本作はハリウッドホラーではなくイギリス製である。
静寂と不気味さで観客を怖がらせる演出はJホラーに通じるものがある。
何が現実で、何が幻想なのか。
その判断も付かなくなり、教授の世界から現実感だけが>>続きを読む
スプラッターフィルムを小バカにした本作。
批評家、純粋なホラーファンを敵に回し酷評されているが、私はソコソコ楽しめた。
迫真の演技、緊迫感漂う空気、どれもこれも引き込ませてくれる。
そしてあの終わり>>続きを読む
『ゾンビ』という、生死の狭間に囲まれながらどこまでも我を張り通す人間。
ただ、この本作におけるロメロの目線はそんな人間の醜い側面に顔をしかめ、苦言を呈すと言うような堅苦しいものではない。
己の信じる>>続きを読む
前任者が残した膨大な量の初稿をひも解いていくうちに、徐々に明らかになっていく巨大な謎。
作家さながらの知的好奇心への探究欲が無性に駆り立てられていく。
謎解きの好奇心と自分の生命の危機。
しかし、ど>>続きを読む
宇宙のはてで自己主張する素数。
暗号解読の先に浮かび上がった謎のヒトラー。
打ち上げるのでなく落とすとゆう発進方式の宇宙船。
遠い場所で遭遇するごく近い存在。
まず、そんな展開の部分部分がSF映画と>>続きを読む
この映画が単なるクライムアクションにとどまらないのは、登場人物も深く掘り下げている点。
冷血漢という顔の裏に強靭な家族愛があり、また、一見普通の看守が犯罪者に向かうと凶悪な鬼と化すその二面性を描き出す>>続きを読む
スパイ映画といっても派手なアクションがあるわけではない。
ここに描かれるスパイはあくまでもリアルだ。
裏切り、懐柔、取引、恫喝、そんな駆け引きがまさしく防諜活動の本来の姿。
主役を演じるゲイリー・オ>>続きを読む
「人生色々、オンナもいろいろ。」とでもいわんばかりにバラエティ豊かな女ゾンビが続々と登場。
その作り込みも去ることながら、それぞれの生前がしっかり想像できるあたりも素晴らしい。
ただの″群れ″ではない>>続きを読む
無惨に捨てられた惨殺死体。
荒涼とした田園風景と、不潔感満載の街並み。
事件のカギを握る謎の数字や幾何学模様。
サイコスリラー好きなら無条件でゾクゾクしそうなツボが随所に散りばめられた″お手本″のよ>>続きを読む
様々な展開を『歌』で表現するために『曲調』が変わらないせいで話が進んだ気がせず、曲中の映像も一辺倒。
歌が終わらないと話が進まないところも何とも陳腐。
歌詞もストーリーを辿るか説明するかに留まり、登場>>続きを読む
本作は監督ジェームズ・ワンと脚本リー・ワネルの『ソウ』のコンビによる正統派ホラー。
『ソウ』がシチュエーション・スリラーという当時としては革新的なホラー映画であるのに対し、本作はいまどき珍しい王道すぎ>>続きを読む
前半30分は特に何が起きるわけもなく非常に退屈で正直観るのを止めようかと思ったほどだ。
しかし、この30分こそ重要な前フリ。
この一見退屈に思える前半での主人公グループの行動や言動が、地震が起きパニッ>>続きを読む
張り巡らされた伏線が次々と回収されていく終盤の快感はまさに絶品。
印象的なシーン(潰された鳥、無数のシルクハット、そしてボーデンの台詞の数々等)が脳裏にフラッシュバックされる。
はたと膝を打つ感覚が堪>>続きを読む
誘拐された少女との通話だけで物語が進行する前半はとても面白かったが、後半になるとあまりに凡庸で思いきり腰砕けになってしまうという、非常に残念な映画。
ジョーダンがケイシーに呼びかけた「2人で戦う」と>>続きを読む
脚本の良し悪しだけで評価するなら、本作は″どうということはない映画″になってしまう。
しかし、鮮烈な印象を与える建築・内装デザインや色彩演出、そして場の空気を創るBGMのセンスの良さが本作をA級ホラー>>続きを読む
本作は、時代の波に翻弄されたある一人の少女の青春を、死神という特異なストーリーテラーの視点でもって描き出す人間ドラマである。
そういった変わった設定ではあるものの、とても堅実に創られたヒューマンドラマ>>続きを読む
単なる破滅脚本の映画でない事は、物語のディテールをみれば分かる。
緊張感が途切れぬ展開は一級サスペンスの証。
無人となった世界の描写や、闇の手が迫るシーンの恐怖演出はかなりのレベルに達しており、決して>>続きを読む
心の儘に生きて老いた今、何かが足りなかった老兄弟と、母親に振り回され居場所のなかった少年。
最後まで自分らしく生きること。
少年期に誰かの愛情に満たされることで培われる強さ。
ハブの信念についての力>>続きを読む
