あらゆる設定が映画として存分に活かされている。凶悪なヒッチ・ハイカーとそれに巻き込まれた男2人との、車外での距離を置いた対峙と、それを切り取る構図の見事さ。距離があるからこそ生じる、投げることによる物>>続きを読む
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原作は未読。
冒頭、久保史緒里演じる幽霊のセリフがいかにも「設定の説明」という感じで、悪戯っぽさも含めてどこかノギザカスキッツ(深夜のコント番組)のような感触もあり、映画としてこれが続くとなると、9>>続きを読む
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明確に苦手な映画だった。特に音楽の使い方。単純に音量が大きくてうるさいというのに留まらず、ストリングスや挿入歌によって、紙と筆とが擦れ合う音や妹の留守電の声をかき消してしまう節操のなさに唖然とする。ま>>続きを読む
結婚パーティー襲撃の演出や市民を次々と虐殺していく演出が、簡潔ながら見応えある。むしろ全てが簡潔であるが故の残酷さがある。
新たな秩序に虐げられる人々の歩行シーンを多めに見せる代わりに、裕福で、ある>>続きを読む
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活劇らしくショットガンであっさり相手を殺害するお爺さんと、ホラーらしくグロテスクに相手を殺害するお婆さん。これは彼ら自身の死に方も規定している。ぼくは映画にあっては前者の方が好みなのだとわかった。>>続きを読む
ケリー・ライカート『リバー・オブ・グラス』にも通じるような停滞感を持った逃避行。バーバラ・ローデンの演出力の高さを感じる。自身が演じるワンダへの演出については時間を置いてゆっくり言葉を連ねたいが、行動>>続きを読む
ゴダールの身のこなし、台詞回しや声の良さが際立っていて面白い。もっと活躍場面が観たかった!という欲望、というより我儘を反映させて3.9
ただお話を効率よく前に進めることしか考えていないような面白味のない編集の連続に耐えきれなかった。ここに物音の少なさや小道具の少なさ(ミニマルさ)という要素が映画を単線的にするのに加担してしまっていて、>>続きを読む
2度目の悲劇は喜劇だと言わんばかりに、カラオケに合わせて木村文乃が大袈裟に体を揺らしてみせるところはグッときた。
よかったけど、敵のボスのショーン・ペンがボンクラすぎるのと、車で体を引きちぎったりドリルで顔面を抉ったりとシンプルに「趣味悪いな」と思ってしまったのがマイナスポイント
『ファーザー』を思わせるような、認知症の母親視点のループや幻覚や記憶飛びの描写は面白く観たが、これを中心に多用される長回しで成果が上がっているのは半分あるかどうかといったところ。震災後の荒れ果てた街を>>続きを読む
登場人物をあっさり退場させてしまう手際は悪くなかったが、後から「こいつは、実はこういうやつだった」「ここの場面は、実はこうなっていた」という説明や伏線回収をいちいち映像で挿し込んでくるのが野暮ったい。>>続きを読む