クリストフォルーさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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レイダース/失われたアーク《聖櫃》(1981年製作の映画)

4.0

1981年末。80年代に入っても、何かふんわりとした気分のままでいた頃。ハリソン・フォードだし、スピルバーグだし、何かいいもん見せてくれるはずと映画館に入った。公開当初はそれほど満席でもなかった。しか>>続きを読む

ポセイドン・アドベンチャー(1972年製作の映画)

3.8

1973年の“春休み映画(死語か)”だったが、それこそ、“立ち見(これも死語?)”も含めて満席の映画館で、手に汗握り、アドレナリン出まくりで楽しめた。【パニック映画】なんて言葉も、ハックマンやボーグナ>>続きを読む

22才の別れ Lycoris 葉見ず花見ず物語(2006年製作の映画)

3.9

久し振りに「理由」を観返したときに、そういえばと思い出したのがこれだった。もちろん「なごり雪」も観ているのだが、高校時代より、成人してからの別離の方が生々しく身に染む。70年代にはこの歌の重みが解かっ>>続きを読む

SPACE BATTLESHIP ヤマト(2010年製作の映画)

2.1

宇宙描写に専門的なアドバイザーを参加させなかったことや、スタートレック以上に宇宙船感が乏しいことなどをさておいても、世界に向けた映画化に、なにより必要な“哲学”がない。十二万八千光年を旅して、地球人は>>続きを読む

アイアンマン(2008年製作の映画)

4.1

後に、ケヴィン・ファイギ(マーベル社長)が『ハリウッド史上最高の決断のひとつ』と回顧する、ロバート・ダウニー・Jr.演じる「アイアンマン」の誕生篇。ひらたくいうと、巨人ゴリアテを倒し、ダビデ王が爆誕す>>続きを読む

過去を逃れて(1947年製作の映画)

4.1

本作の公開直後、ミッチャムはマリファナ所持で逮捕、投獄されたという、タイムリーな逸話がある映画だが、フィルムノワール、あるいはハードボイルド探偵の教科書のような展開と語り口で、多少の強引さも納得させら>>続きを読む

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)

4.0

ろう(あ)者が映画に登場することは、その障害に焦点が当たっていない作品も含めて、数多い。アメリカのフィルムノワールの古典作品「過去を逃れて」にも、ろうあ者の青年が出てきて驚いたが、唇で会話が読めるとい>>続きを読む

ミスティック・リバー(2003年製作の映画)

4.4

昨年、「沈黙のパレード」を観ていて、ふんわりと思い出したのが本作だった。劇場鑑賞時は、名優たちの共演に目を奪われて、描かれていた事件の本質には想いが到らなかったが、今年の“J事務所への告発案件”などを>>続きを読む

フィッシュストーリー(2009年製作の映画)

3.9

“トール・テール”と違い、史実や実在した人物などが登場しないほら話=今で言う“盛られた話”を“フィッシュストーリー”というらしいが、伊坂幸太郎流の“ほら話”を、中村義洋監督が、怪談/都市伝説手法の語り>>続きを読む

小さな巨人(1970年製作の映画)

4.0

老人の回顧による【昔語り】を、日本人は真面目に史実と捉えることが多いのだが、海外では、概ね【トール・テール(ほら話)】と受け取られるようだ。特に“西部開拓時代”が舞台となると、虚実入り乱れることになる>>続きを読む

遠い夜明け(1987年製作の映画)

4.4

バブル景気の只中、この重たい映画を観たのは確かだが、“アパルトヘイト”の問題を前向きに受け止めた記憶はない。あのころの日本は“勝ち組”だったし、南アフリカでは“名誉白人”の日本人は、今以上に世界に対し>>続きを読む

銀河鉄道999 エターナル・ファンタジー(1998年製作の映画)

4.0

漫画家・松本零士の絵柄・フォルムのファンなので、ヤマトアニメ調の人物や宇宙船の味気なさには違和感があったのだが、999シリーズも、作品を積み重ねるうちに、ようやく、松本零士の持ち味にたどり着いたアニメ>>続きを読む

