子持ちのカイロレンさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ(2019年製作の映画)

4.5

 たしか公開時に山下敦弘監督が絶賛してた気がするがそれも納得、「苦役列車」や「どんてん生活」に近い世界観とユーモア。完全再現されたフリッツの汚部屋や人生詰んだ飲み屋の客など、美術も出演者もみんな凄かっ>>続きを読む

ドント・ブリーズ2(2021年製作の映画)

4.0

前作も老人が怪物には見えずホラー色は薄かったので、この方向転換は大歓迎。いろんな殺しのアイデアが楽しい快作。最近多い悪党が主役系映画の中では、本来あるべき倫理的なハラハラ感が楽しめる。しかし銃声鳴って>>続きを読む

フリー・ガイ(2021年製作の映画)

3.0

新鮮味ない設定でもこういう人生の応援歌みたいな映画は何本観てもいいですね。素晴らしかったです、タイカ・ワイティティのラジー賞級の演技を除いては。前から言いたかったけど今作は特に酷い。誰かこの人のコメデ>>続きを読む

バッド・トリップ どっきり横断の旅(2020年製作の映画)

5.0

 突如司会者がゲロを吐く、裸のおっさんが乱入してくるなどゲストに不快などっきりを仕掛ける超過激なトークショーで人気を博したコメディアン、エリック・アンドレ初の主演作。今作も同番組のスタッフが集結し、一>>続きを読む

リストラ・マン(1998年製作の映画)

4.0

 朝から渋滞に巻き込まれ、会社に到着するなり昨日提出したレポートに表紙を付け忘れたことを8人の上司から順番に怒られる。ようやく金曜日の仕事を終えると、「土日も出勤してくれるとサイコーなんだけどなぁ」な>>続きを読む

クリス・ファーレイはトミーボーイ(1995年製作の映画)

4.5

33歳の若さでこの世を去った伝説的コメディアン、クリス・ファーレイの主演デビュー作。とにかく見てくれ、顔から床に倒れ、ガラスにぶつかり、板で殴られ、それでも健気に犬のような顔で観客に向かって走ってくる>>続きを読む

地下に潜む怪人(2014年製作の映画)

4.0

 飽和しきったPOVホラーの中でも珍しい宝探しアドベンチャー作品。
「インディー・ジョーンズ」、「鋼の錬金術師」、「ハリー・ポッター」が好きな人におすすめ。つまり全日本人おすすめ。しかも主人公は美人の
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ラビリンス 抜け出せないふたり(2013年製作の映画)

4.5

 パパ活女子に捨てられる中年男の悪あがきを、BGMなし、リアルタイムの会話劇で見せるワンシチュエーションドラマ。
いつもはコミカルな役の多い名脇役スタンリー・トゥッチが、移り気なアリス・イヴに全人生を
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トムとジェリー(2021年製作の映画)

3.5

のっけからトライブの「Can I Kick It?」をラップする2Dアニメの鳥たち。(ここで親世代のハートをガッチリキャッチ)。少し懐かしいブレイクビーツに彩られた本作は、時代設定こそ現代だが、懐かし>>続きを読む

西部魂(1941年製作の映画)

5.0

大陸に通信網を広げる希望に満ちた旅と、逃れられない運命の厳しさ。コントラストが強烈。たとえ善行を積んでも、過去の罪からは永遠に逃れられない。陽気なウエスタン・ユニオン一行の中、はじめから死を悟ったよう>>続きを読む

もう終わりにしよう。(2020年製作の映画)

5.0

カップルの別れ話と思って見始めたら…100%のカウフマン映画だった。彼の最高傑作だと思う。こんなに美しくて悲しい映画もなかなかない。まるで「エターナル・サンシャイン」の絶望バージョン。オチを知るとあら>>続きを読む

怒りのガンマン/銀山の大虐殺(1969年製作の映画)

3.0

 いかにもマカロニな、アクロバティックなガンファイトが楽しめる前半は楽しいが、ミステリー仕立ての物語が雑で眠気を誘う。とはいえ、監督が師匠レオーネを真似たラスト5分はそれまでの演出と別物のように素晴ら>>続きを読む

