前から戦後まで数奇な人生を歩むことになる高峰秀子の熱演など見所はたくさんあるけれど、肝心の相手役である森雅之のキャラクターが乗れず。

イケメンではあるけれど生活力がゼロに等しく、
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襤褸と宝石(1936年製作の映画)

3.7

超一流の男とは、この映画のウィリアム・パウエルのことを言うんだろうな。キ○ガイの成金一家相手にも執事として上品な立ち居振舞いをして、一家の娘をはじめ女性たちを次々とメロメロにさせる。そしてどんなトラブ>>続きを読む

(1965年製作の映画)

4.5

第二次世界大戦下の砂漠の中にそびえ立つ陸軍刑務所を舞台に、サディストな司令官や看守に支配されている刑務所でおこなわれる訓練という名のリンチに苦しめられる囚人たちの苦難を描いた異色の戦争映画の傑作。タイ>>続きを読む

特攻大作戦(1967年製作の映画)

3.8

出てくる奴らみんなむさ苦しい男ばかりの、女なんかほとんど出てこないアルドリッチ流男汁満載のオールスター映画の傑作。

前半のならず者たちによる特攻チームが正規の軍隊と張り合い、彼らを出し抜き活躍する姿
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魚が出てきた日(1967年製作の映画)

3.6

タイトルから「ゆるゆるなコメディかな…」と思ってしまい、確かに墜落した飛行機から落ちた核兵器を巡ってのやりとりはのんびりとしていて牧歌的な感じであった。

しかし後半、タイトルの意味がわかってくると前
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悪魔とミス・ジョーンズ(1941年製作の映画)

4.0

冒頭のふざけたテロップで心を掴まれると、名優チャールズ・コバーン演じるワンマン経営者・メリックが社員になりすまして労組結成を阻止せんとするうちに労組を作ろうとするカップルたちと仲良くなり、しまいには彼>>続きを読む

マリアの胃袋(1990年製作の映画)

2.5

人がひとり死んでも特に気にしないゆるゆるぐだぐだの世界観、ホラーとしては致命的なテンポの遅い演出、マツコ・デラックスそっくりのモンスター…。それに加えて同時代の「ギニー・ピッグ」を思わせるブラックなコ>>続きを読む

ゲッタウェイ(1972年製作の映画)

3.9

歳をとってから見直すとこの映画が単なるアクションものではなく、夫婦の再生のドラマということに気づかされる。カッコよくて犯罪者としては一流だが、どこか未熟な一面のあるマックイーン(電車での子供への大人げ>>続きを読む

春婦傳/春婦伝(1965年製作の映画)

4.3

鈴木清順としては真面目に戦争映画を撮っている印象(かぶいているショットはある)だが、それ以上に狂おしいまでに愛する男への想いを貫き通す野川由美子の熱演に圧倒される。野川の演技も素晴らしいけれど、それ以>>続きを読む

ワン、ツー、スリー/ラブハント作戦(1961年製作の映画)

4.0

ルビッチの『ニノチカ』をホークス流のスクリューボール・コメディ演出で更に加速させ、それをワイルダーがシニカルにまとめた毒気のある喜劇。

こんな毒のある映画に実際の会社(今や誰も逆らえない大企業)を使
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この庭に死す(1956年製作の映画)

3.5

ブニュエル×サバイバルという組み合わせに期待していたのだが、思ったほど面白くなかったかも。

前半の登場人物たちが無実の罪を着せられ、密林の中を逃げることになるまでの展開はブニュエル特有の悪意に満ちた
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荒野のストレンジャー(1972年製作の映画)

3.8

この映画を見ているとき、ふと勝新太郎のことを思い浮かべた。両者とも1930年代に産まれ、歳も近い(イーストウッドの方がひとつ上)、役者としてブレイクしたのが遅い、組織に属さないアウトロー役を十八番とし>>続きを読む