[高等弁務官、タヒチの海にて悪魔と宴す] 60点
2022年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。ジェラール・ドパルデューが優しいムスカ大佐を演じているかのような、常にトロピカルシャツに白スーツで身を固め>>続きを読む
[] 50点
ピノチェト時代のチリにて。田舎の海岸沿いに別荘を建ててるプチブルの妻カルメンは地元の神父に頼まれて怪我をした若者を看病するが…みたいな話。序盤は『最後の入浴』みたいな文芸エロ映画になる>>続きを読む
[タバコ戦隊、世界を救う?] 90点
大傑作。カンタン・デュピュー監督最新作。タバコ戦隊はベンゼン、ニコチン、アンモニア、メタノール、水銀の五人からなる正義の味方。冒頭では採石場という戦隊もの御用達>>続きを読む
[] 70点
ジャスミン革命、引いてはアラブの春の発端となったのは、ある露店商の青年の焼身自殺からだった。イスラム社会では自殺は禁じられ、また、火葬の習慣もないことから、この衝撃は凄まじかったらしい>>続きを読む
[] 60点
スペインの田舎村に引っ越してきたフランス人夫婦の物語。元教師である彼らは"教養がなく"、"善悪の極端な"村人に、というか隣人の兄弟に敵視されている。理由は風力発電の建設に主人公たちが反>>続きを読む
[カザフスタン、家父長制と消費主義の壮絶なバトル] 80点
『ハーモニー・レッスン』『The Wounded Angel』から連なる"アスラン三部作"の完結編。今回のアスランは文明から隔絶された平原>>続きを読む
[あの日、同じ太陽の下にいた父さんへ] 70点
シャーロット・ウェルズ初長編作品。30歳になったソフィーは、20年前に父親カルムと行ったトルコでの休暇について思い返す。といっても、格安リゾートで客は>>続きを読む
[ニカラグアで出会った男と…] 30点
2022年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品、カンヌ映画祭のコンペはデビュー作『ショコラ』以来34年ぶりの登場となった。昨年は濱口竜介がベルリン映画祭とカンヌ映画>>続きを読む
※黒沢清xジャン=マルク・ラランヌ対談議事録もどきも収録
[生まれ変わった『私たちは一緒に年を取ることはない』] 40点
2022年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品。夏の海辺でじゃれ合う二人の幸せ>>続きを読む
[結局、変革などしなかった世界に] 90点
大傑作。1995年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。『こうのとり、たちずさんで』から『永遠と一日』へと連なる"国境三部作"の第二部。4回目のコンペ選出という>>続きを読む
[イギリス、遺された者の悲しみと映画製作について] 80点
傑作。批評家から高い評価を受けならがも観客からは総スカンを食った前作から2年が経ち、その第二部が完成した。前作以上に批評家からの評判は良い>>続きを読む
[彼らは三度転落する] 80点
傑作。題名通りの階段映画。なので同時代に撮られた『下女』とはよく比較されるらしい。病院の外科課長ヒョン・グァンホは看護婦ジンスクと逢瀬を続けながらも、出世のために院長>>続きを読む
[韓国、日曜日の男女と煙草の火] 80点
傑作。初イ・マニ。一文無しの青年ホウクは毎日曜日ごとに恋人ジヨンを会っていたが、その日はジヨンの妊娠を知って堕胎手術のために金を借りようと友人たちを訪ね歩く>>続きを読む
[] 40点
同じ時期に公開されたA24配給作品『Everything Everywhere All at Once』にも似たような感じのキャラが登場するので、勝手に番外編かなと思っていたんだが、全>>続きを読む
[] 70点
田舎にある原子力研究所で被爆した研究者の一年からランダムに九日を抽出した一作。シンツォフ教授の実験で二度と放射線実験を出来ないほど被爆したグーセフ、その恋人リョーリャと友人クリコフとい>>続きを読む
[荒涼とした世界に、絶望を告げる風が吹く] 70点
アナ・ローズ・ホルマー長編劇映画二作目。今回は前作『The Fits』の共同脚本家/編集者だったサエラ・デイヴィスとの共作であり、アクの強い監督>>続きを読む
[公民館のダンスクラブで起こるアメリカ版"RAW"] 80点
傑作。アナ・ローズ・ホルマー長編劇映画一作目。11歳の少女トニは、シンシナティにあるリンカーン・コミュニティ・センターのボクシングジムで>>続きを読む
[戦争に負けた今、ルーヴルとはなんだ?]
