ゆきさんの映画レビュー・感想・評価 - 12ページ目

ゆき

ゆき

映画(1968)
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おもかげ(2019年製作の映画)

3.8

解放

短編では知ることのできなかったその後が明かされる一作。
冒頭そのまま短編を用いていながら、事件については触れない。
あくまでエレナの感情の揺らぎに特化しているのだ。
母親と恋人、いつも彼女のそ
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シシリアン・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

3.7

潜在意識

美しい風景と淀んだ不穏な音のアンバランスさが魅力の一作。
忖度も固定概念もなく、ただ互いに欲している二人の恋路。
賛同してくれる友人の存在がいかに心強いか。
二人の変化は相いれないもので、
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怪物はささやく(2016年製作の映画)

3.8

12:07

現実と向き合うには、ある程度の経験が必要。
久々に、2度目の鑑賞でした。
ささやきは、そっと背中を押してくれる心地よい追い風。
ダークファンタジーといいつつも、リアリティとの共存の仕方が
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まく子(2019年製作の映画)

3.4

変化の過程

むずむずするような歯がゆさ、これを微笑ましいと感じられる年齢で触れられてよかった。
終始にじみ出る違和感。そして浮遊感。
子供目線の様に見えて、女性目線の「男の子」のお話し。
朗らかな時
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私をくいとめて(2020年製作の映画)

3.8

よろしく頼みます

慣れた生活に新しいスパイスが加わるのは嬉しいながら億劫でもある。
それを臆病とするのか怠惰とするのか。
Aとの時間と、多田君との時間、会社での時間と表情も声色もがらりと変わるのんの
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きまじめ楽隊のぼんやり戦争(2020年製作の映画)

3.7

張り切って。

狙いに狙ったユーモアを持ってして、人間の滑稽さとみっともなさをぼんやりと透かしていくような物語。
真意も目的も知らないけれど、きまじめにこなすことが当たり前。
疑問を抱くのはイレギュラ
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私の知らないわたしの素顔(2019年製作の映画)

3.7

羨望

すべての根源にあるのは「嫉妬心」。
男性が見たらどんな感想を持つんだろう、ましてや元夫の世代の男性が見たら。そんなことが一番最初に頭によぎった一作。
徐々に明らかになる、心の奥にしまった感情。
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ポリーナ、私を踊る(2016年製作の映画)

3.7

目的地

古典的に型にはまることを選ぶのか、自分の理想を具現化するのか。
明るいカラーの一作ではない。けれど、美しさに長けている一作でした。
恩師との出会いや、少女なりの葛藤、そして選択。
目を見張る
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秘密の花園(1993年製作の映画)

3.8

可能性

なんて表情豊かな。
「この花園は僕らの宇宙だ」と世界の広さを知った少女と少年の目のきらめきがまぶしすぎる。
児童文学が原作ということもあり、成長過程の揺らぎや繊細さをたっぷりと味わうことがで
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あの子を探して(1999年製作の映画)

3.7

無垢

その地では知りえない世界線もある。
とにかく不条理な状況な村。ただ内側にいれば当たり前なんだと思う。
何も知らない少女なりの闘い方にハラハラとしつつ、現在はこうでないことを願う展開だった。
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おばあちゃんの家(2002年製作の映画)

3.8

郷に従え

子供の頃って、自分が悪い自覚していても謝れないもの。
おばあちゃんの無償の愛情に気づいて、少しずつ愛情で返そうとしている変化が愛おしかった。
ケンタッキー・チキンとヘアカットのくだりが好き
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感染家族(2018年製作の映画)

3.7

ゾンビジネス

危機が迫るまでに、この一家についてみっちりと意識付けされる展開。
ステレオタイプのゾンビが出てくるけれど、笑えるのがこの一作。
スピード感はない、それでもダレないから一気に見れてしまっ
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天才作家の妻 -40年目の真実-(2017年製作の映画)

3.7

感情の昇華

邦題から主題の結論は見えているものの、物語自体は琴線に触れるまでじっくりコトコト煮詰められていく。
あくまで夫婦の話。
過去に触れて、今の言葉にハッとする展開。
表情が逐一艶やかなのが印
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ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-(2020年製作の映画)

3.7

善か悪か

「私を見なさい」とJ・Dを支えた祖母の存在の偉大さ。
素行は決して見本にはならずとも、人情の参考書にはぴったりだった。
フラッシュバックする過去と、憤りを否めない現実が交差する展開。
ヒリ
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ザ・マスター(2012年製作の映画)

3.9

思い通りの人生

「解放されます」と興味を煽る彼ら。
主人公の人間性は物語の冒頭数分でしっかりと見えてくる。
周囲の人間の影響で変わりゆく思考と潜在的な野生のバランスをとても繊細にでも大胆に描かれてい
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あの頃、君を追いかけた(2011年製作の映画)

3.7

ポニーテールの圧勝

想像より「男の子」の思春期だった。
後悔が今を形成するのだよな~としみじみ。
甘酸っぱい時間がぎゅっと詰め込まれて、愛らしい男の子たちの表情が溢れ出る一作。
ポップなだけではなく
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百日告別(2015年製作の映画)

3.8

区切り

静かに丁寧に心情を重ねていく物語。
法要という区切りごとに変化していく二人の表情が印象的。
自分の気持ちに整理をつけるための行動がとても誠実で、着実に前に進もうとする姿勢が繊細に描かれていま
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悲しみより、もっと悲しい物語(2018年製作の映画)

3.7

最愛の人のために。

エゴと純愛は隣り合わせだった。
全部を肯定してはいけない気もするし、共感しえないから涙が出たのかも。
お互いにラーメンと漫画が好き。冬の日に食べるアイスと雨の日が好き。
そんな共
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私のボクサー(2018年製作の映画)

