atsukiさんの映画レビュー・感想・評価 - 16ページ目

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彼女がその名を知らない鳥たち(2017年製作の映画)

3.7

能無し、種無しと呼ばれる男とイケメンが集るクレーマー女の夫婦。過去のある事件と崩れそうな今、そして未来を手にしようと再び起こる愛憎劇。その果てで、彼女がその名を知らない鳥が飛び立つ時に、体では満たされ>>続きを読む

ローガン・ラッキー(2017年製作の映画)

3.8

SNS時代のダメ家族たちが強盗を通じて、心の故郷へ帰るケイパーもの。故に馬鹿なくせにカッコつける感じ、ダサい。とてもダサい。だが、それが良い。娘が歌う「カントリーロード」が悪運も、呪いも、はたや犯罪さ>>続きを読む

ホーリー・マウンテン(1973年製作の映画)

4.8

負け犬が聖なる山を目指すべく、修行を行う冒険譚。クズ以下の人間たちが9人も集まり、広げられるのは、映画なら糞便もが黄金になり得るが、それよりも黄金が糞便にも等しい現実世界で生きろという心の地図。ホーリ>>続きを読む

エル・トポ(1970年製作の映画)

4.1

ホドロフスキーの自伝と宗教と哲学を組み込んだエロティックな血みどろマカロニウエスタンは、復活と親子の継承物語。幻覚や超自然的現象が何事もなく現実に凱旋するからこそ分かりづらいが、分かりやすい必要もない>>続きを読む

マイティ・ソー バトルロイヤル(2017年製作の映画)

3.9

フェイズ3の先鋒『シビル・ウォー』なんてなんのその、タイカ・ワイティティというドラッグをキメたMCU最新作は怪物たちと送る神々の兄弟喧嘩。祖国の危機だってのにチンコに、アナルに、乱交パーティに、移民の>>続きを読む

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。(2017年製作の映画)

4.1

地に足がつかず、人生を浮き迷う負け犬たちを下水道の底まで引きずり下ろしてくれる優しいピエロとの死闘。恐怖と痛みが活力となり、通過儀礼を終える事により細胞レベルで繋がる彼らの姿に感動。オタクの知識がヒロ>>続きを読む

シンクロナイズドモンスター(2016年製作の映画)

4.0

ダメウーマンの自分探しを兼ねた里帰りは、男女のドロドロ愛憎劇からパシフィックリムにまで。ボンクラから吐き出された内なるモンスターだって、自らの非を認めシンクロすればヒーローにだってなれる。過去の追憶と>>続きを読む

2048:ノーウェア・トゥー・ラン(2017年製作の映画)

-

2049の1年前、ある男は悶える。ひとしきりに顔を洗い、ある少女に本を手渡す。おもむろに歩き始め、店主に生物を売る。値切りも虚しく店を出ると、少女への暴行を目撃する。憤怒し軽々殺うと、その場を立ち去る>>続きを読む

2036:ネクサス・ドーン(2017年製作の映画)

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ブラックアウト後の世界、レプリカント禁止法が制定されてる中で盲目の男がレプリカントの安全性を見せ、「ここで下される決定は、世界の命運を左右する」と放つ。

鮮血の走る美しさと会議の禍々しさ。ウォレス社
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バリー・シール/アメリカをはめた男(2016年製作の映画)

3.6

破茶滅茶なトムが破茶滅茶なアメリカをはめる小気味良さ。麻薬と銃の密輸商売から州警察、麻薬王、DEA、ATF、FBIを欺き、溢れんばかりの笑顔で金儲け。置き所が無いほどの札束に埋もれながら純白のケツを出>>続きを読む

魔術師(1958年製作の映画)

4.6

魔術師(自称)一座がある町の領事邸に招待され、翌朝に出し物を披露して欲しいと頼まれる。それまでの夜中、開かれた食事の席では突如媚薬パティーが始まる。高まる性欲がお互いを誘惑し合いながら迎える朝。嘘だと>>続きを読む

処女の泉(1960年製作の映画)

