子持ちのカイロレンさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

ラビング 愛という名前のふたり(2016年製作の映画)

4.5

大きな力に巻き込まれる弱者という構図はジェフニコルズの過去作と同じ。人種迫害の恐怖を暴力描写に頼らずに、静寂の中に忍び寄る不穏な影としてあくまで自分の得意な土俵に持ち込んで描ききっている。深夜に警察官>>続きを読む

ファニー・ガール(1968年製作の映画)

3.0

「サウスパーク」で馬鹿にされまくってたせいでバーブラストライサンドを避けてきた人生でしたが、これを観て、若い頃は鼻デカくて可愛いじゃんと思えるようになりました。レディーガガそっくり。キャリアも似てる。>>続きを読む

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)

4.5

地獄のような家族崩壊劇。計算され尽くした画面設計と音響。とてもデビュー作とは思えない完成度。監督の身の回りに起こった出来事がモチーフになってるそうだけど、出口が見えない不幸の意味を突き詰めた結果生まれ>>続きを読む

ヴェノム(2018年製作の映画)

4.5

君はトムハーディがサンフランシスコの坂を登りきった時の、あの笑顔を見たか。あの赤ちゃんみたいな顔を。もう今年のアカデミー賞候補は決まり。同時にラジー賞候補も。中年ミニスカ女子ミシェルウィリアムスはヴェ>>続きを読む

映画 聲の形(2016年製作の映画)

3.2

とても意義ある作品だと思うのと同時に、色々考えさせられる。特に自分が悪くないのにひたすら謝り続ける西宮の姿。そういうキャラクターだしそうなった背景も描かれてるけど、10代の繊細な感性にしてもちょっと過>>続きを読む

アンダー・ザ・シルバーレイク(2018年製作の映画)

3.5

謎解きの過程がショートコント集のようであまり没頭出来ず。それでも「ストレンジカレンシーズ」で全部許せる気になるんだからポップミュージックはなんて偉大なんだろう。あのジジイが弾けなかったR.E.M.は、>>続きを読む

ジェーン・ドウの解剖(2016年製作の映画)

4.0

人生どん底のおっさんがそれまで全く信じていなかった幽霊や超常現象と対峙して一念発起する系の作品(「フライトナイト」など)が好きな人にとって、これは堪らん系の作品。だからもっとブライアン・コックスに優し>>続きを読む

悪の花園(1954年製作の映画)

4.0

メキシコ奥地の金鉱を目指す悪党達を描いた異色西部劇。全編を覆う不穏な空気、冥府魔道な金鉱探しにゾクゾクさせられる。冒険活劇、フィルムノワール、いろんな要素が詰め込まれてる。タイトル出た時なんてホラーか>>続きを読む

ホンドー(1953年製作の映画)

3.8

もっと陽気なウエスタンかと思ったら意外に苦い後味。アパッチと騎兵隊の争いに巻き込まれるジョンウェイン演じるホンドーの心情を思うと、勇壮な音楽が流れるラストの対決も複雑。去りゆくアパッチの背中と、感傷を>>続きを読む

アルバレス・ケリー(1966年製作の映画)

3.2

「戦争は醜いもの でも彼には関係ない 女さえいれば〜♩」と冒頭で流れる陽気な歌のとおり、戦争から距離を置き金の為に働く女たらしのウィリアムホールデンがかっこいい(メキシコ人には全然見えないけど…)。南>>続きを読む

シルバラード(1985年製作の映画)

3.2

キャストがやたら豪華な80年代西部劇。怒りに燃えるスコットグレンが鉢巻はぎ取って、ダニーグローバーが「俺はガンダムでいく!」と叫ぶ殴り込みがカッコいい。
ケビンコスナーは「イェー!」って叫んでるだけの
>>続きを読む

エルダー兄弟(1965年製作の映画)

3.5

涙のマザコン西部劇。兄弟4人が母親の葬式で集まり、地元を牛耳る悪者と対決。地元住民の語りだけで母親の存在感を浮かび上がらせる前半が見事。親孝行出来なかったことを悔やむ兄弟がクローゼットを開けると、貧乏>>続きを読む

