千利休さんの映画レビュー・感想・評価 - 40ページ目

メランコリック(2018年製作の映画)

4.2

低予算邦画とのことで「カメラを止めるな!」のような奇を衒った作品を想定していたのだが、予想以上の好印象を抱かされた。ブラックユーモア主体のコメディなのだが、とにかくお湯の如く温かい。登場人物全員に好感>>続きを読む

バーフバリ 王の凱旋(2017年製作の映画)

4.0

流石インド映画史伝説の作品である。素晴らしいの一言だ。撮影技術に関しては前作よりもCG過多とすら思えてしまうところがあるのだが、それすらもどうでもよくなってしまう。勿論前作の良い点はそのまま継承しつつ>>続きを読む

バーフバリ 伝説誕生(2015年製作の映画)

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前半部である1作目だけで評価するのは如何にも酷であるのだが仕方なく。内容は思ったより平凡。「ラーマーヤナ」などの古代インドの叙事詩に基づいているが、その引用の仕方は他の神話モノと特に変わらず。しかし、>>続きを読む

ゴースト/ニューヨークの幻(1990年製作の映画)

4.3

CGがかなり古臭くて笑ってしまうところもあるのだが、内容は一級品。特にラブストーリーとしてよりもサスペンスとしてかなり面白い。この手の話としてはパイオニア的な本作であるが、流石の存在感である。絶頂期の>>続きを読む

ミスト(2007年製作の映画)

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「ショーシャンクの空に」と「グリーンマイル」の監督の作品として鑑賞する人にはトラウマになるだろう本作。最後まで抜けきらないこのB級感、決して嫌いではない。でも好きというわけでもないし、多分再鑑賞はしな>>続きを読む

エクス・マキナ(2015年製作の映画)

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〈これはSFホラー〉
制作者サイドは、この類の話はシンプルなほうが映えることを熟知しているのだろう。テーマもそこまで難しくはなく、良くも悪くも古典的なのだが、ディティールで色々考えることができるのが面
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アップグレード(2018年製作の映画)

4.1

歴代のSFのアクションの美味しいところが逃さず詰め込まれている本作。とはいえ胃もたれすることはないのでご安心を。伏線回収にも手を抜いておらず、ただの雰囲気だけの近未来モノとはちゃんと一線を画している。>>続きを読む

ボーイズ’ン・ザ・フッド(1991年製作の映画)

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スパイク・リー作品もそうなのだが、どうも自分は急に真面目になる話があまり好きではないのだろう。そんなわけで終盤の急展開には違和感を抱いてしまったが、作品としてはなかなか面白かった。明らかに二時間かけて>>続きを読む

ビューティフル・デイ(2017年製作の映画)

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〈テン年代のネオ・「タクシードライバー」〉
弱さも暴力も共にカルチャーを彩るものであるが、アート作品にはどうなのだろうか。その答えをあっさりと出してしまったのが本作。これは間違いなく「タクシードライバ
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ランボー(1982年製作の映画)

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第1作から約40年、今年公開の「ランボー ラスト・ブラッド」は賛否両論と聞いた。さて、本作の特徴はベトナムに行ってないのに、ベトナム戦争の映画よりもその凄惨さが伝わってくるという点だろう。70年代の空>>続きを読む

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)

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LGBT映画で特にマイノリティとしての差別を描いた作品としてはお手本的な存在といえる本作。愚直なまでにお決まりの構造なのが逆に説得力を感じさせた。

軽い男じゃないのよ(2018年製作の映画)

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容易に思いつく発想ではあるが、企画倒れしていない。自分はある程度"理解"があると思っていたが、意外と盲点だったところが多く勉強になった。

マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー(2018年製作の映画)

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前作同様ぬるっと始まってぬるっと終わる構成。とにかく今作の特徴はABBAのマイナー曲を多く起用しているところだろう。イケてる曲でアガるのは前作でOKだから本作は違ったABBAの良さを出そうという目論見>>続きを読む

最高に素晴らしいこと(2020年製作の映画)

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典型的なテン年代の内容、構成なのだがそこからは20年代の萌芽が見られる。とことん"お約束"を守っていてそこらへん流石だなと思わされた。よくある域を超えない作品ではあるが、必要な作品であった。

レイジング・ブル(1980年製作の映画)

4.0

ダークサイド版ロッキーとも言える本作。デ・二ーロ・アプローチという言葉まで作り出してしまった彼の名演は言うまでもないが、本作では狂気度控えめなジョー・ペシの名脇役ぶりも見逃せない。本作の日本版ポスター>>続きを読む

タイタニック(1997年製作の映画)

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今更特に言及すべき点もないのだが、97年作とは思えないほどの古典的名作っぷりである。ただし、個人的なジェームズ・キャメロンの名作は「ターミネーター2」(もしくは「エイリアン2」)であり続けるであろう。

マンマ・ミーア!(2008年製作の映画)

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正直ABBAの曲を流すために作られたような映画で内容もよく分からないようなものなのだが、それが逆に悪くない。とはいえジェンダー論の講義の資料になっているくらいだから、そういう観点で観る価値もちゃんとあ>>続きを読む

これが私の人生設計(2014年製作の映画)

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良くも悪くも邦画に似た見やすさがあるイタリアンコメディ作だった。

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(2011年製作の映画)

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テーマは簡単。ポスト9・11後のアメリカ人の内省を描く作品の系譜である。題名からしてかなり示唆的な内容であるが、かなり"マズい"ところが多く見つかった作品だった。百歩譲ってあれだけ時間を費やしておいた>>続きを読む

