モモモさんの映画レビュー・感想・評価 - 12ページ目

アーミー・オブ・ザ・デッド(2021年製作の映画)

4.2

「もう少し編集で刈り込んで2時間以内にした方が…」「流石にその被写界深度の浅いショットはやり過ぎでは…」という正直な感想も加点の連続と偏った目線で丸呑みにして心の奥にしまってしまうザック・スナイダー産>>続きを読む

怪談(1965年製作の映画)

3.9

日本民謡、日本伝習の映像化する上での到達点又は明確な解の様な一作。
贅沢なセット撮影が舞台の様でもあり御伽噺の様でもあり唯一無二の創作を形作っている。
「雪女」と「耳無芳一」がとにかく理不尽な怪異で困
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青春の殺人者(1976年製作の映画)

4.2

ATGとは何ぞや…という時期に出逢って衝撃を受けた一本。
久方ぶりに見返すと中盤までの圧倒的な完成度に前のめりになってしまった。
「え…まさか、この程度で父親を殺すのか…?」という急展開を省略し、帰宅
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田園に死す(1974年製作の映画)

3.6

白塗りの登場人物達。異形のサーカス団。グロテスクな人形の赤子。
怪奇的世界観の回想に言葉を失っていると、実は劇中劇に過ぎませんでしたと種明かし。
モノクロの「現実パート」を足早に駆けて、今度はSF的な
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こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話(2018年製作の映画)

3.6

序盤のあまりにも安っぽい「日本ドラマ」な演出に心が冷めて、中盤の「障がい者と健常者の対等の恋愛描写」に心を掴まれるかと思いきや、やっぱり予定調和的な当て馬にされてガッカリと言う。決して駄作ではないし、>>続きを読む

ケープタウン(2013年製作の映画)

4.3

劇場公開当時、小島秀夫監督がTwitterでオススメしていたので前情報無しで観に行って度肝を抜かれた一作。劇場以来の再鑑賞。個人的には心の一作。
少女の殺人事件が麻薬事件へと繋がっていく刑事ドラマが気
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48時間(1982年製作の映画)

3.8

バディジャンルの古典的秀作。
ウォルター・ヒル作品は物語がシンプルなので疲れている時こそ観たくなる。
今の倫理観で観ると大幅にアウトな差別描写を孕んだ白人警官と黒人受刑者の48時間大運動会。
仲間を盾
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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

4.3

プレゼントとして送った「使い古した時計」が皮に取り換えられた時、それはまるで別物の「新たな時計」になっていた。
裕福で一見「幸せそうな家族」がオカルティックな出来事でまるで別物の醜く救い難い「新たな家
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レクイエム 最後の銃弾(2013年製作の映画)

3.9

「インファナルアフェア」に「SPL」に「男たちの挽歌」に、中国映画、香港映画の旨みをこれでもかと凝縮したトライアングル・ブロマンス映画。
2時間越えの上映時間に多くの展開、銃撃を凝縮した贅沢な作品。
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ロスト・シティZ 失われた黄金都市(2016年製作の映画)

3.6

失われた古代都市に囚われた男の「地獄の黙示録」かと思いきや、絶妙な着地を果たす内省的冒険映画。
「自分達と同等、それ以上の文化と文明が存在する」と既存の価値観を否定する主人公がその傍ら「女性と男性は違
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スウィンダラーズ(2017年製作の映画)

3.8

詐欺師達の騙し騙され騙し合いを軽快にファミリー向けに描く秀作。
「最終的に全て主人公の手のひらの上」と言う帰結に向かって二転三転する構成には「複雑な様で複雑では無いがミスリードの語り口が粗い」という不
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ブルーバレンタイン(2010年製作の映画)

3.9

運命的な出会い、輝く様な初デートをした2人が結局は運命的な夫婦、生涯のパートナーになれなかったのだと無情に説く恋愛映画。
「今」を演じるニコラス・ケイジ風味なライアン・ゴズリング、「母」としての臭いが
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アカルイミライ(2002年製作の映画)