リメンバー・ミー(2017年製作の映画)

1.5

子どもと鑑賞。「パパどうだった?」って聞かれたので、「いやぁ優しくない話だね。これじゃ風俗店の火事で焼け死んだおっさんの魂は救われないよ。押し付けがましくて、ピクサーで一番ダメだったなぁ」と言いたくな>>続きを読む

突撃隊(1961年製作の映画)

4.0

中盤まで割とのんびり見てたら後半凄まじかった。あんな勝算ゼロの突撃、絶対イヤ。狂ったマックイーンを頼みの綱に地雷原突破する一行、あるのは絶望と緊張感だけ。唖然とするラスト、レナードローゼンマンの超カッ>>続きを読む

ミッション:インポッシブル/フォールアウト(2018年製作の映画)

5.0

「フォールアウト」っていうより「マッチポンプ」。全ての人を勇気付ける素晴らしい映画。仕事でどんな失敗してもプルトニウム3個盗まれるイーサンよりマシ。全力でリカバーすればどうにかなる。今後仕事でミスって>>続きを読む

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(2018年製作の映画)

5.0

公開前の海外の前評判では「シビルウォーの20倍凄い!」「ポールトーマスアンダーソン映画のよう!」とか、相変わらず絶賛票がインフレ起こしてて信用出来ないなぁと思ってたんだけど、実際観たら凄すぎて、頭爆発>>続きを読む

ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男(2017年製作の映画)

4.0

閉館直前のシネパレスで。ゲイリーオールドマンは勿論、ジョーライトの演出が抜群。滑舌の悪いチャーチルの語りをどう面白く伝えるか、画を殺さないあらゆる工夫が詰まっている。中でも秘書のリリージェームスの使い>>続きを読む

レッド・スパロー(2017年製作の映画)

4.0

時代設定が今とは思えないロシア完全悪映画。最後までスパイ達が何に必死になってんだか分からなかったけど、ジェニファーローレンスの魅力全開だからそれで良し。どのカットも彼女の美しさ全開で見惚れる。しかしス>>続きを読む

ベイウォッチ(2017年製作の映画)

5.0

地元の警察よりベイウォッチの立場が上な異次元世界で繰り広げられるビーチ捜査線。途中から彼らが何してても、「何でお前らが捜査してんねん!」という疑問が頭から消えず、ずっと笑いが止まらない、そんなコロンブ>>続きを読む

マイティ・ソー バトルロイヤル(2017年製作の映画)

3.2

マーベルの画一的な映像に刺激感じなくなってしまい、世間の盛り上がりを寂しく眺めてたところ、これがギャグてんこ盛りの問題作だと聞いて期待して観たら、やっぱりいつものマーベル映画でした。滑ってもいいからも>>続きを読む

頭上の敵機(1949年製作の映画)

2.5

グレゴリーペックの、インテリ臭くて上から目線な、嫌〜な部分が滲み出た、ある意味ペックオブザペックな映画。ペックが嫌いな人が見たら発狂しそう。「拳銃王」同様、無駄にカットを割らないヘンリーキング監督の画>>続きを読む

フィフティ・シェイズ・ダーカー(2017年製作の映画)

2.0

ラジー賞を総なめしてしまった官能映画のシリーズ第2作。元々3部作構成なので、どんなに酷評されてもあと2本作らなくてはならない。仮にあの「ショーガール」の続編を作るとして、キャストが出演してくれるだろう>>続きを読む

ブラックパンサー(2018年製作の映画)

3.5

なんか最近アメコミ映画を観に行くことが、アメリカの正義の葛藤と、政治のメタファーをどう脚本に組み込んだかを確認しに行く作業のようで、全く楽しくない。「ブラックパンサー」もそう。明確な敵が不在で、因果が>>続きを読む

拳銃王(1950年製作の映画)

4.5

グレゴリーペックが伝説のガンマン、ジョニーリンゴを演じる西部劇。「真昼の決闘」の青写真のような作りで、ただまんじりと過ぎる時間がほぼリアルタイムで進行する異色作。ガンマンの悲惨な晩年、救いのないラスト>>続きを読む

