KnightsofOdessaさんの映画レビュー・感想・評価 - 13ページ目

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アテナ(2022年製作の映画)

3.5

[『レ・ミゼラブル』のその後…] 70点

2022年ヴェネツィア映画祭コンペ部門選出作品。脚本にラジ・リが参加しているということもあって、いきなり『レ・ミゼラブル』の続きみたいな場面から始まる(同作
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ハーモニー・レッスン(2013年製作の映画)

4.5

[カザフスタン、大人も子供も暴力まみれ] 90点

大傑作。2013年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品。エミール・バイガジン初長編作品。13歳のアスランは村で祖母と暮らしている。家の周りには見渡す限り
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パッション(1982年製作の映画)

3.5

[] 70点

1982年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。ずっと誰かが呼ばれてて、ずっと誰かが追われてて、毎回誰かが車に轢かれかけてて、ずっと会話が一方通行という治安の悪い映画撮影現場の話。口の動きと
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フォーエヴァー・モーツアルト(1996年製作の映画)

4.5

[フォーエヴァー・ゴダール!] 90点

傑作。1996年ヴェネツィア映画祭コンペ部門選出作品。世紀末ゴダール。90年代のトピックとしてユーゴ内戦と芸術映画の駆逐。具体的には『宿命のタンゴ』という映画
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世界が引き裂かれる時/クロンダイク(2022年製作の映画)

3.0

[] 60点

2014年のドンバス戦争時、ロシアとウクライナの国境にて。妊娠したイルカとその夫トリクは広大な草原の中で暮らしていたが、ある日家が砲撃を受けて半壊状態となる。親ウクライナ派のイルカは分
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A Piece of Sky(原題)(2022年製作の映画)

4.0

[スイス、変質していく男と支え続ける女] 80点

傑作。2022年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品。スイスの山村にて、マルコはアロイスの農場で働いている。彼は低地出身で、村人は部外者の彼を値踏みする
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モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン(2022年製作の映画)

3.5

[月が見守るニューオーリンズの夜] 70点

2021年ヴェネツィア映画祭コンペ部門選出作品。アナ・リリー・アミールポアーの長編三作目。怪しげな夜の沼地から真っ白な隔離病棟の房へと移ると、そこにはモナ
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Faat Kiné(原題)(2001年製作の映画)

4.5

[セネガル、ある自由な女性についての物語] 90点

大傑作。センベーヌ・ウスマン長編八作目。初長編『Black Girl』以降、セネガルにおける女性の声を過去/現在問わず拾い上げてきたセンベーヌの集
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The Soft Space(原題)(2018年製作の映画)

4.5

人体のパーツと地下鉄駅が交互に並べられる。並置されるそれらの質感は、違いを無限に挙げられるほど正反対だが、空虚に浮かぶ人体の柔らかさと不安定さ、地下空間の硬さと偏在性が素早いカットで結合し渾然一体とな>>続きを読む

A Drownful Brilliance of Wings(原題)(2016年製作の映画)

3.5

NYを中心に活動する詩人ジリアン・スエとのコラボ作品。スエの『Arriving』という詩を原作に、今回も植物園や切手やワンタンといった物質から彼女の家族の歴史を掘り下げていく。これらの物質は家族代々受>>続きを読む

もっと超越した所へ。(2022年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

[] 40点

クズ男とそれを支える女性が四組出てくるオムニバスが"もっと超越した所"へ行く映画。"完璧な人はいないんだから、一度好きと思えた目の前の人を…"云々と言い訳を色々重ねるが(コロナ禍と呼応
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Alcarràs(原題)(2022年製作の映画)

2.0

[スペイン、ある桃農家一族の肖像] 40点

2022年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品、金熊賞受賞作。子供たちが原っぱに捨てられた車で宇宙船ごっこに興じている。車は長年の遊びの果てに秘密基地化してお
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LOVE LIFE(2022年製作の映画)

3.5

[どんなに離れていても愛することはできる] 70点

2022年ヴェネツィア映画祭コンペ部門選出作品。矢野顕子の同名楽曲にインスパイアされた作品ということで、この曲は作中でも使用されている。"どんなに
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Modlitwa(原題)(2014年製作の映画)

4.0

『Another Prayer』『An Evening』と同時期に撮られた同じテーマの作品。小さな一軒家で、一人の老女が一日を過ごす。皿を洗い、選択をして、ご飯を食べる、という小さな動作に老女の母親ゾ>>続きを読む

Wieczór(原題)(2013年製作の映画)

4.5

大傑作。『Another Prayer』『A Prayer』と同時期に撮られた同じテーマの作品。亡くなった祖母マリアの家にそのまま残っている椅子に掛けたカーディガン、シンクのゴム手袋、壁の写真、椅子な>>続きを読む

Dalsza Modlitwa(原題)(2014年製作の映画)

4.0

傑作。英題は『Another Prayer』。『An Evening』『A Prayer』と同時期に撮られた同じテーマの作品。ベッド、カーテン、シンク。家主のいなくなった家の様々な空間に、生前の家主の>>続きを読む

Maison Du Bonheur(原題)(2017年製作の映画)

4.0

[全ての物質と行為に歴史が宿る] 80点

ソフィア・ボーダノヴィッチ長編二作目。オードリー・ベナック・ユニバースには含まれない珍しい作品だが、映画に登場する経験自体は監督本人のものであり、本作品も後
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サマ(2017年製作の映画)

