グラビティボルトさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

グラビティボルト

グラビティボルト

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扉の陰の秘密(1948年製作の映画)

4.0

まず、 ヒロインが夫となる人物に歩み寄るショットとナレーションから始まる訳だが、夫の顔を塗り潰す陰からして只事ではない。
そして、観客が冒頭悟った通りに事態は陰惨な方向へ。
終始キレのある陰影を保った
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ゴングなき戦い(1972年製作の映画)

4.6

リングに上がっている場面よりもバーカウンターや丸テーブルでボクサーが項垂れているショットの方が多いズタズタ男達のニューシネマ。
勝っても負けても失った時間は返ってこない。
「人生を変える瞬間」は1フレ
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ウェス・クレイヴン’s カースド(2005年製作の映画)

3.4

狼男の映画でありながら、人体が引き裂かれたりするよりも人が左右に吹っ飛ばされるシーンの方が楽しいし、細かいやり取りにちょいちょいユーモアが入っている。
あと、ラストの小気味良さね。

カモン カモン(2021年製作の映画)

3.9

初マイク・ミルズ
んで、秀作。
実際に子供にインタビューした素材を使っていたり、虚/実が混じる。
でも、ちゃんと画作りや演出が機能している。
インタビュイーとの単調な切り返しだけでなく、役者という「
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冬冬の夏休み(1984年製作の映画)

4.0

自然に取っているように見えて、
「このシーンは、このアングル以外あり得ない」と言わんばかりの精密なカメラ、役者の動作のタイミングがヤバい。
階段の一番下から撮った電話のシーンや、田園地帯を捉えたショッ
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彼女はパートタイムトラベラー(2012年製作の映画)

3.6

す、すげぇ面白い秀作。
冴えない記者三人が変な男の出したタイムトラベル勧誘広告を追ううちに己の人生の痛々しさに向き合う話。
それぞれの人物の絶妙なダメさが、ふとしたやり取りや仕草に表出してしまい、
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グレムリン(1984年製作の映画)

4.0

実は観てませんでした系。
これは面白い!
ジョー・ダンテ、どんどん観ないとダメだ。
「大人の言い付けは守りましょう」的な昔話っぽいオチが着くものの、
母親vsグレムリンの陰惨さは忘れ難い。
特にここは
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とんび(2022年製作の映画)

3.3

やっぱり、瀬々映画は撮影が鍋島さんじゃないとちと寂しいというのが正直な所だが、海周りのショットは急に引き締まったり、役者の芝居の応酬が気持ち良い。
要は、演出や撮影の映画ではなく、紛れもない「役者の
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シャドウ・イン・クラウド(2020年製作の映画)

4.0

「サスペリア」的な電子音楽に合わせて
書類が通る〜謎の荷物を持つ〜上空を飛行機が横切る〜振り向いたら着陸している〜乗るぞ!という冒頭3分間の手続きの迅速さが良し!
以降も小気味良さに安心して観られた。
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ある過去の行方(2013年製作の映画)

3.5

あまりにも陰惨なメロドラマぶりに流石に辟易しつつ、冒頭の空港のガラス越しに向き合う男女のショットから一貫して、ガラス越し、自動ドア越し、二階の窓越しに庭の子供達を観る・・・等フィルターを一枚噛まして他>>続きを読む

フッテージ(2012年製作の映画)

3.8

し、秀作〜〜〜!
まず、使い古された「呪いのビデオ」がちゃんと新鮮な陰惨さ、不気味さに溢れてるのが最高。
んで、イーサン・ホークがそれを再生する時にいちいち8mmフィルムを映写機にセットする様を精密に
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狩人(1977年製作の映画)

4.0

「歩く役者を追っているうちにカメラが時間を飛び越す」やパーティに軍服を来た男が割り込む、窓越しの視線、長回しを突き詰めると不条理ホラーに行き着くという指標。
「展開される場面は歴史を参照したリアルな記
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アネット(2021年製作の映画)

2.4

何だかんだドニ・ラヴァンが人を殺してもビノシュが迎えに来てくれた
「ポンヌフの恋人」に対して、今作の男は最終的に徹底した孤独に追いやられる。
だからと言って作家が大人になった訳でもなくて、シーン毎の繋
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アンビュランス(2022年製作の映画)

3.7

サーフィン富豪野郎が撮った怪物的活劇映画。
現代ハリウッドで、コスチュームヒーローではない「英雄」をスクリーンに映せる作家がマイケル・ベイしかいない2022年。
正直、このプロットで130分を越えてし
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ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)

2.6

生真面目だけど面白くないという、
「パシフィックリム」以降のデルトロの流れがそのまんま出ている新作。
ルーニー・マーラーとケイト・ブランシェットの服装の一貫性とかで、「読ませよう」とする所が、趣味と合
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KAPPEI カッペイ(2022年製作の映画)

3.5

す、すげぇ下らないんだけど大筋は
「カルト宗教に騙されたまま中年になった男性が恋をする」話で、ギャグになっているだけで中々シビアな映画だった。
あと、伊藤英明の「鍛えてるように見えて腹筋が割れてない」
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彼女が消えた浜辺(2009年製作の映画)

3.8

観念的で掴み辛い映画かと思いきや、「旅行のゲストが消えてしまい、責任を擦り付け合う」という通俗的な要素が盛られていて、飽きずに観れた。
彼女が消える寸前、浮かせた凧が戸口から見えて、直後にボールが当た
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SING/シング:ネクストステージ(2021年製作の映画)

3.5

スケールが大きくなった分、あの偽物の月をぶら下げた劇場の情感が無くなったのは明確な欠点。
ただ、「バスター・ムーンが嘘を吐けば吐くほど面白い」という作劇の魅力を発展させてるのが愉快だった。
現状のハリ
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ヒドゥン(1987年製作の映画)

