オーストラリア・ポートアーサー事件を引き起こした男の生い立ち、そして事件のプロローグを『エレファント』を思わせる雰囲気で描く。なぜ彼は無差別殺人という選択をしたのか。いまでも「動機不明」と言われるが、>>続きを読む
ヘヴィーだがかなり笑った。片山監督は、社会派要素を取り入れつつもあくまでポップに映画を作る。今回も実際の殺人事件をモチーフに、父と娘、指名手配犯や自殺願望者の人間模様を独特の目線で描いた。ユーモアとシ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
ツッコミどころしかなかったが、そんな隙は与えないというようなテンポ感。原作の内容は知らないが、ゲームのスタートからクリアまでのダイジェスト版を観ているような感じ。めちゃむずそうな謎解きなんかも何故かス>>続きを読む
ファーストカットから『ナイト・オン・ザ・プラネット』意識というのが分かるが、いろんな小ネタ含めて誰に向けてこの映画を作ってるのかは不明。まさに他人の「ちょっと思い出しただけ」に2時間も付き合わされた感>>続きを読む
21世紀の子どもながら、自分も小学生の夏は、友だち3,4人と近くの山に登り秘密基地を作ったりなんかした。ただ、まっすぐに続く線路や赤い鉄橋は羨ましい。ゴーディたちが2日かけて辿り着いた場所も、不良グル>>続きを読む
辛い。ひたすら「まさか…」という悪い予感の方へと進んでいく。兄・良夫の気持ちになって苦しくなり、この状況はファンタジーではないという事実に二重に苦しくなる。海が近い地方のどこか。だが、どこかはわからな>>続きを読む
「タクシーの運転手と乗客」にある独特のおもしろさは、ジャームッシュに言われるまでもなく知っている。おそらく誰でも感じることだろう。ただ、それを「Night on Earth」と括ったところにセンスがあ>>続きを読む
バンジョーの音色に始まり、不穏な語りから物語は進む。何があるとは明示しないながらも、「何かある」と思わせるのは脚本や演出の妙だ。フラフープやピアノといった小道具をメタファーとして、まさに劇中の縄のよう>>続きを読む
この作品の価値は、フィリッポ・スコッティという新人を発掘したことに尽きる。アンニュイな雰囲気で、立ってるだけで済むタイプの俳優。同い年なので親近感も沸いている。監督自身を投影したこの主人公は、出会いや>>続きを読む
本作は、ドキュメンタリーながらカメラの存在を感じさせない。後半パートは政府内にまで入り込み、新たに就任した保健大臣の一挙一動を(おそらく)ありのままに映す。記者会見に合わせて情報収集をする様子や、報道>>続きを読む
ドラマ版を観るまで知らなかった保護司という存在。日本には5万人弱がいるという。有村架純演じる主人公は、コンビニでパート勤務をしながら元受刑者の保護観察を請け負う。非正規雇用&無報酬ボランティアで生活を>>続きを読む
安定のウェス・アンダーソン。と言っても久しぶりだったので、新鮮な気持ちで楽しんだ。編集長の急死とともに廃刊になった雑誌が舞台。ジャンルに分かれる短編を、特集記事としてオムニバスにするアイデアが良い。バ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
「エモい」世界に潜む闇。主人公は、古き良き60年代のカルチャーを愛するごく普通の(上京)学生。しかしある時から、憧れが悪夢に変わる。目まぐるしく進む撮影や音楽は楽しく、エンタメとしても面白い。が、要所>>続きを読む
まるでレンブラントの銅版画が動き出したかのような映像。しかし、れっきとしたセルアニメだ。原画クレジットを見ると奥山玲子さんらの名前も。作画と美術の融合が美しい。また、全編セリフはないもののSEが効いて>>続きを読む
ラストの夕焼けの中のばさまとおこんが忘れられない。目の見えないばさまと、人里に忍び込んできたおこん。互いを受け入れることによって始まった不思議な関係は、ばさまの東北弁とおこんの頼れる声も加えて愛らしい>>続きを読む
極めて王道な物語。崖で断絶されている2つの村があり、川の向こうの若者に恋をする。橋を架けるには人もお金も時間もかかったが、出来上がった橋は2人を結び、村を繋いだ。つまり感動的。だが、おもしろいかは正直>>続きを読む
