ウシュアイア

86―エイティシックス― 第2期のウシュアイアのレビュー・感想・評価

4.3
迫害され戦いを強いられてきた少年たちのヒューマンドラマを描いたSF作品の第2期。

第1期では、迫害により過酷な戦いを強いられてきた「86」の部隊に遠隔地で指揮をとる指揮官にミリーゼが着任してから、激戦の果てに無期限で敵地に行けるところまで進軍するという事実上の死刑宣告の「特別偵察任務」までの話で、「絶望的な状況下で人間はどう生きるか」がテーマであった。

第2期では、敵地で他国に救助・保護され、迫害も受けず自由に生きることを許されたにも関わらず人類共通の敵との戦いに参加することを選んだ主人公たちの戦いにより失われてしまった人間性を取り戻していく物語となっている。第1期とはかなりテーマ設定が違うが、通して一つの物語としてみると、きちんと起承転結になっている。

人類共通の敵は人間ではなく、主を失った自律型のロボットで、破壊することには何のためらいは生じにくい。とはいえ、近い未来に戦死しかない状態から自由の身となっても、自分の存在意義、将来の事、やりたいことが見つからず、戦う理由も探しながら戦い続ける苦悩する主人公たちの心の機微はリアリティがある。

現実の世界に置き換えても、あまり希望が持てない世の中で、特にやりたいことや希望がない、けれども大してやりたくもない勉強や仕事をして悩むことだってある。

着地点は、他にやりたいことや生きがいをみつけるのか、今やっている仕事(戦い)に意義を見出すかのどちらかになる。どっちに着地するか、もしくは着地しないかは観ていない方にはお楽しみということになるが、個人的にはすっきりとした終わり方だったと思う。

制作スケジュールからか、最後の2話だけおよそ3か月の間を空けての放送になったが、映像、音楽、演技、どれをとっても良かったと思う。ただし、第2期からのフレデリカはストーリー上で登場はやむを得ないが、キャラクター(性格)がシリアスなストーリーのアイスブレイカーとはいえラノベ的で正直苦手だった。
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