クリストフォルーさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

クリストフォルー

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金田一耕助の冒険(1979年製作の映画)

3.9

ジュブナイル嗜好の映画が多い大林作品の中では、アダルト志向を貫いた映画のひとつ。金田一耕助というキャラクターを用いてどれだけ遊べるか。いまでも、信長や北条政子・義時などなど、エンタメ的キャラ遊びは廃れ>>続きを読む

スタートアップ!(2019年製作の映画)

4.1

韓国映画定番の“擬似家族もの”なテイストで、“始動≒やり直し”の大切さを描いてみせた作品。社会や若者像も、誇張とリアルのギリなラインという感じで好い。
韓国にかぎらず、日本だって、いまこそ、失敗を許容
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サボテン・ブラザース(1986年製作の映画)

3.7

物語のテイストが二転三転してる感じだが、往年のコメディ西部劇や「荒野の七人」の要素を採り入れつつ、ラストはヒーロー西部劇で収めちゃう、そのチャッカリぶりも憎めない。それにしても、この邦題はヒドイね。>>続きを読む

人間の証明(1977年製作の映画)

4.0

よくも悪くも、それまでの日本映画の閉塞した枠組みを取っ払い、エンターテイメントとしての方向性を示した作品。角川(春樹)映画らしい“ぶっこみぶり”が、鬼籍に入ったキャスト、スタッフの足跡も含めて、今では>>続きを読む

四日間の奇蹟(2005年製作の映画)

3.3

ゆり子さんは、小学生によみがえるずっと前から、「秘密」や「黄泉がえり」、本作と、生と死の境界に踏み込みがちなのですね。健康的なイメージと、か弱さが両立したキャラのせいでしょうか。あと、「Dr.コトー」>>続きを読む

コッホ先生と僕らの革命(2011年製作の映画)

3.8

実際の人物や史実はどうあれ、帝政ドイツにサッカーの灯をともした人々がいた事実を、今に伝える映画ではある。大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』みたいなメタフィクションだね。

時空の旅人(1986年製作の映画)

3.0

眉村卓の作品は、小説より、映画やドラマの原作として親しんでいたので、いちおう本作も観に行ったのだが、同じ萩尾望都絡みの「11人いる!(併映は新井素子の「扉を開けて」)」の方が好みだった。それでも、ジュ>>続きを読む

無垢なる証人(2019年製作の映画)

4.2

「ワンドゥギ」のイ・ハン監督作だし、チョン・ウソンと「神と共に」2部作のキム・ヒャンギも出演と知って劇場鑑賞し、期待以上の良作に感動した。そして、ネトフリで話題の『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌 』が同じ脚>>続きを読む

I am Sam アイ・アム・サム(2001年製作の映画)

4.3

こういう“親子モノ”映画のプロトタイプとして、言わずと知れた、1921年のチャップリンの名作「キッド」があるせいか、「クレイマー、クレイマー」同様、観る者は結末に期待してしまうし、作り手としてはハード>>続きを読む

社葬(1989年製作の映画)

4.0

バブル景気の只中、ホイチョイでも、文芸でも、「釣りバカ」でもない、大人向けの映画を作ろうとした岡田茂の嗅覚が、いい意味で花開いた快作。
「仁義なき」に倣って、業界の表も裏も取材して,「仁義」に劣らぬ、
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おやすみなさいを言いたくて(2013年製作の映画)

4.1

いまは、一般人が現場から情報を発信できる時代。それでも、権力が伝えたくないと思う事実を、身を挺して現場から切り取り、世界へ届ける“報道”の重要さは、逆に高まっていると思う。
“報道写真家(フォトジャー
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アナと世界の終わり(2017年製作の映画)

4.1

ミュージカルはもちろん、ゾンビ映画でも多くの秀作を生み出してきたイギリス。本作も、当初の限定公開が勿体無い、高校生に観てほしい傑作映画だ。
ジュークボックスじゃない、オリジナルの楽曲も心に刺さる出来だ
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安市城 グレート・バトル(2017年製作の映画)