ジャッキー・ブラウン(1997年製作の映画)

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〈尤もタランティーノらしからぬ一作〉
ブラックスプロイテーション作品からの影響を強く感じさせる本作。終始イケイケなレアグルーヴが流れ、実に自分好みの作品のはずなのだが、内容にはそこまで惹かれず。タラン
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1987、ある闘いの真実(2017年製作の映画)

4.5

historyがhis storyに由来するという話は有名であるが、まさしく本作ではたった一人の青年によって歴史が生み出された。韓国映画界のオールスター級俳優が贅沢に起用されていながらも、その一人一人>>続きを読む

her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)

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巷で話題になっている本作だが、ハードルを上げすぎていたようだ。鑑賞後監督の名前を見て、あぁなるほどなと。スパイク・ジョーンズ作品はどうもコンセプトは面白いのだが、映画の中身がそれに伴っていないように感>>続きを読む

セント・エルモス・ファイアー(1985年製作の映画)

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巷では名作らしいので一応。80年代青春モノで当たったことがなかったゆえ全く期待せずに鑑賞したのだが、それにすら及ばないレベルの作品だった。寓話チックな構成だがそれぞれに脈略が無さすぎて、お坊ちゃんたち>>続きを読む

しあわせの隠れ場所(2009年製作の映画)

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あまりにも出来すぎストーリーな為些かアレルギーが出てしまったが、高スコアも頷けるほどの素敵な作品だった。サンドラ・ブロックの演技が素晴らしいのはまぁそうなのだが、SJ役のジェイ・ヘッドをはじめ味のある>>続きを読む

ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気(2015年製作の映画)

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LGBTモノで実話ベースの話って意外と少ないんじゃないだろうか。やはり実話に基づいているということに大きな価値はある。そしてヒロイン二人の魅力がなによりも素晴らしい。大学のジェンダー論での資料として鑑>>続きを読む

キッズ・オールライト(2010年製作の映画)

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LGBT映画の中でも極左に位置するだろう本作。そもそもR指定のLGBT作品という時点で身構えてしまったが、内容はごく普通のものだった。LGBT作品は、とにかくこの恋愛を受け入れろ!という具合に訴えかけ>>続きを読む

ポエトリー アグネスの詩(うた)(2010年製作の映画)

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是枝監督作から毒を抜いたような淡白な作品。イ・チャンドン監督の手癖とも言える、弱者がなにかに縋るもそこから救済は得られないが新たな光を"日常"から見出すというストーリーは健在であった。

許されざる者(1992年製作の映画)

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自らのキャリアを形成してきた西部劇を所詮人殺しであると否定してみせた本作。善玉も悪玉も存在しない世界、これこそが現実であるのだと言い聞かせてくる。しかし彼が行ったのは決して西部劇批判などではなく、むし>>続きを読む

博士と彼女のセオリー(2014年製作の映画)

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障害と戦いながら偉業を成し遂げた人物の伝記はワンパターンになりがちなのだが、意地でもそうはさせまいとの作風である。それもテン年代らしくてなかなかの仕上がりなのだが、イマイチ着地点がはっきりしない。ジェ>>続きを読む

下町の太陽(1963年製作の映画)

4.0

如何にもよくある話のよくある撮り方なのだが、なかなか面白い。他の山田洋次作品を未だ観てないゆえ、他の作品との比較はできないが、それでもなかなか良い作品をだと思う。この優等生さは、なるほど大学のジェンダ>>続きを読む

続・夕陽のガンマン/地獄の決斗(1966年製作の映画)

4.0

〈西部劇の域を超えた傑作〉
前作であまり見えてこなかった人情のストーリーが非常に上手く作られている。そしてそれを担うのが卑劣漢ことトゥーコであろう。存在の濃い彼が面白いほどにブロンディ役のイーストウッ
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オアシス(2002年製作の映画)

4.7

〈文学者イ・チャンドンが描く究極の恋愛〉
「これが究極の恋愛である!」と言うのが軽率だとしても、本作で描かれているのは間違いなく美の極地だ。普通にはなれないからこそ創り出せる二人だけの世界、楽園。どこ
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3-4x10月(1990年製作の映画)

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「ソナチネ」の青写真のように見える本作であるが、メッセージとしては前作との共通点が多い。明らかにアート路線に走った二作目であるが、その凄さはずばり玄人向けじゃないようで玄人向けなところだろう。実際に、>>続きを読む

夕陽のガンマン(1965年製作の映画)

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〈沈黙の美徳〉
西部劇の名作とされる本作であるが、思ったより伝統的なそれらしさを感じさせない一作であったと思う。イーストウッドとクリーフの両役の魅力を最大限に引き出せているのがこの作品が名作たる所以な
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その男、凶暴につき(1989年製作の映画)

4.0

北野武監督一作目。やはり彼の魅力はその淡白さとそれを血で汚す暴力との独自のバランス感覚であろう。とても良い仕上がりの作品なのだが、どうも「ソナチネ」ほどは人情の部分が伝わってこなかった(特に我妻が岩城>>続きを読む

シークレット・サンシャイン(2007年製作の映画)

4.0

ヒロインの度重なるトラウマ体験をストーリーの主としながらも、その凄惨さに頼るのではなくイ・チャンドン監督特有の空虚さを忘れていないのが韓国映画界で彼が白眉たる所以だろう。ニーチェ的思想とは別の視点から>>続きを読む