Pinchさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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天才画家ダリ 愛と激情の青春(2008年製作の映画)

3.8

この映画の原題は "Little Ashes" で、ロルカがダリに送った手紙の中の言葉だとのこと。映画の冒頭にその手紙の一節が登場します。字幕ではかなり省略した訳になっていて詩情が伝わらないため、誤訳>>続きを読む

ゆとりですがなにか インターナショナル(2023年製作の映画)

3.2

ドラマは時々見て興味を持っていたので、視聴してみた。タイトルの内容がどこかに飛んじゃった感じがあるかな。『不適切…』に超された向きもあるけど、笑える場面のオンパレードで、まあ、楽しくてよかった。

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何者(2016年製作の映画)

3.2

正直内容はよく覚えていないが、原作を読んだときには、どこにでもある平凡な出来事やポストを積み重ねてそれとなくうまくまとめ上げ、無言で別の何ものかを提示する力量はなかなかだと思った。映画の方は若手名優を>>続きを読む

イングランド・イズ・マイン モリッシー, はじまりの物語(2017年製作の映画)

4.2

ロキシー・ミュージック、マガジン、モット・ザ・フープル、マリアンヌ・フェイスフル、デヴィッド・ボウイ、ゲイリー・ニューマン、そしてシェイクスピアにオスカー・ワイルド。イギリス流のどぎついアイロニーとユ>>続きを読む

ラストデイズ(2005年製作の映画)

4.0

「人生が物語と違うのは悲しいわ。同じだといいのに。明確で、論理的で整っていてほしい。でも違うわ」(『気狂いピエロ』より)

彼の夭折は前もって彼の作品の中に記されていたと思う。だから極めて自然なことだ
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夫たち、妻たち(1992年製作の映画)

3.0

たぶん誰もが辿り着きたい場所には辿り着けないわけよ。俺たちの場合、たいていの人がうらやむ地位と知性の範囲内で、こんな具合にちっちゃくあがいても無駄なんじゃないか。生きている限り同じようなことが繰り返さ>>続きを読む

BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.2

スポ根ならぬジャズ根。根拠ゼロで才能、努力、幸運(と不運)の全てがそろう99.999%あり得ないサクセス・ストーリー。俺が嫌いでみんなの大好きな大谷翔平サマをはるかに超える虚偽の偶像捻出。いくら何でも>>続きを読む

惡の華(2019年製作の映画)

4.2

原作は読んでいない。アニメのドラマ(第1部)は見た。プラス映画という不十分な材料だけで言わせていただくと、総じて暗い青春漫画・映画と片付けてもかまわないが、それでも何かを確実に残す作品だと思う。

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裸のランチ(1991年製作の映画)

3.3

ウィリアムズ・バロースは昔何冊か買って読んだと思うがよく分からず、タイトルと不可思議な感触以外はほぼ記憶に残っていない。映画を見て一部のストーリーを断片的に思い出した。

この映画のベースにあるストー
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ラヴィ・ド・ボエーム(1992年製作の映画)

4.5

さまざまな出来事があっさりと進行し何気なく終わって余韻を残すカウリスマキらしい作品だね。彼にしてはモノクロームのパリが舞台でフランス語という点がやや特殊に感じられるが、困窮する芸術家くずれがうごめく背>>続きを読む

おとなの事情(2016年製作の映画)

2.8

このゲーム設定自体あり得ないので、悪夢を都合のいいように見ている感じ。人間の欲望がいかに枠にはめ難いかを小さなスケールで再確認できる映画。綺麗ごとで済ませるのではつまらないし意味もない。本当のことを知>>続きを読む

スキャンダル(2019年製作の映画)

3.8

権力というものは恐ろしい。人間は、正義に基づいて考え行動しているつもりでも、自分の身勝手な振る舞いを許す権力の方に無意識に心を引かれます。極論するならば、たとえ腐敗していても支配層の権力への憧れを否定>>続きを読む

ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000年製作の映画)

4.7

やはりラース・フォン・トリアーだった。何もそこまでしなくても…と思うものの、この作品にはそのような非難を超越する厳然たる何ものかが感じられる。彼のスタンスは、ヨーロッパの血みどろの歴史経験なくしては理>>続きを読む

王女メディア(1969年製作の映画)

2.8

何となく最後まで観た。ギリシャ悲劇においては、描かれる物理的な行動は、本物の行動を指すわけではなく、心のありようを示している。メディアは夫への復讐を遂げるため夫と自分の間にできた子供を殺害する。子の殺>>続きを読む

アルフレード アルフレード(1972年製作の映画)

3.6

これは、笑えるけれども笑えない、笑えないけれども笑えるサイコパス・コメディー。昔テレビで放送されたのを観ていくつかの場面が記憶に残っていたので、今回視聴してみました。この世の地上に天国はなく、凡俗な修>>続きを読む

白い暴動(2019年製作の映画)

