ゆきさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

ゆき

ゆき

映画(1973)
ドラマ(141)
アニメ(0)

サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

3.9

焼き付けよう

偏愛の矛先を総じて肯定する温かい目線。
始めたことへのケジメの付け方が良い。
真剣に向き合うって苦しいし、面倒くさい。それでもいつかは愛おしい時間になる。
ぎゅうぎゅうに詰め込まれた色
>>続きを読む

歩けない僕らは(2018年製作の映画)

3.8

そのため

原動力は何か。
模範回答をすることしかできない1年目。
経験がものを言う世界で理想を追うほどジレンマに陥る。
先駆者が語る「“あなたの人生に向き合います”なんて、そんなおこがましいことない
>>続きを読む

テッド・バンディ(2019年製作の映画)

3.6

解放

信用を置き始めていた人間の壮大な裏切りに気づいたら。
シリアルキラーとして名高い(?)テッド・バンディ。
恋人目線での彼を見つめる今作。
事件を掘り下げるのではなく、あくまで愛憎劇だ。
彼と同
>>続きを読む

永遠に僕のもの(2018年製作の映画)

3.6

神のスパイ

主人公・カルリートスに焦点を絞った118分。
常に堂々としていて、感情の揺らぎが見えづらい。
それでもメラメラと愛情を滾らせていく様子を見守る。
生まれながらの犯罪者などいるのだろうか。
>>続きを読む

エレファント(2003年製作の映画)

3.8

部屋の中の象

誰もが当事者になり得る。
今はあくまで傍観者。彼らの「日常」を見た。
他愛無い会話と無音、ささやかなBGMで彩られる静かな作品。
でも映像の吸引力が圧倒的だった。
学校の決めたルールの
>>続きを読む

映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園(2021年製作の映画)

4.0

青春ファイヤー!!!

少し先の未来を見据える風間くんが可愛すぎて、切なすぎた。
子離れまではほど遠い、みさえの心配症とお見送りのハグでまず涙腺崩壊。(実はドラえもんの予告でちょろり泣いてた)
ボーち
>>続きを読む

映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者(2020年製作の映画)

3.7

しんちゃん、好きよ

それぞれに守りたいものを、それぞれ自由なやり方で。
安定のぶりぶりざえもん。一生憎めない。
私にとって救いのヒーローはしんちゃんだ。30周年めでたい。
辛い時こそ笑う姿勢に感化さ
>>続きを読む

映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ ~拉麺大乱~(2018年製作の映画)

3.5

地道にコツコツ

いつ何時もまさお君が好き。
「ロボとーちゃん」といい、高橋監督の手掛けるクレヨンんしんちゃん映画は哀愁が似合って結構好き。
依存や劣等感、情報源の見えない流行といったテーマ性も見え隠
>>続きを読む

親密さ(2012年製作の映画)

4.1

密度。

舞台劇「親密さ」の上演に向けた過程を見る前半、舞台劇「親密さ」の上演記録を見る後半。
あくまで見ているのは「生活」と「制作」のほんのひと時。
たくさん詰め込まれた言葉を噛みしめる余韻まで含め
>>続きを読む

ハッピーアワー(2015年製作の映画)

4.0

自己肯定

気づいたときには遅いことが人生ありふれている。
長尺作品。しかしすっと腑に落ちる無駄のなさ。
演者さんは全員初見。正直、演技としては拙い気がする。だからこそゴールのない題材にちょうどいいの
>>続きを読む

スパイの妻(2020年製作の映画)

3.7

正義

小気味いいちぐはぐさに「お見事」と言いたくなる痛快さ。
夫の下にぶら下がるような“慎ましい”聡子が、「私しかいない」環境を作り並列に歩み始めようとしたときの表情と目の輝きが印象的。
厭らしいほ
>>続きを読む

親愛なる君へ(2020年製作の映画)

4.0

パパ2号

未完成の曲を奏でるピアノの音色が似合う物語でした。
人の痛みを想像できる人ほど苦労は絶えない。
順を追って回想するのでは、悲劇になり下がってしまうであろう。
今作は過去に置き去ろうとした事
>>続きを読む

