KnightsofOdessaさんの映画レビュー・感想・評価 - 16ページ目

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ローラーとバイオリン(1960年製作の映画)

3.0

[] 60点

いい加減タルコフスキーくらい全部観よう企画。バイオリンを習ってる少年がローラー運転手と出会う話ということで、あからさまなドヴジェンコ的労働礼賛・技術革新礼賛の系譜を感じる。ガラス、鏡、
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The Swimming Pool(英題)(1977年製作の映画)

5.0

[ブルガリア、少女が見た世界の欺瞞] 100点

人生ベスト。圧倒的大傑作。三年ぶりにオールタイムベストTOP10が入れ替わった(後述)。ブルガリアの至宝ビンカ・ジェリャズコヴァによるキャリア後期の代
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シルヴェストレ(1981年製作の映画)

4.0

[そして私は星の下に孤独となった] 80点

モンテイロ長編三作目。15世紀のポルトガルを舞台にした歴史劇。主演は当時16歳で映画初出演(『おなかすいた、寒い』よりも前)のマリア・デ・メディロス。川以
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アフター・エブリシング(2018年製作の映画)

2.5

[] 50点

笑っちゃうほど既視感に溢れた一作。マジで"夜中に1分くらいで書き終えました"と言われても納得しちゃうくらいシンプルなクリシェの塊だが、特出して褒める点が見つけられない代わりにこれといっ
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無情(2019年製作の映画)

2.5

[Once Upon a Time in the East...] 50点

アメリカ西部の開拓史から誕生したのが西部劇ならば、東欧で誕生するのは東部劇と呼ぶのが正しいのだろうか。舞台となるのはディス
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ユハ(1937年製作の映画)

3.0

[フィンランド、生を乗り越え死を迎える激流] 60点

フィンランドの伝説的映画監督ニルキ・タピオヴァーラの長編デビュー作。後にアキ・カウリスマキも『白い花びら』として映画化する、ユハニ・アホの同名小
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X エックス(2022年製作の映画)

3.5

[スプラッター映画全部乗せ] 70点

1979年、ポルノ映画を撮影しにテキサスの田舎にある農場にやって来た一行が大変な目にあう一作。プロデューサー(男)、男優、女優二人、カメラマン(男)、その恋人(
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一晩中(1982年製作の映画)

4.0

[] 80点

ある一夜の物語なんだろうか。街の中で様々な形で男女が共にいる。出会い、別れ、駆け落ち、待ち合わせ、待ち伏せ、お出かけ、等々。彼らの一瞬のような、永遠のような時間を、濃く深い闇が包み込む
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イフゲニア(1978年製作の映画)

3.5

[イフゲニアちゃん可愛すぎん?] 60+10点

1977年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。『エレクトラ』『トロイアの女』に続くエウリピデス三部作の終章。トロイア戦争出陣直前に間違えて聖なる鹿殺しとな
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生きる(1952年製作の映画)

3.5

[] 70点

意外と観てなかったシリーズ。現代人は同じ状況でもカネがないバージョンなんじゃないか。めちゃくちゃ密集してる歓楽街の雰囲気はパウル・フェヨシュ『都会の哀愁』に近いものを感じる。小田切みき
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薮の中の黒猫(1968年製作の映画)

3.0

[藪の中の化け猫] 60点

粉砕された1968年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。 野武士集団に殺された二人の女が化け猫化して羅城門の武士たちを殺して回るのを止めようとする話。屋敷そのものが化け猫の幻
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(1978年製作の映画)

5.0

[幻想の消防士に恋して] 100点

人生ベスト。少女バルバラは真夜中に窓辺に立つ消防士の男を幻視する。時が経ってもその幻想は彼女を捉えて離さない。バルバラは学校にも行かずに部屋にこもり、コラージュと
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さらば、わが愛 覇王別姫(1993年製作の映画)

3.5

[] 70点

1993年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品、パルムドール受賞作。初チェン・カイコー。京劇から見る中国現代史であり、二人の京劇俳優の年代記。感覚は『悲情城市』とか『帰れない二人』に近いけど
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散歩する惑星(2000年製作の映画)

3.0

[] 60点

三部作全てが別々の映画祭コンペに登場した例はクシシュトフ・キェシロフスキの"トリコロール三部作"とウルリヒ・ザイドルの"パラダイス三部作"しかないはずだが、実はロイ・アンダーソンも惜し
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木靴の樹(1978年製作の映画)

3.5

[] 70点

1978年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品、パルムドール受賞作。あまりにもリアルすぎてドキュメンタリー賞までもらっているが、歴としたフィクション。画も色も地味すぎて頭から150分くらいは
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スタア誕生(1954年製作の映画)

3.0

[世界は君のものだ、エスター] 60点

我らがジェームズ・メイソン、酒飲みの大スターという役柄が似合いすぎている…けど、特に冒頭の行動原理がイマイチ理解できないので最早恐怖を感じるレベル。人物造形が
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シュトロツェクの不思議な旅(1977年製作の映画)

4.0

[アメリカの悪夢] 80点

傑作。ブルーノ・SのSはマジでシュトロツェクのSなんだろうか。長らくブルーノ・Sの出演作品は『カスパー・ハウザーの謎』と本作品だけだったが、34年ぶりにブルガリア映画『A
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Paris Goes Away(英題)(1981年製作の映画)

3.5

[] 70点

私的ジャック・リヴェット映画祭。『北の橋』の企画に誰も興味を示してくれなかったので、『北の橋』と同じメンバーで別の映画を作ったというのが本作品らしい(プロデューサーは"移調"という単語
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カサブランカ・ビーツ(2021年製作の映画)

