千利休さんの映画レビュー・感想・評価 - 36ページ目

復讐者に憐れみを(2002年製作の映画)

-

〈パク・チャヌクは好きなはずなのだが...〉
個人的に本作は合わなかった。というのも、めちゃくちゃポン・ジュノっぽいからである。「殺人の追憶」と「パラサイト」を掛け合わせたらこんな感じになるはず。決し
>>続きを読む

サイボーグでも大丈夫(2006年製作の映画)

-

本作限定で韓国のティム・バートンへと豹変したパク・チャヌク。その"ゆるふわっぷり"は魅力的なのだが、ここまでくると、その着地点すらぼやけてしまう(というか、寓話チックなのは分かるがテンポが悪すぎる)。>>続きを読む

処女の泉(1960年製作の映画)

4.2

本作でも引き続き、監督の神への不信感が顕れているのだが、どちらかというと信者である愚かな人間に焦点を当てている。終盤の驚異の展開は、些か皮肉が強すぎるのではと思わされるものの、全体としてはタイトに仕上>>続きを読む

ビフォア・ザ・レイン(1994年製作の映画)

4.1

20世紀に起きた戦争のなかでもユーゴ内戦はかなり複雑な構造を持っているが、それを非常に上手く映画にできている。なにより制作されたのが、終戦後間もない時期であったのが驚きだ。三部制にしたのは大正解。それ>>続きを読む

ルーム(2015年製作の映画)

-

PTSDの要因などいかようにも作り出せるだろうが、テン年代の家族愛モノはここまで来たか。空間と登場人物の心情が上手くマッチしていて、豊かな感情に満ちたシーンが連続する。流石アカデミー賞主要4部門ノミネ>>続きを読む

ブレス(2007年製作の映画)

-

このファンタジー感覚はアリ。ただし、本作も奥深さに欠けるというか、一本調子だった気はする。冷えきった夫婦関係に歪な男が入り込むことによって、結果的にそれが改善されるというのは「冷たい熱帯魚」や「淵に立>>続きを読む

不思議惑星キン・ザ・ザ(1986年製作の映画)

4.4

〈これは、、クー!!〉

可愛いは正義である。ここで言っているのは、決してのヒロインのルックスについてなどではない。可愛い映画、可愛い音楽。それらは最高に魅力的なのだ。いずれも、その"良さ"を表現す
>>続きを読む

鰐 ワニ(1996年製作の映画)

-

どうも自分には、韓国映画の黎明が99年の「ペパーミント・キャンディー」だと考えてしまう節があるのだが、なるほど本作は96年か。初作だからといって、キム・ギドク作品の中でも本作が失敗作だなんてことはない>>続きを読む

冬の光(1962年製作の映画)

4.0

神の沈黙三部作の二作目。前作とは打って変わって(というよりは前作という前置きを存分に利用して)、ベルイマンの神に対する懐疑が炸裂する。なかなかに救いようが無い内容で、敬虔な信者が観たら絶望しかねないで>>続きを読む

第七の封印(1956年製作の映画)

-

神の沈黙の三部作の洗練さを求めて観たものの、あまり満足できなかった本作。黒フードが悪魔のアイコンとなったのは本作起源らしいが、そういった歴史的価値を除いては魅力を見いだせなかった。ただし、以降も度々展>>続きを読む

鏡の中にある如く(1961年製作の映画)

4.0

神の沈黙三部作一作目。神話で神話を解くようなその荘厳さは流石の説得力だ。ベルイマン作品はほとんど鑑賞したことがなかったのだが、流石20世紀最大の巨匠たるものであった。隅々まで洗練されたカットの連続は、>>続きを読む

青春の殺人者(1976年製作の映画)

4.2

「太陽を盗んだ男」に引けを取らない監督のセンスの良さ。ただの昼ドラになりかねない内容であるが、ちゃんと良さが詰まっている。青年期の脆さ、混沌さから目を背けることなく、それを写実的かつ芸術的に描けている>>続きを読む

鉄コン筋クリート(2006年製作の映画)

-

スタジオ4℃のお家芸と言えるこの高カロリーっぷり。「スワロウテイル」のイェンタウンのような独特なアジアのコラージュ感覚は秀逸。ただし、光と闇というテーマはどうも似通った解釈になりやすく、本作の結末は早>>続きを読む

イレイザーヘッド(1976年製作の映画)

4.5

再見。思ってたより、ショットがちゃんとしてた。音と照明がいかに大事かを教えてくれる。表現の意味は分からなくても、表現の意図は凄い分かるし、なによりそれを必死に伝えようとしているのが分かるから、その点が>>続きを読む

息もできない(2008年製作の映画)

-

〈「レオン」よりも、くる。〉
韓国版「レオン」とでも言われていそうな本作、あの作品が苦手な私でも満足できるクオリティだった。伊達に韓国映画ランキングの上位に食い込む作品ではない。ヤン・イクチュンはたけ
>>続きを読む

アイズ ワイド シャット(1999年製作の映画)

