千利休さんの映画レビュー・感想・評価 - 37ページ目

CUBE(1997年製作の映画)

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今観ると色々と粗探しが出来てしまう作品ではあるのだが、20年前に作られたと考えれば、本作は凄い作品なのだろう。90分楽しめた。

インヒアレント・ヴァイス(2014年製作の映画)

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どうもLA漂流モノとは相性が悪い自分である。その手数の多さにどうも疲れてしまうのだ。確かにPTAのメッセージは読み取れたものの、イマイチそこから感銘は受けず。ピンチョンの小説を映画化した画期的な作品と>>続きを読む

ラストタンゴ・イン・パリ(1972年製作の映画)

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「愛のコリーダ」のようなどぎつい作品を予想していた自分には予想外のあっさりさである。耽美的な芸術性は確かに感じられるのだが、上位互換はいくらでもあるだろう。何故だか気持ちよくそれを受容出来ない節があり>>続きを読む

HOUSE ハウス(1977年製作の映画)

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なんだかんだ手癖感が出ないのは凄い。一枚絵なシーンも多いがそれでもある程度は動的であり続けられる秘訣はなんだろう。人数の多さと声の存在感、空間認知を拒むようなセットと撮影か。20年代サイレント映画の現>>続きを読む

クワイエット・プレイス(2018年製作の映画)

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なかなか秀逸な設定なのだが、ヒューマンドラマ寄りの内容だったがゆえにそこまで楽しめなかった。もう少しホラー映画としての巧妙な仕掛けがあってもよかった。臨場感とは別の次元で、本作は劇場で観たかった映画で>>続きを読む

ドント・ブリーズ(2016年製作の映画)

4.5

〈最高に怖くて面白い〉
本当に素晴らしかった。最後まで一切無駄は無く、ひたすらに楽しませてくれる。とにかく敵役の盲目のおじいちゃんが強すぎるのだが、その設定もなかなか秀逸。"20年に一本の恐怖の作品"
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凪待ち(2019年製作の映画)

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ルサンチマン作品として、本作にはとことん教科書的なテクニックが詰め込まれているのだが、その作品としての優等生っぷりが逆に感情を揺さぶる邪魔をしてしまった。流石に"弱さ"の映画はもうクドい。たしかにこう>>続きを読む

竜二(1983年製作の映画)

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巷での評価の高さに期待して観たのだが、これは完全にダメだった。良さが全く分からない。ヤクザとしての葛藤を描いた作品なら、たけし作品のようなキレと冷徹さがあってもいいのではないか。そもそも竜二という人物>>続きを読む

桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)

4.3

スクールカーストモノという呼称を使うかは分からないが、間違いなく本作はそのジャンルにおいてパイオニアかつ最も面白い作品であろう。とにかく、恐ろしいほどに高校生活の日常が描けている。尚且つ、その息苦しさ>>続きを読む

死刑台のエレベーター(1958年製作の映画)

4.2

ヌーヴェルヴァーグの先駆け的な作品。その撮影技法も新鮮味があってクールなのだが、とにかく内容が面白い。三文小説的な筋ではあるのだが、最後まで予測の付かない展開は現代でも十分に楽しめる。「Kind Of>>続きを読む

ミッドナイト・ラン(1988年製作の映画)

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似たような作品はいくらもありそうだが、本作は細部にまで手が込んでおり、ストーリーも秀逸。軽い気持ちでロードムービーとして観ても楽しめるし、コミカルな逃亡劇としても優秀。2時間楽しめた。

海を駆ける(2018年製作の映画)

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「淵に立つ」でもそうなのだが、深田監督は不条理を描くのが上手い。そして我々日本人が体験した不条理の最たるものが東日本大震災である。まさしく東日本大震災こそが監督が描くべきテーマであり、そして本作ではな>>続きを読む

哭声 コクソン(2016年製作の映画)

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大陸特有の猟奇的っぷりは本作でも健在。スリラー映画として、トップクラスの繊細さがある。そしてなにより、本作がここまでウケたのはズバリ、"正解"がないからなのだろう。最初から最後まで考察の余地が大いにあ>>続きを読む

アド・アストラ(2019年製作の映画)

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「ツリー・オブ・ライフ」、「2001年宇宙の旅」「インターステラー」と一作でもお腹いっぱいな作品がギュッと詰まった本作。しかしそんな二郎系ボリュームにも関わらず、意外にも味は薄めである。なんとなくは本>>続きを読む

ハウス・ジャック・ビルト(2018年製作の映画)

4.9

鬱映画の達人が殺人鬼の映画を撮ったらどうなるか、なんと最高に楽しい映画ができてしまった。そんな本作、明らかにトリアーらしくはないのだが、彼の集大成たる大傑作である。殺人鬼の映画とは言えど、そこには不快>>続きを読む

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)

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凄惨な沖縄戦の様子が描かれていながらも、本作はあくまで負傷兵を主人公とした戦争映画である。一瞬「フルメタル・ジャケット」のような狂気的な映画かと思わされたが、そんなことはなかった。同年のスコセッシ作「>>続きを読む

工作 黒金星と呼ばれた男(2018年製作の映画)