センチメンタル・アドベンチャー(1982年製作の映画)

5.0

流れ者が突然町に現れるという、いかにも西部劇なオープニングで登場するイーストウッド、が、泥酔状態で酒瓶片手にいきなりぶっ倒れる。そんな調子で西部劇を参照しつつ、セルフイメージを崩しまくる楽しいロードム>>続きを読む

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)

4.0

なぜか昔の西部劇を見ている感覚になった。単にゆったりしたタイム感のせいか、イーストウッドの身体に染み付いた映画の記憶が見せる錯覚か。少なくとも中盤で展開するヨーロッパ旅行記は、遠い西部劇の景色とリンク>>続きを読む

トム・ホーン(1980年製作の映画)

4.5

実在した賞金稼ぎの偶像破壊西部劇。驚くべきことにモンスター映画のフォーマットで作られている。故郷の山を何度も見つめるマックイーンが切ない。片っ端から人を殺しまくったけど彼は悪くないんだ、山に帰してあげ>>続きを読む

The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ(2017年製作の映画)

3.4

見事な撮影とフェティッシュな美術で描かれる湿地に美女なコンセプトアート。目の保養。そこだけは素晴らしい。でもこれでカンヌ監督賞か。。。きっとキルスティンダンスト好きの審査員がいたんだな。分かる、分かる>>続きを読む

ブライト(2017年製作の映画)

3.0

起承転結の「転」から始まるストーリーが思いの外チャレンジングだった。大半の人はここで振り落とされる。自分も振り落とされた。後半は遠くの方でウィルスミスが騒いでるのを細目で眺めてた。せめて連続ドラマにし>>続きを読む

グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)

5.0

凄く良かった!全曲スタジアム仕様な楽曲の強度。冒頭から「my beautiful〜」時のカニエウエストみたい。ビートとコーラスが強い。そして目まぐるしいカットの数々。自分らしく生きろって普遍的なメッセ>>続きを読む

デトロイト(2017年製作の映画)

4.5

ここまで黒人側に寄り添って描いてて、それでもなお「黒人たちが暴力的という誤解を生む作品」なんて批評が出ることが信じられないんだけど、結局人は見たいものしか見ないんだろう。そんな反響の広がり方で分断の根>>続きを読む

帰ってきたMr.ダマー バカMAX!(2014年製作の映画)

3.0

昔とやってること何も変わってない!バカだなー、と言いたかったのにファレリー兄弟は「ライラにお手上げ」以降のスランプ引きずったまま。
主演2人が皺だらけなのにバカやってて不気味な怪作!になってる淡い期待
>>続きを読む

ヨーク軍曹(1941年製作の映画)

4.0

観ててハラハラしたなぁ。戦争で人を殺すこと悩んだキリスト教信者が、殺人とは神のものを神に返すことなんだ!という理屈を捻り出すあたり。きっと戦争みたいな異常な状況下ではみんな無理矢理自己正当化して正気を>>続きを読む

ジム&アンディ(2017年製作の映画)

4.0

「マンオンザムーン」撮影時のジムキャリーの姿を捉えたドキュメンタリー。アンディカウフマンが憑依してオンオフのスイッチがなくなり、舞台裏で大暴れするジムキャリーの映像はかなり衝撃的。危険。ただひたすら孤>>続きを読む

早春(1970年製作の映画)

4.0

今夜死ぬかもしれない!働きたくない!迸る血と性のイメージで童貞を描いたとても美しい青春映画。そうだそうだ、裸の看板持って一人で暴れまわるのが童貞だった。思い出した。俺も今夜死ぬかもしれない!働きたくな>>続きを読む

ワイルド・ビル(1995年製作の映画)

3.3

まぁまぁ面白かった。ジェフブリッジスがワイルドビル役で、いつも通り(?)酒と賭博と薬に溺れる。エレンバーキンとクリスティーナアップルゲイトが可愛いので単なる偶像破壊の「ドクホリデイ」よりずっと楽しめる>>続きを読む