タコ社長さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

タコ社長

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秋立ちぬ(1960年製作の映画)

4.0

監督の幼少時代を反映しているとのこと。
子どもたちの視線はまんま少年時代の自分の眼差しで。個人的な経験を重ね合わせながら観ました。
父を亡くした母子。そして父が不在、つまり妾の母子。境遇は違えど抱える
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弁護人(2013年製作の映画)

3.7

こういうタイミングで拝見すると、決してよそ事だとは思えないリアルさがあります…。
無関心と見えない弾圧。
身近な存在に脅威が及んで初めて恐怖を知る。無気力にさせるシステム。

ガンホ先輩がこれでもかと
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メアリー&マックス(2009年製作の映画)

4.0

親類は選べないが友は選べる。


予想の斜め上をゆく過酷で最高の交友録でした。自分の不完全さに目を向けることはとても簡単。その一方で相手には完璧を求めてしまうエゴ。その欠けた部分を認め合えたら最高だな
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天使の分け前(2012年製作の映画)

3.8

途中で気づいた。再見でした。

当時は彼らがしたことは紛れもなく犯罪で結果論とはいえそこから道を切り開いていく流れに釈然としなかった思いがありました。
改めて。「天使の分け前」すらあり得ない社会が彼ら
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県警対組織暴力(1975年製作の映画)

3.9

マクラからサゲまで「権力」という概念に踊らされる人たちを徹底して描いておった気がいたします。
松方兄やんの食器を洗うさまは確かに惚れ込んで然るべき姿でした。最後の裏切りも彼なりの矜持なのかもしれません
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女の座(1962年製作の映画)

4.3

至福の二時間でした。
後妻を演じるたおやかな杉村先生がとても新鮮だったし笠智衆大先生の佇まいもこれベストでごさいました。
高峰先輩の揺るぎ揺らがず身をわきまえすぎた振る舞いは当然身内の女たちを苛つかせ
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妻よ薔薇のやうに(1935年製作の映画)

4.0

妾が本宅へ送金していることを知っても夫の有り様がさほど変わらないのは違和感だけど、当時の共通認識で言えば当たり前なのかな。
「いや、随分前からお金は送ってないけど……え、おゆきがやってくれてたの?そう
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学校II(1996年製作の映画)

3.8

たかしとゆうやのロードムービー。
先生方、素敵な寄り添い方ですなあ。
空はあんなにも大きくて。無限に広がる可能性。熱気球から見える地上はどんな風に映ったろう。
卒業前に安室ちゃんを観て、先輩とお風呂に
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太陽を掴め(2016年製作の映画)

3.0

リアリティがステレオタイプを追い越す瞬間はとても痺れます。
内田淳子さん、スンバラシイ!

鴎よ、きらめく海を見たか めぐり逢い(1975年製作の映画)

3.5

ほぼATG漬けのコロナデイズ。
過去に録画した分を一気見してるだけなのですが。

ショーケン!え?盲目の?

ムラ社会から派生する近親憎悪、からの逃避。ユートピアはトウキョウにあるはず。も、なく。
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絞殺(1979年製作の映画)

4.0

誰も悪くない。
一つの価値観で安定を得た社会はその逸脱を許さない。特に大きな凋落から立ち上がり発展を遂げてきた社会に於いては皆錯覚してまうんでないですか。その復興がさも自分の手柄のように。行き過ぎです
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ポエトリー アグネスの詩(うた)(2010年製作の映画)

4.2

「詩」はどうやったら書けるのか。
日常の中に美しさを見つけること。でも何かを歪曲したり虚飾したり一見美麗なものを並べたてたり。そうして色々研磨して他者に提示する強度を得たり。うっかり誉められたり。
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さらば愛しき大地(1982年製作の映画)

4.3

「家」
「祖先」
「血縁」
「世間様」
「共同体」
温かくもあり永遠の呪縛にもなる。
彼(そして彼女)に潔く「さらば」と言わせてあげたかったけれど固執すべき愛する土地であるのも事実で。愛憎は執着となる
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田園に死す(1974年製作の映画)

3.8

捻じ曲げた記憶と消せない過去。
そのグラデーションがとても鮮明で苦しかったです。し、面白かった。禁忌が孕む哀しみ。
10年前より客観的に観れるようになりました。

川の上流から流れる雛壇
原田芳雄兄さ
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曼陀羅(1971年製作の映画)

3.6

一瞬『ミッドサマー』を想起したりして。

「転向やない、人よりちょっとエロチックになっただけや」
という台詞が印象的でした。愛ではなく「仁」であると。
総括のようでもありのようでもあり。
糾弾ともとれ
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四月の永い夢(2017年製作の映画)

3.3

音楽だけじゃ寂しいからラジオを聴く。
唐突で唯一の贈り物をしてくれる。
彼女の情緒はラジオによるものと思われる。勝手にそう解釈。テレビ置いてない。
メールではなくて手紙。保存ではなくて保管。
緩やかに
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書を捨てよ町へ出よう(1971年製作の映画)

3.7



10年以上前、真夏のシネ・ヌーヴォ。
特集上映。うだるような暑さ。果てしない疲労。
劇場が明るくなる演出ちゃんとやってる!すごい!と思って感激した覚えがある。

母なるものと家族そして血縁の呪縛。
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学校(1993年製作の映画)

