ひでやんさんの映画レビュー・感想・評価 - 11ページ目

ひでやん

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チャップリンの殺人狂時代(1947年製作の映画)

4.0

「独裁者」以来7年ぶりに製作された作品で、その恐ろしいタイトルに戸惑いながら鑑賞。

そこには、お馴染みのチャーリー・スタイルも喜劇色もなく、タイトル通りの殺人鬼がいた。

チャップリン扮するアンリは
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偽牧師(1923年製作の映画)

4.1

牧師の服を盗んだ脱獄囚チャーリーが、お得意の成り済ましで繰り広げる大騒動。

行く先を適当に指差したチャーリーが汽車に乗る序盤でもう心を掴まれた。たどり着いた村で新任牧師と間違われ、教会で説教をする羽
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チャップリンの拳闘(1915年製作の映画)

3.8

1本のソーセージを愛犬のブルドッグと分け合う冒頭が切なくてたまらない。

街角に張られたボクシングのスパーリング・パートナー募集の広告を見つけた彼は、空腹を満たすためジムに入る。グローブに馬の蹄鉄を入
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アルコール先生公園の巻(1915年製作の映画)

3.0

公園を舞台にしたドタバタ騒動だが、本作のチャップリンは陽気なおとぼけキャラではなく、悪戯好きな嫌われもの。

熟年カップルや読書する女性にちょっかいを出し、開いた口を灰皿にしたりソーセージを盗んだり。
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それでも夜は明ける(2013年製作の映画)

3.8

誘拐され、奴隷として売られてしまった自由黒人ソロモン・ノーサップの体験記を基に、12年間の過酷な奴隷生活を描いた衝撃のヒューマンドラマ。

鎖で繋がれ、木に吊るされ、ムチで打たれて重労働。反抗心は許さ
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はじまりへの旅(2016年製作の映画)

3.9

文明社会から切り離された森の中で生活する家族が、母親の死をきっかけに旅に出るロードムービー。

文明の利器に埋もれ、情報媒体に振り回され、右へ倣えで足並み揃え、流行り廃りの消費社会。権力による支配があ
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現金に体を張れ(1956年製作の映画)

3.9

刑務所帰りの男が仲間を集めて競馬場売上金強盗を企てるフィルム・ノワール。

心情を語るナレーションの多用はあまり好きではないが、本作の語りは計画を遂行するまでの状況説明であり、展開が分かりやすい。
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非情の罠(1955年製作の映画)

3.6

ニューヨークを舞台に、ギャングの情婦を救うボクサーを描いたフィルムノワール。

冒頭、主人公のモノローグから回想となるが、その語りから悪い予感しかしない。

部屋の男と向かいに住む女性をそれぞれ映し出
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恐怖と欲望(1953年製作の映画)

3.5

完全主義者のキューブリックが本作を「アマチュアの仕事」として、プリントのほとんどを自ら買い占め封印したため幻となった作品。デビュー作とされる「非情の罠」以前に手掛けた戦争ドラマ。

敵陣内の森に不時着
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しあわせの隠れ場所(2009年製作の映画)

4.2

ある家族との出会いによって才能を開花させ、アメフト選手になったマイケル・オアーの実話を基に描いた作品。

「あれは何かを心に決めた時の顔だ」

寒空の下、薄着で歩く少年に声をかける妻を見て、夫が言った
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セント・オブ・ウーマン/夢の香り(1992年製作の映画)

4.8

盲目の退役軍人と高校生の交流を描いたヒューマンドラマ。

故郷から遠く離れ、奨学金で名門高校に通うチャーリー。友情を描いた青春ドラマのような幕開けだが、そこにあるのは貧富の差。裕福な家庭の生徒に囲まれ
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バックドラフト(1991年製作の映画)

3.7

殉職した父の後を継ぎ、消防士になった兄弟の物語。

本作はとにかく火の演出が凄まじい。今ならCGでどんな映像も可能だが、当時は火を用いた特殊効果でリアルな映像を作り上げている。

床や天井を這い、上昇
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雨に唄えば(1952年製作の映画)

