りっくさんの映画レビュー・感想・評価 - 62ページ目

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)

3.7

本作が特に前半から中盤にかけて、いわゆる障害者を主人公にした感動ものと一線を画しているのは、確かに物語の入りは彼が一般の小学校という外の世界に初めて足を踏み出すところから始まりはするものの、両親に無駄>>続きを読む

ゴーストバスターズ(2016年製作の映画)

3.5

基本的には80年代のハリウッド大作のノリや手触りをきちんと再現したドタバタコメディ調のエンターテイメント。最初から作り手も100点を目指して作っておらず、そういう意味では70点満点の70点、きちんと期>>続きを読む

ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン(2011年製作の映画)

4.0

本作には愉快なコメディ場面が続々と登場する。
意地がぶつかり合うスピーチ場面やテニスのラリー合戦。
食あたりを起こして次々とトイレに駆け込むカオス展開。
ブライダルシャワーや飛行機内での大暴れっぷり。
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ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い(2009年製作の映画)

4.3

なんだこのバカで下品な映画は。
でも、だんだん登場人物たちが愛らしくなってくるから不思議である。

独身最後の時を満喫しようと、ラスベガスに向かう花婿とその友人3人。
大の大人が本気で羽目を外す。
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セッション(2014年製作の映画)

5.0

狂気的な人間同士の魂の衝突に鳥肌。褒める所しかない大傑作。

最初は仁王立ちで喚き散らす鬼教師と、座ってひたすらドラムを叩く生徒が物理的にも「上下の関係」だったが、クライマックスのステージでは、指揮者
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犬ヶ島(2018年製作の映画)

3.7

ウェスアンダーソンしか作り得ない世界観が炸裂した奇作。日本は舞台にしていながらも、何かを忠実に再現するのではなく、オリジナリティに満ち溢れたビジュアルを、異常な細部のこだわりまで、目を凝らしてしゃぶり>>続きを読む

グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

4.5

ウェスアンダーソンの最高傑作
ミステリー仕立ての脱獄逃亡劇
夫人の遺書を巡って思惑が交錯
コンシェルジュへのリスペクト
廃墟となったホテルの栄光の時代
ノスタルジックでもある
映画が動き出
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ムーンライズ・キングダム(2012年製作の映画)

3.7

ウェス・アンダーソン作品だということは、たとえ監督名を伏せられていても、一目見ただけで分かる。
「こんな世界は彼しか作れない」という時点で、映画として価値がある。
人物を真正面や真横から平面的に映す、
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ダージリン急行(2007年製作の映画)

3.5

相変わらず音楽使いが抜群に巧い。
カメラワークも本当に横にパンするのが好きだ。
ただし、物語に魅力は感じられない。
インドという実際の土地を舞台にしたため、箱庭的な人工的空間も今回はなし。
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ライフ・アクアティック(2004年製作の映画)

3.0

狭い潜水艦の船内でマーレイの肩に全員が手を乗せるところが感動的。
憧れを抱いてしまうような船は、いつまでも夢を追いかけ冒険する人間たちの家。
ただし、演出はいつも通り雑なところが目立つアンダーソン
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ザ・ロイヤル・テネンバウムズ(2001年製作の映画)

3.8

天才家族の崩壊と再生。
悪いのは父親かもしれないが、英才教育を強い続けた母親も同罪。
そして、過去を引きずる子供たちも同罪。
だからこそ、力ずくでしか絆を再生させることなんてできない。
むしろ
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ヤング・アダルト・ニューヨーク(2014年製作の映画)

4.1

ドキュメンタリー作家としてかつて傑作を発表したが次作が作れない大学教授とプロデューサーの妻。彼らは四十路も過ぎて、子供を作らない生き方を選択しそこで彼らなりの幸せを得ようとする。

そんな彼らに周囲か
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フランシス・ハ(2012年製作の映画)

4.1

自分探しの話だと自分を見つめ直す作業が発生するため物語が停滞しがちだが、結局主人公はちょっとだけ人生を前に進めただけなのに、常に映画はあっちこっち奔放に進んでいき、そして無理なく着地する心地よさを味わ>>続きを読む

ラストレター(2020年製作の映画)

4.2

岩井俊二が初めて故郷である仙台を舞台に撮った本作は、手紙を介して綴られる過去・現在・未来の三世代にわたる恋心の流離いであり、相手の人生にいかに影響し関与していたかを確認することで、自己の存在を再肯定す>>続きを読む

下女(1960年製作の映画)

4.5

ラストに第四の壁を易々と越えて観客に語りかけてくる、ある種の男という生き物たち全てに贈る教訓話である本作は、まず冒頭で幼い兄妹があやとりの糸を交互に自分の手にかけるクレジットタイトルから、蜘蛛の糸に絡>>続きを読む