ハリーの災難(1955年製作の映画)

5.0

観た人みんなが幸せになれるような最高のコメディ映画。「ファーゴ」に代表されるような田舎町を舞台にしたコメディ映画の元祖(なのかも?)。今観ても全く古びておらず、むしろ教科書として永遠に参照されるような>>続きを読む

三人の名付親(1948年製作の映画)

4.0

銀行強盗のジョン・ウェイン一味が逃亡中に出会った女性の赤ん坊を世話することになる、心温まるクリスマス映画。ジョン・ウェインが赤ん坊の世話に狼狽える様子がおかしい。贖罪に至る厳しい砂漠の試練が凄まじく、>>続きを読む

大いなる決闘(1976年製作の映画)

3.5

アンドリュー・V・マクラグラン監督のハードな西部劇。もろペキンパーな下り坂のシークエンスが素晴らしい。なんだかちょっとデ・パルマ風で、そう考えるとオデッサ階段にも見えてくる。ラストはニューシネマ風でハ>>続きを読む

真昼の死闘(1970年製作の映画)

3.5

イーストッドとシャーリー・マクレーンという意外な組み合わせの西部劇。イーストウッドが女性に振り回される映画にハズレなし。でもイーストウッドが好きそうなタイプじゃないので、時折本当にウザそうな顔してるの>>続きを読む

真昼の用心棒(1966年製作の映画)

3.5

北海道みたいな風景の中で繰り広げられる、スターウォーズみたいな話のマカロニウエスタン。デスカウント50人超えそうな大殺戮、ショックシーンの大仰な見せ方はフルチらしくて楽しい。ラストに飛ぶ鳩がジョンウー>>続きを読む

サルバドル/遥かなる日々(1986年製作の映画)

4.5

エルサルバドル内戦を描いたオリバー・ストーン渾身の一作。ジェームズウッズ演じる自暴自棄なジャーナリストは、明らかに監督あんた自身でしょ!と言いたくなるオリバー度200%の「俺の戦争映画」。聖も俗もない>>続きを読む

ワンダーウーマン 1984(2020年製作の映画)

4.5

ヒーローとは何なのかを思い出させてくれる最高のクリスマス映画。前作同様、ガル・ガドットの笑顔に心ぶち抜かれて細かい部分はどうでもよくなる。誰ですか、場所移動の処理が雑とか言ってるの。彼女はおっちょこち>>続きを読む

ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)

5.0

ここ10年くらいのディズニースタジオ映画は自分たちが作り上げてきた価値観を時代に合わせ見事に刷新してて毎回感動してたんだけど、久々にピクサーがやってくれた!これは子どもに無理に理解しろとは勧めない。む>>続きを読む

さらば!2020年(2020年製作の映画)

3.5

ブラックミラー製作者が悪夢の2020年を振り返る年末特番(?)。モキュメンタリー仕立ての構成だが映るニュース映像は全て現実というのがなんとも痛烈。完全に現実がフィクションを追い越した今、ブラックミラー>>続きを読む

オクトパスの神秘: 海の賢者は語る(2020年製作の映画)

5.0

いくら自分の好きな子でも、タコとおっさんのラブストーリーを勧めてきたら、この子頭おかしいのかなと思うだろうが、観なきゃ伝わらない世界はたしかにある。
仕事で傷ついたイケメンが地元に帰ってキルスティン・
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いとこ同志(1959年製作の映画)

5.0

パリに上京した真面目な田舎者が、遊び人の従兄弟の部屋に同居することで辿る過酷な運命。なんだこの辛すぎる物語は…アンリ・ドカエの美しいモノクロ撮影が絶望を深める。受験生、浪人生は確実にメンタルがやられる>>続きを読む

ビギナーズ(1986年製作の映画)

4.0

ニューウェーブ全盛だった当時の英音楽シーンの勢いを真空パックしたミュージカル。全編ポップカルチャーの視覚的洪水。あとはパッツィケンジットの可愛さでお腹いっぱい。この映画の興行的失敗で疲弊した監督のジュ>>続きを読む

