ゆきさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

ゆき

ゆき

映画(1975)
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カモン カモン(2021年製作の映画)

3.8

Blah blah blah blah

穏やかな起伏が非常に心地良かった。
モノクロで色を抑え、BGMも抑えた印象の言葉を重視した作品かと思いきや、少し違った。
回答を急がず人として対峙する、男2人
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ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

4.0

ズレ

儚気な映像できっちりと銃抑止の意思を示した作品でした。
実際に起きた惨劇。この日までを紡ぐ展開。
幼少期の映像から始まる今作は、周囲の変化に過敏な青年の決断に重点を置いている。
無垢に笑う彼は
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ペンギンが教えてくれたこと(2020年製作の映画)

3.9

示唆

素敵な環境と家族の回復を見守る時間。
ドラマチックにしようと思えばもっと過剰に描ける題材だとは思うのですが、精神面に寄り添ってとても繊細に仕上げている印象でした。
「ペンギン」の成長が家族の変
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愛しい人から最後の手紙(2021年製作の映画)

3.6

色恋

過去は人を虜にする。
現代と過去。二組の恋愛の行方を追う展開。
感情に身をゆだねて人生の決断をする危うさがなんとも美しく描かれていること。
手紙というワンクッションで言葉が一気に艶やかになる。
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ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密(2022年製作の映画)

4.1



シリーズもついに3作目。
ダンブルドアとグリンデンバルドの関係性を深堀する。
エズラのショッキングなニュースに気を落しながらも、やはり魅了されてしまうあの哀愁。
今回はグリンデンバルドはジョニー
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浮き草たち(2016年製作の映画)

3.6

掛け違い

初心なラブでした。
ちょっとした言葉の綾が命取りになる関係性の二人。
色んな町の空気感も楽しみつつ、二人の感情に目を奪われる時間。
「私たちのはじまりだよね?そうでしょう?」
×××
兄の
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PITY ある不幸な男(2018年製作の映画)

3.6

ヒロイン

移り行く他人の関心に敏感な男。
ラストに向けて加速する執着心にも病名があったようだ。
『ロブスター』の脚本家と知って納得。
狂気とギャグは紙一重かも。
×××
一人息子と愛しい妻。何不自由
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RUN/ラン(2020年製作の映画)

3.6

過多

Everything mom does for you
終始、頬の筋肉が歪む展開でした。
物語が進むごとに娘の表情がしっかりしていく。
誰のためでもなく、高ぶる感情を押し付けるのは狂気にしかな
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ビバリウム(2019年製作の映画)

3.6

解放

カッコウって他の鳥にヒナを育てさせるんですね。
夢現な世界観と完成度の高いビジュアル。
トイストーリーの子供部屋みたいな空は、一向に変わり映えしない。
でも人間である以上美しさでは生活を満たす
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君は永遠にそいつらより若い(2021年製作の映画)

4.1

欠落

希望と現実は相いれない。
「ずっとずっと、一生気にしてる」こんなとっ散らかった言葉で救われる人もいると思う。
死や生命力、日常の喪失感を軸にして展開する一作。
決してリズミカルな物語ではないけ
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余命10年(2022年製作の映画)

3.7

秘密

“遺される”側の緊迫感が非常に印象的な一作でした。
安定して映像が幻想的で見惚れる。藤井監督、今井さん×平山さんチームの画は大好物。
抜け感のある空撮と息が詰まるような室内、イエローとブルーの
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いま、会いにゆきます(2004年製作の映画)

4.0

人生で何回目なんだろうというくらい梅雨前になると観たくなる。
今回は「余命10年」の試写会前に。

ファンタジックかつ美しく淡い画の作品が好きになったのはこの映画がきっかけだと思う。
ラブストーリーで
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やがて海へと届く(2022年製作の映画)

3.9

風化

演者さんの美しさを際立たせる印象が強い中川龍太郎監督作品。
今作はその美しさが「喪失」の残忍さを助長させていた気がする。
アニメーションで始まる今作。真奈の目線ですみれとの出会いから今までを回
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東京の恋人(2019年製作の映画)

3.7

懲役

浮気は血筋だ。夢破れ北関東に定住した男は昔の女からの連絡に便乗する。
不滅の愛を突き進む妹の注意喚起も聞き流して、夢みたいな時間を堪能する。モダンな恋愛を思い返すように。
女の目的は結婚に伴う
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お嬢ちゃん(2018年製作の映画)

3.7

不一致

すいませんでした、のぶつけ方と相手への詰め方がなんとも良い。
ポスター写真の印象から萩原みのりさんをフューチャーした一作かと思いきや、絶妙な違和感を終始漂わせる群像劇でした。
コメディみたい
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この夏の先には(2021年製作の映画)

3.6

時間差

我要是也能喜欢你就好。
ひと夏の嘘が、人生観を変えることになる。
この年齢の二人だから選んだ道なのだと思う。
純愛のようで友情物語でもあるような気がする。
親の身勝手さに抗う若い二人がとても
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夏時間(2019年製作の映画)

3.8

衝迫

すごく静かな物語。激しい緩急はないけれど、よく食べる。
姉と弟、兄と妹。親と子供それぞれの世代の関係性が少しずつ変化していく時間。
どこか頼りない父親と根明な弟。思春期の娘は母親へは頼れないと
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ソウルメイト/七月と安生(2016年製作の映画)

4.0

适合的人

相手の影を踏めば、一生離れない。
哀の表情が美しい人にはつい魅入ってしまう。
親の期待通りに生きる七月と自由を求める安生。対局の境遇にありながら、なぜか共鳴しあう二人の物語。
13歳で出会
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僕たちは変わらない朝を迎える(2021年製作の映画)