4.0

理想郷。なのかもしれないけど。

学びたいと思ったらいつでもその場が用意されていて、仲間がいて、先生がいる。「幸福」について考える。すんばらしいね学校は。
イノさんのラブレター、分かっちゃいるけど田島
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午前中の時間割り(1972年製作の映画)

3.8

当初変なストレスだった8㎜の映像が次第に何とも言えない美しく苦しい記憶の断片として映り、とても魅了されました。タイトルの意味ももうなんかよく分からないのですが(笑)、抑圧された若さの危うさとか健気さが>>続きを読む

晩菊(1954年製作の映画)

4.0

『流れる』のその先の先。に待っているお話。
鷹野橋サロンシネマでの初見以来。
杉村春子ショーだったイメージしかなかったけど、とみとたまえ各々の晩菊もしっかり描かれていて、それは殆ど忘れてたからやはり記
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あらかじめ失われた恋人たちよ(1971年製作の映画)

3.7

共闘、連帯、裏切り。そして。言葉にするとすごく陳腐。空白を抱えた人たちが困難を重ね続けることで築き上げた唯一の関係。友情?違う。そのそれだけの関係。あの彷徨はでたらめだけど、猛烈に羨ましくもある。とて>>続きを読む

赫い髪の女(1979年製作の映画)

3.8

異性に対する徹底した諦念。
それでも理屈なしに求め合う。
男なんて。女なんて。
その一言で片付けてしまわなければやりきれない何か。
終始様々な【赤】に彩られて美しかったり痛かったり。女そのものだし男と
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いなべ(2013年製作の映画)

3.6

就寝前にピッタリの映画でした。

人の意識は限りなくゼロに近づきながら生き続ける。トモヒロの喪失感と街の不思議と。ひとときの邂逅。死者からのハッビーバースデー。ないまぜになる。
ラストの夜景に全てが溶
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歓待(2010年製作の映画)

3.9

我々のコミュニティはいとも簡単に侵食?瓦解?再構築?されていく。我々が目を背ける価値観によって。そして見てみぬふりを続けた先にそれは日常になっていく。すぐに忘れてしまう。「歓待」とは心のこもったおもて>>続きを読む

退屈な日々にさようならを(2016年製作の映画)

3.8

感情の襞と音の響きについて考えた。

不在が日常であるなら驚くまでもないのに一様に皆揺らぐ。喪失はそれほど衝撃的なもの。同時にそれによって何かしらの生を宿したりするかもしれない。

世界はどうやっても
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ホームレス理事長 退学球児再生計画(2013年製作の映画)

3.9

夢を実現するために必要なもの。
それを言葉にできないもどかしさ。
悪魔的に不器用だけどそれが特有の美しさを担保していて。苛立ちを感じながらもそこに魅了された。
理事長だけではない、監督や小山くん、他の
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ヤクザと憲法(2015年製作の映画)

3.7

コーヒーと煙草で延々続く日常をやりくりしていく様がなんともいえない。
法律によって人として生きていく退路を断たれる皮肉。社会で疎外された者を受け入れてくれる場所ではあるが、更に別の生きづらさが待ち受け
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ウォーリアー(2011年製作の映画)

3.8

嗚呼、大画面で観たかった。
逃げ出すことも勇気だった。
留まることにも必死だった。
この二人にとって闘うことは向き合うこと。ぶつけ合う。この二人を結びつける唯一のもの。魂の語り合い。

親父が聴いてい
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娼年(2018年製作の映画)

3.2

皆さん真摯でした。松坂さんとても美しい。場所のテロップがムードありました。

ミッドサマー(2019年製作の映画)

3.7

没入はしなかったけど学問的好奇心?の観点というか興味本意の深さではありますが、その点で没頭しました。
文化人類学で合ってるんですかね。【異常】という捉え方でいいのか。この村の儀式一つ一つが興味深く、時
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1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

4.1

フィジカルに連動するリアリティー。
自分だったら…と置き換えて観てたら8回以上は死んでた(笑)。

勇敢と運と強靭な意思と。

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

4.0

限界を乗り越えた先に見える光。
その光を讃えること。
称号や記録の中に埋もれたものにこそ価値はある。
限りある者たちにしか味わえない喜び。

二人ともこれ以上ない適役で健やかな2時間半でした。クリスチ
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スキャンダル(2019年製作の映画)

3.6

その思想の元に人権が縛られる。
ありえないけど、そこを踏み絵にして見えない価値観で人々を縛る。ことは往々にしてある。ことを徹底して自覚しなければならない。

シャーリーズ・セロンの演技の案配よ!

テリー・ギリアムのドン・キホーテ(2018年製作の映画)

3.7

義憤とモラル。
きちがいと映画。
主人公と創り手。
加害者と被害者。
フィクションと現実。

全てが対等に手のひらの上に乗る。

それだけでいいのだ!

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.0

純粋な嘘は少年の中を駆け巡る誠実さのひとつだから。あの一歩を踏み出した瞬間の美しさよ。
偶像化されたヒトラーは可笑しくて残酷で哀しい。

ヨーキー、もっと活躍してほしかった(笑)。

サム・ロックウェ
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.2

表皮に寄生できるのは一時的、ヒエラルキーの下の下誰も気づかぬ場所で巣食うことでしか手段はない。灯台もと暗し。
明るい未来。開かれた道。祈りに意味はない。夢想するしかない。
展開と関係なく、ソン・ガンホ
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