本作は、後の『13日の金曜日』や『エルム街の悪夢』に多大な影響を与えた名作中の名作だ。
ハロウィンマスクを被った男に襲われる心理的恐怖と、カーペンターお得意の閉鎖的空間での恐怖…
なんと言ってもそれ>>続きを読む
『恋愛映画』というよりも『サイコホラー映画』と区別した方が適切ではないだろうか。
内容の詳細を述べるが、前半部分と後半部分に分かれており、前半部分の不明瞭なシーンを後半部分で明かすという構成となって>>続きを読む
この映画でトリアー監督が見せたかったのは『ビョーク』という歌姫であり、脚本から救済の要素を排してしまったのは、彼女を浮かび上がらせるための仕掛けの一つだと私は受け取った。
映画はフィクションであるか>>続きを読む
ひょんなことから舞い込んだ依頼や、思わぬ相棒の登場など、前半部分は探偵ものの定石に当て嵌めた作りとなっており、これら一種の様式美が微笑ましく感じられた。
点と線をつないでいく捜査過程にはビジュアル的>>続きを読む
悪は自分の心の弱さに付け入ってくる。
悪と対決するということは、自分の弱さと対決することでもある。
この映画では、親が子を虐待死させたり、子供が子供を解体するような残虐な事件を悪魔のせいにすればどれ>>続きを読む
もはや「新鮮さ」の期待できないホラーというジャンルにおいて、「普通に楽しめる」というのもひとつのステータスだと思う。
加えてビジュアルや音楽にもセンスを感じ、69分という短さも潔い。
凡作との評価も>>続きを読む
人を選ぶ作品なのは間違いない。
まず何より、閉所暗所恐怖症の方は10分と観ていられない。
また、エンタメ性やストーリー的な何かを求める人にも向かないだろう。
間違ってもアイテムを駆使した脱出劇や外>>続きを読む
「観客の衝撃」を求め続けて映画史の長い時間の中で作られてきたサスペンス映画だが、数ある名作サスペンス映画が生み出され、人々を驚愕させ、それでもなお今作のように新たな衝撃を観客に与えることを可能にする>>続きを読む
本作は、5人の若者を主人公に、第二次大戦下のドイツをいかに生きたかを描いた戦争ドラマ…いや、青春ドラマだ。
90分×3話構成でじっくり見せる彼らの運命の物語には引き込まれた。
ハリウッド映画でよく描>>続きを読む
「穴」というタイトル通り、ストーリー自体にも実際“穴ぼこ”だらけのような気もする。
でも、それを「残った穴は想像で埋めて」と終幕で言い切ってしまうユーモアがこの映画の最大のウリであろう。
登場人物た>>続きを読む
大筋はスピリチュアルもの特有の展開だが、怖さと比例するかのように切なさが画面全体から滲み出してくるという、一風変わったものとなっており、最後まで飽きさせることはない。
作品としてはB級テイストながらも>>続きを読む
本作は、『神』が存在しないことを証明してくれた映画だ。
『神』が存在したら″不寛容″そのものと言っていい『神』は、この映画の公開を許す筈はない。
もし『神』が存在していてこの映画が公開されたのなら、『>>続きを読む
原版『ハロウィン』では、単なるオープニングに過ぎなかった殺人鬼マイケルの幼少期。
ロブ・ゾンビはその幼少期を″ビギニング″として克明に描く事により、観る者の感情を揺さぶりにかかる。
いじめ、荒廃した>>続きを読む
内戦渦のスペイン、残酷で悲痛な運命の中に放り込まれた一人の少女、彼女が迷い込んだ幻想的な「迷宮」は現実か妄想か。
悲劇的な運命の中で、主人公の少女がファンタジーの世界に入り込み″光″を見出していくと>>続きを読む
2006年に製作されながらも、エクストリームな児童虐待描写に難色を示したパラマウントによって長らく公開が延期されていたという問題作。
その間に、本作よりも後に製作されたはずの『エスター』が公開されてし>>続きを読む
アレックス一家の惨殺シーンはさすがのスラッシャー描写も際立ち、黒々とした血飛沫も衝撃的だ。
それでも、思うほど過激でもなく、何より常に必死に身を隠しながら友人を救出するチャンスを伺うマリーの視線から捉>>続きを読む
何とも発展性の無い旧態依然とした殺人鬼ホラー。
お約束の殺戮シーンもぶつ切りでテンポも悪く、緊張感や恐怖感が感じられない。
はっきり言って時代遅れ。
本当にニーズがあるのか疑問。
「恐怖演出の思考停>>続きを読む
夫の死を予見しておきながら死なせてしまった過去。
何故か与えられた特別な力を裏切った過去。
だからこそ、彼女はその特別な力を発揮すべく占い師として人々に道を示す。
だからこそ、自分に敵意を向ける男が>>続きを読む