atsukiさんの映画レビュー・感想・評価 - 12ページ目

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永遠に君を愛す(2009年製作の映画)

4.0

私にとってのあなたというのには、他人よりも好意がある。しかし、その好意、または好きって何だろう。どれくらいの好きなんだろう。誠一さん?誠一?誠ちゃん?分からない。好意があったって喧嘩はする。そんな日に>>続きを読む

不気味なものの肌に触れる(2013年製作の映画)

4.0

私が水で、あなたは魚。もしくは私が魚で、あなたは水。魚にとっての水、もしくは水にとっての魚は不気味なものでしかない。しかし、触れ合ってしまえば、魚は水で泳げることに気付き、むしろ水がなければ、魚は生き>>続きを読む

THE DEPTHS(2010年製作の映画)

3.5

新郎新婦の別離から始まって、題材が理由でもあるけど、数十分もすれば映画から女性が消える。だから血縁よりも”深い”恩義に重点が置かれるのか。石田法嗣を中心とした眼差し。被写体とカメラ。映画はもちろん、写>>続きを読む

PASSION(2008年製作の映画)

5.0

みんな「私」だけど、わたしの私とあなたの私は何が違うのか。私にはアタマとココロとカラダがあって、わたしとあなたではそれぞれ違う。もしも、ひとつでも共有できれば、わたしとあなたは同じになれるかもしれない>>続きを読む

アメリカの影(1959年製作の映画)

4.0

カサヴェテスの処女作だけど、ベンが影に飲まれて、夜に消えてく姿を見ていると、物語構成的にカサヴェテスっぽくないのかなと思った。つまり、回帰じゃなくて、逃避してる。女を引っ掛け続けることなく、恋人をつく>>続きを読む

やくたたず(2010年製作の映画)

4.0

多種多様な形の通過儀礼がある中で、”アルバイト”という普遍的すぎる題材でそれを魅せ切ったのは良かった。誰だって役に立ちたいけど、立ち方が分からなくて、結局やくたたず。車を追って、奪われ、探して、地に足>>続きを読む

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

4.0

ブライアン・シンガーのクオリティが効いてる。丁度いい気怠さ。時系列転換による事実改竄の件さえも、らしさに感じてしまう。だからアーロン・ソーキンなんかに任せたら気持ち良すぎると思う。そこがライヴエイドの>>続きを読む

ヴェノム(2018年製作の映画)

3.5

ちゃんとルーベン・フライシャーの映画。つまり、ダークヒーローものじゃなくて、しっかりブロマンス的なバディものになってる。だからコメディなんだけど、悪っぽさも残したいのか、どっちつかずな感じ。それならも>>続きを読む

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

4.0

史実であるのは承知の上、痛風ババアの介護ラブコメディとでも言おうか。政治的駆け引きの中で、三角関係が縺れて、地位争いのワンスアゲイン。老いぼれには一生懸命のクンニを。青二才には適当な手コキを。糞まみれ>>続きを読む

リトアニアへの旅の追憶(1972年製作の映画)

4.0

リトアニア人は2人集まると歌うと言ってみんな輪になるんだけど、ママとネコは離れたところで日向ぼっこしてる。可愛い。そうじゃなくて、母親の仕事は終わらないからだし、恐らくそんな元気も気力もないように見え>>続きを読む

第三世代(1979年製作の映画)

4.0

男子トイレに落書きされた文句、会話、名言、詩をファスビンダーが掬い上げる。開放的でありながらも、排他的な「個室」からの叫び。しかし、そんな感性表現ではその程度でしかないだろう。それは、まさに第三世代と>>続きを読む

13回の新月のある年に(1978年製作の映画)

4.0

人生は素晴らしい。ただ居場所がない。求めるものも、求められるものも、全てを失ってしまったら、なす術もなく破滅してしまうのだろう。アルミン・マイアーの自殺がどれほどの要因を齎したのかは分からないけど、フ>>続きを読む

search/サーチ(2018年製作の映画)

4.0

インターネットは端的に言えば、言いたいことを言える場所だと思う。でもリアルでは言ったほうが良い事と言わないほうが良い事があったりして、だからこそ言いたいことを言い過ぎて炎上するということがある。そこに>>続きを読む

バッド・ジーニアス 危険な天才たち(2017年製作の映画)

4.0

小生『エリーゼのために』は弾けた。円周率も30桁まで覚えてた。あとはカンニングをすれば、ビジネスになったのか。そうじゃない。タイ風味のフィンチャーとソダーバーグ炒めみたいな感じ。異常な頭の良さとか、過>>続きを読む

グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

5.0

シュテファン・ツヴァイクの悲嘆をウェス・アンダーソンがいわゆる「オシャレ」に包み込んでくれた。グスタヴとゼロのグランド・ブダペスト・ホテル、その本の著者、それを愛読する少女、そして鑑賞する我々。つまり>>続きを読む

テルマ(2017年製作の映画)

1.0

ハリウッドリメイクされるくらいには良く出来てると思うし、あと20〜30分くらい短ければ好きかもしれない。ただ、あのテルマの能力で青春を語って欲しくないね。抑圧的な家族や宗教的な問題があるにせよ、それは>>続きを読む

赤い影(1973年製作の映画)

4.0

目で見たり、触れて感じたりすることのできない未知への恐怖。しかし、それよりもオカルトなのは夫婦。だってある男女が法律や愛、または凹に凸を挿れるというセックスによって、繋がりを持とうなんておかしいよ。あ>>続きを読む

ここは退屈迎えに来て(2018年製作の映画)

