ウシュアイア

ひとりじめマイヒーローのウシュアイアのレビュー・感想・評価

ひとりじめマイヒーロー(2017年製作のアニメ)
3.2
後に『マイホームヒーロー』と判明したのだが、『何とかヒーロー』が面白いらしい、という情報を元に観始めた本作だが、ふたを開けてみるとBLだった。BL作品を愛好しているわけではないのだが、1,2話観て思うところというか語りたいことがあり、最後まで観た。この投稿をするために全部観たという方が正直なところかもしれない。


水商売をしており夜な夜な男を家に連れ込むシングルマザーの母親をもち家での居場所がない勢多川正弘は、悪いお友達とつるむ様になっていたところ、不良を片っ端から締めて更生させている数学教師・大柴康介とその弟大柴健介に出会い、康介に尊敬の念を抱き、不良とは縁を切り、大柴兄弟らとの交流をしていく中で自分の居場所を見つけていくという話である。

事前にBL要素があるという情報がなければおそらく『GTO』みたいな話なんだろうと思ってしまう。ところが、物語は正弘の康介への尊敬の念は思慕の念を経て恋愛感情に発展していくというところに行きついてしまう。

BLに関心がないもしくはBL的妄想をしない人間からすると、本来ならば荒唐無稽と一蹴してしまうところだが、分からなくもない部分がある。そういうところが本作の巧妙で複雑な感情を抱かされる部分である。

まず、居場所がなく悪いお友達とつるんでいた正弘が「舎弟にしてくれ」といって交流する康介との関係性は、GTOの鬼塚英吉と生徒のようなもので、そこに不自然さはない。そして、自分が助けた正広が自分を慕い、正広に幸せになって欲しいというのも分からなくもない。自分が面倒を見ていた部活の後輩が活躍してほしいみたいなことを思うことはある。(でも、俺の手で正広を幸せにしたいとはならない。)

また、健介が仲違いしたかつての親友支倉麻也と再会して、支倉と向き合うことから逃げまくるというのも個人的に似た経験があったこともあってすごく共感してしまった。(しかし、支倉は健介を恋愛対象とみており、その気がなかった健介を強引に引きずりこもうとして一悶着あったが、親友と恋人のあいまいな形で決着させている。)

共感したところはあったが、やっぱりその延長線上に恋愛感情はない。なんでこんな話になってしまうんだろうか。

この作品を観て思ったのは、やっぱり女性からすると男同士の関係って理解しがいところがあるんだと思う。女性は基本的にはお互いの様子を見合って時に牽制しあいながら協調しようとして、感情をむき出しにするのは恋愛が絡んだ時が多いが、男の場合は男同士でも感情をむき出しにすることも多いが、それが女性からは恋愛っぽく見えてしまうのかもしれない。

BL要素を抜いて、普通に勢多川正弘の更生物語でも面白いというかいい話になると思うんだが。
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