少年の君(2019年製作の映画)

3.9

夜明けは目前

往前走,我一定在你后边。
学歴が未来を切り開く。一発勝負の全国統一入学試験。
「孤独に勝つ」という同条件で学生たちはみんな闘う。
大人になる勉強は誰が教えてくれるのだろう。
一番身近な
>>続きを読む

共謀家族(2019年製作の映画)

4.2

勝利

傍観者は語る、当事者は多くを語らない。
日頃の行いが、いかにものをいうか知らしめてくる。
力の弱い立場では泣き寝入りするしかないのか、「穏やかな暮らし」の定義を考えてしまう時間だった。
過剰な
>>続きを読む

子供はわかってあげない(2020年製作の映画)

4.1

ミルフィーユ

みんなちょっとズレてる。声出して笑えちゃう愛おしさ。
共通言語を機に、丁寧に距離を縮めていく美波ともじくん(KOTEメイト)。二人の会話のリズムと言葉のチョイスが好き。じゃりじゃり~!
>>続きを読む

おらおらでひとりいぐも(2020年製作の映画)

3.8

それなり

遠くの子供より近くのホンダ。
夫に先立たれ、子供たちとも距離がある桃子さんは静かだけれどお茶目。ダンスだってお手の物。
桃子さんと対峙する感情たち。原作には出ない「どうせさん」が強い。笑
>>続きを読む

滝を見にいく(2014年製作の映画)

3.7

人生いろいろ

知恵は武器だ。寄せ集めればなお強い。
主役は「おばちゃん」。一括りにされた7人だが、個性豊か。
話し合い中も誰かは別の作戦を練っている。
緊急事態への向き合い方は、それまでの人生が垣間
>>続きを読む

プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

3.9

前途有望

哀しいかな、痛快な物語ではあった。
鮮明に目に焼き付けられるピンクと青。幼稚園の時女の子と男の子で分けるときの色だった記憶がある。
下半身や口元の緩み、目線で“欲望”を露骨に見せつけらる演
>>続きを読む

ワイルドライフ(2018年製作の映画)

3.8

様子見

時すでに遅し。プライドってどうやって捨てるんだろう。
「Better than now」一歩踏み出せば叶いそうな希望でも、「他の道を選ぶ」という選択は重労働すぎるのだ。
ケネディが大統領選で
>>続きを読む

未来を花束にして(2015年製作の映画)

3.9

"DEEDS NOT WORDS"

「百年後のあなたへ」というキャッチコピーに惹かれた今作。
邦題の「花束」というイメージでは色鮮やかな世界線が想像されたが、スピード感ある物語は時間の経過とともに色
>>続きを読む

斬、(2018年製作の映画)

3.6

理由

敵討ちと言えど、命をかけることに意味はあるのか。
「動機」はいつ何時も自分勝手。
自衛だとしても、誰かのためだとしてもそれは“正”なのか問われている。
終始薄暗い映像。音に集中し、目を凝らすこ
>>続きを読む

映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ(2016年製作の映画)

3.7

頑張れ

大都市に埋もれそうな孤独や言葉にし難い不安。
「どうでもいい奇跡」ですらありがたい焦燥感を、どう埋めていくのが理想的なのだろう。
依存するわけでもなく“頼れる存在”にありつくのにも一苦労だと
>>続きを読む

アジアの天使(2021年製作の映画)

4.1

MIRACLE

愛と繋がりのヒューマンコメディを見た。
大事なのは相互理解。
いつだって愛の話をしている兄を信じて心機一転韓国へ来た弟。
言語の壁はあっても、兄と弟妹の誇りと繋がりは世界共通。
似た
>>続きを読む

シャイニー・シュリンプス!愉快で愛しい仲間たち(2019年製作の映画)

3.7

love is love

「寛容の心」で世の中のバランスは成り立っている。
曲と使い方がど頭から最高でした。
言葉にはしない本音が目で語られる展開。
実話ベースの物語は全員にスポットライトが当てられ
>>続きを読む