3.7

いつも通りのロケーション選定(刑務所、自宅)に、ゴミ寸前の衣装を纏うオダギリジョーに、幽霊目線にも神目線にも感じる時折挟み込まれる荒い画質のデジタルカメラアングルに、その場に肉感を持って現れる浅野忠信>>続きを読む

ザ・スイッチ(2020年製作の映画)

4.4

個人的には監督の前作『ハッピー・デス・デイ』2部作を凌駕する大傑作ホラー。
2020年代を代表する作品になるのではないだろうか(というかなってくれ)。
邦題の通り「殺人鬼と女子高生」の中身が入れ替わる
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ガメラ3 邪神<イリス>覚醒(1999年製作の映画)

4.6

オールタイムベストの1本を遂に映画館で…ドルビーシネマで…至福の一時でした…。
初見は小学生低学年の頃、VHSで。「人の死」に異常な恐怖を感じていたので平成ガメラ3部作はどれも「怖い映画」だったが、対
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ノマドランド(2020年製作の映画)

4.0

ラスト10分で「そう言う映画なのね」と腑に落ち大逆転。傑作でした。
ドキュメンタリー寄りのカメラワーク、照明、物語構成で「ノマド」の暮らしを描く。
3幕構成から意識的に脱している脚本構成だからこその冗
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ガールズ&パンツァー 最終章 第3話(2021年製作の映画)

4.0

このクリフハンガーであと1年半以上待てと言うんですか!?早く、早く第四話来てくれ!!
第2話同様、途中で始まり途中で終わる第三話。アクションで始まり、少し休んで、アクションで終わる。「そうだ、それで良
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モンスターハンター(2019年製作の映画)

3.9

皆さん、帰ってきましたよ。
「イベントホライゾン」「エイリアンVSプレデター」を作った男、ポール・W・S・アンダーソンが帰ってきました。
怒涛の展開で異世界に飛ばされて「イベントホライゾン」の演出術で
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トムとジェリー(2021年製作の映画)

3.7

期待値低めで鑑賞したが、これは後々に「ホームアローン」枠の映画になるんじゃないですかね。「トムとジェリー」をそのまんまトレースしてるんだから当たり前と言えば当たり前だけど自分の幼少期に金曜ロードショー>>続きを読む

ラーヤと龍の王国(2020年製作の映画)

4.1

「ゲームオブスローンズ」に初期「ドラゴンボール」と「もののけ姫」と「ガーディアンズオブギャラクシー」を混ぜた様な…そんな山盛りてんこ盛りなファンタジーアニメの傑作。
ソダーバーグの系譜(主にルッソ兄弟
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ミナリ(2020年製作の映画)

3.9

韓国系移民の家族を軸に決して誰かを断罪したり何かを断定せず独特の質感と編集テンポで「父」では無く「息子」を描く秀作ファミリー映画。
最初の喧嘩で「ああ、彼は韓国の長男信仰や家父長制に苦しめられてきたの
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ハッピー・デス・デイ 2U(2019年製作の映画)

4.0

「単体の映画」としてはまるで成立していない「続編映画」の傑作。近年稀に観るPART2である事は確かだ。
前作で綺麗に終わった物語の「何故起きたのか」に焦点を絞り主人公の内面をより掘り下げ青春映画要素を
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ハッピー・デス・デイ(2017年製作の映画)

4.0

前評判を裏切らない隙の無い脚本の傑作青春ホラー。劇中の台詞通りのホラー版「恋するデ・ジャブ」の決定版だ。
とにかく構成が見事で「予想を程よく覆していく」物語展開と演出術が見事だ。
特にループ2日目のホ
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シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

4.7

面白いとか面白くないとかでは無い。本当の本当にエヴァンゲリオンが終わった。エヴァンゲリオンもヱヴァンゲリヲンも終わった。庵野秀明という作家の一つの終着点。青春の終わり、人生の区切りだ。これ以上の決着が>>続きを読む