2.5

あの頃、世界は小さかったのかもしれない。近所に全てがあった。それでも自転車に乗れるようになって、電車に乗れるようになって、車に乗れるようになって、世界を広げていったけど、そうして何かを知るほどに、何か>>続きを読む

美しき冒険旅行(1971年製作の映画)

4.0

少女と弟、アボリジニの少年は言葉が通じずとも、荒野を歩き回り、一糸まとわぬ姿で泳ぐことだけで通じ合えた。なのに、いや、だからこそ求愛のダンスは分かり得ない。もう悲しいよ。それが野生と文明、言葉の違いな>>続きを読む

エンジェル、見えない恋人(2016年製作の映画)

4.0

マドレーヌがエクスタシーを迎えた時のカットが、フランチェスカ・ウッドマンの『天使になることについて』みたいだったからロザリンド・E・クラウスの言葉を借りるけど、「存在しないものを撮影せよ、という課題を>>続きを読む

ピクニックatハンギング・ロック(1975年製作の映画)

5.0

ミランダがエドガー・アラン・ポーの詩を詠む。「見えるものも、私達の姿も、ただの夢。夢の中の夢…」と。しかし、誰が夢見人なのか?ピクニックが解離になってしまったのは分かるが、どうしてミランダはセイラに対>>続きを読む

ルイスと不思議の時計(2018年製作の映画)

4.0

両親を亡くしたルイス。いわゆる『ミツバチのささやき』系譜のように、孤独な少年少女がファンタジーに救われていく物語になるかと思えば、周りにはちゃんとおかしな人間がいる。怪物よりも厄介。とは言いつつも魔法>>続きを読む

バーバラと心の巨人(2017年製作の映画)

3.5

俺はTボーンステーキを食う。だからバーバラはコヴェルスキーを抜け。そして、一緒に大人になろう。

クローズ・アップ(1990年製作の映画)

4.5

「偽物」のモフセン・マフマルバフのいわゆる承認欲求のために演じるということは身につまされるんだけど、それより「本物」のモフセン・マフマルバフの話をしてみると、彼は元・テロリストとして下獄した後、映画監>>続きを読む

チャイニーズ・ブッキーを殺した男(1976年製作の映画)

4.5

デヴィッド・リンチはLAのストリップクラブでよくおっぱいを見ながら脚本を書いているらしい。反面、そう語る園子温はおっぱいに貪りついてるだけだったらしい。「本当に幸せな人間というのは気楽になれた人間だ」>>続きを読む

こわれゆく女(1974年製作の映画)

5.0

ミシェル・フーコーの言うように、精神病者という概念が生まれたのは精神病院ができたからだと思う。中世では、いわゆるフールな人を差別せず、区別せず、むしろ神のあたえた一種の贈り物として迎えられたそう。精神>>続きを読む

オープニング・ナイト(1978年製作の映画)

5.0

老いとは”できていたことが、できなくなった”過程のこと、若さとは”できなかったことが、できていく”過程のことだと思う。経験と喪失。つまり、老いは若さがあってこそ起こるもの。だから見方を変えれば、老いに>>続きを読む

日日是好日(2018年製作の映画)

3.5

大森立嗣はオールタイムベストに挙げてるし、好きなのは分かるけど、フェリーニの『道』と「日日是好日」という言葉はかけ離れすぎじゃないかな?ザンパノは聴こえてきたメロディで後悔するのに、典子は五感を使って>>続きを読む

あの頃、君を追いかけた(2018年製作の映画)

3.5

教科書やプリントの貸し借りが恋の始まりというのは原体験としてあるし、なぜかってのを考えてみるとシェイクスピアの手紙の機能と同じなのかな、と思っておく。小生、8年越しに好きな子と両想いだったということを>>続きを読む

イコライザー2(2018年製作の映画)

4.5

どうしてそんな目で見ているのか。19秒で全てを見通すように…。だからどれだけ名著を読んだって、その中に真実は見つけられないと思う。それでも、それがどうかは分からないけど、自己言及的に少年を見守るのか。>>続きを読む

クワイエット・プレイス(2018年製作の映画)

4.5

盲目の怪物と聾の少女が対峙するという静けさと叫び。それは音響心理学にも繋がると思うけど、エミリー・ブラントのフランシス・ベーコン的な叫びが取り憑いた出産で絶頂に達する。妊娠というもの自体が終末による生>>続きを読む

わたしたちの家(2017年製作の映画)

5.0

清原惟の「自分の人生は手術中の大人の女の人が麻酔で昏睡しているときに見ている夢なんじゃないか」という妄想だけで好き。だから逆説的に、世界や存在の不確定さへの答えが”他人の夢を見たい”というフェティシズ>>続きを読む

友だちの恋人(1987年製作の映画)

4.0

六次の隔たり。セルジーの都市とカップルの衣服。青と緑。空/湖と木々。人物と自然の呼応。つまり、あのように一堂に会するのが恣意的であるからこそ、何もかも思ってやるものでもない。夕暮れで涙を流してしまうよ>>続きを読む

ザ・プレデター(2018年製作の映画)

2.5

シェーン・ブラックの映画としては満点なのかなぁ…?アンチヒーロー的なね。宇多丸さんの言葉を借りれば、”とてつもなくバイオレントな事態にも、どこか不謹慎なユーモアが漂う”あるいは”凸凹コンビが、激しい戦>>続きを読む

愛しのアイリーン(2018年製作の映画)

4.5

ロバート・ミッチャムがペニスの代わりにナイフを突きつけてたのを考えると、安田顕はナイフで”アイリーン”と刻むのか。おまんごしたくてたまらなくて、したらしたで悲しくて、それが性欲なのか愛情なのかも分から>>続きを読む