Ricolaさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

Ricola

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あの子を探して(1999年製作の映画)

3.8

農村の学校やそこに通う生徒たちの家庭の貧困問題を訴えた作品。
まだ13歳の少女が代理と言えど、小学校の先生を務めなければならないことに、まず衝撃を受ける。
それほど人手が足りていないし、少女もお金に困
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八月の鯨(1987年製作の映画)

3.7

年老いた姉妹の穏やかな日常が淡々と描かれた、心温まる作品である。
その姉妹を往年の俳優、リリアン・ギッシュとベティ・デイビスが演じているという点においてだけ見ても、この作品は映画史に残るものなのだろう
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ラテン・アメリカの旅(1942年製作の映画)

3.7

南米の文化を深く知るためにハリウッドから芸術家たちは飛行機に乗り、南米の国々を回る。
現地の人々や風景を、芸術家たちが実際に見てアニメーションやイラストとして描いたものが動き出す。
途中で何度か插入さ
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醜聞(スキャンダル)(1950年製作の映画)

3.6

現代では多少の変化はあっても、やはりメディアの力や人々の噂は恐ろしいことは変わりない。 
その格好の餌時となったある男女が、弁護士をたてて権力に歯向かっていく。


活字になってしまえば、大衆はそれを
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ラストタンゴ・イン・パリ(1972年製作の映画)

3.5

傷ついて人生に疲れている中年男性と、未来にたいして漠然と不安を抱えている若い女性。
この二人は互いの欲を満たすためだけの関係であるが、虚しくもそれぞれ心の拠り所を探っていく…。


二人のやり取りや心
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パーム・スプリングス(2020年製作の映画)

3.6

タイムループものはいくつか観たことがあるが、この巻き込まれ型の設定の作品は初めて観た。

「巻き込まれた」タイムループの世界に戸惑うも、その脱出不可能な謎の空間で自分たちが生きているのか死んでいるのか
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オリーブの林をぬけて(1994年製作の映画)

3.9

『そして人生は続く』に出てきた、あの素敵な青い家に住む新婚夫婦を演じた若者のホセインとタヘレにフォーカスしたラブストーリーである。


映画内映画という構造が、より二人の若者の心情を表面化せずに見えに
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港の日本娘(1933年製作の映画)

3.7

ある学生は、ある日取り返しのつかないことをしてしまった…。
彼女の人生はそこから一変してしまうが、果たしてそれから以前のように戻ることはできるのだろうか。

罪の代償や抗えない運命など、重い内容であり
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ザ・ピーナッツバター・ファルコン(2019年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

社会からはみ出し者と見なされているタイラーとザック。
偶然の出来事がきっかけで、彼らは旅に出ることになる。
その道中でお互いの共通点や良さに気づいていき、友情を深めていく。


世間では二人とも偏見の
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いとこのビニー(1992年製作の映画)

3.7

この年代特有のイケイケな雰囲気が終始漂うなかで、ただノリノリなコメディストーリーが繰り広げられるだけではなかった。
この作品では裁判が物語の中心である。サスペンス映画としての筋書きも説得力のあるもので
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愛情の瞬間(1952年製作の映画)

3.7

医師のピエール(ジャン・ギャバン)は、偶然にも妻マドレーヌに若い愛人がいることを知ることになり、二人の関係を彼女に直接問いただす。

夫婦の会話を通じて、過去と現在を行き来しながら物語が進んでいく。
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キートンの蒸気船/キートンの船長(1928年製作の映画)

3.7

キートンといえばポーカーフェイスが持ち味であるが、彼の面白さが存分に発揮されるのは「逃げる」ときではないだろうか。
この作品においても、そのおかげもあって彼の魅力が十分に発揮されていた。


ベレー帽
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マルホランド・ドライブ(2001年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

何が現実で非現実なのか…。
そんな区別をすることは、この作品においてナンセンスであるように思われる。
どちらの世界も対等にあり、2つのパラレルワールドとして捉えるほうが無難であるかもしれない。

ただ
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先に愛した人(2018年製作の映画)

3.6

亡くなった父の愛人と母の板挟みにあう少年。
この複雑な人間関係や少年の気持ちなどが、ポップな演出でかわいらしく、かつ優しく彩られている作品である。


まずは、アニメーションの演出について言及する。
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小早川家の秋(1961年製作の映画)

4.0

小津安二郎の遺作『秋刀魚の味』の前の作品であるこの映画にも、過ぎゆく時代に対する哀愁をひしひしと感じられた。

いわゆる「小津らしい」演出の味わい深さに酔いしれながら、物悲しい現実にはっとされる作品だ
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チャーリーズ・エンジェル(2000年製作の映画)

3.6

タイプの異なる女性3人が繰り広げる、痛快なアクションコメディ作品。
どうしてもその当時のノリや演出に古臭さは感じられたが、むしろそれがいい味を出しているようだった。

チャーリーという正体不明の探偵社
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ラ・マルセイエーズ(1938年製作の映画)

3.4

戦いの派手なシーンというよりも、多くの人間の集まったシーンが印象的な作品だった。


カメラがパンして周囲の様子を映し、その空間の中心にフォーカスしていく演出が多い。
たくさんの人々を扇動し、まとめて
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ドイツ零年(1948年製作の映画)

3.8

子供という純粋無垢な存在に、戦争や不景気のしわ寄せが来る理不尽さ。
でもそれは現実なのである。

ロッセリーニはやはり、残酷でも何でもなく、ただ現実に対する反応をカメラに収めることにこだわっているよう
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男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け(1976年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

