千利休さんの映画レビュー・感想・評価 - 42ページ目

ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!(2013年製作の映画)

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エドガー・ライト、サイモン・ペグ、ニック・フロストの最強三人組による『コルネ三部作』のラスト作である本作。愚直なまでにアンチ現代社会であるが、そのふざけっぷりはもはやコントの域であった。最初からそのく>>続きを読む

僕のワンダフル・ライフ(2017年製作の映画)

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「ギルバート・グレイプ」や「サイダーハウス・ルール」のラッセ・ハルストレム監督作。ただのお涙頂戴ものではなくあちこちに遊び心と工夫があってよかった。続編も鑑賞予定。

パンチドランク・ラブ(2002年製作の映画)

4.4

〈癇癪男の「マグノリア」〉
前作同様に圧倒的な自己肯定。そこに不幸は無く、描かれているのはユートピアである。酸いも甘いも知った人間が描く淡く瑞々しい純愛には並でない優しさが満ちている。「マグノリア」
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アメリカ・ワイルド(2016年製作の映画)

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ここまで気持ちよく観れるドキュメンタリーをひさびさに観た。人種差別や感染症で揺れ動く今だからこそ、人類の共通の遺産を崇めることの尊さか身に染みる。本当に素晴らしく美しい40分間だった。

マグノリア(1999年製作の映画)

4.4

〈PTA流愛の自己肯定劇〉
90年代を代表するオタク監督としてタランティーノとともにその名が挙げられるPTA。本作でも彼は独自のコラージュ感覚をもって愛を謳歌している。本作はかなりの長尺であるがゆえに
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ヴィンセントが教えてくれたこと(2014年製作の映画)

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序盤から超ベタベタな展開の連続、本作が駄作である嫌な予感はしたものの結局満足できてしまった作品。まぁ本作の魅力はビル・マーレイのハマり役に尽きるだろう。とにかく当たり障りが無くよかった。

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

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ランティモス作のなかでは「籠の中の乙女」が好きな自分にとっては少々口当たりが良すぎた感はあるものの、彼の世界観は健在。表向きは欧州風情を感じさせるものであるが、精神性はかなりアメリカンなのも面白い。奇>>続きを読む

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

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この退屈さは。。「シャイニング」を彷彿とさせるカメラワークだったりと、本作はホラー映画として魅力的に鑑賞すべき作品なのだろう。しかし家族が死にゆくさまがあまりに超自然的すぎて全然現実味がなければ、特定>>続きを読む

ロブスター(2015年製作の映画)

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恋愛も皮肉も映画において重要な要素であるが、本作はその両方にさらに斜め上から皮肉を浴びせている。とにかく皮肉のボディブローを浴びせてくるのがランティモス作の特徴であるが、もはやなにを真摯に受け止めるべ>>続きを読む

籠の中の乙女(2009年製作の映画)

4.3

〈純白が血の色に染まるとき〉
圧倒的な皮肉力というか、半ば投げやりでありつつもディテールにまでこだわりを感じさせる職人肌。皮肉は表現者の裏拳であるが、ランティモスは猛烈なスピードでそれを打ってくる。
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コンテイジョン(2011年製作の映画)

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"コロナ禍以前に観たかった"映画。もはや本作を観ることは我々にとってはニュースを観るような感覚であり、そこからなんら物珍しさを感じることはない。だが逆に考えればそれは異常なことであり、やはり先見の明と>>続きを読む

サイコ(1960年製作の映画)

4.3

サイコ映画やこの手のサスペンスは最後まで完璧には"分からない"ところに魅力があると思うのだが、本作は終盤にかなりのネタばらしをしてしまっている。それにも関わらず本作を面白く感じるのは、登場人物の目線を>>続きを読む

mellow(2020年製作の映画)

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「弱さの肯定」の肯定をメインカルチャーとして押し出していく流れは嫌いではないし、「愛がなんだ」はとても興味深く楽しめたのだが、本作の監督の女々しさ(この言い方が適切かは分からないが)は些か受け付けなか>>続きを読む

ゼロ・グラビティ(2013年製作の映画)

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自分が中学生のときに唯一観ていた映画である。ひたすら無機的な空間からここまで生命を感じさせるのは凄い。2001年 宇宙の旅フォロワーのなかでも、本作は個人的にかなり好きな作品であった。

イエスタデイ(2014年製作の映画)

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2019年の作品のほうと完全に間違えて鑑賞。"弱さ"が全面的に描かれているという点で、近年の作品らしく思ったという程度の感想しか抱かなかった。本作は青春映画と割り切っても楽しめるからいいかもしれない。

シャイン(1996年製作の映画)

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本作はアカデミー主演男優賞を獲得したジェフリー・ラッシュの名演技に尽きるだろう。到底理解のできない境地の話ではあるが、なにか考えさせられるものがあった。

三度目の殺人(2017年製作の映画)

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〈是枝監督の実験〉
本作はミステリーではない。謎解きは器でしかなく、主題はいつもどおり社会制度への非難である。その試み自体は面白いのだが、映画という形態で鑑賞するとなるとやはり退屈になってしまう(やり
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海よりもまだ深く(2016年製作の映画)

4.4

是枝監督の家族モノは平凡な日常に潜む棘を描くのが常であるが、本作はそんな棘をも優しく包み込んでくれる。感情移入はできても共感はしなかった他作と違い、本作の登場人物たちは決して画面の中だけの人間ではない>>続きを読む

