半兵衛さんの映画レビュー・感想・評価 - 59ページ目

半兵衛

半兵衛

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早春(1970年製作の映画)

4.5

ここまでホップで笑えながら、胸が締め付けられるような思いをしてしまう青春映画はない気がする。少なくともヒロインのスーザンには主人公と同い年くらいの童貞青年だったら自分も同じような気持ち悪いことをしてい>>続きを読む

歪んだ関係(1965年製作の映画)

3.2

妻を殺された医師が、彼女と不和だったことから警察に殺人容疑で取り調べられるが、医師と不倫関係にあった看護婦がアリバイを証明したことから事件の捜査は振り出しに戻る…。ベットシーンやお色気シーンもおとなし>>続きを読む

変態テレフォン/Don’t let it bring you down(1993年製作の映画)

3.0

佐野和宏のショーケンのような渋さ、妻役の岸加奈子のピンク映画とは思えないレベルの美しさが堪能できるものの、肝心のお話が詰まらないので飽きてくる。

エロシーンも悪い意味で真面目で、岸加奈子の屋外セック
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狂った野獣(1976年製作の映画)

4.5

辛いとき、前を向きたいときに見ている一本。この映画で一番狂暴で強いのに、生き方が不器用すぎて失敗する渡瀬恒彦のそれでも生に執着するエネルギーは勇気をもらえる。そしてそれをサポートするピラニア軍団の素晴>>続きを読む

高麗葬(1963年製作の映画)

4.0

飢餓にあえぐ寒村を舞台に、その中で明日の食料を確保するため必死に生きる登場人物たちの生々しさは『楢山節考』より酷くて比類が無い。特に大人になっても結婚も出来ず、父親を邪険にし、義理の母とその連れ子であ>>続きを読む

人情紙風船(1937年製作の映画)

4.3

現存している山中貞雄の他の二作品に比べ厭世的なニヒリズムが映画に充満しておりあまり好きではないんだけれど、それでも面白いので最後まで見れてしまう。

髪結い新三が意趣返しに大店のお嬢さんを誘拐をしよう
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死んでもいい経験(1995年製作の映画)

4.0

キム・ギヨン独特の変な演出と偏見に満ちた登場人物が、「交換殺人」というミステリーの定番ネタをどんどんおかしな方向へ導き見る人を混乱に陥れ、過剰すぎる演出で度々客を苦笑させる。そのくせラストは「愛が一番>>続きを読む

巴里の空の下セーヌは流れる(1951年製作の映画)

4.3

パリで生きる人たちの群像劇を、パリの一日の風景と共に優雅に魅せていく語り口はまさしく熟練技。日本でも三谷幸喜などを代表にこういう手法を真似てやっているけど、デュヴィヴィエの凄さは出てくる人間を暖かく見>>続きを読む

白い娼婦 花芯のたかまり(1974年製作の映画)

3.8

最初はクリーニング屋に住み込みで働く青年が主人公が性に悶々とする映画と思ったが、いつしか売春婦(山科ゆり)と車椅子の兄(大江徹)の近親相姦すれすれのゲームに侵食されていき、主人公や彼に惚れているクリー>>続きを読む

密告(1943年製作の映画)

4.4

フランスのある村で働く医師のもとに届いた「ガラス」と名乗る人物からの一通の脅迫状、そこから村の人々に「カラス」からの様々な脅迫状が届き、遂には死者まで出てしまう騒ぎに…。一応主人公の医師が真犯人を追う>>続きを読む

霧の波止場(1938年製作の映画)

4.2

日活アクション映画にはたびたび霧に覆われた波止場(大抵は横浜)が登場するが、その元ネタの一つになったのがこの映画だと思う。そこに住まう裏街道に生きるわけありの登場人物、そこに迷い混んだ主人公という設定>>続きを読む

裏切りの明日(1990年製作の映画)

2.5

中学生の頃「工藤栄一監督、萩原健一主演」というタイトルでレンタルショップに置かれていて、気になっていたがとうとう見なかった作品。最近になってDVDを入手して見ることが出来たが、予想していたよりも面白く>>続きを読む

