クリストフォルーさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

クリストフォルー

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育子からの手紙(2010年製作の映画)

3.0

美少女タレントの通過儀礼ともいえる難病モノ映画だが、家族ではない視点が加わっている点が新味ではある。
ただ、実話原作が20年前の作品なので、手紙のやり取りが軸になる設定が、今に置き換えてしまうと携帯電
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ミッドナイト・ラン(1988年製作の映画)

4.1

バディムービーあるいはロードムービーといってもいいが、本作は逃走しながら行く先々で騒ぎを起こす“珍道中映画”の系統に入るだろうか。長い歴史があるからこそ、デ・ニーロとグローディンの掛け合いが映画のメイ>>続きを読む

彼女の人生は間違いじゃない(2017年製作の映画)

3.8

本作のレビューを上げようとしたタイミング(2022.3.16深夜)に、福島県沖を震源とした震度6クラスの地震が起こり、宮城県や福島県のみならず、関東圏まで巻き込んだ震災被害が出た。東日本大震災の余震だ>>続きを読む

汚れた心(2011年製作の映画)

4.2

戦前(戦時中)の日本人の多くが、日本が現人神の治める無敗の国、日本人が大和魂を持つ無敵の民族であるという幻想を、教育や日常的なプロパガンダによって信じ込まされていた。やがて、戦況がしだいに悪化するに及>>続きを読む

南部の反逆者(1957年製作の映画)

3.9

往年の名作映画も結構観ているつもりだが、名が通っていなくても観るべき作品というのはあるものだと思うのは、こういう映画に出会ったときだ。
晩年(といっても50代後半)のゲイブルと翌年の「手錠のまゝの脱獄
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007/トゥモロー・ネバー・ダイ(1997年製作の映画)

3.9

劇場公開時に観ているが、パートナー(ボンドガールではない)のミシェル・ヨーや敵役のジョナサン・プライスもまだ有名でなく、アクションシーンは見どころがあったが、作品的にはいまひとつという感じだった。
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王の預言書(2018年製作の映画)

3.8

本作にチョン・ウヒが出てくるのは、あまりに女性(女優)の出番が少ないための保険だったのかもしれないが、時代物で着飾らなくても存在感を残した。
題材の『ブンブ伝』はパンソリで有名な演目だそうだが、日本だ
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あしたになれば。(2015年製作の映画)

3.3

2001年の羽曳野市を舞台にした「あしたはきっと…(吹石一恵主演)」が好印象だったので、本作も先行公開を観に行っている。今回は、羽曳野に藤井寺と太子町を加えた2市1町が、架空の南河内市として設定されて>>続きを読む

流れ星が消えないうちに(2015年製作の映画)

3.7

同じ年の朝ドラ「あさが来た」で、一挙に国民的女優に登り詰めた感があるが、そこまでにすでに十年のキャリアがある波瑠の歩みを見ると、本線はこちらだと思えてくる。最新の出演作(「弥生、三月~」や『愛しい嘘~>>続きを読む

遠い一本の道(1977年製作の映画)

4.1

左幸子と井川比佐志の夫婦役というと、あの山口百恵の赤いシリーズ『赤い絆』を思い出すが、その直前に、こんな映画が撮られていたとは知らなかった。1977年当時の国鉄労働組合(家族会)が全面協力しているのに>>続きを読む

007/カジノ・ロワイヤル(1967年製作の映画)

3.8

初見はもちろん70年代の地上波放映だが、フィックス声優の吹き替えと巧みな短縮編集のおかげで、訳など分からなくても大好きな映画になってしまった。DVDやBDにも日本語吹替えが付いていないが、ぜひ70年代>>続きを読む

戦争と平和(1956年製作の映画)

4.1

原作はダイジェスト版(昔はあった)で読んだだけだが、さすがにセルゲイ・ボンダルチュク監督・主演の長大なソビエト映画には及ばなくても、このキング・ヴィダー監督作にも捨てがたい魅力がある。ヘンリー・フォン>>続きを読む