ヒュービーのハロウィーン(2020年製作の映画)

3.5

アダムサンドラーが豪華キャストと悪ふざけしてるのを眺めるだけで幸せ。全編とにかくおばあちゃん!おばあちゃん!おばあちゃん!って感じで、いつも以上におばあちゃん愛が炸裂。50過ぎてもいじめられっ子を演じ>>続きを読む

ミッドサマー(2019年製作の映画)

4.0

別れ間際のカップルの描写がリアルでヒリヒリした。そんな不安の渦中にいる人にとって、そっと背中を押してくれるような特別な映画になると思う。アリ・アスター監督は前作も癒しの映画だったなぁ。そこがホラーとし>>続きを読む

ルディ・レイ・ムーア(2019年製作の映画)

5.0

エディ・マーフィーが伝説のエンターテイナーを演じる実録伝記物。いつもより丸いフォルムで愛嬌もプラスされ、この映画のエディは本当に可愛い。物語は絶妙に緩急をつけながら、右肩上がりにひたすら面白くなってい>>続きを読む

アンカット・ダイヤモンド(2019年製作の映画)

5.0

ダニエルロパティンによるディストピアSFみたいなスコア、荒々しく芸術的な撮影、コラージュみたいな神業編集、追い詰められるアダムサンドラーの顔・顔・顔!まるで宝石も人間も宇宙も、出鱈目だからこそ美しいと>>続きを読む

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

3.0

もっとカット割った方が面白くなるのに、とか考えてしまう自分はいい観客じゃなかったな。この世の終わりのような、焦土と化した街での突破劇の美しさなど、見所はあっても心を動かされることなく。いくつかの明らか>>続きを読む

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.5

「恨」の感情で物語を動かさず、メタファーを物語に落とし込む高度なストーリーテリング。テーマに奉仕する計算されたカメラワーク。小賢しいと感じるか素直に感心するか。たしかに格差社会を描いた映画としては最高>>続きを読む

フォロー・ミー(1972年製作の映画)

4.0

ミアファローを放っておいたバカ夫が、妻の大切さに気付く超小粋なラブストーリー。お前みんなに感謝しろよ。全身を縛られ拷問器具で眼球を潰される様を丁寧に描いたスプラッタホラーになってもおかしくなかったんだ>>続きを読む

囚われの美女(1983年製作の映画)

4.0

チープなB級ホラー風味が加わった、ゴールの見えない探偵物語。夢の中で出会ったシンデレラを、ガラスの靴を片手に探す主人公。喪失感が全体を包む、ロマンチックな物語(よく言えば)。夢の美女ガブリエルラズール>>続きを読む

ヨーロッパ横断特急(1966年製作の映画)

4.5

ロブグリエがプロデューサーや奥さんからシナリオ突っ込まれまくりながら、脳内で映画をこねくり回す様をそのまま映像化したような作品。トランティニャンのミッションがロブグリエのSM趣味でどんどん脱線していき>>続きを読む

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

5.0

新鮮な切り口で見せる全マザコン男子号泣必須の感動作。「マリッジストーリー」とこれ観てようやく気づいたよ。スカヨハの良さは、おっかさん的素質なんだ。ガハハとおっきな口で笑いながら、いってこーい!と背中を>>続きを読む

嘘をつく男(1968年製作の映画)

3.8

出だしの語りから最高。「僕の話をしよう。少なくともそう努めたい」って…努めたいって言ってるんだから、思い出せなくてもしょうがないよ。頑張ろうとしてるんだもん。しかも戦争でPTSDを発症しており、本人に>>続きを読む

不滅の女(1963年製作の映画)

5.0

歴史的建造物が再建され時間感覚が歪んだようなイスタンブールを舞台に、あらゆるモチーフが本物と偽物の区別を曖昧にしてく、観ている途中で実存的な不安に襲われるような傑作だった。主人公が自分の存在を確かめる>>続きを読む