海街diary(2015年製作の映画)

4.0

それ以前にも、竹宮恵子や萩尾望都作品を愛読していたが、友人の奨めで、吉田秋生の『カリフォルニア物語』に出会ったとき、さほど年齢も変わらない作者が、遠くの世界を身近な感覚で描き出していることに衝撃を受け>>続きを読む

フラガール(2006年製作の映画)

4.2

もう何度も観ているが、エポックメイキングというか、いまや、この手の映画のお手本になっている作品。
明治から昭和の終わりまで、日本経済を支え続けた【常磐炭田】が【常磐ハワイアンセンター】に姿を変え、さら
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オレンジと太陽(2010年製作の映画)

4.2

オーストラリアの知識が杉本良夫氏の著作くらいなころ、「裸足の1500マイル」を観て衝撃を受けた。【白豪主義】の暗黒面が印象付けられたが、、それでも、まだまだ本質が見えていなかった。
それから10年後、
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クリード 炎の宿敵(2018年製作の映画)

4.1

オープニングで、底辺の生活をしながら、ボクサーとして浮かび上がろうとするドラコ父子のいる場所が、ウクライナのキエフ(キーウ)というのが、いまごろボディブローのように効いてくるとは、劇場鑑賞時には思いも>>続きを読む

クリード チャンプを継ぐ男(2015年製作の映画)

3.9

実話であろうがフィクションであろうが、“ボクシング映画”が作り続けられ、それが人々を魅了するのは、自らを鍛え上げ、拳(こぶし)ひとつで逆境を打破する姿に、観客が自分を重ね合わせ、カタルシスが得られるか>>続きを読む

ロッキー4/炎の友情(1985年製作の映画)

3.5

「クリード 炎の宿敵」や再編集された「ロッキーvsドラコ」から遡るかたちで、この「ロッキー4/炎の友情」を観返すと、日本公開当時の、えもいわれぬ気分が甦ってきた。
サバイバーのヒット・チューン"♪ E
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レインマン(1988年製作の映画)

4.3

日本公開の89年当時、アカデミー賞最有力と紹介されていたし、名優ホフマンとトム・クルーズのとりあわせも悪くない気がしていたが、デートムービー向きとは思わなかった。しかし、満席(当時は立ち見もあった)の>>続きを読む

サイボーグ009 超銀河伝説(1980年製作の映画)

2.7

1979年の日本サンライズ版テレビアニメからの劇場映画化だが、設定はSFぽいが、マインドが追いついていないし、恋愛要素も空回り。展開も見たようなものばかりで新味がなく、何よりテンポが悪すぎる。いえば、>>続きを読む

大いなる勇者(1972年製作の映画)

4.1

この映画を観たことのない頃でも、マッキンタイアの歌を聴き憶えていたのか、“ジェレマイア・ジョンソン”という名を知っていた。実際に本作を観たのは、80年代のどこかの名画座だったのだろうが、歌の印象からか>>続きを読む

7月4日に生まれて(1989年製作の映画)

4.0

実在のベトナム帰還兵の自伝を基に、そこから浮かび上がる戦争の実態と、60~80年代のアメリカ社会の精神的支柱が、ベトナム戦争参戦により激しく揺れ動く様を、個人の側から活写した映画。サブカル史やメキシコ>>続きを読む

劇場版 マジンガーZ / INFINITY(2017年製作の映画)

3.8

オールドファンとしては、ガンダムやエヴァとは違う、マジンガーならではのロボットアニメぽさを期待したのだが、機械獣総登場の目まぐるしさが、逆にガンダムやヤマト的な闘いで、つまらなくなったと感じた。
「ゲ
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夏の庭 The Friends(1994年製作の映画)

4.2

前年の「お引っ越し」に続いて、読売テレビ製作で、児童文学を元に映像化した相米慎二監督作品だが、1989年の「べっぴんの町」同様、阪神・淡路大震災直前の“神戸”の姿が記録されている。魚崎や御影、住吉川な>>続きを読む