3.9

祝えるように

音楽と記憶のリンクがとても秀逸な一作でした。
MOOSICLABですものね、納得。
公私ともにパートナーとして支えてくれていた存在からの「卒業宣言」。
仕事仲間へと降格する区切りをどう
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ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

4.2

逃げ道

ちょっと思い出すだけ、では収まらなかった人はごまんといるのだろう。
地に足つけたどこにも行けない側と夢の中を泳ぎ続ける側のふたりの話。
コロナ禍の現在から出会った6年前まで、ある1日を遡って
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ナイト・オン・ザ・プラネット(1991年製作の映画)

4.1

背中越し

タクシードライバーと乗客という普遍的で一時的な関係を描くオムニバス。
学生時代に観たときはただユーモラスな時間に思っていたけれど、歳を重ねて再鑑賞すると愛おしい哀愁駄々洩れの作品でした。
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ベン・イズ・バック(2018年製作の映画)

3.6

私の息子

こじつけでも息子を擁護し続ける母親。
深い深い愛情の影には、息子を変えてしまったきっかけが自分にあるという背徳心が溢れていた。
息子としても母親の期待が重すぎるのか、自分に呆れているのか。
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アメリカン・ビューティー(1999年製作の映画)

3.8

昏睡状態

美の溢れる世界に魅了された極端に歪んだ人たち。
幸せ“そう”にコマーシャルな生活を送る夫婦と、父親の呪縛に絡まる青年、マウンティング少女。
失うものがない異常者の推進力が何より怖い。
コメ
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普通の人々(1980年製作の映画)

3.9

責任感

怒りは精神を消耗する。そして矛先が見つけられない怒りは精神を食い始める。
大人も子供も関係なく静かに崩れていくメンタルと関係性。
目ざとい展開があるわけではないけれど、じわじわと変化していく
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復讐するは我にあり(1979年製作の映画)

3.8

むきだし

エネルギッシュで生々しさもある一作でした。
実在の連続殺人鬼をモデルに、小説を実写化した名作ということで名前は知っていたものの今回初見。
恨みのある人間こそ殺めることができない男と関わる人
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キャラクター(2021年製作の映画)

4.0

共作者

いい意味でとても気持ち悪く、あざとい作品でした。
シーンごとに目つきも顔つきも声色も変わる菅田将暉さん。
非常に気色悪く、背筋に悪寒が走るような存在のFukaseさん。
熱量と愛敬のある仲介
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アルキメデスの大戦(2019年製作の映画)

3.9

反証

能力と知識を武器に言葉巧みな戦いが繰り広げられる130分。
言葉数が非常に多い中で、集中力が切れずに魅入れる熱量のある作品でした。
原作もチラリ手に取りつつ、舞台版を非常に楽しみにしていたので
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残された者-北の極地-(2018年製作の映画)

3.7

生存確認

果て無い雪景色が死への恐怖を畳みかけてくる。
バックグラウンドも状況も説明などない。
セリフすらほとんどない中で、黙々と生命維持のためルーティンを全うする男が、他の命に感化され突き動かされ
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ライダーズ・オブ・ジャスティス(2020年製作の映画)

3.9

不確か

データでも計算でも「後悔」は予測不可能。
哀しみを起爆剤に行動に移した男たち。
人生の流れは遡りきれなくて、始発点も明確ではない。
父娘二人の食卓に徐々に人が増え、会話が増え、笑顔が増えてい
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スノー・ロワイヤル(2019年製作の映画)

3.5

倫理観

息子を殺めた犯人の大元へ歩み寄るため、殺し捨てる。それが模範市民の新ルーティン。
犯罪小説のアイデアを基に次々と手をかける父親。
死者が出るたびにクレジットをするのは追悼なのか嘲笑なのか。(
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街の上で(2019年製作の映画)

3.7

「あった」という事実

スローだけれど、どこか軽快な一作でした。
よく歩く道とよく行く場所ばかり出てくる。いる人が違って流れてる曲が違うだけで別の場所に見える不思議。
繋がっていないけれど、繋がってい
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前科者(2022年製作の映画)

4.1

おかえりなさい

演者さんたちと魅せ方が長けすぎている一作でした。
ドラマ版は大東さんはじめ「前科者」たちに魅せられ2度ループしてしまった。
劇場版はよりわかりやすくドラマチックでエンタメ的、阿川先生
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護られなかった者たちへ(2021年製作の映画)

3.7

ライフライン

努力の意味を多面的に捉えなければならないと痛感させられる時間でした。
曲げたくない信念も不可抗力により屈折させられることがある。仕事に限らず。
終わりのない負の循環とぶつけ先のない葛藤
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瀑布(2021年製作の映画)

3.9

程度が違うだけ

鋭い目線と穏やかな目線の差が印象的な一作だった。
フィルメックスで時間が合わず断念していた今作。
チョン・モンホン監督作の言葉にし難い温度感がすごく好みなんだなと実感。
ブルーシート
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春原さんのうた(2021年製作の映画)

4.0

風通し

喪失からの歩みはじわじわと進むもの、そう言わんばかりにゆったりと時間が刻まれる一作。
にじみ出る日常感。日常音と一緒に、会話がこぼれおちる様に聞こえてくる。
穏やかな土地柄も相まって、押しつ
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青葉家のテーブル(2021年製作の映画)

3.7

寄り道

ドラマ版一気見からの劇場版鑑賞。
独特の穏やかさに加えて、少しだけ意地悪な感情が入り混じる展開。
今の不安とあの頃への不満が、程よくくすぐったい。
個性的な登場人物と食欲をそそるご飯、豊かさ
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