KSatさんの映画レビュー・感想・評価 - 31ページ目

ロープ(1948年製作の映画)

4.3

絶対「バードマン」より凄いよ。気付くと夜になってるもん。

クリスマスの伝説 4人の若き王子たち(2015年製作の映画)

2.2

ドイツの精神病院を舞台に、クリスマスを過ごす4人の若者。
普段は心を閉ざした登場人物たちが、「森」に入った途端、己について語り始める、というのがいかにもドイツ。

登場人物の心理的な変化が映像的にも物
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花火(1947年製作の映画)

3.5

初っ端から勃起のイメージの連続で、なかなかホモセクシャルな内容だなあ、と思って観ていると、途中からは割かし直接的な、同性愛とかを超えた描写が出てきて、今観てもかなりショッキング。
クリスマスツリーやア
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隣人(1952年製作の映画)

4.3

可愛らしい色遣い。だが、実はかなりブラックな国境問題の噺。

でも実際はそんなことはどうでも良く、空中浮遊したり、寝転がりながら進む人物のアニメ表現がとにかく楽しい!定期的に観たくなる名作。

ベニスに死す(1971年製作の映画)

4.2

マーラーのアダージェット、ビョルン・アンドレセンの美貌、ヴェニスの景観で成り立つ、美の具現化を追求した耽美映画だが、ここまで観ていて叙述が頭に浮かぶ映画もない。

文学的な映画の最たる例。

荒野の用心棒(1964年製作の映画)

3.7

一つの街で対立する二大勢力を一人でやっつけるイーストウッド。

改めて観ると結構低予算だし地味だが、シネスコを生かした遠近感ある構図や馬に乗ったPOV、焦らしの演出とかはやっぱりカッコイイ。
酒場の親
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夕陽のガンマン(1965年製作の映画)

4.2

言わずと知れたセルジオ・レオーネの名作。恥ずかしながら初見。セルジオ・コルブッチの「続・荒野の用心棒」ではなく、本作が「荒野の用心棒」の続編であることは言うまでもない。

前作ではイーストウッドが独り
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按摩と女(1938年製作の映画)

4.6

まず、最初の二人の按摩が歩く移動ショットが既に面白い。画面のこちら側にいる子ども達や学生を見つめて言及し、やがてそれが画面に現れる。その隙のない動き、画のサイズが少し変わることによるリズムなど、のんび>>続きを読む

失われた週末(1945年製作の映画)

3.8

アル中の怖さを描いた映画だが、観てるとマジでウイスキー呑みたくなる。

ドレミファ娘の血は騒ぐ(1985年製作の映画)

3.1

♪なんて素晴らしいの~ 二人のロマンス~
慎ましく淑やかな~ あこがれの恋よ~
ときめくあの人の~ たくましい胸を~
君は触れ~もせ~ず 求めも~せ~ず~


完全にゴダール大好き。プリミチヴでありな
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ダゲレオタイプの女(2016年製作の映画)

3.0

亡きものに対する執着と生死の境の曖昧さを描くのは、黒沢清の一貫したテーマだ。オリヴィエ・グルメの亡き妻への執着は、やがてダゲレオタイプに向かい、屋敷に向かう。

風、揺れるカーテン、ドアの開閉、明滅す
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回路(2000年製作の映画)

3.2

加藤晴彦や小雪をまだよく見かけた頃、パソコンを買ってネットに繋げるのに何時間もかかった時代に、ネットの世界をホラーに結びつけた映画の一例。

一見難解なホラー映画だが、根本にあるのは人とのつながりを求
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修羅(1971年製作の映画)

4.5

大学一回生の時、鈴木達夫の研究をしていて、その過程で観た、鶴屋南北の歌舞伎を原作にした復讐譚。

尋常じゃない墨のような黒の映える画面はおどろおどろしく、クライマックスの大殺戮は目を疑うレベルでとんで
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狂った一頁(1926年製作の映画)

3.7

脳病院を舞台に展開される、日本初のアングラ映画。

この手の映画の話題になると、まず「アンダルシアの犬」が筆頭に上がるが、本作はその二年前に作られているし、当然ながらもっと映画としてしっかりと作られて
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アクトレス 女たちの舞台(2014年製作の映画)

4.0

壮年期の女優から期待の(?)新人スターへの世代交代、という、一見「イヴの総て」のような切なさを孕んだプロットである。しかし、アルプス広がるスイスの絶景の下での、秘書との劇中劇の台詞の応酬が、やがて主人>>続きを読む

アタラント号(1934年製作の映画)

4.7

ジャン・ヴィゴの早すぎる遺作であり、フランス映画史上の最高傑作のひとつ。

川を流れゆく男女の愛、というと、アポリネールの「ミラボー橋」かと思うが、そんな事は断じてない。

なぜなら、彼らのすぐ傍らに
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(1997年製作の映画)

5.0

とんでもないものを観てしまった。

台詞は一切なく、物語性を完全に排し、キャメラはほぼ屋敷の中から出ることなく、そこで彷徨い、食し、眠り、奏で、蠢く人々や動物達をとらえる。

でありながらそれは、これ
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スワロウテイル(1996年製作の映画)

3.3

ナショナリティと貨幣経済の終焉を描いた、まさに「世紀末」なこの映画は、岩井俊二嫌いな人からも評価されがちだ。

フィリピンやインド、マレーシアなどの旧植民地のアジア諸国では、英語と現地語を混ぜた会話を
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クラウド アトラス(2012年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