3.8

『白い暴動』と言えば、労働者階級の若者が支配層によって大人しくいいように利用される状況を批判したザ・クラッシュの名曲だが、この映画の内容を正しく言い表しているのだろうか。正確には、70年代末期のイギリ>>続きを読む

ロストケア(2023年製作の映画)

4.2

「だけど僕には、これ以上何を頑張ればいいのか、分かりませんでした。このとき気づきました。この社会には穴がありているって。一度でも落ちてしまったら、この穴から簡単には抜け出せない」
「安全地帯にいるあな
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イメージの本(2018年製作の映画)

4.4

1930年生まれのゴダールは、第二次世界大戦の悲劇を直に経験している。どうしてもそこから離れられず、逃げなかった。あのようなことが実際に起こるということは、人間の劣等性の証明である。したがって、彼の映>>続きを読む

ねじ式(1998年製作の映画)

3.3

つげのいくつかの原作に忠実に作られていて、どの場面もどの台詞も見覚え聞き覚えがあるものばかり。そこは興味をそそられた。オープニングとエンディングの舞踏シーンは、人間の不可解さと浅ましさを強調しているの>>続きを読む

太陽と月に背いて(1995年製作の映画)

3.8

いつだったか覚えていないが、フランス文学の雰囲気をちょっとかじりたくて見たら引き込まれた。もう一度見ようと思い立ったが、入手不可能らしく残念だ。最後の台詞は覚えている。才能はないと分かっているので、ア>>続きを読む

CRASS:ゼア・イズ・ノー・オーソリティ・バット・ユアセルフ(2006年製作の映画)

3.8

この独自集団については、まず彼らの音楽にしっかり耳を傾けるべきだろう。"Reality Asylum"('79年シングル)における生命を賭した正面切ってのキリスト教批判、"Nagasaki Night>>続きを読む

流浪の月(2022年製作の映画)

4.2

人から目を背けられながら生きざるを得ない存在のことは誰もが知っている。目に見える外形から複雑な内面まで、さまざまなスペクトラムの規準から外れた何らかの例外が、全ての人間の中に備わっている。だから現実は>>続きを読む

ワン・プラス・ワン(1968年製作の映画)

2.8

解釈1:1968年という変革の時代に、学生運動やロック音楽などを通して若い世代が虚偽と欺瞞を暴き、意義ある新たな政治行動が確立されつつある。問題は山積し、全てが混沌の最中だが、歴史は微かな光明を手がか>>続きを読む

デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム(2022年製作の映画)

4.0

好き勝手に言わせていただくと、私にとってデビッド・ボウイとは『世界を売った男』('70年11月)から『ロウ』(’77年1月)までの約6年に及ぶ徹底した変貌ぶりそのものである。無理に無理を重ね、自己を限>>続きを読む

オテサーネク 妄想の子供(2000年製作の映画)

3.8

平凡で退屈な日常の中に民話の異様な物語が入り込む荒唐無稽なストーリー、というとミステリーやホラーの定番でしょうか。ですが、この映画には、平素の日常と物語のファンタジーが溶け合うことなく同時に進行してい>>続きを読む

ドラッグストア・カウボーイ(1989年製作の映画)

4.0

かなりの悪党っぷりだが、役者の演技や淡々としたカメラワークによって嫌悪感を感じさせない。様々な問題があり酷いこともたくさんあるが、アメリカの大らかさと良心は死に絶えていないような印象を受ける。全体的に>>続きを読む

冷たい熱帯魚(2010年製作の映画)

2.8

人間の醜悪さを突き詰めて戯画化した作品。悪を徹底する狂気を体現したでんでん氏の演技が凄い。ここまで酷くはないとしても、これ的な方、いますね、怖いね、気をつけなくちゃね。映画としてはよくできているのだろ>>続きを読む

パーマネント・バケーション(1980年製作の映画)

5.0

「全ての人間は精神的な意味でさまよえる浮浪者だ」という言説が私の根底にあります。この映画の影響は大きい。

無機的にタバコをふかす少女の前で気分よく踊る少年、檻の中で神との交信を求めて間欠的に叫び続け
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ニーチェの馬(2011年製作の映画)

5.0

これは一つの寓話だ。外的な状況は関係がない。力を持たない大多数の人間は、この親子のように、極限状態の中をかろうじて生き延びる。飲んだくれの知恵者が知的な愚痴の講釈を垂れようと、浮かれた放蕩者集団が生活>>続きを読む

ある男(2022年製作の映画)

4.0

現実としてではなく象徴として見れば、個々の行動は納得できます。こういうことはよく起こっていますよ。ずっと続く苦難から何とかして逃れようとしながら、逃れられたり引き戻されたりで、結局自分の根源は今際の際>>続きを読む

象は静かに座っている(2018年製作の映画)

4.4

最初のシュールで実存的な緊張感は、中盤にかけて徐々にストーリーの全貌が明かされるにつれて薄れていく。終盤では、人間存在の根本に近づく深い感覚を表現し切れなかったのではないか。それでも、その入口に立った>>続きを読む

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