野火(2014年製作の映画)

4.1

弾薬・兵站は尽き、作戦も組織も瓦解して、見知らぬ南方の最前線に、置き捨てられた大日本帝国の皇軍兵士達。迫る敵軍に対して降伏も許されず、玉砕するか、自決するか、餓死するか。現代の私たちには究極の非現実が>>続きを読む

007/消されたライセンス(1989年製作の映画)

4.0

ダルトンのジェームス・ボンドは、コネリーに劣らぬふてぶてしさが好ましく、後のクレイグ版に通じる人間味も新鮮で、2作品で終わったのが残念だった。続くブロスナン版の方が迷走していた気がする。

彼らが本気で編むときは、(2017年製作の映画)

3.9

LGBTの人と無垢な子供という、よく使われる取り合わせ(「チョコレートドーナツ」「弟の夫」「ミッドナイトスワン」等々)は、観に入りやすいのだが、結局はあとで子供たちへの説明に苦労する。荻上監督も、子役>>続きを読む

蘇える金狼(1979年製作の映画)

3.8

現在、オバサン女優として大成した風吹ジュンだが、20代の彼女を知る世代は、まさかこれほど実力のある女優になるとは思いもしなかったのではないか。あの微妙な歌手時代を経て、今日の地位を成した彼女は、もっと>>続きを読む

植村直己物語(1986年製作の映画)

4.1

劇場公開時には、スクリーンからあふれ出るようなリアルな大自然との格闘に気圧されてしまい、VHSテープのソフトで、ようやくリピート鑑賞ができた。少年期に、テレビでエスキモー(イヌイット)の生活を追ったド>>続きを読む

シルミド/SILMIDO(2003年製作の映画)

4.1

空軍側のアン・ソンギ(キム准尉役)とホ・ジュノ(チョ伍長役)のコンビには、90年代の「ホワイト・バッジ」というベトナム戦争を舞台にした超トラウマ映画があるので、本作にはそう驚きはしなかったが、時代背景>>続きを読む

タイフーン TYPHOON(2005年製作の映画)

4.2

2015年の「(劇場版)S -最後の警官- 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE 」を観た時、10年経っても日本映画は韓国に追いつけないんだなと実感させられたが、「マイウェイ 12,00>>続きを読む

007/ユア・アイズ・オンリー(1981年製作の映画)

3.5

ロジャー・ムーアのボンド作品としてはイチオシ。なんせキャロル・ブーケの凛々しさに、登場するや、たちまち心を掴んでしまう(ハイアム・)トポルのカッコイイとこが見られるだけで嬉しくなる。007では定番の雪>>続きを読む

ミザリー(1990年製作の映画)

4.0

本作の公開当時は、キングの小説は、邦訳が出ると単行本の段階で即買いしていた。小説は売れっ子作家の妄想が大暴走していて、ホラーというよりはグロテスクなサスペンスだと思うが、映画版は、ロイナー得意のコメデ>>続きを読む

The Crossing -ザ・クロッシング- PartⅡ(2015年製作の映画)

3.9

本作の原題が「太平輪 彼岸」なのに仰け反ってしまったが、中国語の意味合いは『対岸、転じて新世界』ということらしい。(まぁ、長澤まさみの登場シーンはお彼岸ぽかったけど…)
2014年の公開時に中国で大コ
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The Crossing -ザ・クロッシング- PartⅠ(2014年製作の映画)

4.1

この「Part Ⅰ/太平輪(上)」では“太平輪沈没事故”はまだ出てこず、主に国民党軍の側から見た“抗日戦争および国共内戦”が描かれる。その前に観ていた「戦場のレクイエム」が共産党軍側の話だったし、チャ>>続きを読む

私をスキーに連れてって(1987年製作の映画)

5.0

本年、待ちに待たされたBD化がようやく叶う。公開時から、VHSやDVD含め、鑑賞が年中行事になっているが、2000年代になってからは、涙なしでは観れなくなった。
スマホどころか携帯電話もない。ゲレンデ
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チャーチル ノルマンディーの決断(2017年製作の映画)

