beachboss114さんの映画レビュー・感想・評価 - 19ページ目

ファイティング・ダディ 怒りの除雪車(2014年製作の映画)

5.0

こんな副題つけられたら、チャック・ノリス的な野獣性やセガール的な沈黙を期待してしまうではないか!

「怒り」で、しかも「除雪車」って(笑)。てっきり、脳ミソ筋肉系のド派手でバカバカしい展開だと思ってい
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殺しの分け前/ポイント・ブランク(1967年製作の映画)

4.0

ベタの神様、リー・マーヴィン師匠で、このアバンギャルドな作りは意外。

絵になる構図や立ち居振舞いのカッコ良さだけで最後まで魅せるが、基本的にヘンテコ映画なので、万人にはお薦めできない。

敢えてジャ
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マージン・コール(2011年製作の映画)

5.0

リーマン・ショックの当日、リーマン内部のトレーダーや経営陣の攻防戦を描いた佳作。ナショナルシアターライブの「リーマン・トリロジー」を見た勢いで久々に観直したら、理解度が一層深まった。

金融取引に馴染
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素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店(2015年製作の映画)

5.0

心優しきブラックコメディ。全体としてイヤミがなくて温かいから、多少のトゲも微笑ましく感じられる。バカバカしい設定ながらも気品があり、ほぼ全編モーツァルトやヴィヴァルディやバロック音楽の調べに乗せて展開>>続きを読む

ナショナル・シアター・ライヴ 2020 「リーマン・トリロジー」(2019年製作の映画)

5.0

実験的精神にあふれ、想像力を刺激する展開は、舞台ならではの醍醐味。

ユダヤの金融一族のダイナスティ。その勃興から没落までの150年間を、たった3人の役者だけで演じ分ける面白さ。まるで、目には見えない
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12人の怒れる男(2007年製作の映画)

5.0

「かの名作をロシア版でリメイクした」というより、「現代ロシアの抱える宿痾を炙り出すために活用した」と捉えるべき。

劇中で停電した際の「電球は新しく変えたんですけど、配電盤がイカレてて」というセリフに
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結界の男(2013年製作の映画)

5.0

漁業組合(=ヤクザ)や霊媒師の社会的地位など、ご当地の基礎知識がない分、前半はかなり置いてけぼりを食らうので、途中で見るのを止めようかと思ったほどだったが、取調室の一件の後、唇を腫らして出てきた辺りか>>続きを読む

ハスラーズ(2019年製作の映画)

-

全く感情移入できず、全く以て共感できない映画だった。何ら正当性のない犯罪を擁護して同情を引こうとする作り手たちの姿勢に、ひたすら虫酸が走る。

ウォール街のスケベ親父たちが自業自得なのは当然の報いだが
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1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

5.0

身も蓋もない言い方をすれば「スプラッシュ・マウンテンに2時間乗りっぱなし」な感覚。クライマックスのダッシュはテンション上がりっぱなしで涙ダダ漏れ。

戦場においてリアリティのない偽善的なセリフを排し、
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ザ・ピーナッツバター・ファルコン(2019年製作の映画)

4.0

マーク・トウェイン的で、かつ、アメリカン・ニューシネマの無法者バディの香りがプンプンと漂ってくる前半で、一気に心奪われた。

それだけに、意外と淡白で、しまりのない後半が残念。

勝手に「スケアクロウ
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テルアビブ・オン・ファイア(2018年製作の映画)

4.0

イスラエルとパレスチナの日常生活レベルでの対立が描かれている分、ドラマとしては面白かったが、コメディとしては生ぬるかった。

ウディ・アレンみたいな洗練された展開を期待していたら、調子の悪い時の三谷幸
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アナと雪の女王2(2019年製作の映画)

4.0

面白かったし、すっげぇよくできてたので、今さらケチつけるのは無粋なんだけど、視覚的な見せ場から逆算して作ってある分、ある程度、先が読めちゃうんだよね。ダムが出てきた瞬間に「このセット、クライマックスで>>続きを読む

デッドラインU.S.A.(1952年製作の映画)

5.0

程度の差こそあれ、アメリカ映画の新聞記者モノと法廷モノにはハズレがない。この辺りの時代は特に。

勝てない相手にケンカ売るとか、潰れかけの会社で気を吐くとか、負け試合を最後まで闘い抜く姿が清々しい。
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ウソから始まる恋と仕事の成功術(2009年製作の映画)

4.0

「ウソ」という概念がない世界で、初めてウソをついた男の騒動。だから原題が「ウソの発明」(世にもむごたらしい邦題を付けたヤツ、探し出して息の根止めてやりたい)。

正確には「建前が存在せず、本音だけで暮
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ターボキッド(2015年製作の映画)

4.0

1970年代後半、宅地開発前の荒野で無法者たちと闘い、間延びしたシンセの音色にバラ色の未来を夢見ていたクソガキたちに贈る究極のクソ映画。

それでいて、一片の真理は突いた「終末映画の正しいカタチ」。水
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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

5.0

伝統的なフーダニットと見せかけて、倒叙形式に転調させる辺りが鮮やか。その後も一筋縄ではいかない展開で最後まで目が離せない。

役者陣も豪華。それも一般ウケではなく、ツウ好み揃いなのが心憎い。社会風刺や
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忍者狩り(1964年製作の映画)

5.0

設定良し、展開良し、タイトル良し。まさに映画の醍醐味が詰まった東映黄金期の傑作。

大名お取り潰しの謀略、阻止しようとする城代家老。数年前から配下に忍び込んでいるスパイ(忍者)たちの炙り出しのために雇
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9人の翻訳家 囚われたベストセラー(2019年製作の映画)