4.4

敬虔で無垢なキリスト教徒の少女を強姦し殺害した3人の男達と娘の悲劇を知った父親が、恥辱と復讐の中で神の沈黙から湧き出る処女の泉に出会うまでを描く。言い方は悪いがレイプシークエンスの情景の美しさや無音の>>続きを読む

野いちご(1957年製作の映画)

4.5

ある老医師が義理の娘と授与式へと車で向かう道中に、三角関係に揺れる若者達や喧嘩の絶えない夫婦と出会い、また故郷の別荘と母を訪ねながら自らの半生を辿る内に夢と現実が曖昧になって行くロードムービー。

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不良少女モニカ(1952年製作の映画)

4.3

不良少女のモニカと怠慢で純情なハリーは正反対のお互いに惹かれ合い、駆け落ちをする。家族や仕事、そして社会からドロップアウトし、ボートを住処とする2人だけの島暮らし生活を始める。

手触りはヌーヴェルヴ
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夏の遊び(1951年製作の映画)

4.2

酷い臭いだ。今やおばさん扱いされるバレリーナのマリーは仕事か、結婚か、と選択を迫られ、人生の岐路に立っている。選手生命も短い中で燃え切るか、はたや手放し安泰を望むか。故にその臭いとはマリーの煮え切らな>>続きを読む

惑星ソラリス(1972年製作の映画)

4.6

「ソラリスの水はイメージを物質化する」という設定とタルコフスキー印の水表現が溢れ出し、水が持つ象徴性、つまり生と死の匂いからその人が持つトラウマよろしく、心の奥底にある闇を浮き彫りにする。

心の闇を
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猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)(2017年製作の映画)

4.3

コバの反乱から共存を望む筈のシーザーは人間と決別しざるを得ない状況どころか、報復を恐れる一部の猿は人間側につき、両者の溝は深まる一方。更には人間側の隊長がシーザーの家族を殺し、そこから猿が人間を、人間>>続きを読む

マルホランド・ドライブ(2001年製作の映画)

5.0

"願う夢はそう簡単には叶わないが、見る夢は現実では渇くしかない心を潤してくれる"という悪夢的祝福。

アンドレイ・ルブリョフ 動乱そして沈黙(第一部) 試練そして復活(第二部)(1969年製作の映画)

3.3

ロシアの最も優れたイコン画家アンドレイ・ルブリョフの苦悩と模索を、もっと端的に言えば「画家が絵を描くまで」を3時間強かけて描き切る。故に構成の複雑さや冗長さは否めず、決して出来が良いとは言い難い。それ>>続きを読む

僕の村は戦場だった(1962年製作の映画)

4.1

戦争に家族を殺された少年が、戦争に復讐を誓い、ただ憎しみに支配されながら1人偵察行動を続ける。戦争映画でありながら直接的な残酷描写がないどころか、美しい自然美や抒情詩的な回想シーンなど芸術的な仕上がり>>続きを読む

ローラーとバイオリン(1960年製作の映画)

4.5

音楽学校に通う少年とローラーで整地作業をしている青年との1日限りの友情。タルコフスキー印の廃墟、鏡、水の描写からなる美しさは大学卒業制作の処女作とは思えない。学校の待合室、ローラーの運転、バイオリンの>>続きを読む

猿の惑星:新世紀(ライジング)(2014年製作の映画)

4.2

ウイルスの蔓延で人間はほぼ死滅。一方、猿は反乱から驚異的な進化を見せていた。前作から10年、人間と猿の「世界」は分断され、出会う事も無かった。しかし、人間の業、猿の業が交わり、奇しくも争い合う事となる>>続きを読む

最後の猿の惑星(1973年製作の映画)

3.2

「シーザーって凄い奴」と説く歴史の授業。子煩悩過ぎて前が見えなくなったりもするが、周りの英断をまとめる指揮能力は素晴らしい。言葉を話せる猿という人類と類人猿の架け橋であるシーザーが「最後の」へ導く様は>>続きを読む

猿の惑星・征服(1972年製作の映画)