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圧倒的な存在として北朝鮮を描きながらも、実は真なる敵は祖国であったという驚きの展開。「1987、ある闘いの真実」もそうなのだが、近年の韓国映画はひたすら真面目に自国の政権批判をしていて好印象。だから本>>続きを読む

宮本から君へ(2019年製作の映画)

4.3

〈やっぱ「JOKER」。いや、こっちのほうが痛快か。〉

やたらとSNSで目にする本作。かなりの期待をもって鑑賞したのだが、予想を幾度も裏切る傑作であった。

まず冒頭20分くらい。はい、この展開
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アイネクライネナハトムジーク(2019年製作の映画)

4.0

基本的に、観た者をハッピーにしかさせない映画監督こと今泉力哉。本作でもその繊細なタッチが存分に活きているのだが、ただの優しい映画だとは言わせないぞとの気迫溢れる彼の撮影能力の高さが本作では光っていた。>>続きを読む

岬の兄妹(2018年製作の映画)

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〈あまりの貧しさに、震える。〉
「万引き家族」でも描けなかった現実、そうここは貧困の最下層である。この手の話、少しの希望くらいあってもいいものだが、本作には一寸の光も無い。本作鑑賞後に気づいたことなの
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エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ(2018年製作の映画)

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〈A24作マンブルコアの傑作〉
「スクールカースト」「陰キャ」などという言葉が一般化してしまったテン年代。シーンの大部分でスマホが登場する、そんな時代の映画である。ぶっちゃけ自分自身が主人公に共感でき
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1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

4.2

〈形式としての戦争、これはゲームの世界〉
テン年代の終わりに戦争映画を作るとしたらどのようなものを作るべきなのか。戦争の凄惨さを描くものは「プライベート・ライアン」で20年前に完成されているし、戦争映
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ドクター・スリープ(2019年製作の映画)

4.3

〈これ、HUNTER×HUNTERですか?〉
副題に"痛快! 超能力バトル!"とでも書いてほしい。ところで、本作は「シャイニング」ではない。せいぜいM・ナイト・シャラマン作品といったところ。そう、これ
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それだけが、僕の世界(2018年製作の映画)

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テン年代に量産された、障害者とその関係者の絆の形成を回りくどく描いたお涙頂戴モノである本作、多分自分には向かないと分かっていながらも観てしまった。美しいピアノの旋律とともに感情を揺さぶってくれるのかと>>続きを読む

別離(2011年製作の映画)

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〈現代版「羅生門」〉
奇しくも初めて鑑賞するイラン映画となった本作。黒澤明の「羅生門」で描かれたエゴを、上手くイランの社会情勢に繋げている。譲れないものを譲ることができない、ある意味人間の"限界"を痛
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コクリコ坂から(2011年製作の映画)

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ある意味ジブリらしくない作風は、それはそれで良いのだが(特に劇伴)、逆にジブリ作品としては賞賛できない。観ていて不快になる点が無いだけでも凄いことなのかもしれないが。

バーニング 劇場版(2018年製作の映画)

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〈ルサンチマン暴発、しかし自分には合わず〉
同年公開の「アンダー・ザ・シルバー・レイク」と構造の類似が指摘される本作。正直な感想、これ一般にはウケないなと。ある程度の文化的素養と一種の"慣れ"が無いと
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コンフィデンシャル/共助(2017年製作の映画)

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アクションの派手さはなかなかなのだが、内容は至って平凡。いかにも特定の俳優の魅力を際立たせることに力が注がれた、一昔前の韓流ドラマ寄りの内容に逆行してしまっている(最近の韓国映画はそれが少ない気がして>>続きを読む

淵に立つ(2016年製作の映画)

4.2

「冷たい熱帯魚」系譜の、"弱さ"を暴力から解放するドラマである本作。勿論誰も報われることはないのだが、その暗鬱たる日常/非日常はなかなかクる。とにかく終始ジメジメとした雰囲気が良い。良質な昼ドラにもな>>続きを読む

太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)

4.2

太陽を盗んだ男、要するに9番目の男。伊達に本作が70年代のトップ作品として崇められる映画ではないとしみじみと感じさせられた。奇抜な発想は観客を飽きさせることなく、"やりたいこと"を全てやってくれる。で>>続きを読む

夢二(1991年製作の映画)

4.4

アーチスチックでエロチックな本作は、王家衛作品にも似た色彩で眼を満たす。とにかく、一つ一つのカットの洗練され具合が異常である。今まで観てきた映画の中で最も芸術的なんじゃないかと思わされるほどに、それは>>続きを読む

陽炎座(1981年製作の映画)

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素晴らしい。が、「ツィゴイネルワイゼン」には遠く及ばず。あの作品が橋を描いたものなら、この作品が描いたのは橋の下の沼である。そして、これに関しては個人的な問題なのだが、"キレて"ない松田優作はどうも苦>>続きを読む

ツィゴイネルワイゼン(1980年製作の映画)

4.1

久々に観直したらそこまで好きじゃなくなってた。所詮この作品"的なもの"が好きに過ぎないのだろう。でも凄いことをやっていることに違いはない。特に音。アフレコの可能性が詰まっている。