Echoesさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

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2人が出会い絹が麦の本棚を初めて覗いた際、本、映画、音楽と趣味が一致することに驚くシーンがある。
社会学者ピエール•ブルデューの著書ディスタンクシオンによると人の嗜好には一定の統一性があり、ある領域で
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ノマドランド(2020年製作の映画)

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テレンス・マリックを想起させる雄大な自然、美しい光とそこまでやるかというくらい生々しい、流浪の労働者たちの生活描写とのコントラストが印象に残る。ノマドとして自由に生きるという理想と、実際の生活の苦しさ>>続きを読む

砂の惑星(1984年製作の映画)

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最近原作を読んだので鑑賞。
長編小説を2時間映画としているため構成に難があるとの評判だが、限られた時間の中でリンチが撮りたかった絵を撮るだけ撮ったんだなという印象を受ける。
皮膚病の(そもそも原作にこ
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ドリーマーズ(2003年製作の映画)

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前半はかったるかったが、後半主人公たちの退廃的な生活と5月革命に揺れる社会との対比は良かった。
映画や革命ごっこに耽溺する今の生活が永遠に続けば良いと願いながらも、そうはならないことつきつけられた際の
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ちいさな独裁者(2017年製作の映画)

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ヘロルトの暴走はあらすじにあるとおりなのだが、印象に残ったのは彼を取り巻く人間たち。
当初無抵抗な脱走兵を殺すことを躊躇していたフライタークも、ヘロルトに従ううちに淡々と虐殺に加担するようになってしま
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バイス(2018年製作の映画)

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和訳されている唯一のチェイニー本を読んでからの観賞。合間に挟まれるギャグはあまり面白いと思わないが、チェイニーらが911を奇貨として大統領府に権限を集中させ、グアンタナモでの拷問や自国民の盗聴を容認す>>続きを読む

アメリカン・アニマルズ(2018年製作の映画)

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キューブリックやタランティーノのクライム映画を観ながら計画を立てたり、映画を真に受けて色のコードネームを付け合い、スタイリッシュな犯行計画を妄想するあたり前半のアホさは笑える。
一方で実際に計画を決行
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ゲームの規則(1939年製作の映画)

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フランス上流階級の浮気模様を皮肉たっぷりに描いたドタバタ群像劇。
登場人物のほとんどが不倫をしており道徳もへったくれもないし、第二次大戦直前にいったい何をやっているんだという気になるが、浮気相手と打ち
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ソング・トゥ・ソング(2017年製作の映画)

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断片を切り取って繋げていく構成と淡々と続く独白は、眠気を誘うもので容易に映画の世界に入り込むことを許してくれない。悲喜交交の人の営みと美しい自然との対比はマリック監督がずっとやってきていることで、豪華>>続きを読む

Mank/マンク(2020年製作の映画)

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マンクことハーマン・J・マンキウィッツがいかにして「市民ケーン」の脚本を書いたかを描いた映画。
「ソーシャル・ネットワーク」は21世紀版の市民ケーンとでも言うべき内容だったが、フィンチャーはこの映画に
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フォーリング・ダウン(1993年製作の映画)

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映画冒頭マイケルダグラス演じる主人公は酷い渋滞にはまりとにかく我慢がならない。視界と耳に入るもの全てに対して腹を立てる中、カメラは路上のサラ金の広告にフォーカスする。この映画の主題を暗示するかのようだ>>続きを読む

スパイの妻(2020年製作の映画)

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商社経営者の妻聡子は豊かな暮らしを享受しながらも夫が何を考えているか腹の底を全く読めていない。
ノモンハン事件後の満州から帰ってきた夫が何かを隠していることを悟った聡子は、夫を詮索するも彼は何も打ち明
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オアシス:スーパーソニック(2016年製作の映画)

4.0

僕が中二病にかかり洋楽ロックを聴き始めた際に一番最初に触ったバンドの一つであるオアシス。
オランダからイギリスに強制送還されたとか彼らのエピソードはライナーノーツでも多数触れられていたので知ったつもり
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シカゴ7裁判(2020年製作の映画)

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時代背景の説明は最小限に抑えつつ時系列を交錯させ裁判を通してデモの当日一体何が起きたかを明らかにしていく構成になっており観ていて先が気になって仕方なかった。法廷ものにありがちな胸糞が悪くなるような展開>>続きを読む

エクス・マキナ(2015年製作の映画)

3.7

人とアンドロイドとの境目がわからなくなるフィリップ・K・ディック的な展開だったり過去のAIものSFで取り扱われてきたテーマが詰め込まれた感があり既視感は覚えたが、そこそこ意外性があるプロットと不穏な雰>>続きを読む