失くした体(2019年製作の映画)

4.0

両親を事故で失った青年の恋模様、青年の失った片手が持ち主の元へと向かうサバイバル冒険譚、手を媒介にし両親との思い出がセピア色でフラッシュバックされる回想場面と、3つのパートがクロスカッティングされて構>>続きを読む

アトランティックス(2019年製作の映画)

3.5

時折映し出される海、月、そしてこの街の中心にそびえ立つ印象的な形の高層ビル。死の香りが充満する世界の中で、それはまるで墓標のようだ。そこでは、沈没した船に乗っていた黒人たちが亡霊として存在する。月明か>>続きを読む

殺さない彼と死なない彼女(2019年製作の映画)

3.8

無気力無関心無感動な青春の無駄な日々を過ごし、死ね、殺すを連呼し合う男女。自己評価が異常に高いキャピキャピ女と、彼女と対照的な地味女。意中の相手に好きと言い続ける強いメンタルを兼ね備えた女と、そんな彼>>続きを読む

国家が破産する日(2018年製作の映画)

4.2

またもや韓国近現代史を題材にした見応えたっぷりの傑作エンターテイメント。割と複雑な経済の仕組みを分かりやすく解説しながら、国家の破産の危機を食い止めるところにドラマの焦点を持ってくるのではなく、国家か>>続きを読む

わたしは光をにぎっている(2019年製作の映画)

4.4

本作はある少女の上京物語であり、ある種ジブリのヒロインを彷彿とさせるような銭湯という異世界での奮闘記である。ジブリと異なるのは、田舎から都会へと出てくる点だろうが、悪戦苦闘しながら特殊な仕事を徐々に覚>>続きを読む

彼女と僕のいた場所(1995年製作の映画)

3.8

ある映画サークルの仲間たちを卒業から数ヶ月に区切って定点観測的に関係性や状況の変化を追った本作は、時間の有限性を自覚することでの焦りと、だからこそ残りの時間を過ごしたい相手を見つける多幸感が入り混じる>>続きを読む

ゾンビランド:ダブルタップ(2019年製作の映画)

2.5

失踪したアビゲイルブレスリンを他の3人が探しに行くという本筋はあるものの、その一点だけで突っ走るにはあまりにも推進力が弱い本作は、逆にこんなにグダグダしているのに楽しく見られるのは俳優の力量なんだなと>>続きを読む

ジェラルドのゲーム(2017年製作の映画)

3.6

仲睦まじい夫婦が誰にも邪魔されず楽しい週末を送ると思いきや、夫婦のマンネリ化を防ぐための非日常的なセックスも失敗に終わると、序盤でいきなり物語的な反転や転覆を繰り返す。

本作は夫の束縛や父親のトラウ
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カリートの道(1993年製作の映画)

4.5

ロマンチックでセンチメンタルなギャング映画。絶対に手に入れることのできないパラダイスを追い求めて走り続ける男の喪失と、手を伸ばして掴みかけた楽園の美しい光景に咽び泣いてしまう。

アルパチーノ演じるカ
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恋は雨上がりのように(2018年製作の映画)

4.0

日本でもトップレベルだった陸上部の女子高生が、アキレス腱断裂を機にやさぐれてファミレスのバイトに明け暮れ、そこで45歳のバツイチ子持ち店長に一方的に恋をしてしまうという物語は雲行き怪しく始まるが、やが>>続きを読む

ヴェノム(2018年製作の映画)

2.5

ヴェノムという怪物に身体が乗っ取られるホラー的な展開になるのかという大まかの予想を裏切り、トムハとヴェノムというバケモノの愛らしい一心同体型ビジランテバディムービーへと流れていくあたり、「ゾンビランド>>続きを読む

ゾンビランド(2009年製作の映画)

3.9

映画冒頭からいきなり提示されるのは、まさしくゾンビに支配された「転覆したアメリカ」である。そんな終末してしまったアメリカの地で、対照的な2人が出会う。

1人はウディ・ハレルソン扮する、あまりにもアメ
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イエスタデイ(2019年製作の映画)

3.0

本作は自分以外誰もビートルズを知らない世界というある種SF的な荒唐無稽な設定の中で展開されるが、その世界でビートルズの曲を歌っているだけで、名も知らぬシンガーソングライターが見出されるという出だしでな>>続きを読む

クロース(2019年製作の映画)

4.3

クリスマスを題材にしたアニメーション映画は数多くあり、その中でも個人的には「アーサークリスマスの大冒険」がベストだと思っていたが、本作はそれを凌駕する隙のない脚本と脇役に至るまで魅力的なキャラクターが>>続きを読む