列車のスピードのままにわずか3分弱でおわってしまうが、見どころは多い。特にモブの描き方。3〜5色ほどの線画でゆるくバリエーションを持たせ、時に重量感を、時に透過するほどの軽さを感じさせる。話は某スカッ>>続きを読む
好きな人を思うばかり「食べてもたろか!」と考える男の子。しかしそこにエロ・グロはない。関西弁の語りが小学生男児の妄想を覗き見させるようで、良質な児童文学を読んだときと同じく子どもの純粋な感情がダイレク>>続きを読む
トランプ風の女性大統領をはじめ、政治家、マスメディア、カリスマらを強く皮肉った風刺映画。笑えるが、反知性主義が蔓延する世界ではもはやファンタジーではない。いちばん笑ったのはマーク・ライランス。アリアナ>>続きを読む
大傑作!『道成寺』での表現からさらに洗練された映像たち。特筆すべきはやっぱり撮影で、余白の美しさや空気感のある美術含めて、画面構成がすばらしい。死んでも死にきれず苦しみ続ける莵名目処女の、哀しくも美し>>続きを読む
川本監督のこれまでの手法が結集した傑作。特にライティングによる陰翳や能面が生む表情の妙は、人形たちにさらなる生気を宿らせる。怒った清姫が靴を脱ぎ捨てながら疾走し息を上げる場面は、まさに人形が生きている>>続きを読む
川本喜八郎監督による切り絵アニメーション。点描風のモノクロ作画によって描かれる労働者たちの物語だが、なんだか泣ける話だった。主人公の母親が糸車に取りこまれてしまうシーンは、衝撃的だが腑に落ちる。失われ>>続きを読む
3作目にして格段におもしろい。物語という物語はなく、今昔物語から引用された教訓的なテーマの1つでしかないが、暗闇と緊迫感のある音楽が想像力を掻き立てる。黒と金で描かれた漆器のような美術が幽玄で、着物の>>続きを読む
シンプルな横移動の繰り返しとキャラクターの素っ頓狂な仕草でもって描かれる、川本喜八郎監督のアニメーション第1作。物語を説明するのは、枝に掛けられる「花たをるなかれ」という文字のみ。セリフがなくとも伝わ>>続きを読む
些細なできごとがトリガーとなって、ふいに人の内面がえぐり出される。「偶然」が前提とされているからこそ、現実にはありえないようなシチュエーションは自然で、むしろ人生における「偶然=外部からの予期せぬ入力>>続きを読む
音楽映画としても人種差別を描いた映画としても物足りない。これまでの記録や証言といった素材をどう見せるかということに終始していて、ドキュメンタリーとしてのおもしろさはない。ずっと同じような話をしてるだけ>>続きを読む
ネイティヴ・アメリカンと呼ばれる中の無数の部族がそれぞれ独自のリズム、歌い方を持っている。いまで見れば多様性、個性と呼べるものが、当時はその民族性や文化との深い関係性ゆえに弾圧されたこと。しかしそれら>>続きを読む
映像が狂ってて最高。
前半と後半で雰囲気が違うけど、それはそれで対比になってたり、ある意味同じだと考えたりでいいのでは。僕が好きなのはランスです。
長いし要素が多すぎると思わなくもないけど、どのシ>>続きを読む
分かりあっていそうで分かりあわない。
交わりそうで交わらない。
小ネタも効いてる。
まんまパーマネント・バケーションとダウン・バイ・ローの間に作られた作品って感じた。
『花束』につづき、またも押井守が恋のキューピッドに一役買ってしまう。
どんどん遡っていく、2歩下がって1歩進む的な話の流れ。フツーになりたくなかったあの頃と、なんにもない今の自分。
公式サイトのコ>>続きを読む
アニメーションの技術は決して高くないが、アニメーションでしか描けない真実がある。
(といいつつ、日本のそこらへんのアニメよりは出来のいい画面)
長年の取材によって再現された収容所の空気感や、エピソ>>続きを読む
観るほどにおもしろくなる映画だと思う。
初見の僕は前半うとうとしました。
部屋の電気が一つずつ消えていくシーンがモノクロと相まって美しかった。
自分たちから見て異様なものでもその土地に産まれ生きる人々には普通だというのは、クリスチャンも言ってた通り当たり前のことなので、特別鬱映画だとかは思わなかった。
自分にとっては美術や衣装に細かくこだわ>>続きを読む