2.5

[モロッコ、不満と魂をリリックに乗せて] 50点

2021年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。カサブランカ郊外に若者向けの文化センターを開設した監督本人の実体験を基にしているらしい。本作品の主人公は、
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パリ、テキサス(1984年製作の映画)

4.5

[] 90点

大傑作。1984年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品、パルムドール受賞作。放浪するおじさんを鮮やかな色彩と感傷的な音楽で包んだ作品だが、基本なんでも協力してくれる弟夫婦や理解の有りすぎる息
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テロリズムの夜/パティ・ハースト誘拐事件(1988年製作の映画)

3.5

[] 70点

1988年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。ストックホルム症候群の例として頻繁に挙げられる、パティ・ハースト誘拐事件についての作品。誘拐されたパティは目隠しをされたままクローゼットに押し
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終着駅(1953年製作の映画)

2.0

[] 40点

超地味なキャストが逆に生々しかった傑作『逢びき』に比肩する作品を作るべく、デヴィッド・O・セルズニックがデ・シーカをアメリカに招いた撮った一作。どちらもカンヌ映画祭のコンペに選出されて
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心の指紋(1996年製作の映画)

4.0

[美よ、我を取り囲め] 80点

傑作。1996年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。エリート外科医がナヴァホ族の血を引く殺人犯の少年に誘拐され、聖地を目指すロードムービー。しっかりアメリカ映画なのに、世
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笑いの王(2021年製作の映画)

1.0

[エドゥアルド・スカルペッタの後半生] 10点

2021年ヴェネツィア映画祭コンペ部門出品作品。19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍した喜劇役者エドゥアルド・スカルペッタ晩年の豪華な生活と、『イオ
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パリ13区(2021年製作の映画)

4.5

[コミュニティを描かないフランスの団地映画] 90点

大傑作。2021年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。英題"パリ13区"はセーヌ川南岸に位置する本作品の舞台を指しており、欧州最大とも言われるチャイ
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The Intruder(英題)(2020年製作の映画)

4.5

[アルゼンチン、夢からの侵入者よ去れ!] 90点

2020年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品。ようやく最後の作品。吹き替え女優として活動しながら(冒頭では片言の日本語で話すSM映画の吹き替えをしてい
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リメイク、リミックス、リップ・オフ(2014年製作の映画)

3.5

["ある意味で全ての映画は互いのコピーだ"] 70点

"世界には30パターンくらいしか物語がないんだから、全部混ぜちゃえばいい"という圧倒的なパワーワードで幕を開ける本作品は、1960年代から70年
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風にバラは散った(1989年製作の映画)

4.0

[我が心は永遠の薔薇のように] 80点

傑作。パトリック・タムの長編七作目。田舎でバーを経営するチャンには美しい一人娘ラップと彼女のことを好いているリックという男がいた。ある日、チャンは昔馴染みのマ
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Ibrahim(原題)(2020年製作の映画)

2.5

[イブラヒム、大志を抱く] 50点

カンヌ・レーベル選出作品。俳優サミール・ゲスミによる初監督作品。題名"イブラヒム"は主人公の名前であり、監督ゲスミはその父親アーメッドを演じている。イブラヒム青年
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危険なめぐり逢い(1975年製作の映画)

3.0

["僕のフィアンセは世界で一番可愛いんです"] 60点

マリア・シュナイダー映画祭その3。美術学生マリア・シュナイダー=ミシェルがタクシーに乗って、飛び出してきたアメリカ人女優アンを車で轢く冒頭の疾
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さすらいの二人(1974年製作の映画)

4.0

[直らない悪癖以外の全てから逃げる男] 80点

傑作。1975年カンヌ映画祭コンペ部門出品作品。マリア・シュナイダー映画祭その2。いきなり前作『砂丘』との関連か、砂丘で取材をするジャック・ニコルソン
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Drift Away(英題)(2021年製作の映画)

2.5

[刑事、アルバトロス号で己と向き合う] 50点

2021年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品。本作品はノルマンディの小さな街に暮らす警察官ローランの日常生活を描いている。ウェディング写真を撮ってる横に
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フリークスアウト(2021年製作の映画)

3.0

[イタリア、ナチスと超能力バトル] 60点

2021年ヴェネツィア映画祭コンペ部門出品作品。舞台は1943年のローマ。四人のサーカス団員が愉快なショウを行っている場面で幕を開ける。プラチナブロンドの
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ポスト・モーテム 遺体写真家トーマス(2020年製作の映画)

2.5

[] 50点

ポーランドやチェコに比べてハンガリーはジャンル映画が少なく、本作品が長い歴史の中で初のホラー映画と言われているらしい。しかも、ベルリン映画祭のコンペに出たフリーガウフ・ベネデクとナジ・
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リュミエールと仲間たち(1995年製作の映画)

3.0

[ピンティリエが一番良い] 60点

40人の国際的な監督たちが、リュミエール兄弟が発明したオリジナルのシネマトグラフを使い、1895年当時と同様の条件で短編映画を製作する企画。ルールは以下の三つ。①
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キラー・トラック(1979年製作の映画)

3.5

[善良なクラウス・キンスキーをリンチする映画] 70点

ジャック・リヴェット映画祭で『メリー・ゴー・ラウンド』をやるということで、突然マリア・シュナイダーが観たくなったので、マリア・シュナイダー映画
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