4.9

〈ALL YOU NEED IS FUCKは見せかけ?〉

キューブリックの遺作である本作は、夫婦の本質に迫ったものである。度々"人間"を描いてきた彼にとって、このような形で夫婦を描いたのは順当であ
>>続きを読む

未来のミライ(2018年製作の映画)

-

「仮面/ペルソナ」系譜の子供の冒険と「ツリー・オブ・ライフ」的父親の自分語り。内容は面白いとは思わなかったけど、前者に関しては教科書の如くそのやり口が提示されていて興味深い。後者の自分語りは明らかに育>>続きを読む

乱反射(2018年製作の映画)

4.3

〈a movie about s***〉
昼ドラマのようなテンポ感で子供の事故死を描いた本作。序盤のあまりにカクカクした展開に若干稚拙さを感じたものの、内容はかなり面白かった。というのも本作は例に漏れ
>>続きを読む

恐怖分子(1986年製作の映画)

4.4

夢オチか〜い。ショットの独創性はクーリンチェを凌ぐか?

第9地区(2009年製作の映画)

-

「エイリアン」に現代的な要素を取り入れてみました!というような作品を作りたかったのだろう。間違いなく、成功はしていない。逆転の発想的に、エイリアン側の疎外を差別の諷刺に用いるというアイデアはなかなかイ>>続きを読む

パニック・ルーム(2002年製作の映画)

-

本作の魅力はタイトルシーンで終了。冒頭がカッコいいのはフィンチャーの取り柄だが、ぶっちゃけ本作はクレジットが出なければ彼の作品とは分からないだろう。今までのキレと緊張感はどこに行ったのか。とはいえ、ク>>続きを読む

バッファロー’66(1998年製作の映画)

-

要所要所にカルチャーが感じられ、撮影もかなり凝っているとは思うのだが、どうもヴィンセント・ギャロの美的感覚が自分と合わない。評価される理由も十分に分かる。が、自分とはどうも相性が良くないのだ。ダメ男礼>>続きを読む

SOMEWHERE(2010年製作の映画)

-

ソフィア・コッポラの描く白色は手触りがとても良い。あのふかふかベッドのなんと気持ちよさそうなことか。さて、本作の内容は至って凡庸。アンビエント的自分語りとして観るにも、あまりにもトリガーが無い。それは>>続きを読む

うつせみ(2004年製作の映画)

4.2

「ツィゴイネルワイゼン」が肉界と幽界の連続性を描いたのに対し、本作で描かれているのはその同時性である。静の暴力が生み出す生命。此処にしかなく、此処にはない。

エレファント(2003年製作の映画)

4.4

〈静寂と死と銃声と〉
異様な長回しで描かれる日常/非日常。洗練されたミニマリズムは、銃乱射事件を描くのにはぴったりであった。題名のエレファントは部屋の中の象といって、周知の事実でありながら誰もそれに触
>>続きを読む

ジョゼと虎と魚たち(2003年製作の映画)

4.4

本作で描かれている恋愛など、所謂大学生的な恋愛であり、それはどうでもよく。それよりも生活だ。ご飯は美味しいし健やかな睡眠。性活は楽しい。ここに特別なことは何も無いのだが、この日常こそ魔法である。お腹が>>続きを読む

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)

-

〈抱腹絶倒! 妄想世界の「愛がなんだ」〉
運命論を斜に構えて解釈したとも考えられる本作。いや、そんな風に考えなくても、本作はテン年代の妄想女子の恋愛映画としてかなり優秀である。明らかに"女子高生向けの
>>続きを読む

ポンヌフの恋人(1991年製作の映画)

4.3

〈まどろめ、パリ〉
ヌーヴェルヴァーグ以降の新たな波として脚光を浴びたレオス・カラックス監督の代表作。アート感覚というとフランス映画には必須のものであるが、彼のそれは頭一つ抜けている。そして魅力的な内
>>続きを読む

コンタクト(1997年製作の映画)

-

今となっては「メッセージ」でより高度にスピリチュアルな体験が出来るものの、「2001年宇宙の旅」フォロワーの作品として、当時は本作がなかなか革新的だったことは容易に想像できる。なにより、ジョディ・フォ>>続きを読む

予期せぬ出来事(1963年製作の映画)

-

色鮮やかな空港が舞台の本作からは、フランス映画に似たアート性が感じられるが、内容は至って凡庸なもの。特筆すべき点も無かった。

ヘイトフル・エイト(2015年製作の映画)

-

映画にも静と動があるとしたら、タランティーノは動の監督であると思う。彼の会話劇は躍動感そのものだし、アクションも観ていて痛快なものが多い。そして彼のコラージュ感覚は足し算であろう。だが本作、これは明ら>>続きを読む

太陽の帝国(1987年製作の映画)

-

やはり"アトラクション"が無いスピルバーグ作品は凡庸かつ退屈。これが2時間半も続くのはなかなかキツかった。内容としては悪くはないのだが...

search/サーチ(2018年製作の映画)

-

SNS時代に父親がひたすら頑張る映画である本作。サスペンスとしては面白いのだが、肝心の親子愛はそこまで伝わって来ず。テン年代の結集のような形式を取っているが、意外と内容は古くからの王道のそれとそう変わ>>続きを読む