海街diary(2015年製作の映画)

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穏やかで、「歩いても 歩いても」ほどに発言の細部にまで気を使わなくて観れる本作。やはり本作の魅力は豪華4種盛りとも言えるヒロインたちになるだろう。だが、是枝監督が大衆ウケだけを狙ってつくった作品だとも>>続きを読む

奇跡(2011年製作の映画)

4.0

〈是枝監督作"邦画"の到達点〉
とにかくバランスが良い。ただのスタンド・バイ・ミー系譜のジュブナイル作品に留まらない様々な工夫がぎっちり二時間に詰まっていながらも、気負いせず観れる安心感。もちろん色々
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そして父になる(2013年製作の映画)

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本作も例に漏れず血縁家族の脆さを描いたものであるが、全否定ではなく何か余地を残しているのは興味深い。ただ、本作は対比が露骨なだけでそこまで意匠に凝らされたものではなく、その点で「歩いても 歩いても」な>>続きを読む

空気人形(2009年製作の映画)

4.5

〈5980円の恋〉
動物のぬいぐるみやヒト型のなにかが心を持つといった話に滅法弱かった幼少期のなごりが残っているのだろうか、このようなスコアになってしまった。実際本作のテーマである虚空はそこまで伝わっ
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歩いても 歩いても(2007年製作の映画)

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ふつうでないものをふつうに描くことの恐ろしさ。この映画では大きな出来事は特に起きない。しかし、そこにこそ家族の狂気と欺瞞が詰まっているのだ。監督お得意の、血縁家族の脆弱性を掬い上げる技術が本作でも遺憾>>続きを読む

DISTANCE/ディスタンス(2001年製作の映画)

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前作で確立したドキュメンタリー的手法を発展させた本作は、是枝監督お得意のテーマである"血縁家族"の脆弱さと新たな家族の可能性を提示した原点的作品と言える。このテーマは近年色々な作品で見受けられるが、彼>>続きを読む

ワンダフルライフ(1999年製作の映画)

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大学の倫理の講義で冒頭30分だけ観たことが印象深い本作。もはやドキュメンタリーといったテイストなのだが、是枝監督の映画愛が詰まっている。素人を起用するなど実験的な二作目ではあるが、内容もしっかりと考え>>続きを読む

幻の光(1995年製作の映画)

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是枝監督初作品。この時から既に彼特有のヨーロッパ受けしそうな作風が確立されている。だがそこには幾分昭和の邦画の系譜を継ぐ"らしさ"があるのだが、それはずばり境界線の感覚によるものであろう。ほとんどのカ>>続きを読む

アイアン・ジャイアント(1999年製作の映画)

4.0

自分が幼少期に特に影響を受けてきたジブリ作品に似たものを感じてグッときてしまった。もっと早くに観ておきたかった。

グッドフェローズ(1990年製作の映画)

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based on a true storyのなかでも独特の雰囲気を放っている本作。今回もスコセッシのアウトロー礼讃が気持ちよいほどに響く。でも結局憧れくらいが丁度いいのであって、それを彼も重々承知して>>続きを読む

ダイ・ハード(1988年製作の映画)

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ブルース・ウィリスのアクションもカッコいいのだが、「タワーリング・インフェルノ」を彷彿とさせる切迫したシーンに痺れた。耳に残るテーマソングもなく意外と地味な本作であるが、この真面目さこそが類似のB級映>>続きを読む

スイス・アーミー・マン(2016年製作の映画)

4.5

ここまでウイットに富んでいて哲学的で、そして美しい映画を久々に観た。本作には他のA24作品の透明さとはまた異なる瑞々しさがあるのだが、決して綺麗な描写がウリなだけの作品ではない。無人島と自殺という生の>>続きを読む

ウインド・リバー(2017年製作の映画)

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〈現代版西部劇〉
本作はもはやドキュメンタリーである。ある程度の知識が無いと理解できないところはあるが、鑑賞後にこの問題点を知るにしてもそれは大事なことであると思う。このようなかたちでの人種差別という
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ビール・ストリートの恋人たち(2018年製作の映画)

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本作もBLM関連作品として鑑賞されているものであるが、内容はいかにもJ・ボールドウィンらしいものであった。「ムーンライト」と同じくジェンキンス監督は黒人の美しさの描き方やそれに伴う音楽のチョイスに関し>>続きを読む

8 Mile(2002年製作の映画)

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ミュージシャンの映画の筆頭として挙げられる本作を今更鑑賞したわけであるが、全く良い評価ができない。自分はヒップホップが大好きで、エミネムのラップスキルがいかに凄いかは百も承知であるが、この映画は全くも>>続きを読む

愛と青春の旅だち(1982年製作の映画)

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80年代の青春モノにはあまり心惹かれないのだが、本作は比較的丁寧な作りになっていて楽しめた。

幸せなひとりぼっち(2015年製作の映画)

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北欧の幸福感に我々のそれとの乖離があるのは周知であるが、それにも関わらずここまでの感動を引き起こすのにはなにか普遍的な良さがあるのだろう。結局じいさんは幸せだったのか、最後まで死にたかったのか、色々と>>続きを読む

42〜世界を変えた男〜(2013年製作の映画)

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実は初めて観たんじゃないかという野球の映画である。とにかく実話に基づいているということが総てであろう。スポーツ映画でここまでNワードを聞くとは思っておらずビックリしたが、とりあえず観ておくべき作品に間>>続きを読む