3.2

前作で「なぜ猿は進化したのか?」についてコーネリアスが話していた「犬と猫が絶滅し、猿をペットとして飼い始めた事で…」を映像化。それ以上でもそれ以下でも無く、予定調和でコーネリアスの言葉そのまま。ペット>>続きを読む

新・猿の惑星(1971年製作の映画)

3.5

人間と猿の逆転世界を描いた1作目のある種逆転焼き直し。ミュータントvsゴリラの戦争を終結させるべく起こしたタイラーの核爆発により地球は滅んだが、直前に逃げ出したコーネリアスとジーラは爆発の衝撃で200>>続きを読む

猿の惑星(1968年製作の映画)

4.4

猿が馬に乗り、銃を構え、人間を捕らえる。それどころか言葉を話し、宗教を教え、文明を築いているという衝撃。だってパンくんが志村けんを飼っているのと同じだから。

進化した猿が原始的に退化した人間を檻に入
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ブラック・スワン(2010年製作の映画)

4.7

夢破れた母親の歪んだ愛情と期待、そして過干渉。抑圧された娘ニナの自己破壊により、失われていた形式的な青春を爆発的に追体験する。そうする事で内なる魔境の扉は開き、彼女が発狂するその時に「向こう側」へとた>>続きを読む

パーフェクト・レボリューション(2017年製作の映画)

4.2

不完全な者同士の完全なる革命。ありのままの自分で、誰を愛することだって出来る。幸せに障害なんてない。幸せはセックスの気持ち良さで決まるんだから。障害という重い題材ながらもポップでエッチでファンタジック>>続きを読む

ポルト(2016年製作の映画)

4.0

ポルト。異国の地で出会ったある男女による一夜限りの儚くも情熱的な愛の物語。過去と未来が交錯しながら心で繋がり合い、体で感じ合い、それらは運命となって愛し合う。しかし、ある思い違いから行き着く先はゴダー>>続きを読む

僕のワンダフル・ライフ(2017年製作の映画)

4.4

命を繰り返すある一匹の犬による「人生とは何か?」という問いを軸に、夢や願い破れた者達の人生をその数奇な運命で巡る。そんな中で圧倒的な涙量と奇想天外な愉快さを食らわせてくるワンダフルな怪作。

今作は人
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ドリーム(2016年製作の映画)

4.0

人種差別と性差別により普通に仕事もさせてもらえない3人の黒人女性が、そんな壁をぶち壊す様に突き進む。それは何よりも宇宙開発に行き詰まった国を救うほどの力となるのだ。

だからこそ人種と性別で劣っている
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白い酋長(1951年製作の映画)

3.8

新婚旅行で最大の夫婦喧嘩?!

新婚旅行で訪れたローマ。新郎の家族と法王訪問と観光、食事会などを計画していたが、新婦は密かにある映画の「白い酋長」という役者に会おうとしていた。

10分で終わるはずの
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小間使の日記(1963年製作の映画)

3.6

都会から田舎へ小間使いとしてやって来たセレスティーヌ。典型的なブルジョワ一家の元で働き始めるが次第に嫌気がさしてくる。そんな中で起こる殺人事件の真相に好奇心を抱いてく。

ジャンヌ・モロー演じるセレス
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この庭に死す(1956年製作の映画)

3.5

【善悪に問う密林サバイバル】

善である者が悪とみなされ、善であるべき者は悪となり、悪である者は善になってしまう世界。

そんな世界から逃げ出す様に「ここではないどこか」を目指す5人。しかし、その道中
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プロメテウス(2012年製作の映画)

4.2

【創造主への答え】

『エイリアン』前日譚の裏には人類の起源よろしく、それらに狂わされた者達の「親探し」と「親殺し」の物語があった。

探究心と陰謀、ドロップアウトした科学者一行と共に数多の宗教と神話
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エイリアン4 完全版(1997年製作の映画)

3.3

【悲壮溢れる帰郷】

『アメリ』のジャン=ピエール・ジュネらしい独創的なビジュアルセンスからシリーズの中でも非常にお洒落(グロテスク)な作風である。

プロットは『エイリアン』の質以下、『エイリアン2
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