おそらく、かなり賛否両論分かれるだろうが、自分は擁護派。大学入学直前に映画館で観て、興奮したのを覚えてる。

・19世紀半ばの波乱に満ちた航海譚
・1930年代英国の青年二人の恋と名曲誕生秘話
・70
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DEMONLOVER デーモンラヴァー(2002年製作の映画)

1.7

日本の変態アニメ会社を買収しようとするフランスの企業に所属する女産業スパイが、スナッフやSMを扱うサイトの存在を知り、罠にハマっていく、という、ギャスパー・ノエもビックリな、キワモノとしか言いようがな>>続きを読む

アンナ・マグダレーナ・バッハの日記(1967年製作の映画)

3.9

音楽を主題としていて、ミサ曲や室内楽を様々な室内で演奏している様を映しただけにも関わらず、「コンサート映像」などには決してならないことが凄い。

人物の配置は常に完全であり、動いていないように見えて間
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幕末太陽傳(1957年製作の映画)

4.0

日本映画史の名作と呼ぶのは極端だと思うが、あらゆる落語を素に、噺に噺を重ね連ねた、贅沢すぎる人情時代劇。

何やら行く先わからぬ幕末が舞台なのに、そんな不安はどこへやら。フランキー堺は、心中騒動に駆け
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バッシング(2005年製作の映画)

2.1

中東での人質事件の被害者だった女性が帰国後、家族共々バッシングを受ける姿。

問題提起を目的とした社会派映画であることは間違いない。

しかし、主人公が中東でボランティアをする理由が、他者への思いやり
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渚のシンドバッド(1995年製作の映画)

4.3

同性愛の男子高生とストレートの男子高生、レイプされた過去のある女子高生の三角関係。

こう書くとドロドロした、暗い映画のようだが、橋口亮輔はそれを、この上なく爽やかに描いてしまう。

この人の映画は、
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TATTOO「刺青」あり(1982年製作の映画)

2.1

言わずと知れた三菱銀行人質事件を題材にした映画だが、肝心の銀行内の立てこもり場面は皆無。なので、アクションには期待出来ない。

つまり、凶行に至る経緯とその後だけを描いているわけだが、高橋恵子とのロマ
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夏時間の庭(2008年製作の映画)

3.6

子どもたちが庭を走り回る場面から始まる、どこか印象派のような本作は、ある意味、「東京物語」に対する回答のようでもある。

「東京物語」では老いた側である両親が東京にいる子供たちに「会いに行く」ところか
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美しい星(2017年製作の映画)

4.0

まず、言いたい。

よ く 企 画 通 っ た な

核家族における希薄な関係性を太陽系にまで広げ、環境問題を絡めつつ好き放題やりまくっている。まず間違いなくヒットはしないだろうが、昨今の日本映画界の
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パーソナル・ショッパー(2016年製作の映画)

4.1

同じクリステン・スチュアート出てる映画で「カフェ・ソサエティ」と観るの迷って朝安映画を映画館で観たことないなあと思ってこっちにしたのだが、良い選択だった。

とにかく、終始漂う不穏さがハンパじゃない。
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川の底からこんにちは(2009年製作の映画)

3.5

腸内洗浄される満島ひかりが観れますよ〜

良くも悪くも泥っ臭い人間讃歌。面白いんだけど、人間的な熱さがない冷めきった人たちが無理矢理熱くなっていく様は、観ていてしんどい。「頑張る」っていう言葉の安さが
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ぼくたちの家族(2013年製作の映画)

3.5

だいぶ前に観た。

ところどころに笑いを孕ませながら、再生していく家族。災難と好機がテンポ良く配置されているため、かなり悲惨な噺なのに、後半はジブリみたいな爽快感がある。良くも悪くも丁寧な映画。アップ
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猫の恩返し(2002年製作の映画)

3.5

なんか確か高校の時に映像学かなんかの授業で観たんだが、結構面白かった記憶がある。
パヤオじゃなくてもジブリやっていけるじゃん、って思った。

タイム・リミットは午後3時(1987年製作の映画)

3.9

たまたま覗いてみた大学の授業で流れてたんだが、めちゃめちゃ面白い!

しょうもない事から転校生の不良に言いがかりを付けられ、昼の3時に決闘を申し込まれた冴えない高校生の一日。

ジョン・ヒューズ的な8
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カフカ 田舎医者(2007年製作の映画)

4.1

いかにもカフカって感じの内容だが、グニャグニャしたデッサンや死人のようなキャラクター、得体の知れぬモチーフなど、アニメらしい表現が、もはやシュルレアリスムの域。

狂言とカフカの融合ってのが、欧米受け
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愛の予感(2007年製作の映画)

2.5

ロカルノ映画祭でグランプリを獲った割には知られていない作品。

小林政広監督の映画は初めて観たのだが、毎回こんななの?

「繰り返される日常」なんていうとちょっとわくわくしたりするものだが、この映画に
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ねこぢる草(2000年製作の映画)

4.0

あまりアニメは観ない方なのだが、これは凄い。わずか30分ばかりだが、まるで三時間を超えるかのような時間感覚。

内容の不条理さは押井守の「天使のたまご」に匹敵するレベルだが、あちらがあくまで世界観の構
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