15ミニッツ・ウォー(2019年製作の映画)

3.5

優先順位

即本題に入るスピード感ある展開。
しかしある事情により「引き金」はなかなか引けない。
1976年に発生したジブチバスジャック事件をインスパイアして制作されたという今作。
特殊部隊のジョーク
>>続きを読む

マイ・エンジェル(2018年製作の映画)

3.7

覚悟

期待と諦めが混同した言葉が続く、荒みきった世界線だった。
焦燥感に心がざわつくが、美しいとも思ってしまった。
「男とハムハムする人」子供目線で見上げれば、母・マルレーヌはそんな人。
それでも愛
>>続きを読む

FLIRT/フラート(1995年製作の映画)

3.5

戯れ

未来に希望はあるのか。
ニューヨーク、ベルリン、東京。
同じ脚本を基にしても、時間も場所も人も異なれば展開は見事に違って見える。
ホン・サンスの「3人のアンヌ」鑑賞時と近しい感覚にも陥った。
>>続きを読む

トラスト・ミー(1990年製作の映画)

4.1

爆風

淡白なやりとりの中で発せられるセリフが印象的な一作だった。
発作的な感情の見せ方は哀愁すら感じる。
そして滑稽にも思える結末は愛おしすぎた。
信用の上で成り立つ関係性。
学業と社会、それぞれに
>>続きを読む

シンプルメン(1992年製作の映画)

3.7

翻弄

視覚で愉しむ一作だった。
ざらついた感じの映像、印象に残るシーンの数々。
現実的とはいえない展開に溺れる時間。
みんな寂しさを誰かで埋めることに懸命。
どこか厭世的な人たちが出会い、求め合う。
>>続きを読む

一分間だけ(2014年製作の映画)

3.4

タイムリミット

仕事と恋愛、家庭のバランス。
どこかが秀でて順調でも、見落としていけない存在は身近にいる。
原田マハさんの原作の印象だと、河瀬監督の作風を想像していたけれど、割とベーシックなヒューマ
>>続きを読む

1秒先の彼女(2020年製作の映画)

4.1

利息

最高で最哀の突き抜けたファンタジーだった。
ワンシーンも無駄のない丁寧で綿密な設定と、ユーモアの織り込み方が秀逸。
30年積み立ててきた幸運の着地点を目の当たりにすると、運命を信じたくなる。そ
>>続きを読む

祝宴!シェフ(2013年製作の映画)

3.5

承継

人を頼るのが上手な人は生き上手だ。
誇張しすぎたパフォーマンスはご愛敬。
16年ぶりの長編映画でもコミカルでポップは演出は健在だった。
145分という長尺。カラフルで個性の溢れる時間は意外にも
>>続きを読む

ぼくを探しに(2013年製作の映画)

3.7

あなたの人生を生きて

閉じ込めていた記憶を呼び起こした先に待っている人生。
ファンタジーのようにカラフルだけれど、どこか他人事には思えない物語。
主人公はずっと「だんまり」である。
周りの登場人物が
>>続きを読む

イリュージョニスト(2010年製作の映画)

3.8

居場所

彼が求めていたのは歓声か拍手か、それとも愛情か。
時間が経つほど哀愁が濃くなる。
吐息の似合う物語だった。
光と影の見せ方で、人生に普遍的な浮き沈みを見たような気がする。
定住せずに場所を変
>>続きを読む

ベルヴィル・ランデブー(2002年製作の映画)

4.1

またのお越しを

大事なのは腕力でも武器でもない、愛と知恵とユーモアだ。
愛犬・ブルーノ目線でルーティンをきっちりと把握して、おばあちゃんのアメトムチっぷりを堪能して。そして事件が。
セリフはほぼなく
>>続きを読む

君はひとりじゃない(2015年製作の映画)

3.7

平穏

いつも隣り合わせにある「死」との関わり方ついて考えさせられる一作。
日に日に痩せる娘と、肥えていく父。明らかに深い溝のある二人。
妻であり母である一人の女性の存在がいかに二人を繋ぎ止めていたの
>>続きを読む