5.0

トーキー到来期のハリウッドを舞台に、映画業界の舞台裏で巻き起こる大騒動と恋を描いたミュージカル。

まずストーリーが面白い。マイクの位置や音声のズレ、イメージに合わない女優の声など、サイレントからトー
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駅馬車(1939年製作の映画)

4.1

前半は駅馬車に乗り合わせた乗客の人間模様が描かれ、華麗なガンアクションを期待していた自分は少し退屈を覚えたが、会話劇で見せる人間関係はなかなか面白かった。

賭博師は貴婦人の用心棒となり、商人の酒を目
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悪魔のシスター(1973年製作の映画)

3.5

シャム双生児を題材に、ヒッチコック愛を散りばめたデ・パルマ監督初期のサスペンス・スリラー。

不気味な旋律で胎児を映し出すオープニングで、ざわざわと胸に不安が広がった。戦慄のホラーが始まると思いきや、
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カジュアリティーズ(1989年製作の映画)

3.8

ベトナム戦争で実際に起こった事件を
ブライアン・デ・パルマが映画化。

電車内で向かいの席に座る女性にハッとした帰還兵の回想シーンに突入し、ジャングルの激しい銃撃戦が展開。

実話がベースなのでいつも
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ボディ・ダブル(1984年製作の映画)

4.0

ブライアン・デ・パルマがヒッチコックの「めまい」「裏窓」をモチーフに放つエロチック・サスペンス。

いやぁ、面白かった。オープニングからエンドロールまで、たっぷり楽しませてもらった。

閉所恐怖症の売
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レイジング・ケイン(1992年製作の映画)

3.6

現実と幻想の混在、夢と回想の挿入という入り組んだストーリーで、ジョン・リスゴーの怪演が光る。

ジョギングする2人と車内の狼狽をカットバックとスローモーションで見せる場面、病室にあるテレビ画面の映り込
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クワイエット・プレイス(2018年製作の映画)

3.7

年末の「ガキ使」は、笑うとケツバットがスパンと炸裂するが、本作は音を立てるとズバッと殺される。第一回チキチキ静寂ゲーム。

「音」が命取りになるホラーなので、「ドント・ブリーズ」と比較してしまう。閉鎖
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ムーンライト(2016年製作の映画)

3.5

マイアミの貧困地域を舞台に、孤独な少年の人生を三部構成で描く成長物語。

犯罪が多発する地域が舞台だが、麻薬の縄張りをめぐる抗争や派手なドンパチはなく、劣悪な環境の中を生き抜く少年をカメラは静かに見つ
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LION ライオン 25年目のただいま(2015年製作の映画)

4.2

迷子の迷子の子猫ちゃん
あなたのおうちはどこですか?
おうちを訊いたら「ガネストレイ」
母の名訊いたら「お母ちゃん」
にゃんにゃんにゃにゃん…。

インドの田舎町で育った若干5歳のサルーは、兄とはぐれ
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イントゥ・ザ・ワイルド(2007年製作の映画)

3.7

事実を基に、文明からの脱却を目指してアラスカへ向かった青年の生き様を描く。

心地良いギターのアルペジオをBGMに、広大な自然が映し出されるオープニングで心を奪われた。青年クリスが旅路の果てに辿りつい
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湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)

4.3

余命宣告を受けた母が、死ぬまでにやるべき事を実行していく家族の物語。

お母ちゃんの決意その1
●蒸発した夫を連れ帰り、銭湯の再開。

浮気した時にできた娘を連れて戻ってくる父がクズに見えたが、女が子
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勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)

4.0

中学時代の初恋相手を想い続ける24歳のOLが、会社の同僚に告白され、理想と現実の狭間で奮闘するラブコメディ。

あらすじだけ読むとありがちなストーリーだが、松岡茉優扮するヨシカのイタイタしいキャラによ
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サーカス(1928年製作の映画)

