グラビティボルトさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

グラビティボルト

グラビティボルト

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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

3.5

天才サックスプレイヤーが世界に羽ばたく前のとても大事な時間を描こうという、原作の意図が既に格好良い。

ライブで吹ききったらクールにエンドロールに突入する切れ味と、揺らぐサックスに反射する光の演出は見
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ベネデッタ(2021年製作の映画)

3.7

初っ端から鳥の糞が顔にかかり、次は厠で屁をこく女優でやりたい放題。
でも、ニヒルな手触りはあっても忌々しい下品さには至らない。

撮影については特に言いたくなる事はないんだけど、最後まで彼女の身体に刻
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バビロン(2021年製作の映画)

2.0

何も言いたくならない(口では説明出来ない良さがあるとか、そういうやつじゃない)。
俺はもう疲れた。

人間の約束(1986年製作の映画)

4.0

吉田喜重二作目。介護映画。
誰もがブチ当たる「老い」が映画として正視出来なくなるぎりぎりまで描かれている事に戦慄する。
鏡、水面を通して己の顔を見詰めるショット、フレーム外から聞こえる死を望む老人の声
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

2.6

これ、友人関係のあるある話をちょっと過激にしてるから話題性が強いだけで、映画として観た時にかなり微妙な代物だと思う。
撮影も高水準だとは思うけど、完全に脚本に奉仕しているようでただただ綺麗なだけ。
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バイオレント・ナイト(2022年製作の映画)

3.7

サンタが悪党をブチのめすというが、後半に進むに連れてただ赤い革ジャンを着たオッサンが戦う普通の映画になってしまう辺りが難。
その難点を抱え込んでなお、子供達の「ホームアローン」的なギミックを利用した逆
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SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

3.7

この手のジャーナリズム溢れる映画、大抵苦手なんだけど、これは大好き。
ちょっと不謹慎なんじゃないかと感じるぐらい面白かった。
歩くショットの横移動は終始格好良いし、食堂、ガラス張りの会議室の場面も常に
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秋津温泉(1962年製作の映画)

4.0

人生初吉田喜重映画鑑賞。
付かず離れず、真綿で首絞められるような恋愛をする岡田茉莉子と長門裕之の二人を捉えたショットはどれも信じられないぐらい格好良いのに、けたたましいサントラが若干集中力をかき乱す怪
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ノースマン 導かれし復讐者(2022年製作の映画)

2.5

バイオレントな事態が発生しているんだけど、殺陣が格好良かったりしないので、常にモタった印象がある。
不穏な雰囲気と小五月蝿い音響しか手札が無かった「ライトハウス」よりは役者の肉体に委ねているので、
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アルカディア(2017年製作の映画)

3.5

やっぱりこの監督コンビ、目を付けといた方が良い案件だ。
遭遇する怪異の魅せ方の鮮度よりも、遭遇するまでの道程と、主要人物である兄弟のドラマに力点をしっかり置くので、脅威的なカメラや構図が無くても突っ切
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シンクロニック(2019年製作の映画)

3.8

佳作。
飲むとタイムスリップしてしまう謎のドラッグのギミックより手前の、主演二人の救急隊員が現場に赴くまでのムード、冴え無さとはまた違う二人の人生行き詰まり度合いをムーディな夜景バックでしっかり撮るか
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非常宣言(2020年製作の映画)

3.2

てんこ盛りのジャンル映画を積極的に撮れる韓国映画の元気っ子ぶりは確かに凄まじい。
ただ、最終的に一番映画として際立つ細部は、パンデミックとパニックの合せ技ではなく、イ・ビョンホン演じる元パイロットが心
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ウォレスとグルミット、危機一髪!(1995年製作の映画)

4.0

「チーズホリデー!」は月世界旅行だし、
「ペンギン危機一発!」は不穏な家庭内侵入からケイパー、ラストは列車活劇で、
「危機一髪!」はラストが完全にターミネーターで、滅茶苦茶面白かった。
どのエピソード
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ドリーム・ホース(2020年製作の映画)

3.7

2023年初新作映画鑑賞。
絶妙なポイントを突いてくる良作だったと思う。
トニ・コレットらは確かに出資をして、調教師を手配していくけど、
実際にレースをする馬とはほぼ触れ合えないし、レース中はただ祈り
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デッドゾーン(1983年製作の映画)

3.7

端的に孤独で寒々しくて、面白いというクローネンバーグの一番良いパターンの映画。

カラミティ(2020年製作の映画)

4.0

明日朝早いので、取り敢えず
「すげぇ面白かった」に尽きる。
端的に傑作だと思う。
朝、昼、夜を描き分ける時の色彩の変化がダイナミックだし、
「ロングウェイノース」が一本道の話だったのに対して、ヒロイン
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THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

2.8

確かに皆言う通り、終盤、桜木花道がリバウンドを奪取した後、
時計がラスト9秒と数コンマを刻む中、桜木花道の両足が飛び上がる〜同時にボールが掌から離れて空を切り〜というあらゆるもの(試合の結果すらも)が
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男性の好きなスポーツ(1964年製作の映画)

5.0

最高過ぎた。
こんなに野蛮なコメディを観た事がない。
主演の役者が湖に落ちるシチュエーションの連鎖だけで暴力的に笑いを取ってくる。

釣りの大会に出る羽目になったロック・ハドソンが原付で移動すると泥飛
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

