ゆきさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

ゆき

ゆき

映画(1968)
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サマーフィーリング(2016年製作の映画)

3.8

移ろい

言葉のないシーンのほうがグッと気持ちを捕まれるような、画に説得力のある一作でした。
ザラつきを残した画質、ベルリン、パリ、ニューヨークという3都市の街並みに見惚れる時間。
夏だけを紡いだ展開
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

3.8

ウーマンスプレイニング

人生の主人公でありたいのに、いつのまにか傍観者になりつつある人たちへのラブレターみたいな作品でした。
プライベートでは自然体でいられる相手を探し、仕事では自分の居場所を探す繰
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ビリーバーズ(2022年製作の映画)

3.7

安住の地

倫理観って、普遍的って・・・なんだ。
原作を読んだ時よりストレートにショッキングだった。
精神の乱れは性に直結するのか、それは救いになるのか。欲の果てを見た。
ギリギリの現実味を残した演出
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猿楽町で会いましょう(2019年製作の映画)

3.8



常に「何か」に影響されながら変化していくユカ。
“自称”モデル。夢があって、やりたいことがある。それが何かは明確ではないというのに。
自尊心で身をまとった彼女と、男たちの日常を見た。
性で誤魔化
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先生、私の隣に座っていただけませんか?(2021年製作の映画)

3.7

境界線

全体的に小粋な作品でした。
創作と現実の狭間で翻弄される夫と視聴者。
一定のリズムを保つ展開ながら、登場人物の精神状態は揺らいでいく。
内に秘めた感じの黒木華さんの演技が印象的な一作。
**
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THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

3.8



「狂気のゴッサム二本立て!」と称された 「THE BATMAN-ザ・バットマンー」と「ジョーカー」の二本立て鑑賞。
ずっしり、、、でもいい塩梅の「食べ過ぎた感」での帰路でした。
「復讐」を原動力
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ダークナイト ライジング(2012年製作の映画)

3.8

ゴッサム・シティ

新しき悪・ベインと美しきキャット・ウーマンの登場で、ぎゅっとキャラクター性が高まったシリーズ最終章。
「魂の拷問」という最恐の仕打ち。
奈落の世界線といい、終盤にかけてファンタジッ
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ダークナイト(2008年製作の映画)

4.0

混沌

物語の運び方に魅せ方、締め方まで秀逸だった。なんてこった。
「申し上げたのに」という執事との掛け合いもより良い。
はみだしものたちの葛藤。正義とはなんだろう。
番人となったバットマンの存在意義
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バットマン ビギンズ(2005年製作の映画)

3.8

ダークヒーロー

ティム・バートン版の世界観をスキップしてノーラン版から。
バットマンの「人」らしい描かれ方にすごく引き込まれた~
アメコミの実写はどこか苦手意識があったけれど、「ダークナイト」3部作
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哀愁しんでれら(2021年製作の映画)

3.6

虚偽

終始漂う居心地の悪さと順応していく小気味悪さが印象的。
裕福さを手にすることが幸せに直結すると人限らない、シンデレラストーリーの影の部分。
夫の制圧する様と居場所を失う妻の不安感にキャストがピ
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整形水(2020年製作の映画)

3.5

欲と背徳感の狭間。

ファンタスティックホラーだった。
美への探究心は尽きないし、損得勘定は根深い。
支える人の大事さも見失うほど。

***
小さい時から自分の外見がコンプレックスだった女性。あるき
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三姉妹(2020年製作の映画)

3.9

資格と能力

煩わしくも愛おしい血の繋がりを、痛烈な展開で回顧させてくれる一作でした。
エンドロールの2曲目がシニカルすぎ。
全体的に祈るだけではどうにもならなそうな状況の家庭環境を見せつけられる11
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茲山魚譜 チャサンオボ(2019年製作の映画)

4.0

多幸

生きる意味を追い求める二人の関係性がとても心地いい時間でした。
水彩画のようなモノクロ。
偉大なる自然と、着飾らない人たち。
苦しい生活の中でも、心を寄せあいながら生きる島民の穏やかな表情が印
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

4.1

선의(善意)

子供の未来を祈るような一作でした。
それぞれの立場から思惑を以て寄り合った大人たちだが、時間を共にするほど思いやりが深くなっていく。
釜山から始まった旅路で、親近感が愛情に変わっていく
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PLAN 75(2022年製作の映画)

4.0

排除

制度の対象者と役割を担う者たち。
立場の違う人たちを繋ぐ、多面的で挑発的にも思える一作でした。
オムニバス作品『十年 Ten Years Japan』の中でも印象深かった世界観が、より彩度が高
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わたし達はおとな(2022年製作の映画)

4.3

畜生

感情のまま相手に向き合ってた過去と、押し殺すことも覚えた現在とのすれ違い。
〝おとな〟の線引きはどこから?
経済的にも世間的にも自立してない、サークルをカンパニーと言い直す男。
今を共にする苗
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神は見返りを求める(2022年製作の映画)

3.9

できる範囲で。

「発信」の過信は狂気的な武器であり凶器にもなり得る。
2年前に撮影を終えていたという今作ですが、なんともタイムリーなこと。
終始きっちりと胸糞の悪いキャラクターばかりだった(爆褒め)
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オーディブル: 鼓動を響かせて(2021年製作の映画)

3.7

憤激

青春の1ページを垣間見るドキュメンタリーでした。
メインとなるのは、CODAとは異なり家族の中で唯一ろう者である少年。
スポーツでの挫折とチームでの再起を軸にしつつ、身体的障害や友人の死という
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コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