3.6

稲妻の拳

犬とシュールなギャグ、ミンジ役のヘリの笑顔の癒される。
山あり谷ありのボクシング人生と恋模様。
曲と効果音の使い方が秀逸で物語を牛耳っている。
ハスキーボイスが魅力的な主人公。
不器用なア
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詩人の恋(2017年製作の映画)

3.7

成熟度

感情をカテゴライズせずに、あるべき場所に置こうとする男の奮闘記。
愛情なのか、同情なのか。見守ったのは圧倒的な浮気だ。
妻の存在だけが地に足ついていて、本音だけが宙に舞っている時間。
自分の
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君が描く光/ケチュンばあちゃん(2016年製作の映画)

3.8

無償の愛

私が味方になるから、思い通りに生きな。
このフレーズから涙腺崩壊。ユン・ヨジョンさんが素晴らしいのですよ。
好意が溢れすぎて、どう受け止めていいのか戸惑うヘジの表情が徐々に変化していく過程
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武士の一分(いちぶん)(2006年製作の映画)

3.6

生きざま

とてもしっとりとしている120分でした。
プライドと夫婦愛のバランス。
方言の柔らかさが主人公の不器用さを掻き立てるようだった。
一つのセリフに向かって、コンパクトにまとまっていた一作。
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おとうと(2009年製作の映画)

3.7

血筋

市川崑監督の「おとうと」をモチーフにした今作。
関係性と形は時代の流れですこしばかり変わっても、兄弟愛は普遍的。
一人っ子の娘には伝わりがたい、言葉にはできない絆。
いくつになっても「おねえち
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おとうと(1960年製作の映画)

3.7

世話焼き

いつまでも一緒とは限らない姉弟。
仕事ばかりの無骨な父とリウマチを患った継母。
二人の世界を築くしかなかった姉弟。
製作された1960年。当時にこの作品を観ていたらどんな感動に溺れたんだろ
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同級生マイナス(2020年製作の映画)

3.7

女神

現実を皮肉ったようなセリフによる笑いが溢れている。
実にシュールな画も多い。
物語の締めくくり方がしびれる一作でした。
ありそうでなかった、40過ぎの男4人の物語。
女性たちの存在感と役割が印
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弱くて強い女たち(2020年製作の映画)

3.9

長年の借り

いくつになっても家族であって、違うからこそ家族になる。
違った美しさを持った女性たちによる、女性ならではの家族再生。
夫であり父親である一人の男性にまつわるそれぞれの結末の付け方が印象的
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君の心に刻んだ名前(2020年製作の映画)

3.7

今を生きろ

感情の種類が変わる瞬間とても鮮明だった。
「嫉妬是一条蛇」蛇の様に嫉妬がまとわりつく疎ましさ。
それは普遍的な嫉妬であって罪ではないのに、あんなにもつらそうに告白をする姿が印象的。
懺悔
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コロンバス(2017年製作の映画)

3.7

繊細な味

平行線の人生を歩む二人が交わす会話。
見守るように建築物たちがたたずむ町、コロンバス。
巨匠たちによる名建築も知らずに鑑賞してしまいましたが、うっとりするような映像が続く時間でした。いつか
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わたしの叔父さん(2019年製作の映画)

4.2

斜光

ふたりの12年間が一瞬にして伝わる物語の入り方。
朝のルーティンを覗く。それぞれ好みの朝食のお供にニュースと数独。余計な言葉も交わすことはない。
叔父さんと家業で埋め尽くされたクリスのタイムス
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好きにならずにいられない(2015年製作の映画)

3.7

外界

!!!!!邦題!!!!!
好きな類の哀愁ドラマでした。
初めての感情を軸にした物語ながら、ロマンチックにならずリアルな日常を紡いでいく展開。
アウトサイダーな存在だと決めるのは他人の空気と自分
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僕だけがいない街(2016年製作の映画)

3.2

ヒーロー志望

普通ではないが声を張らない青年役の藤原竜也も味がある。
ほどよく理解しやすい120分。
生きた心地がしない世界から救い出してくれる存在。
違和感がカギとなる物語はぎゅっと濃縮された感じ
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Diner ダイナー(2019年製作の映画)

3.2

刺激臭

ラストシーンのセリフで辻褄合わされた感じ。
学芸会仕様にならないのは演者さんの力量か色のマジックか。
なかなかバイオレンスな描写ながら、孤独感が見え隠れする展開。
花はどんな環境でも美しい。
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カイジ ファイナルゲーム(2020年製作の映画)

3.1

底辺が似合う男

悪魔的なハラハラ感を期待していたけれど。
窮地に追い込まれる要素が少ないのか…な?
全てを説明的にセリフで教えてくれるご親切な展開。
大げさくらいがちょうどいい内容だけに、吉田鋼太郎
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リバイバル 妻は二度殺される(2015年製作の映画)

3.8

交差

電波の異常により、妻と夫の携帯電話だけ1年間のズレを生じたという設定。
小刻みに重ねられた時間のズレで免疫ができるため、終盤一気に畳みかけてくる演出に違和感がでないのが秀逸。
メモに始まり、時
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最後まで行く(2014年製作の映画)

3.7

宝探し

飲酒運手に事故の隠蔽、数々の賄賂と自分の行いで自分の絞めていく主人公。
自業自得すぎる様に呆れて厭はじめた前半。
駄作に出会ってしまったかな~と油断していたら怒涛のドラマが待ってた。
スピー
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悪魔は誰だ(2012年製作の映画)

3.7

カウントダウン

時効まで残された時間が少なくなるほどに、物語が加速する感じが小気味いい。
子供が巻き添えを食らう「誘拐」という悪態を軸に、二転三転予測を覆される展開。
鬼気迫る大人たちの表情と雨の演
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