marohideさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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ザ・ハリケーン(1999年製作の映画)

4.0

 黒人ボクサーに対する冤罪を題材とした、実話ベースの作品。しっかりとドラマチックに仕上げられており、面白かった。

 「マルコムX」を観た時も思ったが、デンゼル・ワシントンは本当にこういう役が上手い。
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パリは燃えているか(1966年製作の映画)

3.5

 それなりに古い戦争映画の上に3時間の長尺なので、ある程度の見づらさを覚悟して観たが、映像はスッキリしていてテンポもよく想像以上に見やすい。

 音楽が戦争映画の割に重苦しくないのが独特。威圧的な軍楽
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偽りなき者(2012年製作の映画)

5.0

 素晴らしい映画だった。怒りとも悲しみとも言えない感情に揺さぶられる。思わず涙が出た。

 人の声に耳を傾けない事が、どれほど取り返しがつかないことであるのか。公平性を失った人間が、いかに醜悪か。会話
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チャイナタウン(1974年製作の映画)

3.5

 正統派のフィルム・ノワール。深夜に一人で視聴した己が判断力を褒めたい。音楽や衣装、色調良し。
 主人公である私立探偵に扮するジャック・ニコルソンの演技も雰囲気があり、単純に見ていて楽しかった。

 
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ゆきゆきて、神軍(1987年製作の映画)

4.5

 奥崎謙三という人物を大きな軸としたドキュメンタリーでありながら、同時に犯人探しのミステリーであり、そして強烈な戦争映画でもある。
 非常に面白かった。 

 内容としては冒頭、天皇パチンコ狙撃事件・
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月に囚われた男(2009年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

 クローンものでは定番である設定やプロットを丁寧に丁寧に仕上げることで出来上がった映画という印象。
 そのため予想を超えた意外性にはぶつからなかったが、総合的な完成度は高いように思う。
 舞台が月なの
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太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)

4.0

 抜群に面白い。

 ソ連が健在であり、過激派の記憶も新しく、けれども学生運動の熱は冷め、相変わらず警察や機動隊は暴力的で、科学には夢がある。
 そういう時代の残り香のようなものが作中には漂っており、
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ザ・マスター(2012年製作の映画)

3.5

「教団の指導者とその右腕となる男」なんてパッケージに書いてあるものだから副幹部が暴走して内ゲバになる展開かと思っていたら、予想以上にしんみりとした人間ドラマが出てきて面食らってしまった。そもそも全然“>>続きを読む

レイク・マンゴー 〜アリス・パーマーの最期の3日間〜(2008年製作の映画)

3.0

 不気味なものは好きだが驚くことは嫌いなので、ホラーというジャンルが得意ではなかったが、ビックリ要素がなくジワジワと怖いという話だったので緊張しつつ視聴。
 それ自体に偽りはなく、まずそこは良かった。
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マシニスト(2004年製作の映画)

4.0

 男が精神的に追い込まれていく様を描いた作品。鑑賞者の“印象”に与える効果が計算しつくされているように思えた。なんでもないモチーフをサブリミナル的に繰り返し提示し、デジャヴのような感覚を追体験させる手>>続きを読む

ねこぢる草(2000年製作の映画)

3.5

 一本の流れある作品というよりは、様々な世界を順繰りに眺めていく万華鏡的作品である。
 くるくると切り替わる幻覚のような映像の中から、気に入ったモチーフ、気に入った色、気に入った場面や瞬間を見つけると
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9人の翻訳家 囚われたベストセラー(2019年製作の映画)

4.0

 友人から「この映画は本が燃えるよ」とおすすめされて鑑賞した書籍炎上映画。冒頭から燃える燃える。素晴らしい。中盤、肉筆の生原稿を燃やすシーンもあり加点要素。おもわず声が出てしまった。ゾクゾクしますね。>>続きを読む

アンダーグラウンド(1995年製作の映画)

4.5

 非常に、非常に面白い映画なのだが、びっくりするほど鑑賞に体力を使う。エンドロール後はどっと疲れてぐったりとしてしまった。映画からほとばしるエネルギーに当てられるからだろう。
 けたたましく鳴り響く金
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メアリー&マックス(2009年製作の映画)

3.5

 クレイアニメ、音楽、ナレーションの三本柱がしっかりと作品を支えており、惹き込まれる世界観だった。
 特にナレーションが良い。個人的に映画でのナレーションが好きだというのもあるが、一歩引いた第三者的な
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日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)

4.0

 白黒映画にも関わらず、いやむしろ白黒映画だからこそと言うべきか、8月15日のうだるような暑さが画面から感じられた。人々の肌や軍服に滲む汗、きときと光る目つきが良い。

 作中、「あらゆる手続きが必要
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フリークス(怪物團/神の子ら)(1932年製作の映画)

4.0

 見世物小屋を舞台に、実際の身体障害者や奇形者を多数起用して制作された映画。どうしても露悪的、悪趣味という文脈で語られがちな映画だが、観てみて印象が随分違った。

 まず、ストーリーが思いの外しっかり
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デリカテッセン(1991年製作の映画)

3.0

「アメリ」のジャン=ピエール・ジュネ監督作品。

 やはりこの監督は画面に映るモチーフ選びの趣味が良い。麻袋に入った穀物が余程好きなのか。
 他にも古いテレビやカメラなどのガラクタ趣味がポストアポカリ
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ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000年製作の映画)