5.0

ただ、ただひたすらにシビれた。
徹底的にボクシングというアクションの連なりに打ち込む喜びと、戦う心が摩耗し、迷う内省の2つを撮りきって99分!凄い。こういうのを拝む為に劇場に通っている。

左右の拳を
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RUN/ラン(2020年製作の映画)

3.0

まぁまぁ。
車椅子の娘が、母親の監視から逃れようとするスリラー。
車椅子昇降機で階段を降りる娘が手前、母親が奥で料理をする様を捉えたワンショットが顕著な如く、
手前に娘、奥に母親のショットが随所で反復
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バルカン超特急(1938年製作の映画)

4.2

ギョッとする程面白い。
同じ列車に乗り合わせ、仲良くなった婦人が目を覚ますと消えてしまったので、聞き込みをしてくと、
「そんな人は知らない」と己の記憶を疑われるヒロイン。
というニーューロティックな語
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リトル・ショップ・オブ・ホラーズ(1960年製作の映画)

3.8

食人植物を拾った青年が餌となる人間を次々殺すホラー。
チープ。だが、この間抜けな青年が都合良く人殺しをこなせる理由が、周辺人物の狂いっぷり、他人への興味の無さに起因していて、何処か冷たく悍ましい。ラス
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ヒズ・ガール・フライデー(1940年製作の映画)

4.0

怒涛の会話&電話活劇の至高。
元夫に再婚を告げる為に古巣の新聞社へ舞い戻ったロザリンド・ラッセルが死刑囚の記事を巡る騒動で仕事に再びハマっていく。
嫉妬を動機にしてた元夫が記事製造機械として起動する終
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ブラックアダム(2022年製作の映画)

2.5

冒頭の説明、古代遺跡発掘から、フードを被ったザ・ロック登場でイマイチ胸掴まれずラストまで見た。
JSAという戦隊シリーズみたいな連中とか、架空国家での圧政と市民の蜂起等色々面白みを詰めてるんだろうが全
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勝手にしやがれ(1960年製作の映画)

3.4

ちゃ、チャラい!
ヒロインがカフェで男と本の話をするシーン、互いの横顔ショットを切り返すが、台詞の間で細かくジャンプカットしたりする手捌きがとても巨匠の撮った映画とは思えぬ若さで魅力的。
既に大量の映
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RRR(2022年製作の映画)

3.4

端的に、疲労感は凄いけど面白かった。
映像がパワフルというより、最初の少年救出劇から一貫して「新鮮なアクションのアイデア」がふんだんに詰め込まれていて、全く退屈しなかった。
疲れるのも、主人公が親友の
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グリーン・ナイト(2021年製作の映画)

3.6

最初から最後まで「遊び」で一貫された映画だった。
360度パンによる白骨〜受肉、窓から挿し込んでくる光、無駄に可愛いキツネ、エクスカリバーを受け取った瞬間主人公を照らす光、飛び跳ねた首の描く動線の気持
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チャイルドコール 呼声(2011年製作の映画)

3.7

夫の暴力から息子と逃れたノオミ・ラパスが、トランシーバーを購入して息子を守ろうとする。
ある夜に子供を虐待しているような声が聞こえて・・・というスリラー。

実際に虐待が近隣で発生していて、偶々それを
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ある男(2022年製作の映画)

3.5

石川慶、「愚行録」しか観て無かったんだが、序盤で早々に命を落としてしまう窪田正孝演じる「夫」のシャープな佇まいが、喪失後も映画を牽引してるように感じた。
こんだけ謎の中心にいるのに、戸籍の入れ替えが発
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

2.6

「プロが間抜けな失敗をする事でシチュエーションが始まる」という、世にも愚劣でキライなスパイダーマンNWHと似たようなプロットしてて、もう無理だった。
新海誠、俺が一番イヤな「シナリオにケチを着け」ざる
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戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 史上最恐の劇場版(2014年製作の映画)

3.5

遂に怪獣映画化する語りのエスカレートに驚く。
でも一番惹かれたのは、工藤Dの幼少期の秘密が明かされるタイムスリップのシーン。
工藤のあの凶行が始まる時、少年の顔が切り返されず、ただそこにいたという事実
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許されざる者(1992年製作の映画)

4.2

大学時代ぶり。
端から端まで陰惨で、モーガン・フリーマンの奥さんがライフルの銃底を見つめるショットから子供がイーストウッドを見つめるショットまで陰惨なんだけど致命的に面白い。

ジャンルそのものを畳も
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窓辺にて(2022年製作の映画)

3.5

まず、四宮秀俊のカメラによってきらびやかに映えるカフェに座る稲垣吾郎のショットから好きなやつで、あまり撮影に凝る印象の無い今泉映画に新しいアクセントが加わったような見応えがあった。
玉城ティナとの会話
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KIMI サイバー・トラップ(2022年製作の映画)

3.9

アクションが心理を物語る映画の至高みたいな作品で、かつ「コロナ禍の裏窓」という喰えないプロットで映画が撮れてるすげぇソダーバーグ。
ルーチンワークをモニターナメ、俯瞰で撮って、殺人音声のファイルを聞く
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ビッグ・リボウスキ(1998年製作の映画)

3.8

実は観てなかった。
「パルプフィクション」ほどじゃないけど、クタクタしたキャラクターの佇まいから醸し出される中毒性もあって取り敢えず楽しかった。
実はアルトマン「ロンググッドバイ」的なヨタった探偵映画
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