千利休さんの映画レビュー・感想・評価 - 38ページ目

オクジャ okja(2017年製作の映画)

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本作が食育的な内容であることは事前に分かっており、そこにポン・ジュノの痛快な皮肉が盛り込まれるのかと期待していたのだが、残念な結果になってしまった。とにかく内容がつまらない。ターゲットの年齢層がイマイ>>続きを読む

グエムル -漢江の怪物-(2006年製作の映画)

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〈韓国版ジョーズ〉
韓国のスピルバーグことポン・ジュノ。彼の特徴はずばり、皮肉を描くのが上手いことであろう。まぁ本作でのやりすぎ感は否めないのだが、それでも痛快な作品に仕上がっている。映画秘宝でも06
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レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで(2008年製作の映画)

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「アメリカン・ビューティー」と同様に、サム・メンデス監督の繊細な描写が要所に見られる。「ブルーバレンタイン」然りこの時期には夫婦の別れを描いた作品が多いように感じる。内容は至って平凡なものだからこそ、>>続きを読む

ブラック・レイン(1989年製作の映画)

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内容は至って凡庸。特筆すべきはやはりキャストの豪華さなのだろう。本作によって、バブル崩壊前の日本の輝かしさ、及び強さが過去のものであることが痛感させられ、幾分も悲しくなってしまった。金輪際このような作>>続きを読む

嘆きのピエタ(2012年製作の映画)

4.3

復讐なら韓国映画を観ておけば間違いないと言えるほどのお家芸っぷりであるが、キム・ギドクのそれはそのなかでも一つ抜けた凄さがある。どんでん返しとも取れる奇想天外な結末も面白いし、そこに至るまでにもセンス>>続きを読む

愛なき森で叫べ(2019年製作の映画)

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〈スランプ脱却ならず〉
「地獄でなぜ悪い」以降、残念なことになっている園子温監督。巨額の予算と時間をかけNetflix作品として制作された本作は、残念ながら園子温監督の亡霊によって作られたものだった。
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ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)

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鬼才アリ・アスター快進撃の始まり。まぁ本作はいわばネオ・ホラーなのだろう。テン年代のセンスで、ただの怖いホラーに終わらない興味深い作品を作り上げられている点でもう勝ちである。そしてもはや"怖いコメディ>>続きを読む

自殺サークル(2002年製作の映画)

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サスペンスではあるが正解は出させない。それ自体はまぁ本作に関しては間違っていないと思う。園子温監督が描きたかったことを全部詰め込んだようなないようであるが、その情報過多感も悪くない。そしてなにより、あ>>続きを読む

紀子の食卓(2005年製作の映画)

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ゼロ年代の暗鬱さを描くにあたって、黒沢清作「回路」などと似たような感覚を捉えられていてそこは好きだ。どっしりと停滞するような感覚は正解なのかと思っていたが、流石に終盤のダルさはよろしくない。園子温作品>>続きを読む

地獄でなぜ悪い(2013年製作の映画)

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たしかに本作は園子温作品である。が、そこにはあの面白さはない。そもそも、園子温全盛期作品にあった魅力と大衆的なポップさは反比例するものではないだろうか。とにかくテンポが気持ちよくないのだ。あくまで"邦>>続きを読む

愛のむきだし(2008年製作の映画)

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4時間も映画を観ているとここまで登場人物との距離感がおかしくなるのか、興味深い。さて、「冷たい熱帯魚」のような暴力性に満ちた作品こそSONO'S FILMだと思っている自分にとっては、本作は些か満島ひ>>続きを読む

冷たい熱帯魚(2010年製作の映画)

4.4

紛れもない園子温監督全盛期の作品。『愛のむきだし』も凄いが、個人的にはやっぱりコッチ。"弱さ"の映画として、韓国の猟奇的名作たちを軽く凌ぐ痛快さ。"気持ち悪さ"があますことなく描かれており、かつ内容も>>続きを読む

ウルフ・オブ・ウォールストリート(2013年製作の映画)

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たしかにスコセッシ監督がこれまで彼の作品で行ってきたことの総決算としてはよく出来ている作品なのだが、彼の全盛期の作品のような凄さは無いと思う。1980年付近のスコセッシ作品が凄すぎただけではあるのだが>>続きを読む

ウィッチ(2015年製作の映画)

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テン年代ホラーの傑作。「へレディタリー」とは対照的に、本作の舞台はまさしく魔女狩りが行われてそうな17世紀の農村。少女の解放など、様々なメタファーが読み取れ、派手なホラーとは一線を画す面白さがある。淡>>続きを読む

おじいちゃん、死んじゃったって。(2017年製作の映画)

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本作も岸井ゆきの目的で鑑賞したのだが、なかなか残念な作品だった。"邦画"のつまらなさが全面に出ている。メッセージ性などは全く無く、ただ岸井ゆきのにセックスと言わせたいだけの作品としか思えなかった。

パターソン(2016年製作の映画)

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https://www.banger.jp/movie/16199/

http://www.ele-king.net/review/film/005874/

ブラック・スワン(2010年製作の映画)

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本作も「仮面/ペルソナ」の系譜。「perfect blue」と「セッション」の間に産み落とされたような狂気はひたすらに美しい。そしてそれはバレエという"表現"でしか表せないものだったのだ。

ファントム・スレッド(2017年製作の映画)