重犯罪特捜班/ザ・セブン・アップス(1973年製作の映画)

3.1

『フレンチ・コネクション』のプロデューサーが監督、ロイ・シャイダーが主演という刑事モノで、『フレンチ・コネクション』番外編の雰囲気を持つ一作。

内容はマフィアの捜査に乗り出したシャイダー率いる「セブ
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ラ・ピラート(1984年製作の映画)

4.0

一つの関係から、三角関係へ、そして色々な人物が絡まり複雑な五角関係に。かつて谷崎潤一郎の『卍』を三角から四角関係へ移行する多角作品と語った評論家がいたが、この作品もそうだと言える。主人公(ジェーン・バ>>続きを読む

オー!(1968年製作の映画)

3.5

粋がったチンピラの栄光と破滅の物語というと『鉄砲玉の美学』を思い浮かべるが、それのフレンチ版といった感じ(こっちの方が先だけど)。ただ軽妙で単純、気のいい兄ちゃんだった渡瀬恒彦に比べると、ベルモンドは>>続きを読む

夢見通りの人々(1989年製作の映画)

4.5

気の弱いセールスマンの主人公をはじめ、出てくる奴らはろくでもない奴ばかりなのに見終わるとみんな愛らしく見えてしまうのが不思議。一見すると真面目そうに見えるヒロインの南果歩でさえ、自分を捨てた母と自分の>>続きを読む

喜劇 女売り出します(1972年製作の映画)

4.2

この映画の登場人物の一人である米倉斉加年扮するスリは「笑わせるぜ」を度々口にする。最初は単にニヒルぶってるだけかと思いきや、彼のキャラクターがわかっていくうちにその「笑わせるぜ」という一言には様々な意>>続きを読む

直撃地獄拳 大逆転(1974年製作の映画)

4.2

90年前半の麻里愛が出てきた頃のこち亀を思わせる、下ネタあり体を張ったギャグありのノリで作られた映画。

千葉真一、佐藤允、郷えい治の三人がいがみ合い、時には子供っぽい喧嘩や悪戯をしながら仕事をしてい
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江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間(1969年製作の映画)

3.2

20年以上前に見たときは「これが伝説のカルト映画か」と興奮していたが、今見ると石井輝男流の過剰な世界に江戸川乱歩、土方巽の世界が押し込まれるように入り込んで、面白いというより頭が痛くなりそうになるくら>>続きを読む

曳き船(1941年製作の映画)

4.5

妻がいながら不倫する男…一見すると昼メロでよく出てくる安い展開だが、それを80分という短い時間の中に凝縮して、濃い演出とキャスティング、フランス流の上品な世界観で煮詰めた結果、超高級なウイスキーのよう>>続きを読む

鴛鴦歌合戦(1939年製作の映画)

4.5

マキノ正博(雅弘)監督は登場人物みんながドーパミンなどの脳内麻薬を出しまくっているかのような状態になって、躁状態で喋りまくり、かと思えばいきなり意気消沈したりするなどすることが多いが(マキノ監督自身一>>続きを読む

陽炎(1991年製作の映画)

2.0

冒頭から緒形拳、岩下志麻などといった豪華ゲストが顔を出すが、いずれも顔見せ程度の出演で哀しくなるばかり。主役の樋口可南子は藤純子のコピーを強いられているような演技だし、モックンはひたすらダメ男で見てい>>続きを読む

ダーティハリー(1971年製作の映画)

3.8

今から50年以上前の作品なのに古びていないのは、ドン・シーゲルの演出もさることながら、スコルピオのキャラクター性と彼を演じるアンドリュー・ロビンソンのクレイジー演技があまりにもハマりすぎているからだと>>続きを読む

スイート・チャリティ(1968年製作の映画)

3.9

本家「カビリアの夜」には敵わないが、シャーリー・マクレーンの下品で愚かだが、気が優しく明るい、今の境遇から抜け出そうともがく姿を陽気に、切なく、キュートに好演していて涙をさそう。