3.0

[] 60点

ルクレシア・マルテル長編四作目。アルゼンチンの僻地で行政官をしながら妻子のいる都市への帰宅を望む男の話。『夷狄を待ちながら』の主人公ほどの適応能力はなく、ひたすら女たちをエロい目で見な
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オカルトの森へようこそ THE MOVIE(2022年製作の映画)

4.5

[] 90点

めっちゃ面白い。10年以上前の『オカルティズム』という映画で有名なホラー監督…のくせにかなりのヘタレでビビリな黒石と、その頼りになる相棒で助監督の市川の二人が謎の山で怪異と出会う話。観
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Guelwaar(原題)(1992年製作の映画)

2.5

[セネガル、父の遺体はどこに消えた?] 50点

1992年ヴェネチア映画祭コンペ部門選出作品。センベーヌ・ウスマン長編七作目。題名"ゲルワール"は植民地時代よりも前にセネガルに存在した王朝の名前に由
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彼女のいない部屋(2021年製作の映画)

3.0

[] 60点

未発生の未来についての映画っぽくも、過ぎ去った過去についての映画っぽくも、マルチバースっぽくもあり…という感じで、バラバラになった断片と冒頭のポラロイド神経衰弱と主人公の神経衰弱(物理
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

[最悪の奇跡は悲劇と喜劇の境目に"立つ"] 60点

私は単にマイブリッジの騎手に名前を与えたかっただけなんだと思うが、それこそが"映画の王族"とまで語られている通り最強のエンパワーメントなんだろうと
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クレマスター1(1995年製作の映画)

3.0

[] 60点

五部作の一作目である本作品は、バーニーの故郷であるアイダホ州ボイシにあるブロンコ・スタジアムの青いグラウンドで上演されるミュージカルレヴューである。その上空ではグッドイヤーの飛行船が2
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小説家の映画(2022年製作の映画)

2.5

[偶然の出会いの連なり] 50点

ベルリン映画祭コンペ部門選出作品。大きく分けて数パートに分かれていて夫々が緩く繋がっているという、いつものホン・サンス。今回は女性小説家ジュンヒが主人公になる。彼女
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サバス(1988年製作の映画)

4.5

[魔女に魔法に掛けられて] 90点

大傑作。マルコ・ベロッキオ長編12作目。夜の森に佇むベアトリス・ダル=マッダレーナのかったるそうな横姿からの背景爆発炎上というユリア・ソーンツェワみたいなオープニ
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灰とダイヤモンド(1957年製作の映画)

4.0

[] 80点

アンジェイ・ワイダの代表作。まさかの一夜もの。原作は共産党書記シュチューカが主人公だが、映画版では脇役だったパルチザン青年マチェクを主人公としている。終戦間際の田舎町の町外れの道で、シ
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別れる決心(2022年製作の映画)

1.5

[別れる決意、愛する決意] 30点

2022年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。ヘジュンは優秀な刑事だった。仕事の関係で離れた土地で暮らす妻との関係も良好で、不眠症になるほど仕事に打ち込んでいた。ある
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カウンセラー(2021年製作の映画)

4.0

[] 80点

傑作。出産を控えて休職するカウンセラーが休職前最後のセッションを終えたときに、突如現れた患者とセッションを開始する。カウンセラーは倉田、患者は吉高というんだが、倉田は病院のネームボード
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ミスター・ランズベルギス(2021年製作の映画)

4.5

[ランズベルギスとリトアニア独立のコンテクスト] 90点

大傑作。セルゲイ・ロズニツァ通算29作目。本作品は1988年から1991年にかけて、リトアニアのソ連からの独立運動を年代順に描いた作品である
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アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台(2020年製作の映画)

3.0

[ゴドーたちを待ちながら] 60点

カンヌ・レーベル選出作品。『アプローズ、アプローズ!』というくらいなので『アブサロム、アブサロム!』なのかと思いきや、『ゴドーを待ちながら』だった。それも、『ゴド
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午前4時にパリの夜は明ける(2022年製作の映画)

4.0

[人生の中で些細な瞬間を共有すること] 80点

傑作。2022年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品。1981年、パリはミッテラン大統領誕生の狂乱騒ぎに包まれていた。これから新しい時代が始まるかもしれな
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マンディブル 2人の男と巨大なハエ(2020年製作の映画)

3.0

[] 60点

殺人タイヤとか喋る革ジャンとかの次はデカい蝿か。大半の人物が狂ってるいつもの感じで、ずっと平和()なのが良い。事故の影響で爆音で喋る女性が登場するが、誰も彼女を信じないというのがトーン
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アリスの恋(1974年製作の映画)

4.0

[] 80点

1975年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。スコセッシとしては初選出。夫が死んだので息子と二人で故郷に帰りますというロードムービーなんだが、いきなり出てくるのは真っ赤な光に染まった『オズ
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笛吹き男(1985年製作の映画)

3.5

[] 70点

イジー・バルタの代表作。いつもイジー・トルンカと混ざっちゃうんだが、トルンカと別方向で人形の顔が怖い!ストップモーションアニメ版「ハーメルンの笛吹き男」だが、結末ははるかにヤバい。基本
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乳母(1999年製作の映画)

4.5

[扉を閉め続ける男の出会い] 90点

大傑作。1999年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。マルコ・ベロッキオ長編16作目。正直イタリア映画もベロッキオも合わなすぎて色々諦めかけていたんだが、諦めなくて
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Camp de Thiaroye(原題)(1988年製作の映画)

3.5

[セネガル、ティアロエ収容所での出来事] 70点

1988年ヴェネチア映画祭コンペ部門選出作品、審査員特別賞受賞作品。センベーヌ・ウスマン長編六作目。1944年、フランスでの戦闘から帰還したセネガル
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