現実ではどうしても抗いようのない理不尽にぶつかることがあり、やるせない気持ちになることばかりである。
ならばせめて映画の中だけでは、それがうまくいってほしいと思うものだろう。
この映画はまさにそれがテ
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ふるさと(1983年製作の映画)

3.7

ダム建設のため、なくなってしまう村。
退去前の夏、その村で生まれ育ったおじいさんと近所の少年は気持ちを通わせる、ほっこりするものの切ないストーリーだった。


この作品の大きな特徴の一つは、水の描写が
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恐怖のまわり道(1945年製作の映画)

3.5

「ただより高いものはない」ということの、究極的な行き着く先を描いた作品と言えるだろう。
とはいえ、社会意義を訴えるような高尚な作品というわけではなく、軽く観られる娯楽作品にカテゴライズされそうな作品だ
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あなたは私の婿になる(2009年製作の映画)

3.5

歳の差恋愛、それも会社の上司と直属の部下を演じたサンドラ・ブロックとライアン・レイノルズ。
ブロック演じるマーガレットのクールさとキュートな側面と、レイノルズ演じるアンドリューの頼りないようで実はいい
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狂恋(1947年製作の映画)

3.4

実際にパートナーであったという、ジャン・ギャバンとマレーネ・ディートリッヒのコンビが拝めただけでも、この作品を観る価値はあったと思う。

粗野なギャバンと妖艶で孤独なディートリッヒの競演ぶりは素晴らし
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芳華-Youth-(2017年製作の映画)

3.7

壮大な背景を持つストーリーではあるが、青春ならではの若者たちの抱える繊細さがちゃんと描かれた作品だった。


特に前半は、鮮やかな映像によって若者たちの輝かしい青春の日々が綴られる。
日々の厳しい練習
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真昼の決闘(1952年製作の映画)

3.6

冒頭のシークエンスがかっこいい。
牧歌的な雰囲気の中どこか緊張感漂う。

この作品は、町に迫りくる敵が来るまでの1時間半の間の保安官の葛藤や市民とのやり取りのドラマにフォーカスされている。とは言っても
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(500)日のサマー(2009年製作の映画)

3.9

サマーという女性に一目惚れし、主人公のトムは成長していく。
恋愛や人生について、彼は彼女との500日で学んでいくのだ。

ストーリーとキャラクターの魅力を最大限に活かすために、一風変わった演出が施され
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そして人生はつづく(1992年製作の映画)

4.3

キアロスタミ監督の経験をもとに作られた映画。
『友だちのうちはどこ?』の撮影地となった町を含んだ地域が地震の被害にあい、その周辺を監督は息子とともに訪れる。彼らの旅路でさまざまな人と交流をする中、映画
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情婦マノン(1948年製作の映画)

3.5

「魔物」とまで言われる女、マノン。
彼女がこうもファム・ファタールとなってしまうのも、時代のせいと言っても過言ではないのだろう。

ロベールとマノンの恋模様は、まさに山あり 谷ありである。
その二人の
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お遊さま(1951年製作の映画)

3.8

田中絹代演じる主人公のお遊さまは、ファム・ファタールといっても良さそうである。
彼女は無意識に、ある男女を苦しませるのだ…。


人物のやり取りや心情描写がやはり巧みに描かれている。
その表現方法は溝
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アメリカン・パイ(1999年製作の映画)

3.6

高校生男子たちのおバカな(本人たちは至って真剣)、計画を描いたコメディ作品。
ずっと下ネタで騒いでいるだけかと思ったが、意外にもハートフルな青春映画だった。


ギークな子たちをパーティーで門前払いに
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何がジェーンに起ったか?(1962年製作の映画)

3.9

違う時期に売れた元スターの姉妹。
たしかにサイコホラー作品であるが、彼女たちの繰り広げる愛憎劇ともとらえられそうである。


びっくり箱を見て泣く小さな女の子が冒頭に映し出される。
しかし泣かれた側も
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王と鳥(1980年製作の映画)

3.7

個性豊かなキャラクターとそのなめらかな動きや表情はもちろんだが、この作品に張り巡らされている主題について特に気になった。


まずこの作品では、キャラクターたちが城やその外部で縦横無尽に動くことがキー
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ハッピーアワー(2015年製作の映画)

4.5

もし同じ映画を3回連続で観てくれと言われたら、わたしはこの映画を選びたいと思う。
なぜなら、一度観ただけではすべての要素をすくい切れなくても、そこで見つけられた少しの要素をどんどん結びつけて紐解いてい
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エレファント・マン(1980年製作の映画)

3.6

「人間とは理解できないものを恐れる」
だからこそ何世紀もの間人間は攻撃をしたり差別をしてきたわけだが、このエレファント・マンも実在の被差別側の人物をもとにしている。


遊園地の一角のno entry
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新・男はつらいよ(1970年製作の映画)

3.5

寅さんに同情の余地もあるが、それにしても町の人たちを巻き込んでわちゃわちゃしている回である。

この作品はシリーズ3作目であり、1作目2作目ほどの素晴らしさや感動はないが、インパクトはちゃんとある。
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これがロシヤだ/カメラを持った男(1929年製作の映画)

3.7

演劇とも文学とも異なる、映画ならではの表現や形式を見出す実験映画であることが冒頭に強調される。

劇場におびただしく並ぶ客席が映され、人々がスクリーンに向かっている。
そのスクリーンに映されたものは、
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