3.9


両面を見てる娘と世界に境界線を置く家族の物語。
父親の口の悪さと下ネタがなんともいえない塩梅の飽和剤だった。笑
「送り出す覚悟」って両者にとってターニングポイントになる。
母と娘の朝食時の会話が印象
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私だけ聴こえる(2022年製作の映画)

3.8

私は私でいい

「はみ出し者」と自分達を呼称する子供達。
子供達といいつつも、15歳という多感な年齢の彼・彼女たちは、疑似的な大人にも見えた。
別の作品で知った、CODA(Children Of De
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彼女が好きなものは(2021年製作の映画)

3.8

摩擦

「そちら側」という線引きはあくまで平面的すぎると痛感する時間だった。
殺伐としつつも青春感のあるドラマ版に惹かれ、原作を読んだ。
全8回のドラマと異なり、映画は121分に凝縮させなければならな
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ひらいて(2021年製作の映画)

3.7

態度。

三者三様な暗晦さを紡ぎ合わせた時間だった。
原作未読。山田杏奈さんブームで鑑賞。
「自分しか好きじゃない人」と「相手を重んじる人」。それぞれに歪んでた。
目に焼き付くような魅せるシーンが多い
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夜を走る(2021年製作の映画)

3.8

いってらっしゃい

「優しい人は悩み、虐げられる」のです。
そして“素敵なお顔”を世間に晒していく。
いい意味で感情の置き所がわからない作品でした。
脳と心を洗えと言われているような、洗車シーン。
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メタモルフォーゼの縁側(2022年製作の映画)

3.8

友情

人って思ってもみないふうになるものだから。
少しの勇気と優しさが重なりあう物語でした。
好奇心の矛先はいくつになってもアップデートされる。
雪さんがわたわたと漫画のビニールの外す姿は、高揚感が
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流浪の月(2022年製作の映画)

4.3

居心地。

更紗の自然体な感情に委ねるように心拍数あがる前半。文の焦燥感を体現するような混沌としたざわめきが続く後半。
世間が見たがる側面に抗うことなく生きてきた2人の時間がとても丁寧に紡がれてた。
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死刑にいたる病(2022年製作の映画)

3.8

捕食

歯が白すぎる人はどこか怖い。
「みんな好きになる」男、彼は苦痛を与えてあげることが生き甲斐だった。
ざらついた画質と雅也のガラス玉みたいな生気のない瞳、ずっと匂わせてる絶妙な気持ち悪さ。
雅也
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ハケンアニメ!(2022年製作の映画)

3.8

役割分担

「リアル以外の場所」を満たすべく奮起する職人たちの闘いを見た。
全人物にスポットが当たるお仕事ムービー。
笑顔のない吉岡里帆さんが、チームの先頭に立つプレッシャーや孤立感、世間の声と対峙し
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犬王(2021年製作の映画)

3.8

バディの名

生命ノ舞を観た。フェス感満載。
歌い繋がれるべき魂の云い伝えは物語となり、斬新なビートで民衆を躍らせる。
アニメーションの力強さと勢いある楽曲に押し切られるかと思いきや、きっちり人情ドラ
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ツユクサ(2022年製作の映画)

3.8

恋路

いくつになっても“恋愛対象”でいること。
ほろ苦い経験を超えてきた女たちを軸に、人として心を通わせる様を見守る時間。
少しファンタジックで小咄的な展開でした。
クスッと笑えるシーンとハッと気づ
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カモン カモン(2021年製作の映画)

3.8

Blah blah blah blah

穏やかな起伏が非常に心地良かった。
モノクロで色を抑え、BGMも抑えた印象の言葉を重視した作品かと思いきや、少し違った。
回答を急がず人として対峙する、男2人
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ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

4.0

ズレ

儚気な映像できっちりと銃抑止の意思を示した作品でした。
実際に起きた惨劇。この日までを紡ぐ展開。
幼少期の映像から始まる今作は、周囲の変化に過敏な青年の決断に重点を置いている。
無垢に笑う彼は
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ペンギンが教えてくれたこと(2020年製作の映画)

3.9

示唆

素敵な環境と家族の回復を見守る時間。
ドラマチックにしようと思えばもっと過剰に描ける題材だとは思うのですが、精神面に寄り添ってとても繊細に仕上げている印象でした。
「ペンギン」の成長が家族の変
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愛しい人から最後の手紙(2021年製作の映画)

3.6

色恋

過去は人を虜にする。
現代と過去。二組の恋愛の行方を追う展開。
感情に身をゆだねて人生の決断をする危うさがなんとも美しく描かれていること。
手紙というワンクッションで言葉が一気に艶やかになる。
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ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密(2022年製作の映画)

4.1



シリーズもついに3作目。
ダンブルドアとグリンデンバルドの関係性を深堀する。
エズラのショッキングなニュースに気を落しながらも、やはり魅了されてしまうあの哀愁。
今回はグリンデンバルドはジョニー
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浮き草たち(2016年製作の映画)

3.6

掛け違い

初心なラブでした。
ちょっとした言葉の綾が命取りになる関係性の二人。
色んな町の空気感も楽しみつつ、二人の感情に目を奪われる時間。
「私たちのはじまりだよね?そうでしょう?」
×××
兄の
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PITY ある不幸な男(2018年製作の映画)

3.6

ヒロイン

移り行く他人の関心に敏感な男。
ラストに向けて加速する執着心にも病名があったようだ。
『ロブスター』の脚本家と知って納得。
狂気とギャグは紙一重かも。
×××
一人息子と愛しい妻。何不自由
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