3.5

 人に薦められて視聴。救いのない話だという前評判を聞いていたので、登場する人々皆が主人公に辛くあたるような映画を想像していたが実際は逆であった。
 一つの悪意を除けば、周りの人々は多くが主人公に親身だ
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実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)(2007年製作の映画)

4.5

 非常に興味深い映画だった。安保闘争から連合赤軍結成までの流れ→山岳ベース事件→あさま山荘事件とおおまかに3部で構成されており、3時間という長尺ではあるが連合赤軍による一連の事件がわかりやすくまとまっ>>続きを読む

バベットの晩餐会(1987年製作の映画)

3.5

 静かな筆致で痛みと幸福感を描いた、しみじみと良い映画だった。

 完成した料理がどれも美しく美味しそうであることは言うまでもないが、食事の持つ生々しい側面まで描いているのが嬉しい。
 ウズラやウミガ
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イップ・マン 完結(2019年製作の映画)

2.5

 イップ・マンシリーズの完結編ということだが、残念ながらあまりぱっとしない作品のように思えた。

 まずストーリーの盛り上がりに欠ける。迫害される中国人を目にして義憤にかられるという展開はシリーズ恒例
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小さな悪の華(1970年製作の映画)

3.5

 思春期の少女が悪に魅入られる物語。厳格な規律からの逸脱、同性愛的な共依存などプロットはそれほど珍しくないように思えるが、画作りと音楽が良いので飽きることはなかった。

 二人の少女が主人公として登場
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文学賞殺人事件 大いなる助走(1989年製作の映画)

3.5

 原作小説にある、筒井康隆が俗物を描く際の活き活きとした筆の勢いがそのまま映画でも感じられた。高慢で嫉妬深く、下品で胡散臭いというブンガクシャ特有の臭気のようなものがプンプンと感じられて嬉しくなった。>>続きを読む

イップ・マン 継承(2015年製作の映画)

3.0

 前2作に比べ、妻や息子との関係性や他の武道家との争いなどの人間ドラマに比重が置かれている。それはそれで悪くはないのだが、どうしても倒すべき明確な相手がいた前作に比べて勢いは弱いと感じざるを得ない。>>続きを読む

イップ・マン 葉問(2010年製作の映画)

4.5

 前作の逃亡から香港に移り住み、武館の弟子集めから話が始まる。
 日本兵という明確な悪を失い、物語的に失速してしまうのではないかと序盤は不安だったが、終わってみれば無用な心配だった。

 イギリス統治
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神に選ばれし無敵の男(2001年製作の映画)

3.5

 千里眼を持つ男としてショーを主催し、ナチスすら手玉に取ろうと目論むハヌッセンという男。彼の魅力に完全にやられてしまった。
 胡散臭く傲岸不遜で下品、しかし誰よりも優雅。己の野心に全てをかける泡沫の夢
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イップ・マン 序章(2008年製作の映画)

4.5

きちんとカンフー映画というものに取り組んだのはこれが初めてだったが、実に観やすく楽しめる作品だった。

まず主人公イップ・マンの一つ一つの所作が美しい。それは格闘シーンだけの話ではなく、たとえばただ茶
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ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

3.5

 台詞らしい台詞がほとんどなく、音楽もほとんどない。荒涼としてどこか寒々しさを感じるスペインの風景と、人々の微かな表情だけで物語を語っている。
 主演のアナ・トレントが素晴らしい。この配役でなければこ
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グランド・イリュージョン(2013年製作の映画)

1.5

 良くも悪くも映画らしい派手な展開とケレン味のある作品。

 全体が一つのマジックショーの様な作りになっているが、途中途中にCGを使ったであろう明らかに現実的でない演出があり、そのたびに興醒めした。
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未知との遭遇(1977年製作の映画)

3.0

本で音楽言語ソレソ語を知り、この映画にも使用されているということで興味があった。光と音による会話のシーンはやはり良い。

前半の展開から謎解きのようなストーリーを予想してしまっていたが、解決されない謎
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マーズ・アタック!(1996年製作の映画)

3.0

 幼い頃に繰り返し観た作品なので曖昧な部分も多いながら、やはりビジュアルのインパクトは圧倒的であり、細部まで思い出せるシーンも多い。

 ストーリーは覚えていてもディテールが思い出せない作品が多い中、
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善き人のためのソナタ(2006年製作の映画)

3.5

東ドイツの監視社会を描いた作品。
盗聴される監視対象を劇作家と彼の恋人である舞台女優に設定した脚本が上手いと思った。

シュタージの捜査官として監視任務についていた主人公が徐々に二人の人生の観客になっ
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マルコムX(1992年製作の映画)

3.5

マルコムXの生涯を描いた伝記映画。
題材となった本人の演説やアイコンとしての強さのイメージが先行していたため、もっと酔える映画なのかと思っていたが、思ったよりも冷静に観れてしまった。伝記映画としては何
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コックと泥棒、その妻と愛人(1989年製作の映画)

5.0

 良い。見て美しいというのは映画の強みだなと改めて思う。最後の食事を運んでくるシーンが特に映画らしくてよい。鮮やかな光で作られた陰影。ポーの「赤死病の仮面」を思い出したり。
音楽も耳に残る。

 下品
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死刑台のメロディ(1971年製作の映画)

3.5

アメリカという国家の最悪の側面を見事に描ききっている。
イタリア映画らしいやるせなさや哀愁が、題材となった事件の陰鬱さと上手く合っている。
直接訴えかけてくる映像だった。