4.0

犯人探しやトリックは、そこそこ勘のいい観客やミステリー愛好家ならおおよそ察しがつくレベルだけど、ぐるぐる振り回す展開で最後まで飽きさせない。

ただ、あんまり振り回しすぎるのと、ところどころ驚くほど雑
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ふたりにクギづけ(2003年製作の映画)

5.0

元祖バリバラ、ファレリー兄弟の “早すぎた” 傑作にして、キャリアの頂点。看板とも言える下ネタやブラックな笑いを「やり過ぎなかった」ことで、全体として(そこそこ)品格ある正統派コメディに仕上がっている>>続きを読む

モリーズ・ゲーム(2017年製作の映画)

5.0

キケロいわく、「人生を支配するのは運であって、知恵ではない」。ウディ・アレンも似たようなことを言ってた(彼の場合は確か「努力ではない」と)。

あらゆる面で非の打ち所のない天才少女が持ち前の知恵や機転
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スキップ・トレース(2015年製作の映画)

4.0

良くも悪くも、いつも通りのジャッキー映画。安定、安心、そして王道。40年近くも付き合ってると、もう、どれがどれだか分かんないや。

毎回、あの手この手で新しいアイデアを盛り込むサービス精神は伝わってく
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ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

5.0

バカバカしくも心温まる、戦争ファンタジーコメディの傑作。

冒頭で、あの映像にあの曲(しかもドイツ語バージョン)を被せてみたり、服はナチだけどラフな着こなしやノリや立ち居振舞いはアメリカンだったりと、
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フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛を込めて(2019年製作の映画)

4.0

この手の「都会人が田舎で再生モノ」って、イギリス映画の十八番やね。

良くも悪くも定番で王道なんだけど、適度なユーモアとちょっとした変化球を交えながら嫌味なく仕上げてくるので、安心して観ていられる。
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フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

4.0

一見、芸がないように見えて、実は深いタイトル。正確には「フォード的価値観 vs フェラーリ的精神」すなわち「拝金主義 vs 美意識」。「野暮 vs 粋」と言ってもいいかもしれない。

要するに本題は、
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ある女流作家の罪と罰(2018年製作の映画)

5.0

ニューヨークという街は、猫と孤独と本屋と、雪のない冬景色がよく似合う。あと、LGBTQ。

主人公のしでかしたことは、法律上は偽造・捏造なのだが、見方を変えれば一種の「創作」。「役作り」もしくは「芸」
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恐怖の報酬 オリジナル完全版(1977年製作の映画)

4.0

吊り橋のシーンは「凄い」を通り越して「凄まじい」。もはや「狂ってる」としか言いようがない。自分が役者やスタッフだったら絶対に関わりたくないレベル。

そこだけでも観る価値ありだが、全体の完成度となると
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ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男(2017年製作の映画)

5.0

暴力は人を萎縮させるが、言葉は人を勇気づける。強制的に従わせるのではなく、聞いた者の心を動かして自ら立ち上がらせる。そんな言葉の力強さを再認識させてくれる作品だった。

数々の名言で知られるチャーチル
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エクストリーム・ジョブ(2018年製作の映画)

5.0

劇場で声を上げて笑ったのは久しぶり。カラッと揚がったアクションとジューシーな笑い。逆か。どっちでもいいや。Blu-ray買うから、とっとと劇場公開終わらせてくんないかな。

着想自体はウディ・アレンの
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だれもが愛しいチャンピオン(2018年製作の映画)

5.0

いいわ~。清々しくて爽やかで、実に気持ちいい。

この手の映画にありがちな偽善臭やあざとさ、同情や後ろめたさ、お涙頂戴の演出もなければ、ウソ臭いヒロイズムもない。何より、湿っぽさがないのがいい。

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女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

5.0

この監督の作品は、いわば「山海の珍味」なので、独特の歯ごたえや臭みを受け入れられるかによる。

まずは難しいことは後回しにして、当代トップクラスの演技派3女優が繰り出す小技・大技を楽しみながら、一風変
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バッド・ジーニアス 危険な天才たち(2017年製作の映画)

5.0

高校生のカンニングを、スパイ映画やケイパーもののメソッドで仕上げた点が冴えている。

イノセントな若者たちの試験会場が、命懸けの犯罪サスペンスの場になるなんて(まぁ、こいつら、イノセントってほどイノセ
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不意打ち(1964年製作の映画)

4.0

この世で最も恐ろしいのは、貧困層の僻み根性やキチやガイではなく、一般人の「無関心」だと思い知らされるスリラー。

いや~な雰囲気のタイトルバックから憂鬱な気分にされ、恐怖以上に胸クソ悪い展開に耐え続け
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人生はシネマティック!(2016年製作の映画)

5.0

いかにもイギリスっぽい、ジョンブル魂に満ちた佳品。

戦時下、つかの間の娯楽を求めて映画館に通う庶民がいて、その期待に応えるべく、連日の空襲の中でもめげずに映画を制作し続けるという設定が胸を打つ。
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幕末太陽傳(1957年製作の映画)

5.0

粋な所作、リズミカルな動き、テンポのいい会話、小気味良い展開。それらが相まって、いつまでも浸っていられる心地良さ。

忘れた頃にふと見たくなり、回数を重ねるごとにディテールの面白さやメッセージ性の深さ
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私は殺される(1948年製作の映画)

4.0

ラスト5分で異様に盛り上がるサスペンス。マジで息が詰まりそうになる。

もともとは30分間のラジオ・ドラマだったらしく、そう聞けば、途中のまどろっこしい展開や、明らかな「カサ増し感」にも納得が行く。
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