5.0

〈芥川龍之介が耽美派作品を作り上げた...!〉

オールタイムベスト。非の打ち所がないとは本作のことか。元々作品の振り幅の広いPTAだが、やはり天才は何をやっても素晴らしいのである。古典文学にありそ
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よく知りもしないくせに(2009年製作の映画)

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本作も"唆る"。エリック・ロメールらしさは前作よりも控えめだが、やはり、瀟洒だ。歪んでしまいそうなこの恋愛観は、クセにならざるを得ない。それにしてもホン・サンス作品のヒロインが魅力的でなかったことがな>>続きを読む

砂の器(1974年製作の映画)

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推理小説の良さを失わず、それを映画で活かせているのが秀逸。さらにそこに国家が犯した過ちすら取り込んでいる。ディテールも緻密に作り上げられていて、流石の名作である。長尺が全く気にならなかった。

火垂るの墓(1988年製作の映画)

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特に幼少期のトラウマがあるわけではなのに、何故だか相性が悪い本作。その理由はズバリ、ヒロインの節子を愛くるしいと思えないからだろう。「この世界の片隅に」のすずと比べてしまうと、どうしても節子がふてぶて>>続きを読む

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)

4.0

全てが凄まじい。ロケ地は全て台湾のようだが、なんだこの雰囲気は。原作、71年作ともにまだチェックできていないのだが、それでも本作が大成功であったと言えてしまう。「クンドゥン」からはあまり良い印象を得ら>>続きを読む

On Your Mark(1995年製作の映画)

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知る人ぞ知るとされているジブリの実験作。後年の名作アニメたちに与えた影響が至るところにあり、それを探すだけでも楽しい。作品としては奥深く、相当の研究しがいがある。

野火(2014年製作の映画)

4.1

〈IMAX時代の、邦画の生きる道〉
怖い。これはホラー映画なのか。そんなインパクトを与えた本作であるが、やはり凄い。何が凄いか、音が凄い。迫力が凄い。IMAXで夢の中や脳内に入れる時代である。ますます
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ザ・スクエア 思いやりの聖域(2017年製作の映画)

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「パラサイト」「万引き家族」の前のパルム・ドール作品。独特の諷刺の感覚は新鮮である。弱者を虐めてではなく、インテリを虐めて彼ら自身に見えていないのものを気づかせる構造は秀逸。かなり無機質な内容で、事実>>続きを読む

日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)

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戦争映画を作る理由とはなにか。それが過去の悲劇を繰り返させないためなら、本作を超える日本の戦争映画は存在しないだろう。築き上げてきたものを捨てられない、愛着に似た感情で正しい判断ができない。この病理と>>続きを読む

この世界の片隅に(2016年製作の映画)

4.0

〈「火垂るの墓」と比較して...〉
自分が見つけられた本作の素晴らしい点は、散見される映画評に書かれているそれとそう違わなかったのだが、「火垂るの墓」と比較するとその魅力が浮かび上がってくる。そしてそ
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ヒミズ(2011年製作の映画)

4.3

本当にマズい作品である。まず3.11を取り入れる時点で、その作品の在り方には細心の注意を払わなければならない(それはアメリカでのポスト9.11作品と同様)。それどころか本作は、人道的という言葉とは似て>>続きを読む

教授とわたし、そして映画(2010年製作の映画)

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冒頭に威風堂々が流れ「これは!」と思ったのだが、彼の作品の中でも本作はそこまでハマらなかった。本作はいわゆる"韓国ドラマ"にかなり近い一作であった気がする。とはいえ、他作と同様かなり実験的で興味深い。>>続きを読む

メッセージ(2016年製作の映画)

4.8

〈テン年代の未知との遭遇、それは...〉

この映画が伝えてくれたもの、それは最大の自己肯定、そして人生礼賛であった。さて、本作は前半と後半で毛色が少し変わる。前半は、未知との遭遇を少なからぬ畏怖と
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菊次郎の夏(1999年製作の映画)

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90年代とゼロ年代の狭間に位置する本作は、日本の笑いの宝箱の如き作品であった。まず内容がどうこうよりも、単純にたけしのギャグが面白い。そしてそこにすら芸術的センスを感じさせる。それに象徴的な"間"は、>>続きを読む

BROTHER(2000年製作の映画)

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十分に面白いのだけれども、北野武の作品としては並であろう。暴力を上手く装置として使うのが彼の作品の良さであるが、本作はそれが上手く機能しておらず、「ソナチネ」や「HANA-BI」で感じられたシリアスさ>>続きを読む

HANA-BI(1997年製作の映画)

4.2

これは久石譲の劇伴が優勝。キタノブルーを全面に活かす演出に、緊張と安らぎの絶妙なコラージュ感覚はソナチネ譲り。ただし、今回は俳優としての北野武(ビートたけし)がイマイチだったかも。「バカヤロー」を後輩>>続きを読む

ハハハ(2010年製作の映画)

4.2

これは秀逸。内容としては前後作とそう変わらず、映画監督である男主人公の日常の恋愛が描かれている。本作では実験として二人の男性のそれぞれの"恋バナ"に共通点を持たせることで、自然と一つのストーリーが紡が>>続きを読む

クンドゥン(1997年製作の映画)

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「セブン・イヤーズ・イン・チベット」以上に予備知識が必要なのかもしれない本作。時代考証や史実を欠いているとの指示もあるようだが、本作からはちゃんと監督の教養が伝わってくる。ダライ・ラマ14世の誕生から>>続きを読む