美術館ものということで、思い出すのは『エルミタージュ幻想』だが、本作品は物質としてのルーヴル美術館よりは歴史や概念としてのルーヴル美術館に主眼を置いている。>>続きを読む
[物語と神秘の復権と神話の再創造] 70点
ジョージ・ミラー長編最新作。A・S・バイアットの短編小説『The Djinn in the Nightingale's Eye』の映画化作品。主人公アリシ>>続きを読む
[処女懐胎の解体] 80点
精神が先か肉体が先か、セックスが先か妊娠が先か、という問答と映像としての圧倒的事実が正面衝突する奇妙な映画。ミリアム・ルーセルの目が印象的で、アナマリア・ヴァルトロメイと>>続きを読む
[自己陶酔と終わりなき怠惰の煉獄] 70点
アレクサンドル・ソクーロフ最新作。これまで数多くの歴史上の人物を役者に演じさせることで映画に登場させてきたソクーロフが、とうとう本人の写真をディープフェイ>>続きを読む
[まさに嵐のような殺人ミステリー] 60点
ブルガリア出身のビーは裕福な恋人ソフィーとともに、ソフィーの幼馴染デヴィッドの"ハリケーン・パーティ"に招待される。"ハリケーン・パーティ"はハリケーン直>>続きを読む
[『レ・ミゼラブル』のその後…] 70点
2022年ヴェネツィア映画祭コンペ部門選出作品。脚本にラジ・リが参加しているということもあって、いきなり『レ・ミゼラブル』の続きみたいな場面から始まる(同作>>続きを読む
[カザフスタン、大人も子供も暴力まみれ] 90点
大傑作。2013年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品。エミール・バイガジン初長編作品。13歳のアスランは村で祖母と暮らしている。家の周りには見渡す限り>>続きを読む
[] 70点
1982年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。ずっと誰かが呼ばれてて、ずっと誰かが追われてて、毎回誰かが車に轢かれかけてて、ずっと会話が一方通行という治安の悪い映画撮影現場の話。口の動きと>>続きを読む
[フォーエヴァー・ゴダール!] 90点
傑作。1996年ヴェネツィア映画祭コンペ部門選出作品。世紀末ゴダール。90年代のトピックとしてユーゴ内戦と芸術映画の駆逐。具体的には『宿命のタンゴ』という映画>>続きを読む
[] 60点
2014年のドンバス戦争時、ロシアとウクライナの国境にて。妊娠したイルカとその夫トリクは広大な草原の中で暮らしていたが、ある日家が砲撃を受けて半壊状態となる。親ウクライナ派のイルカは分>>続きを読む
[スイス、変質していく男と支え続ける女] 80点
傑作。2022年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品。スイスの山村にて、マルコはアロイスの農場で働いている。彼は低地出身で、村人は部外者の彼を値踏みする>>続きを読む
[月が見守るニューオーリンズの夜] 70点
2021年ヴェネツィア映画祭コンペ部門選出作品。アナ・リリー・アミールポアーの長編三作目。怪しげな夜の沼地から真っ白な隔離病棟の房へと移ると、そこにはモナ>>続きを読む
[セネガル、ある自由な女性についての物語] 90点
大傑作。センベーヌ・ウスマン長編八作目。初長編『Black Girl』以降、セネガルにおける女性の声を過去/現在問わず拾い上げてきたセンベーヌの集>>続きを読む
人体のパーツと地下鉄駅が交互に並べられる。並置されるそれらの質感は、違いを無限に挙げられるほど正反対だが、空虚に浮かぶ人体の柔らかさと不安定さ、地下空間の硬さと偏在性が素早いカットで結合し渾然一体とな>>続きを読む
NYを中心に活動する詩人ジリアン・スエとのコラボ作品。スエの『Arriving』という詩を原作に、今回も植物園や切手やワンタンといった物質から彼女の家族の歴史を掘り下げていく。これらの物質は家族代々受>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
[] 40点
クズ男とそれを支える女性が四組出てくるオムニバスが"もっと超越した所"へ行く映画。"完璧な人はいないんだから、一度好きと思えた目の前の人を…"云々と言い訳を色々重ねるが(コロナ禍と呼応>>続きを読む
[スペイン、ある桃農家一族の肖像] 40点
2022年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品、金熊賞受賞作。子供たちが原っぱに捨てられた車で宇宙船ごっこに興じている。車は長年の遊びの果てに秘密基地化してお>>続きを読む
[どんなに離れていても愛することはできる] 70点
2022年ヴェネツィア映画祭コンペ部門選出作品。矢野顕子の同名楽曲にインスパイアされた作品ということで、この曲は作中でも使用されている。"どんなに>>続きを読む
『Another Prayer』『An Evening』と同時期に撮られた同じテーマの作品。小さな一軒家で、一人の老女が一日を過ごす。皿を洗い、選択をして、ご飯を食べる、という小さな動作に老女の母親ゾ>>続きを読む