4.0

ゴリゴリに面白い傑作。
冒頭、何故か銀行を映した監視映像だな・・・と思うと、普通の男がショットガン連射!
からの車で暴走して警察との怒涛のチェイスの果てに車椅子の老人を撥ね飛ばし、車はハチの巣!
これ
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旅芸人の記録(1975年製作の映画)

-

各演出の息が長くて圧巻。
話の筋があまり飲み込めてないので、
いい加減に点を付けるのも憚られる。
「旅芸人達を乗せた小舟が港から出る」っていうシーンにしても、何処にカメラを置けばその空間の奥行きが出る
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ポンヌフの恋人(1991年製作の映画)

3.7

「ボーイ〜」や「汚れた血」より面白かった。
若い役者が左右に動き回ったりする為だけに橋を一本作ってCGみたいなんだけど実写な花火の雨を打ち出してしまう豪華さが強烈。
J・ビノシュの片眼が塞がっている間
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THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

3.6

ノワール的なショットは、バットマン初登場の時点で勿体振ったワリに普通に前から歩いてきたり若干ちぐはぐな印象。なんならほぼスベっていたと思うんだけど、全ての謎解き(とんち)を乗り越えて
犯人集団の素性が
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ブルーサーマル(2022年製作の映画)

3.8

グライダーという、いくらでも描写を盛れる、スペクタクルになりそうな題材でこのストイックさ!
鳥人間や飛行機ではなくグライダーを描いたアニメであるが故に
「飛翔」ではなく既存の風に乗る「上昇」を描いて、
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ドールズ(1986年製作の映画)

4.0

なんと幸福でメルヘンな傑作なのだろうか。
冒頭、イヤな大人に捨てられた少女の大事な熊の人形が巨大化するシーンのスローさに心配になるも、屋敷に入ってからは一気呵成!
フランス人形による殺戮劇!
大人に成
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真人間(1938年製作の映画)

3.7

「強盗は車両の確保、ボスへの上納金で稼ぎがほとんど無くなるので割に合わないのよ!」と元ヤクザが
元犯罪者のシルヴィア・シドニーに説得され、手を引くという今でも斬新な犯罪コメディ。
妻が身分を偽りながら
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死霊館(2013年製作の映画)

3.6

再鑑賞ね。
これ、Jホラー表現&怪獣映画
っていう、無茶な足し算企画なのに「ドアの向こうに何かがいる」恐怖空間表現から、人間がボードのように床を滑っていく豪快なポルターガイスト、写真から霊視するシーン
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汚れた血(1986年製作の映画)

3.6

少なくとも「ボーイミーツガール」よりは遥かに愉しくて安心した。
まず、ド頭の流れが巧いよね。
駅構内横移動〜赤い列車のフレームイン〜金髪男の後頭部〜列車が走る〜男が飛び降りた!っていう瞬間にカットを割
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ジェニーの肖像(1947年製作の映画)

4.5

沁みるメロドラマ。
売れない画家が公園で出逢った謎の少女の肖像画を出したことで転機を迎え、やがて愛し合うようになるが・・・っていう筋書き。
かなり「思い出のマーニー」に近いニュアンスを感じたんだけど、
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ボーイ・ミーツ・ガール(1983年製作の映画)

3.0

初カラックス。
あまり好ましく観れなかった。
開始以前の時間で恋愛関係に終止符が打たれている男女が出逢う話。
男女のやり取りの合間に黒を入れて、次のショットで女が上着を脱いでる時間経過の表現に割り切り
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1936年の日々(1972年製作の映画)

3.6

ウェス・アンダーソン「フレンチディスパッチ」の3章目を引き伸ばしたような印象。
終盤の夜の闇と平場の晴天の暑苦しさの対比が凄い。

牛首村(2022年製作の映画)

3.8

「犬鳴村」から一貫して、「人間が落下してくるシーン」の撮り方やギミックを愚直に更新し続ける清水崇の真面目さには頭が下がる。
かつ、劇中時間以前におぞましい因習に引き裂かれた二人を切り返しでなくパンフォ
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アイアン・ホース(1924年製作の映画)

5.0

29歳でこれを撮ってしまうの、本当に化け物じみてると思う。
鉄道工事現場をインディアンが襲撃することを表す騎馬隊の移動の連なりに挟まれる騎馬が河の水面に映るショット、あれをシレっと挟める作家が現代にど
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アンチャーテッド(2022年製作の映画)

2.5

別に悪くないけど、「どんな企画でも100分前後で軽薄にまとめてしまう」というルーベン・フライシャーの美徳が何故か失われていてそこは残念だった。
若い役者がドタバタ動き回っているだけで楽しいのは間違いな
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ストレンジャー/謎のストレンジャー(1946年製作の映画)

3.8

E・Gロビンソン演じる探偵役が、
逃亡したナチの残党を追うっていう、「黒い罠」とかに比べればだいぶシンプルで見易いスリラー。
ただ、逃亡者たるウェルズを追い詰めるのが探偵ではなく、騙され、神経衰弱が極
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地球外少年少女 後編「はじまりの物語」(2022年製作の映画)

2.7

やはり配信主導の作品は気が合わないのだろうか。
TRIGGERの「BNA」と同じく、話が佳境になればなるほど概念の説明に絵が従事してしまっていて、堅苦しい印象を受けた。
1話終わると間髪入れず次に誘導
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ル・アーヴルの靴みがき(2011年製作の映画)

3.9

傑作「希望の彼方」に次いで好き。
93分という尺にも関わらず、貧乏な靴磨きとその妻、密入国者の少年という主要3人は勿論、それ以外の脇を引き立てる役者達の「カメラが回る前の時間」を感じさせるやり取りの妙
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