でもストーリー以上
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女生きてます 盛り場渡り鳥(1972年製作の映画)

3.2

本来の舞台であるはずの新宿芸能社は最初こそいつものとおりメインとして出てくるがいつのまにか脇にやられ、どや街の描写やそこに暮らすヒロインである川崎あかねなどの方にメインが移る。

そして後半はとうとう
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蘇える金狼(1979年製作の映画)

3.0

初めて見た高校生のときはかっこいい松田優作に見とれていたが、大人になって見ると話の中身が荒唐無稽かつ大味でスカスカなことに気付かされる。

でもその分、「女房も子供もいっぱいいる」と釈明して殺される今
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デコトラ★ギャル奈美(2008年製作の映画)

4.0

初めて見た城定秀夫監督作品で、とてつもない衝撃を受けたことを覚えている。デコトラ運転手の奈美とその周囲の人たちのエロコメディで最初は安いVシネらしい展開だなと思っていたが、途中で発覚する真相により世界>>続きを読む

麻薬3号(1958年製作の映画)

3.6

神戸の裏町を見事に捉えたカメラ、その中に生きる主人公たちのアウトローっぷり…。セミドキュメンタリータッチの日活アクションの佳作だが、この作品で一番かっこいいのは主役の長門裕之でも大坂志郎でもなく、本来>>続きを読む

ランジュ氏の犯罪(1936年製作の映画)

3.5

舌先三寸で相手を騙し、自分の欲しい女性は手当たり次第やりまくって自分の愛人にする、金の使い方も荒っぽく部下はみんな自分の奴隷、終いには会社の経営がうまく行かないとトンズラし、その会社が持ち直すと自分の>>続きを読む

(1960年製作の映画)

4.5

ここまで見る人に「固唾を呑む」体験をさせてくれる映画もない気がする。今度は「抵抗」との二本立てで見ようかな。

女咲かせます(1987年製作の映画)

4.0

森崎東の映画の特徴である「弱者の連帯」、「泣くと笑うという相反するはずの二つの感情が一気に押し寄せる」、「巨大な組織に挑む娯楽の爽快感より、そのときの弱者の中にある感情に寄り添う」の集大成と言える映画>>続きを読む

アダム氏とマダム(1949年製作の映画)

3.0

キャサリン・ヘップバーンとスペンサー・トレイシーの現実でも恋人だった二人によるイチャイチャは見ていて楽しいし、軽妙な演出もスマートに楽しめるが、肝心の作品のテーマである男女平等問題が霞んでしまったよう>>続きを読む

紐育の波止場(1928年製作の映画)

4.0

出てくる男は主人公も含めておっさんばっかり、女性も厚化粧の年増ばかり、舞台の大半はうらぶれた裏町…。近年では中々お目にかかれない硬骨な映画だが、くすんだ裏町や主人公たちのぶっきらぼうな生きざまから、濃>>続きを読む

集金旅行(1957年製作の映画)

3.6

岡田茉莉子が美人過ぎて一挙手一投足も見逃せなくなってしまうのに、その上適度な崩れた色気や、明朗な笑顔も持ち合わせているのだから堪らない。そして相手役の佐田啓二もイケメンのため、二人が出てくるだけで嘆息>>続きを読む

007/カジノ・ロワイヤル(1967年製作の映画)

3.0

主役であるピーター・セラーズが途中でいなくなり、どんどん変になる後半の展開はすさまじくカオスに。主役不在をごまかす強引すぎる編集も見る人に混沌をもたらす(ヒロインが捕まる→ピーター・セラーズのジェーム>>続きを読む

ヒズ・ガール・フライデー(1940年製作の映画)

3.5

主人公を含めて感情移入できない最低な登場人物たちが、最初から最後までマシンガントークしながらハイテンションで物語を駆け抜けていく。日本では市川崑や増村保造が似たような作品を手掛けているが、それよりもっ>>続きを読む