りっくさんの映画レビュー・感想・評価 - 58ページ目

母と暮せば(2015年製作の映画)

4.0

最近の山田洋次は見逃せないモードに突入しているが、本作も例外ではない。この年代に突入すると世の中にメッセージを残そうという気持ちになるからなのだろうか。なりふり構わない執念は「その日の前に」以降の大林>>続きを読む

妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ(2018年製作の映画)

2.5

夏川結衣演じる主婦にスポットを当てた本作は、主婦という職業への疑念や、余暇を自分のために使おうとする欲、主婦という枠組みにがんじがらめにしたい夫などが描かれつつ、泥棒がへそくりを盗んだことで引き起こる>>続きを読む

白い肌の異常な夜(1971年製作の映画)

4.0

ソフィアコッポラ版と決定的に違うのは、黒人メイドがいることであろう。南北戦争中を舞台に描かれる本作は、イーストウッドが女たちの奴隷にされる一方で、社会的な背景もくっきりと浮かび上がる。

戦時下におけ
>>続きを読む

恐怖のメロディ(1971年製作の映画)

3.8

「愛は人を狂わせる」作品。
愛す/愛されることの面倒臭さを、ネチネチと執拗に描いている。
特筆すべきなのはいわゆる「ストーカー」役のジェシカ・ウォルター。
モンスター映画に登場する怪物よりも恐ろしく、
>>続きを読む

荒野のストレンジャー(1972年製作の映画)

3.8

陽炎から現れ、陽炎の中に去っていく男。「ペイルライダー」にも通ずる幽霊のような超現実的な男が大暴れする本作は異色の西部劇だ。そんなオカルト展開がギリギリ説得力を持つようなロケーションの勝利。広大な砂漠>>続きを読む

アルカトラズからの脱出(1979年製作の映画)

4.1

とても丁寧な脱獄映画。
アルカトラズという「要塞」の体制、脱獄する動機、そして脱獄までのプロセス。
それらを手際良く、それでいて抑制した冷たいトーンで描いていく。
特に途中で退場していってしまう「同士
>>続きを読む

ペイルライダー(1985年製作の映画)

4.4

イーストウッドは神父であり、ガンマンであり、死神であり、救世主である。
人助けのために悪玉をやっつけるにしても、人殺しには変わらない。
そんな罪を背負って彼はどこからともなく現れ消えていく幽霊のよ
>>続きを読む

パーフェクト ワールド(1993年製作の映画)

3.8

刑務所から脱走した男と人質となった少年のロードムービーである本作は父親と息子の関係性を描く。父親が不在である少年の心の空洞をケビンコスナーの存在が優しく埋めていく様は心温まる。

それと同時に、立ち寄
>>続きを読む

トゥルー・クライム(1999年製作の映画)

3.8

正義や善悪なんてクソ食らえだ!
人種や死刑問題に触れながら、サスペンス映画として見せるイーストウッドは偉い。
それでいて随所にイーストウッド要素がふんだんに盛り込まれる。
父と娘、無能な神父、そ
>>続きを読む

ブラッド・ワーク(2002年製作の映画)

3.0

ゼロ年代のイーストウッドのテーマである「老い」についての作品。
追う者と追われる者が、生かす者と生かされる者になる。
このサスペンスは年老いたイーストウッド自身を最大限生かした設定。
その「老い」を自
>>続きを読む

ヒア アフター(2010年製作の映画)

3.6


死後の世界を描いた映画は数多くある。しかし、そのような題材を描く際には、リアリティを求める観客には“キワモノのまやかし映画”と見なされる危険性がある(実際、本編にもそのような危険性と表裏一体だという
>>続きを読む

J・エドガー(2011年製作の映画)

4.3

フーヴァーはアメリカにおける「国民的英雄」だ。それは、イーストウッド自身が担ってきた役割でもある。FBIという組織を改革し、ギャングを取り締まり、科学的捜査を導入したといった功績はとてつもなく大きい。>>続きを読む

人生の特等席(2012年製作の映画)

3.2

本作はクリント・イーストウッド作品おなじみの「父と娘の物語」だ。
コミュニケーション不足によるすれ違い。
昔堅気の父親を理解できない娘。
仕事人間で家庭を顧みない父親。
『ブラッド・ワーク』や『ミリオ
>>続きを読む

ジャージー・ボーイズ(2014年製作の映画)

3.8

複数の“語り部”だったメンバー各々の栄光と決裂、さらに時空を超えて再集結し、青春の輝きをもう一度取り戻させるイーストウッドの老獪な手腕が見事!ミュージカルシーンまでのラストの愛溢れる畳み掛けに心が踊る>>続きを読む

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)

4.8

イーストウッドの演出力に改めて脱帽。戦争アクションとしても、家族ドラマとしても超一級品。それでいて国家と個人、さらには善と悪といった相反する二項から適度なバランスを取って物語を進める語り口が実にスマー>>続きを読む

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)

4.2

なんとシンプルで温かく力強い映画なのか。どんな人間でも大きな目的に向かって導かれている。だからこそ、今は落第者という烙印を押されているかもしれないが、どんな人間の人生にも意味がある。名もなき人間たち=>>続きを読む

ハドソン川の奇跡(2016年製作の映画)

4.1

イーストウッド作品としては珍しい90分あまりの映画だが、テーマは明確、語り口はスマート、そして映画としてエレガンス。

冒頭で悪夢に魘され起きるトムハンクス。彼を写す顔は真っ黒な影で覆われ、もはやトム
>>続きを読む

シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア(2014年製作の映画)

2.5

NZを舞台に吸血鬼4匹が共同生活している住まいに潜入している体のモキュメンタリー風のオフビートコメディ。

ヴァンパイア映画のお約束を交えながら、フレッシュな見せ方をしようとする作り手のアイデアは買う
>>続きを読む

ウルヴァリン: SAMURAI(2013年製作の映画)

3.8

日本に降り立ったウルヴァリンを完全に「異物」として扱っている所がポイント。
さらに外国人から観た微妙に異なった「ニッポン」が同居することで、
物語は単調ではあるが、どうしても忘れられないタイプのトンデ
>>続きを読む

LOGAN ローガン(2017年製作の映画)

5.0

すっかり老いてしまったウルヴァリン。彼は近未来のアメリカでリムジンの運転手をしてひっそりと生活している。もはやミュータントは世間から疎外された時代に、彼はどのように人生の終末を迎えるかを考えている。ハ>>続きを読む

オクジャ okja(2017年製作の映画)

3.7

ポンジュノらしさ全開の一作。例えば地下の商業施設でオクジャと人間が追いかけっこをする場面で、勢い余って壁に激突しながら、あるいは転倒し不格好になりながらも、人間も動物もアクションするような姿を見ると、>>続きを読む