真田ピロシキ

真マジンガー 衝撃! Z編の真田ピロシキのレビュー・感想・評価

真マジンガー 衝撃! Z編(2009年製作のアニメ)
3.3
リアルタイムで見て以来。当時東映のオリジナルは見たことなくてスパロボ知識しかなかった身としては「これがマジンガーかぁ」とちょっとした感動があった。と言っても今川泰宏監督なので、自己主張が強すぎるナレーションやくどい台詞回し、ロボットより強い人間などケレン味だらけの今川カラーが満載。強い人間は十傑集や東方不敗などいつものことだが、本作ではマジンガーなしでも大体はどうにかできそうに感じ神にも悪魔にもなれるはずのマジンガーが言うほど大したことなく思えてしまうのは問題。超合金Zと光子力安売りしすぎでしょ。なんだよモブ刑事が使う超合金竹槍て。アンドロイドのガミアQは光子力バリアでラスボスの攻撃防げてしまうしで、これでは巨大ロボットの否定に等しい。登場直後のあしゅら男爵には生身でボコボコにされ、本作の特徴に暗黒大将軍に敗れるバッドエンドから始まるのもあるのでマジンガーの存在感が弱まる。もっとスーパーな所を見せてくれないと。

マジンガーを操る甲児も女将や本作最大のキーマンであるあしゅら男爵に主役の座を食われていて物語を引っ張れていない。先に言ったようにバッドエンドなので完全にあしゅらの掌で踊らされた未熟なガキとして物語を終えて、しかも負けて打ち切りという今となっては悲惨な主人公に。当時は何でグレート編作らねえんだよと思ったものだが、見返してみるとこの主人公とロボでは仕方ないかなと感じてしまった。女将はバイオレンスジャックのキャラクターらしく他にも色々な永井豪作品のネタを詰め込んでるようだけど、今川監督は過去にもジャイアントロボでスーパー横山光輝大戦をやって未完に終わったのに同じことを繰り返されるとちょっと笑えない。

そうは言っても初めて見たマジンガーなので印象は深い。今年プライムで東映版が配信されたので見てみたのだが、思い出補正もなく大人になった今見るには色々厳しくて20話も行かずに止まったのに対してこっちはテンポの遅さに度々眠くなりつつも最後まで見れたので、自分にとってのマジンガーはこれというのがある。必殺技が自分が黄金に輝くロケットパンチになるのはぶっ飛んだアイデアで面白く、最終戦で無数のロケットパンチが乱舞するのもチェンゲのわんさか出てくるゲッタードラゴンを思い出させる。それとDr.ヘル配下の幹部も面白く描かれていて、ライバルであり主人公のあしゅらはもちろん、本作で初めて知ったピグマン子爵の忠誠心と仲間想いなところなどまるで正義のヒーローのよう。ブロッケン伯爵も冷徹なようで結構あしゅらを助けてるし、ピグマンが死んだら「骨くらいは拾っておいてやるか」と言っててセクハラ野郎の癖に熱く、ゴーゴン大公と対峙した時の協力など出来る描写が多い。それに比べると仲間とのこれといった共闘描写がない甲児くんはますます立つ瀬がないのだった。