4.0

唐の太宗が、大群を率いて高句麗に攻め入ったとき、安市城の城主ヤン・マンチュンが、少ない手勢でこれを撃退したという史実を、満を持して映像化したという感じの力作。
過去の大作映画で観たことのあるようなシー
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カンバセーション…盗聴…(1973年製作の映画)

4.1

さすがに劇場公開時には観ておらず、初見は地上波の『○○洋画劇場』のはずだが、ジョン・カザールにテリー・ガー、ハリソン・フォードにデュヴァルまで登場するし、静かに、その存在感だけで魅せるハックマンは、や>>続きを読む

ジャスティス(1979年製作の映画)

4.1

ノーマン・ジュイスンとデイヴ・グルーシンのタッグで、シーン展開は軽やかなのだが、内容はへヴィ。ボルチモアの街中を彷徨いながら、己の求めるべき“正義”を模索し続ける主人公を、パチーノが変幻自在に演じて厭>>続きを読む

ワイルド・アパッチ(1972年製作の映画)

-

80年代、私は“遅れてきたアルドリッチ=ファン”だったが、本作は地上波の吹替え放映で観たきりで、VHSは出ていなかった気がする。
いま観直すと、アパッチ、騎兵隊、開拓民、ガンスリンガー、それぞれの正義
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地獄門(1953年製作の映画)

4.1

数年前、【京マチ子特集上映】かなにかでスクリーン鑑賞したが、長谷川一夫と悪役俳優・山形勲が、正邪転倒の役柄を好演していて唸らされた。もちろん、要となる袈裟御膳役の京マチ子は、貞女を演じてもゆるぎない存>>続きを読む

ノウイング(2009年製作の映画)

3.7

突然の非常事態に巻き込まれた家族(親子)が主役の映画は、親(主人公)が子供を護り通そうと奮闘する展開が王道だが、ハリウッドや韓国映画だと違和感がないけれど、日本映画って、こんなにストレートには描いてく>>続きを読む

未知への飛行(1964年製作の映画)

4.1

80年代に日本で公開されたときは、さすがに“旧聞に属する映画”という感じで観たが、DVDで「博士の異常な愛情」と見比べたりするうちに、本作の美点が見えてきた。
「博士の異常な愛情」では“冒頭”に掲げら
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スクープ・悪意の不在(1981年製作の映画)

3.9

キャプラの「群衆」や黒澤の「醜聞」の昔から、こういったジャーナリズムの暴走を描いた作品が多いのは、マスコミ(メディア)が、悪意のあるなしに関わらず、無辜の人を傷つける事例が絶えないせいなのだろうか。>>続きを読む

ひとごろし(1976年製作の映画)

4.0

山本周五郎の生みだした物語(小説)の数々は、世紀を超えても愛され続け、いまなお映像化も絶えない。
短編『ひとごろし』も、様々にアレンジが加えられて、映画やドラマになっているのだが、この映画とほぼ同時期
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パリは燃えているか(1966年製作の映画)

4.0

家具職人ゲオルグ・エルザーによる爆殺未遂事件(「ヒトラー暗殺、13分の誤算」)や陸軍将校たちによる“7月20日の暗殺未遂・クーデター事件”(「ワルキューレ」)を経て、ようやく本作にたどり着く。
記録映
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レディ・ジョーカー(2004年製作の映画)

4.1

“主演・渡哲也”ありきの企画だったんだろうが、新人俳優・徳重聡の擦れてない刑事像は、中井貴一や上川隆也にも負けていなかったと思う。合田雄一郎シリーズを続けていれば、第二の裕次郎は花開いたかもしれない。>>続きを読む

地下鉄(メトロ)に乗って(2006年製作の映画)

4.0

ホームドアや駅ナカなど無い時代とはいえ、地下鉄構内の連絡通路の光景は、東京も大阪も見分けがつかない。階段を上がって、見知らぬ街を目にしたときのワクワクを、ずいぶん長く味わっていない気がする。
ファンだ
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ジェイソン・ボーン(2016年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