あなたを抱きしめる日まで(2013年製作の映画)

4.4

先に「オレンジと太陽」なんかも観ていたのだが、宗教(カトリック教会)だけに罪悪を押し付ける見方ができなかったのは、ジュディ・デンテの名演があったからだろう。国際養子縁組で救くわれた命も多かったはずだ。>>続きを読む

中島みゆき「夜会 Vol.17 2/2」劇場版(2013年製作の映画)

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BS松竹東急で、2004年の中島みゆき公演【夜会vol.13「24時着0時発」】が放映された。2006年のシアターBRAVA!での【vol.14「24時着00時発」】は運よく当選したのだが、さすがに2>>続きを読む

ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃(2001年製作の映画)

3.9

平成シリーズや他のミレニアム作品群の“超科学”押しからは独立した、神話的な世界観で構成されたゴジラ映画で、のちの「シン・ゴジラ」に呼応する感じ。そういえば、あの“ゴジハムくん”を生んだ「劇場版ハム太郎>>続きを読む

ゴジラ2000 ミレニアム(1999年製作の映画)

3.1

いくら商業映画としてキャスティングを充実させても、怪獣映画としては、ゴジラ襲来の恐怖や、敵(宇宙生命体オルガ)がもたらす脅威が明確でなければ盛り上がらない。平成ガメラから何も学ばず、こんな空回り映画で>>続きを読む

ゴジラVSデストロイア(1995年製作の映画)

3.5

先に公開された、大映名義の「ガメラ 大怪獣空中決戦」にタメを張るかと期待したのだが、設定の大風呂敷が上手くまとまらずに、結果大味な出来に終わってしまった。ただ、幼体デストロイアは「レギオン襲来」に、完>>続きを読む

ゴジラVSビオランテ(1989年製作の映画)

4.0

大森一樹版ゴジラの一作目として、東京近郊から関西に舞台を移して、ゴジラの新たな存在理由を追求した力作。
高嶋政伸と峰岸徹が大活躍だが、豊原功輔と鈴木京香もアクセント以上の存在感。平田昭彦を継いだ高橋幸
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メカゴジラの逆襲(1975年製作の映画)

3.5

『ジャイアントロボ』や『マグマ大使』の特撮を視聴してきた者としては、メカゴジラのチープさも許容範疇なので、逆に、ゴジラや深海恐竜の方がオイオイという感じになる。それでも、「日本沈没」を経た水中特撮や、>>続きを読む

イエスタデイ(2019年製作の映画)

4.1

コロナ禍直前の鑑賞時は、ダニー・ボイルとリチャード・カーティスによる変種のビートルズ讃歌という感想だったが、わずか数年の時の流れは、まったく別の感想を懐かせてしまう。
パラレルワールド設定は、いまや大
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ふたたび swing me again(2010年製作の映画)

3.7

2010年の公開時にスクリーンで観ていたことに、いまさら驚くのもなんだが、当時の鈴木亮平は『ヤンキー君とメガネちゃん』で見覚えある程度。題材のハンセン病とJAZZ、関西が舞台ということに惹かれたのだろ>>続きを読む

愛にイナズマ(2023年製作の映画)

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23年4月の【日本映画制作適正化機構(映適)】発足に当てたわけではないのだろうが、邦画制作のブラックな世界を逆手に取ったような物語が描き出されるようだ。キャストも文句なしだし、公開を待ちたい。

他方
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11人のカウボーイ(1971年製作の映画)

4.1

翌年(1972)の「男の出発(たびだち)」の方が評価が高いようだが、本作のほうが西部劇の旨みを具えている。ジョン・ウェインが土俵際で踏ん張って、西部の男の最後の輝きを放ち、ブルース・ダーンが、西部劇ら>>続きを読む

プーと大人になった僕(2018年製作の映画)

3.7

原作は読んでなくても、キャラクターとしての“くまのプーさん(Winnie-the-Pooh)”は知っているし、アニメーションも観たことはある。しかし、
ほんとうにプーたちと出会ったといえるのは、ケニー
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