真田ピロシキ

エンジェル・ハートの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

エンジェル・ハート(2005年製作のアニメ)
3.2
原作未読、ドラマは途中まで見た。なので主にストーリーについての感想になるのだけれど、香が死んでる事を受け入れられさえすれば悪くないと言うか、フランスの実写や2019年版のような90年代の亡霊のように頑なにアップデートを拒み悪ノリにはしゃぐ最近のシティハンター映画より良い。シャンインという娘の存在が枷になってて軽薄ではあっても獠の極端なもっこり魔描写は随分大人しくなっており、こっちの獠の方がずっとカッコいいよ。あとシンホンの兄貴分やってて、美女の依頼しか受けないと嘯きつつも結構男性の手助けしてるのも良いね。15年も前に新しい冴羽獠像を確立しておきながら子供じみたキャラクターに退化したのはどういう事なんだ。客の問題とは思いたくないんだが。ただこの作品が面白いかと言うとなかなか微妙。

クレジットでは一番最初に来るのでシャンインが主人公なのだろうが獠の方が目立ちがちなのはこれも二世漫画の亜流かなと言った所。シャンインの場合はその中で生きてる香が目立つのでますます親世代に追いやられてる気になるんだよね。香のあれはちょっと幽霊より怖いぞ。香の死を受け入れられるかが最大の障壁である作品だが見てるとどうか成仏してほしいと思うようになった。異様に聖人化されて崇められてるのもかえって香のキャラクターを陳腐にしてるように感じられる。

それでこれは途中リタイアしたドラマでも思った事だけど故人にまつわるエピソードが多くて妙に辛気臭い。原作もそうなのだろうか?もう少しお気楽なエピソードがありそうなものだが。話に引っ張られてか演出も一応コミカルさはあるがどこか固くて、ファンユイが出てくる辺りからようやく遊び心が多く感じられるようになるものの既に終盤。遅すぎる。アニメーションは人間ドラマメインのせいかアクションシーンなどは控え目で、それもイマイチ景気の良くないアニメに感じられた要因。劇場版アニメと比較するのは筋違いだがその辺は大満足だった新宿プライベートアイズを先日見ただけに尚更にね。それとオープニングやエンディングが度々変わるのは良いんだけど、そのアニメーションが動かないので面白くなくほとんどスキップしてた。50話もやってる割に予算は少なかったのだろうか。原作に興味は多少湧いたので読んでみようかという気にはなった。でもシティハンターより長いんだよね。