4.2

放浪者がサーカス団に迷い込むまでの序盤に詰め込まれた数々のギャグが見事。

抱っこされた子供のパン、盗った盗られたのドタバタ劇、ブルース・リーの「燃えよドラゴン」を想起させる鏡の間、自動人形など、次々
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担え銃/チャップリンの兵隊さん(1918年製作の映画)

3.9

第一次大戦下の最前線を舞台に、おっちょこちょいの新兵チャーリーが巻き起こす戦争喜劇。

前線に沿って掘った塹壕を拠点に、両陣営が砲弾や銃で攻撃するが、残酷な描写は皆無。塹壕という非日常的な暮らしに焦点
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アルコール先生海水浴の巻(1915年製作の映画)

2.8

海辺で繰り広げる毎度お馴染みのドタバタ劇。

バナナを食べながら登場したチャップリンは、ポイ捨てした皮ですってんころり。出た!古典的なギャグ。

世界で初めてバナナの皮滑りを映像として世に出したのが本
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イノセント(1975年製作の映画)

4.1

貧しいイタリア社会を冷徹に描写したネオレアリズモから始まり、その視点は社会の底辺から上流階級へと移り、絢爛豪華で耽美的な数々の名作を世に遺したヴィスコンティ。

貴族の末裔である彼が最後に遺した作品は
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若者のすべて(1960年製作の映画)

4.5

イタリア南部の田舎から長男が住むミラノへやって来た家族の物語。

貧しい一家が希望を胸に北部へ移住。母と5人の兄弟が身を置いた安アパートはスタート地点で、そこから解体が始まる。長男、次男、三男、四男の
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田園に死す(1974年製作の映画)

4.7

寺山修司の強烈なイメージが横溢する半自伝的映画。

舞台は恐山。母と2人で暮らす少年の「私」を中心に、白塗りの登場人物、黒装束の老婆、イタコ、サーカス団、畳の場面転換、おびただしい時計や遺影など、イメ
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シュヴァンクマイエルのキメラ的世界(2001年製作の映画)

3.8

ヤン・シュヴァンクマイエル監督と夫人を追ったドキュメンタリーで、撮影風景やプライベート映像を交えつつ、ロング・インタビューで創作の裏側に迫る。

監督の熱意、ひらめき、溢れる創作意欲に脱帽。その表現は
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幸福(しあわせ)(1964年製作の映画)

3.7

初夏の空に向かって咲くひまわり。
幸せな家族を包み込むひだまり。
さわやかパパの心は日替わり。
タイトルと裏腹な展開にわだかまり。
終盤でほざくタワゴト…おだまり!

やりやがったな!ちくしょう…。
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5時から7時までのクレオ(1961年製作の映画)

3.8

ヌーヴェル・ヴァーグの左岸派で、ジャック・ドゥミ監督の妻でもあったアニエス・ヴァルダ監督が、病院で受けた精密検査の結果を待つ歌手の2時間を描く。

吉と出るか凶と出るか、タロットカードを真上から映し出
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ロシュフォールの恋人たち(1966年製作の映画)

4.3

港町ロシュフォールを舞台にジャック・ドゥミが放つ傑作ミュージカル。

年に一度の祭りが行われる広場を中心に、周辺にあるいくつもの恋物語を描いた群像劇。

キャラバン隊が到着した広場を映し出したカメラは
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キャロル(2015年製作の映画)

3.9

1950年代のニューヨークを舞台に、当時はタブー視されていた同性愛を美しい当時の映像で描く。

デパートの売り子と客で始まり、置き忘れた手袋を届けたお礼にランチという流れは少々強引だと思ったが、丁寧に
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her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)

3.8

近未来のロサンゼルスを舞台に、妻と別れて落ち込む男が人工知能OSに恋をする姿を描いたSFラブストーリー。

代筆ライターのセオドアは別居中の妻を想い、追憶にふける。その思い出タンスは「喧嘩」という引き
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