ロバート・ラドラムのスパイ小説がどうだろうが、私にとって『ボーン』3部作は、ジュリア・スタイルズが演じた《ニコレット(ニッキー)・パーソンズ》のストーリーでもあった。1作目では下級の連絡員だったのに、>>続きを読む

つぐみ(1990年製作の映画)

4.0

1990年、バブル景気に飽いた人々に求められた、吉本ばななの小説『TUGUMI』を市川準が映像化。主演は牧瀬里穂だが、当時の私は、二十歳を迎えた中嶋朋子に魅せられた。本作で、『北の国から』の子役時代を>>続きを読む

トゥルーマン・ショー(1998年製作の映画)

4.0

アンドリュー・ニコル(脚本)が監督のままだったら、「ステップフォード・ワイフ」や「アイランド」のような“ディストピア映画”ぽい作品になっていたのかも。
本作の“ザ《ジム・キャリー》ショー”な仕上がりも
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セントラル・ステーション(1998年製作の映画)

4.5

子どもが独りで彷徨ったり(「友だちのうちはどこ?」韓国映画「クロッシング」「LION/ライオン ~25年目のただいま~」)、集団で旅したり(「トラッシュ! -この街が輝く日まで-」「明日の空の向こうに>>続きを読む

友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)

3.9

「大人はわかってくれない」を観て、“本歌取り”のようだと、あらためて本作を思い起こした。もちろん、本作の少年アハマッドは、少し勇気を出して日常から一歩はみ出し、ジグザグ道を往復し見知らぬ村を彷徨うけれ>>続きを読む

ちーちゃんは悠久の向こう(2007年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

女優・仲里依紗に注目し始めたのは『ハチワンダイバー』あたりからだが、この映画も長らく気になっていた。
“学園モノ”とも言いづらい作品だが、過去の「四月怪談」や「東京上空いらっしゃいませ」を思い出した。
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斬る(1962年製作の映画)

4.0

朝ドラ『カムカムエヴリバディ』の“モモケン(桃山剣之介)”のモデルとなり、令和にも名を馳せる不世出の映画スター・市川雷蔵。
150本以上の出演映画のうち、最盛期には年10本以上の主演作を撮っていたのだ
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Dr.コトー診療所(2022年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

富岡涼くんが復帰するなら、桜井幸子さんもぜひ。神木と大後寿々花さんもお忘れなく。

そして10月。
映画館で“♪銀の龍の背にのって”のイントロから予告編が映し出されただけで泣きそうになった。そのうえ、
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サブウェイ・パニック(1974年製作の映画)

4.1

パニック映画ブームの頃だったので、邦題のせいで誤解してしまったが、純然たる犯罪映画だった。ちょっと「ホットロック」を思い出すが、犯行のクールさや犯人たちのドライさは、『70年代アメリカン・シネマ103>>続きを読む

男はつらいよ お帰り 寅さん(2019年製作の映画)

3.9

ひさびさに劇場で「寅さん」を観る気になったのは、二十数年ぶりのゴクミと池脇千鶴が出ていたからだが、回想シーンを織り込んで一本の映画に仕立てる、山田洋次十八番の「黄色いハンカチ」手法は、もはや老練の域に>>続きを読む

大人は判ってくれない(1959年製作の映画)

3.8

シャルロット・ゲンズブール主演の「小さな泥棒」を観たときに、パンフレットに記されていた本作のビデオをレンタルした。日本の、いわゆる“少年非行”を題材にした映画にはない、自立心に基づく国民性を感じさせる>>続きを読む

恋におちたシェイクスピア(1998年製作の映画)

4.3

日本での劇場公開時は、もちろん、アカデミー賞受賞作品で、しかも、シェイクスピアが題材というマスターピース保証付きなので、まよわずデートムービーにしたのだが、ヒロインはともかく、何であんなオトコがもてる>>続きを読む