CUBE(1997年製作の映画)

4.0

ソリッドシチュエーションスプラッターホラーのイメージを未見だと抱きやすいのは何故だろうか。
かなり身構えて鑑賞したが蓋を開けてみれば低予算映画としてとんでもなくクレバーな脚本術を楽しめる一作だったので
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クラッシュ 4K無修正版(1996年製作の映画)

3.8

元からアブノーマルな性癖だった人間が更なるアブノーマルな性癖に足を踏み入れる…スリラー…いや、スリラーなのか…?ジャンルは「クローネンバーグ」としか言えないのではないだろうか。
交通事故という強烈な死
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藁にもすがる獣たち(2018年製作の映画)

3.9

ある汚い大金を巡って小悪党、巨悪、弱者、イレギュラーが命のバトンを繋いでいく露悪版「孫文の騎士団」「ローグワン」な一作。
軽妙だが堅実な構成、脚本、編集が光る秀作犯罪劇。
中盤から終盤に掛けてパズルが
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シュガー・ラッシュ:オンライン(2018年製作の映画)

4.1

「君だけのヒーローになる」と言う秀逸なオリジン物語の続編は自己の存在理由を他者に委ねてしまう「依存」の危険性を描くメンヘラ中年映画でした。いや、中々に虚をつかれたが個人的には続きを描く意味がある作品で>>続きを読む

プラットフォーム(2019年製作の映画)

4.2

期待値そこそこで鑑賞したが予想以上の傑作で大満足。「手持ちカメラではなく固定して欲しかった」くらいしか文句を付けれない程自分のフェチズムにドンピシャなスリラー映画だった。
「穴」に自主的に入った主人公
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シュガー・ラッシュ(2012年製作の映画)

4.2

ディズニー製アニメには「ベイマックス」もあれば「シュガーラッシュ」もある!という「ヒーロー映画」の傑作。
「悪役」を題材にしているからこそ「ヒーロー」とは何かを秀逸に描く事が出来る物語構成、発案は「メ
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ガメラ2 レギオン襲来(1996年製作の映画)

4.0

僕、札幌でウルトラマンとゴジラを観て育った人間なんですよね。そりゃ面白くない訳がないですよね。自分が普段使ってる駅にレギオンが現れて滅茶苦茶になるんですから。生まれ育った街を怪獣に破壊されて面白くない>>続きを読む

すばらしき世界(2021年製作の映画)

4.2

「永い言い訳」で頭をぶん殴られて早数年、西川監督最新作で再度頭をぶん殴られてきました。
相変わらずの大傑作。やっぱり僕には是枝作品よりも西川作品の方がドタマに響く。
殺人で服役し刑期を満了した男がこの
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ライリーの初デート?(2015年製作の映画)

4.0

思春期到来ライリーの後日談かと思ったら、パパママ主人公のスピンオフでした。
本筋では触れなかったキャラクターや世界にスポットライトを当てるべきスピンオフとしての理想系。

ムーラン(2020年製作の映画)

3.4

公開前の主演女優の香港民主化デモに対しての発言、コロナ禍で延期を繰り返した上での劇場公開中止配信直行、公開後のウイグル問題発覚と余りにもケチが付きすぎたムーラン実写版。
そんな諸々を抜きに純粋に「一個
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ムーラン(1998年製作の映画)

4.1

主演女優の香港民主化デモに対する発言や劇場公開中止にウイグルロケ地問題と余りにも曰く付きな作品になってしまった実写版を観る前にオリジナルを初鑑賞。いやいや、こんなに面白いとは。
「父の代わりに男の振り
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インサイド・ヘッド(2015年製作の映画)

4.0

メタファーの物語化、メタファーのキャラクター化、メタファーの映像化。これこそ「アニメーションでしか」出来ない映画だ。
「悲しみと共に生きていこう」と言うネガティブでもありポジティブでもあるシンプルなテ
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