3.9

チャーチルの著作(第二次大戦の回顧録など)を読んだことがあるので、本作の人物像は実像とかけ離れている気はするが、政治家や軍人こそ、過去の失敗や犠牲を無視してはならないというひとつの理想を描いていると思>>続きを読む

グッドモーニング、ベトナム(1987年製作の映画)

4.2

「M★A★S★H マッシュ」や「キャッチ=22」のブラックな不条理さも感じられるが、一番感じた思いは、“何故あんな戦争をしてしまったのか”という苦い悔恨だろうか。
ベトナム戦争(ベトナム人にとっては第
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10人の泥棒たち(2012年製作の映画)

4.0

劇場公開時は、豪華声優による日本語吹替え版まで上映された力作。香港映画のお株を奪ったというと失礼かもしれないが、韓国映画がアジアのメインストリームになるんだという強い意欲が感じられた作品だった。
「ワ
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雨に唄えば(1952年製作の映画)

4.5

数年前にも『午前十時の映画祭』で上映されたが、やはり、これはスクリーンで観なきゃいけない映画だと思った。50年代のMGMミュージカル全盛期の作品とはいえ、本当に見どころがてんこ盛り。歌にタップにモダン>>続きを読む

マイ・サンシャイン(2017年製作の映画)

4.1

92年のいわゆる“ロス暴動”は、日本にいる限りは対岸の火事のひとつにすぎず、私自身は、深夜のテレビドラマ『LAロー(第7シーズン)』のエピソード(弁護士のスチュワートが暴動に巻き込まれて障害を負ってし>>続きを読む

未来を花束にして(2015年製作の映画)

4.2

『映像の世紀』のリマスター版放映で、本作のクライマックスであるダービーでの事件の実際の記録映像が出てきたのに驚いたが、本作のエンディングに流される、実際のエミリー・ディヴィソンの葬列の映像もまた胸に染>>続きを読む

マルチュク青春通り(2004年製作の映画)

4.0

1978年の韓国。朴正煕による独裁体制と“漢江の奇跡”と呼ばれる著しい経済発展の最中、ソウル市江南区の男子校で、激しい受験戦争と思春期の鬱屈に惑う高校生たち。ここを勝ち残っても、翌1979年から「ペパ>>続きを読む

グッド・ネイバー(2016年製作の映画)

4.2

半世紀を越える俳優人生を、ジャンルを問わず、第一線で活躍し続けるジェームス・カーン。彼が、ただの枯れ果てた老人を演じるとは思わない観客の先入観が、おのずとミスリードを生んでしまう。二人の若者との対比や>>続きを読む

3人のゴースト(1988年製作の映画)

4.0

日本でも、1988年のクリスマスシーズンに公開されたが、マーレイとカレン・アレンが出ていても、正直、損した気分をもてあました。それでも、バブリーなクリスマスに浮かれてばかりではいけないと、家族と過ごす>>続きを読む

東京ゴッドファーザーズ(2003年製作の映画)

4.1

くしくも、BS放映が信本敬子氏を追悼する形になってしまったが、存命、故人に関わらず、クレジットには懐かしい名がたくさん(藤原啓治の名も見えた)。ハナ(梅垣義明)の声が篠井英介ぽいのが可笑しい。“三人の>>続きを読む

ミス・ワイフ(2015年製作の映画)

3.9

チャ・テヒョン主演作「大好きだから」他、定番ネタTOP3に入りそうな程おなじみの“入れ替わりモノ映画”だが、それだけに、かえってヘタなものは作れない。設定から展開を予想していたが、見事にうっちゃられて>>続きを読む

フィラデルフィア(1993年製作の映画)

4.1

エイズと同性愛者について、自分なりに冷静に受け止められていると感じたのは、2006年の「RENT/レント」あたりからだろうか。
最初に映画館で観た頃は、HIVウィルスは、同性愛者からというより、薬害エ
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